袁家から始まる中華統一   作:鈴木颯手

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漢王朝の官位とかいろいろ調べたんですが理解が出来なかったため、キングダムの地位を参考に、というかまんま利用させてもらいます。


第五十四話「一新」

 揚州連合軍から始まり、劉琦、孫家と続いた戦乱も南陽袁家の勝利で終わった。一時期は危険な状態だったこれらとの戦いも板垣の特殊部隊の投入や直後の周沙の夜襲で揚州連合軍を壊滅させ、板垣自身が総大将となり、劉琦・孫家と戦った事で南陽袁家は勝利を得た。

 主だった将では揚州連合軍では劉繇と厳白虎が討ち死にし、劉繇配下の太史慈、王朗が重傷ながら捕縛された。劉琦軍では劉琦、魏延が捕縛され、黄忠が討ち死にした。最後に孫家では甘寧が討ち死にし、孫策、孫権、周瑜、陸遜、黄蓋、程普、張昭、呂蒙、周泰と言ったほぼ全ての面々が捕えられることとなった。 

 全ての討伐を終えた板垣は戦後処理を行うべく今回戦った主だった将と捕縛された者を南陽に集め論功行賞と軍事裁判を開いていた。

 

「先ずは周沙からだな」

「はっ!」

 

 最初に行われたのは論功行賞からであった。最初に呼ばれたのは揚州侵攻軍の総大将となり、最終的には揚州連合軍相手に勝利を収めた周沙だった。

 

「今回の戦において周沙は十二分の活躍をしてくれた。よって、周沙には荊州南部、武陵、長沙、零陵、桂陽、臨賀の6群の統治を任せる事とする」

「っ! 6群の統治、ですか……!?」

 

 いきなりの大抜擢に周沙は驚くがこれは前々から考えられていたことであった。周沙をかなり気に入っている板垣は副官として更なる経験を積ませようと考えていたのだ。元々は揚州を任せる事で対応するつもりだったが荊州が全土手に入ったことでこちらで任せる事にしたのだ。

 

「これは後々正式に発表するが官位を新たに整備してある。それに則り、周沙には荊州牧に任命する」

 

 元々牧とは刺史と同じく州全体の統治者を現す官位であったが刺史と両立している状態にあった。それを板垣が整備する事で刺史を州全体の統治者、牧をその副官という立ち位置に設定したのである。他にもいくつか改革が為されており、板垣の言葉通り落ち着いたころに正式に発表される事となっていた。

 

「……かしこまりました。必ずや、この官位に恥じぬ働きをして見せます」

 

 思わぬ大抜擢は周沙を感激させ、震えさせた。他にも金や価値のある物などを受け取り、周沙の番は終了した。

 続いて呼ばれたのは板垣が来るまで総大将として劉琦軍と対峙していた韋惇だった。

 

「韋惇には筆頭軍師の座を与える。これは南陽袁家の軍師において最高の地位だ。受け取って欲しい。

それと韋惇には将軍位を与える。これはこれまでのように賊討伐時の臨時の官位ではなく、きちんとした官位である。将軍位を得た者は基本的に1万から5万ほどの兵を率いる事を許可するものとする」

「はっ! 謹んでお受けします!」

 

 板垣はそう宣言した。漢王朝において将軍と大将軍は黄巾の乱のような賊を討伐する際に設けられる臨時の官位であり、武官の官位はそれ以外にもきちんと存在するが板垣はそれを全て廃止。名前でわかりやすい官位にしていた。

 元々軍師として仕官した韋惇は与えられた二つの地位に満足し、礼をする。褒章も周沙と同じくもらうと下がり、孟端の番となった。

 

「孟端には5千人将の官位を与える。これは文字通り5千の兵を率いる事を許可するものである」

「は、はい! ありがたかく、う、受け取ります?」

 

 若干礼がおぼつかない孟端だったがミスを犯すことなく褒章も受け取り下がった。下がる際に安堵の息をつくがそれを咎める者は流石にいなかった。

 そして、史忌は韋惇と同じく将軍位を、閔叙と周倉、廖化は孟端と同じく5千人将の地位が与えられた。

 

「魯粛、お前には1等軍師の地位を与える。筆頭軍師に次いで軍師の中では次位に位置している。これからもお前の活躍を期待する」

「はい! 直ぐに筆頭軍師になれるように頑張ります!」

「張遼、貴殿には5千人将の地位を与える。本来は将軍位が相応しいが旧董卓軍の面々をいきなり将軍位につけるのは反発が強いからな。すまないな」

「ええでええで。うちらにもこうして褒章出してくれるだけありがたい話やねん」

「呂布奉先、貴殿も同じく5千人将だ。陳宮は本人の希望もあるだろうから呂布の専属軍師とする。地位は……2等軍師だ」

 

 その後も論功行賞は続いていき、旧董卓軍の面々にも褒章が与えられていく中、

とある人物にも褒章が与えられた。

 

「高順、貴殿には3千人将の地位を与える。……李傕の件は失礼した」

「いえ、構いません」

 

 元李傕軍の副官をしていた高順という女性であり、彼女は先の孫家との戦いで将がいない張遼と呂布の軍勢をまとめ上げた実績が評価された形となった。能力も低くはなく、彼女は李傕軍を中心に今後も率いる事となるだろう。

 因みに、旧董卓軍の総大将である董卓とその軍師である賈詡に褒章が与えられることはない。二人とも既に亡き者として扱われているためであり、彼女たちの生存を知っているのは旧董卓軍の中でも張遼、呂布、陳宮、高順くらいしか存在しなかった。そもそも、生存を知っているからこそ板垣に素直に従っているのだが。

 

「黄祖殿は引き続き江夏の太守を任せる。今回の戦いにおける復興費は別途用意するので後で確認してくれ」

「まぁ、それでいいさ」

 

 黄祖は今回孫家によって江夏南部を失っており、大した活躍はしていないが彼女の能力は本物である為に減俸になる事はなく、むしろ復興費を受け取る事が出来ていた。

 

「さて、新しい地位に慣れるには一定の時間がかかるだろう。軍の編成も追々行っていく。早くなれるようにより一層の奮励努力を期待する」

「「「「「はっ!」」」」」

 

 こうして、論功行賞は無事に終わり、各々が満足いく褒章を受け取る事が出来た。そして率いられる軍勢が明確になったことは更に上の地位へという向上心に繋がり武官たちの士気は高まっていくことになるのだった。

 そして、終始穏やかとも取れる表情で論功行賞を行った板垣は途端に厳しい表情となった。それは論功行賞とは違う、暗い出来事を行うためだった。

 

「では、これより捕縛した者達にする処罰を決定する」

 

 そう、敗北者たちへの軍事裁判であった。

 

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