逃亡海兵のルフィとウタ 短編集   作:Nines star

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逃亡海兵ストロングワールド③

第二話 陰謀

 

 

 

 

 

 

 その島の名は、メルヴィユと言う。

 強き者のみが生き残るその島には凶悪にして強力な獣が無数に存在する。それは巨大なカバのような生物であり、蛇であり、蛸であり、蟷螂であり、ゴリラである。

 とある者たちの陰謀により通常よりも遥かに凶悪になっている獣たちは、日夜争いを続けている。

 まさに弱肉強食の世界。弱き者はただ死に行くしかないその島に、その青年はいた。

 

「ウタ」

 

 その青年は、呟くように彼にとって大切な少女の名を呼んだ。いつも、いつも隣にいた少女。笑っていてくれた彼女。

 奥歯が砕けてしまうのではないかと思うほどに、強く、強く青年は歯を食い縛る。

 あの時、伸ばした手は届かなかった。

 それが、青年……モンキー・D・ルフィにとって何よりも自分を許せない理由となる。

 

“なあ、ルフィ。……ウタを、守ってやって欲しい”

 

 麦わら帽子に触れ、あの日の言葉を思い出す。

 憧れた男との約束。それがルフィにとっての始まりだった。

 だが、今は。

 そんな、約束よりも。

 

「ちくしょう」

 

 手も足も、出なかった。

 ただの一撃さえも、届かなかった。

 絶叫のような、慟哭のような声が響く。

 それは周囲の獣に位置を知らせる愚行だ。しかし、彼を襲う獣は一体たりとも存在しない。

 今の彼に近付くことが自殺行為であることを、獣たちは本能で理解しているのだ。

 弱肉強食の島を、青年は行く。

 それは、まるで。

 爆発寸前の、火山のようであった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 獣たちをやり過ごし、女性海兵……オリンが息を吐く。彼女は痛む脇腹をさすると、同じように隠れていた海兵三人へと視線を向けた。

 

「どうやら、今のところは私たちだけみたいね」

「はい。もっと遠くに飛ばされている可能性もありますが……」

 

 応じるのは上等兵の海兵だ。多少の医術も習得していた彼は、脇腹を貫かれたオリンの応急手当てをしてくれた。

 

「海に落ちたのも相当数いると思います。シキとの遭遇時に本部へは緊急通信を行なっていたので、そちらは大丈夫だと信じたいところですが」

「まあ、殺したって死なない連中です。信じましょう」

 

 努めて笑顔を浮かべる海兵に、オリンもまた笑みを返す。そして彼女は、電伝虫を弄り続ける海兵に声をかけた。

 

「どう? 繋がりそう?」

「もう少しなんですが……もっと開けたところに出たほうがいいのかもしれません」

 

 彼らが所属する部隊は通常とは違い、広報の役割を担う事も多い。そのため通信機器には約一名を除いて一定以上の知識を持っていた。

 そして、持っていた電伝虫でどうにか海軍本部、或いは支部に連絡を取ろうとしているが上手くいかない。ここが森の中であることも影響しているかもしれなかった。

 

「じゃあ、移動しましょう」

 

 銃を手に持ち、オリンは立ち上がる。脇腹に走る痛みに思わず顔を顰めた。

 

「しかし中尉、この島は異常です。どうみても通常とは思えない進化を遂げた生物が大量におり、その……我々では、あの怪物を倒すことは」

「わかってる。だから迂回して、広いところを探すの。どの道、ここでジッとしてても状況は改善されない」

 

 わかってるでしょと、オリンは言う。

 

「あの二人の下にいるんだもの。諦めの悪さについては、十分に学んでる」

 

 その言葉を聞き、他の三人も笑った。そうだ、いつだってこの部隊はそうやってきたのだ。

 

「何より、大佐を一人にしておくとなにをしでかすかわかったもんじゃないし。さっさと見つけないと、勝てる戦いも勝てなくなる」

 

 オリンは信じている。あの男が、“麦わらのルフィ”が諦めることはない。敗北し続けることはない。

 だって、いつだってあの二人はそうだったのだ。

 絶望的な戦況を、状況を、敵を。いつだって覆してきたのだから。

 

「まだ、私たちは負けてない」

 

 強い意思の篭った瞳でオリンは言う。そうだな、と海兵たちも頷く。

 

「とりあえず、急ぎましょう。夜になっちまうと森は危険だ」

「人はいるのかな?」

「わからん。ただ、ここがあいつらの拠点の一つだってんなら何かしらの人工物はあるはずだぞ」

 

 たくましい男三人の言葉に、オリンは小さく微笑む。

 

「さあ、行くよ。……大佐はまあ、多分、一番騒がしいところにいるでしょうし」

 

 それだけは、三人ともが同意していた。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 腹が減っては戦ができない。

 その言葉がこの人以上に似合う人を、オリンたちは知らなかった。

 

「遅れて申し訳ありません大佐!」

「ん、いいよ。それより、お前らも食え」

 

 こちらに背を向けたまま、バクバクと食事を続けるのはルフィだ。その彼の側には、オリンたちが逃げるしかなかった蠍の怪物が転がっている。

 相変わらずの強さである。これであのシキにいいようにされてたと言うのだから、あの海賊の強さはどれほどのものなのか。

 

「大佐、おそらくこの島には我々だけのようです。他の海兵たちは、おそらく海に振り落とされたのかと」

「……そっか。大丈夫かな」

 

 手を止めて呟くルフィ。煙が上がっている方向へ来るため、オリンたちは約五日間も歩いていた。道中、電伝虫を使って本部への連絡を試みるために何度か立ち止まっており、通常よりも時間をかけている。それでもこの場にルフィしかいないということは、この島に辿り着いたのが彼を含めて五人だけと言うことだろう。

 

「あの空飛ぶ島船とでも呼ぶべき存在を感知した時、すぐに緊急の信号は送っています。おそらくですが、救助されているものと」

「なら、よかった」

 

 立ち上がり、ルフィは言う。

 

「じゃあ、腹拵え済んだら行くぞ」

 

 えっ、とオリンたちは声を上げた。ルフィは帽子を被り直しつつ、コートを羽織る。麦わら帽子でその目元は見えない。

 

「行くって」

「ウタを助けにだ。シキの奴はこの島のどこかにいる。だからあいつらは、あの時突然戦闘をやめたんだ」

 

 冷静に告げるルフィ。待ってください、とオリンは言った。

 

「我々はたったの五人です」

「そうだな」

「無謀です」

 

 はっきりと言い切った。ギロリとルフィがオリンを睨む。その覇気に身が竦むのを感じながら、オリンは言った。

 

「応援を呼びましょう。電伝虫があります。だから」

 

 自分のポケットから電伝虫を取り出しながらオリンは言う。その間に、とルフィが言葉を紡いだ。

 

「ウタに何かあったら!」

「根拠はあります! 准将をシキは利用すると言っていました!」

 

 足がガクガクと震えている。いつもは気さくで、頼りになる“麦わらのルフィ”。その本気の殺意が、これほどまでに恐ろしいとは。

 だが、言わねばならない。弱い自分達とは違い、この人は希望なのだ。

 

「シキは『何か』をするつもりなんです! それに准将が必要なのかどうかはわからない! けれど准将には利用価値があるから連れ去ったんです!」

 

 だからまだ時間はある、とオリンは告げた。

 

「私はカガシャに何もできませんでした! けれど大佐は違う! あなたが無駄に散ったら、誰が准将を助けるんですか!?」

 

 涙の訴えだった。悔しさと、情けなさが溢れ出してくる。

 ルフィは一度、何かを堪えるように俯いた。そして。

 

「すまねぇ」

 

 そう、呟いた。

 

「はい。方法を、考えましょう。……どこか、人がいる場所があるはずです。そこを探しましょう。そこがシキの本拠地だったとしても、情報を得られます」

「そうだな。……よし、じゃあ食え」

 

 いつもの笑顔に戻ったルフィが言う。だが、その笑顔に無理があることをこの場の全員が理解していた。

 ただ、それはそれとして。

 

「これを……食べるんですか?」

 

 どうみても化け物としか思えない生物の身である。美味いぞ、とルフィは言う。

 

「どっちにしろ移動するなら食わなきゃダメだろ」

 

 それはその通りだ。四人は顔を合わせると、意を決してそれを口にする。

 

 一言で言うと。

 ちょっと変な味のする蟹だった。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 少女が、逃げている。

 この島は島の内部で場所ごとに環境がガラリと変わる。少女が今走っているのは、雪の降るエリアだった。

 

「ゴォォォォ!!」

 

 唸り声を響かせながら少女に迫るのは、トナカイのようなツノが生えたティラノサウルスとでも言うべき生物だ。ただその体色は寒色であり、背と首周りに大量の毛が生えているという、形以外ではとてもじゃないがティラノサウルスとは呼べないものであったが。

 まあ、この場にいる者に生物学者などいないし、認識なんて何でもいいのだが。

 少女が足をもつれさせ、倒れた。ひっ、という小さな悲鳴をあげる。だが彼女は両手に持った大切なものだけは手放さない。

 捕食者が迫る。少女は、キツく目を閉じて。

 

「“ゴムゴムの銃”!!」

 

 しかし、その時は訪れなかった。

 轟音を響かせ、そのティラノサウルスが倒れ伏す。

 

「大丈夫?」

 

 声をかけてくれたのは、白いコートを着た女性だった。その後ろには四人の男性がいる。

 

「あ、あの」

「とりあえず、立てる?」

 

 言われ、女性に起こされる。少女はようやくそこで状況を理解した。

 

「あ、ありがとう!」

「私は何も。あれを倒したのは、あの人よ」

 

 女性と同じコートを着た青年を示しながら彼女は言う。彼に対して少女が改めて礼を言うと、青年は笑った。

 

「あの、私はオリンって言うの。あなたは?」

「わたし、シャオ」

「そう、シャオ。もしかして、近くに住んでる場所があるの?」

「うん。歩けば行けるよ」

 

 そこで女性が青年へと視線を送った。青年が頷きを返す。それを受けて、女性は言葉を紡いだ。

 

「よかったら案内してくれないかしら?」

「うん、もちろん!」

 

 

 

 

 乾いた音が、室内に響いた。

 

「あれ程ダフトグリーンの外に出ちゃいけないって言ってるのに!」

 

 シャオの家だというところに案内されると、彼女の母親に礼を言われた。しかしその後、彼女はシャオの頬を叩いたのだ。

 

「だって……」

 

 涙を溜め、大事に抱えた一輪の花を抱えながら少女は言う。

 

「どうしてもおばあちゃんを助けたかったから……!」

「ッ」

 

 母親がハッとした表情になる。すると、奥でゆっくりと体を起こす女性がいた。

 

「シャオ、私のために無理をしないでおくれ……」

「だって、このままじゃおばあちゃんが」

 

 目に涙をいっぱいに貯めて言うシャオ。あの、とオリンは言葉を紡いだ。

 

「具合が悪いのですか……?」

「ああ、すまない。ありがとうね、あんたたち。……ダフト、っていう病気でね。緑色の痣の部分が硬直していって動かなくなる病気なのさ」

「ダフト、ですか。あまり聞き覚えのない病ですね」

「そうだろうね。ダフトグリーンの粒子を大量に吸い込むとそうなってしまうんだ。外に、緑色の大きな植物があっただろう? あれの匂いがこの島の動物たちは嫌いでね。それで私たちを守ってくれてるのさ」

「なるほど……」

 

 道理でこの村が襲われていないわけだ。あの植物が全てを防護していたということだろう。

 だが、メリットだけというわけでもないということだ。

 

「唯一治せる薬は“IQ”っていう植物から作られるんだけど、一輪だけじゃね」

「それで……あんなところに」

 

 思わずシャオを見る。彼女は泣きながら母親に縋りついた。

 

「ごめんなさい!」

「お前が悪いんじゃない。悪いのは“IQ”を独占しちまったシキの奴さ」

「シキか」

 

 ずっと黙っていたルフィが静かにその名を呼んだ。そうさ、と女性は言う。

 

「二十年前までは人と植物、そしてあの動物たちとも上手く共存してたんだ。それをあいつが、全部ぶっ壊しちまった……!」

「早く行っちゃえばいいのに、“計略の海”に……!」

「“計略の海”?」

 

 オリンが問いかける。ああ、と女性は答えた。

 

「東の海を滅ぼすと、シキはそう言ってるのさ。この島をそのために利用するって」

 

 その場の全員が息を呑んだ。ルフィだけが深く麦わら帽子を被り直す。

 

「あれを見な」

 

 女性が窓を指し示す。視線を向けると、少し離れたところに巨大な電伝虫がいた。

 

「うお、なんだあのデカい電伝虫」

「あんなの初めて見るぞ」

「“自走式映像電伝虫”さ。あの電伝虫で映した映像は全て王宮へそのまま送られてる。私たちはいつだって見張られてるんだ。少しでもシキに楯突くような動きを見せたら、すぐ見せしめに殺せるように……!」

 

 酷いことを、とオリンと他の海兵たちが言う。ルフィはまだ、無言のままだ。

 

「ああ、だが東の海に行きさえすれば用済みになり解放される。この村には男も若い娘もいないだろう? 全員、連れてかれてるのさ」

 

 狡猾で残忍。それが“金獅子”の評価だ。なるほど、二十年もここで力を蓄えていたのか。

 最近起こっていた東の海の件と言い、ようやく色々なものが繋がってきた。

 伝えなければ。

 この陰謀を、海軍本部に。

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 鎖を揺らす音が響く。ここはシキの王宮の地下牢、その一角だ。

 ただ、音がする場所は柵に覆われてはいない。一人の女性が海楼石の錠で繋がれているのだ。手錠からは鎖が伸びており、後方の壁と繋がれている。ある程度の距離の移動はできるが、決して抜け出せない。

 そこへ、不意に音楽が鳴る。聞き覚えのある音楽に女性……ウタは眉を顰めた。

 軽快なリズムと共に現れるのは四つの影だ。

 一人は、大海賊“金獅子のシキ”。刃となった足で地面を踏み鳴らし、中心で軽快に踊っている。

 ウタから見て右隣にいるのは、青い髪の白衣を着た男だ。左隣には、何故かゴリラ。

 そして背後。そこには、一人の道化師がいた。

 黒い仮面と白い衣装。その人物は紙吹雪を撒きつつ、軽快な音楽を奏でている。だが、その見た目で油断してはならない。彼は非常に凶悪な海賊だ。

 海賊、“返り血のブルチネラ”。

 犠牲者の返り血でその衣装を真っ赤に染めながら笑う道化だ。懸賞金は五億に迫る、“新世界”の海賊である。

 

(カガシャだけでなく、こんな奴まで)

 

 かつては“四皇”とまで呼ばれた大海賊。その影響力はこれほどまでに高いのか。

 道化が軽快な音楽を終えると、四人で決めポーズをとる。そして道化ことブルチネラは全力で拍手をした。

 

「いよっ、シキ親分今日もキレッキレですな! いやー、日に日に動きが軽快になっておりますぞ!」

「ジハハハハ! 見え透いた世辞はよせ、ブルチネラ」

「いえいえ私めは道化なれば……いや本当に、シキ親分の盃を受けられてもう幸せで幸せで! 毎日楽しい! 最高!」

 

 腰に手を当て、軽快なリズムをとりながらくるくると回る道化。ウタが眉を顰める中、青い髪の男……Drインディゴがそれに乗るようにステップを刻む。

 妙な音がする靴でステップを踏むインディゴ。それを見てゴリラとブルチネラが拍手をしているが、シキが声を張り上げた。

 

「テメェの足音はどうにかなんねぇのか!」

 

 そして足を止めるインディゴはしかし、今度は身振り手振りで何かを訴え始めた。

 

「何が言いてェんだ!」

「そういえばお見せしたいものが」

「いや喋れるんかい!」

 

 ツッコミを入れるのはブルチネラだ。その光景を見て笑うゴリラことスカーレット。シキは彼に視線を向けると、ハッとした表情を浮かべた。

 

「お母さん!?」

「ゴリラだろどう見ても!」

「「「はいっ!!!」」」

 

 四人でポーズをとる男ども。何を見せられているのだろう、とウタはテンションをどうすべきか真剣に迷った。

 

「で、見せてェもんってのは?」

「新しい進化の形が出現しました、ご覧ください!」

 

 インディゴの指示でその籠を運んできたのはブルチネラだ。籠のような檻の中に一羽の……巨大なアヒル、のような鳥がいた。

 

(あ、かわいい)

 

 致命的に狂った空気のせいか、ウタはそんなことを思った。その姿を見て。

 

「え、ギター!?」

「鳥だろどう見ても!」

「「「はいっ!!!」」」

 

 ポーズを決める四人。あ、とウタは声を漏らした。

 扉が開き、鳥が出てきたのだ。直後。

 

「「「ギャー!!!」」」

 

 突如鳥から放たれた電撃が、四人を襲う。

 何を見せられているのだろう、とウタが再び心を無にした瞬間。

 

「こん、ちくしょうが!」

 

 シキが、その鳥をこちらへ投げ飛ばした。思わず声を上げる。

 

「ちょっと!」

 

 鈍い音を響かせて床に倒れた鳥の側に、鎖を引き摺って駆け寄る。

 クオッ、と小さく鳥が鳴いた。

 

「これが新しい進化の形だと?」

「はい……電撃技が特化したタイプでして」

「進化?」

 

 思わず口にする。ほう、とシキがこちらに向かって笑みを浮かべた。

 

「知りてェか? 前々から言ってるように、おれたちの仲間になるならそれも教えてやるぞ」

「お断りよ。海賊になるくらいなら死ぬ方を選ぶ」

「ジハハハハ! なるほど、“歌姫”の海賊嫌いは噂通り……いや、噂以上か!」

 

 シキが笑う。その後ろではブルチネラがインディゴに問いかけていた。

 

「で、実際進化って?」

「この島には見たこともない進化をした動物たちがウヨウヨいたんだよ。そして、その原因をこの私が“IQ”という植物であると突き止めた」

「……“IQ”」

 

 思わず呟く。何っ、とインディゴが声を上げた。

 

「どこでその名を!?」

「いやあんたが言ったんだよ!」

「「「ハイッ!!!」」」

 

 今回のツッコミはブルチネラだった。

 

「ジハハハハ! まあいい、時間はいくらでもある。それに、いずれ理解するさ。敵ならば話も聞かねェが、仲間なら聞いてやれることもある」

「私はあなたたちの仲間にはならない」

「気の強い女は好きだぜ! おれの孫娘もお前のファンなんだ!」

「おれもファンだぞ!」

 

 ブルチネラが言う。ウタはそれには何も答えなかった。

 

「錠については諦めろ。お前の力はそれだけのものがある。仲間になりたくなったらいつでも言えよ、ベイビーちゃん」

 

 そして、ブルチネラが奏でる軽快な音楽と共に四人が立ち去っていく。

 近くで縮こまっている鳥を撫でる。海楼石の錠のせいで満足に力が入らない。抜け出すことは自力では不可能だ。

 ルフィが助けに来てくれるのは間違いない。だが、その時までに何もしないでいるわけにもいかない。

 

「どうしよう」

 

 そう、呟いた時だった。

 ウタの視線の先。

 空間に、扉が開いた。

 突然のことにフリーズするウタ。更に、その扉……そう、扉としか言いようがない物の中から、二人の男が現れる。

 

「声を出すな。おれたちはCP9。世界政府の命により、お前を助けにきた」

 

 肩に鳩を乗せた男と、牛の角のような男。

 世界政府の力の一端が、ウタへと手を差し伸べたのだ。

 

 

 

 

 









ちなみにですが、ラスボス扱いなので規模でいうと頂上決戦みたいなことになります。



盛られた設定。

“返り血のブルチネラ”……白い衣装と黒い仮面の道化。お調子者の言動をし、コミカルな動きをしているがその二つ名の通り、白い衣装を対象の返り血で染めるヤバい奴。懸けられた懸賞金も五億に迫る、“新世界”の海賊。色んな意味でヤバい巨漢。
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