第三話 予兆
海軍本部は凄まじい喧騒に包まれていた。
「“七武海”にも応援を要請しろ! 付近の海兵で集まれる者は至急マリンフォードへ! 揃い次第編成を組む! 住民たちへも避難準備を急がせるんだ!」
元帥室でセンゴクが矢継ぎ早に指示を出す。CP9よりもたらされた情報にはそれほどの意味があった。
この二十年、姿を消していた大海賊“金獅子のシキ”。それは隠居していたわけではなく、二十年を掛けた壮大な計画を準備していたのだ。
最近の東の海で起こっている事件の首謀者も、もうここまでくれば確実だ。
(奴は東の海に執着を持っている。滅ぼすというのも決してブラフではないのだろう)
あの時代を生きた男だ。その執念は決して侮れない。
「しかし、“七武海”のうち何人が応じてくれるか」
「応じなくともいい! 説得の時間もない! あちら側につく最悪の事態さえなければそれでいい!」
次々と上がってくる報告を聞きながら、センゴクは指示を出し続ける。CP9の長官が恩着せがましく寄越してきた情報が事実であれば、これは海軍史上最大規模の戦争になる。
ただでさえ自分とガープの二人でマリンフォードの半壊と引き換えに捕らえることに成功した“金獅子のシキ”がいるというのに、その下に数多の海賊団の船長が集まりつつあるという。その総数は既に五千を超えていた。
そして、その配下の海賊たちを束ねる連中も問題だ。“七武海”を模して作られたという“七宝剣”なる集団。そこには三億を超える懸賞金を懸けられた“新世界”の海賊たちが集っているのだ。
「ガープたちは上手くいったのか……!? ベガパンクに急ぐように伝えろ!」
時間が何もかも足りない。いつだって海軍は後手だ。
だが、それでも守らなければならない。それが彼らの掲げた“正義”が故に。
「元帥!」
「今度は何だ!?」
駆け込んでくる若い海兵の顔が青ざめていた。その表情を見てただならぬ気配を察知する。
「“金獅子”です……!」
「何だと……!?」
今この瞬間、海軍にとって最大の脅威たる海賊の名が告げられた。
センゴクは一度息を吐くと、その電伝虫を手に取った。海兵に下がるように言い、言葉を紡ぐ。
「……私だ」
『ジハハハハ! 懐かしいじゃねェか!』
それは確かに、かつて聞いたあの男の声だった。センゴクは言葉を紡ぐ。
「何故この番号を」
『“情報”だセンゴク。この二十年で、時代は変わったのさ。ウタウタについてもそうだ。獣たちを強化する薬についてもそうだ。時代は常に変化する』
「時代に執着する貴様が何をいうか」
吐き捨てるように言うセンゴク。シキが笑った。
『その通りだ。だが、適応しねェわけじゃねェ』
「東の海を滅ぼすというのは、本気なのか」
口笛を吹く音が、受話器から響く。
『流石だなァセンゴク。秘密裏の計画だったはずだが』
「海軍を舐めるなよ、シキ」
『舐めちゃァいねェさ。お前はあの時代を生きた海兵だ。おれはこう見えてお前とガープ、そしておつるのことは尊敬してるんだぜ?』
「貴様に尊敬されたとて、何の自慢にもならん」
また、笑い声。
「貴様が東の海を狙うというのであれば、海軍は全戦力を持って貴様を討伐する」
『やってみせろセンゴク。だが、全戦力か。果たして可能かな?』
「何?」
センゴクが眉を顰める。それは勿論、海兵全員を招集することはできない。だが、一定以上の海兵たちを集めることはできる。それを相手取る算段があるとでもいうのか。いくらかつて四皇と呼ばれた男といえど、海軍と正面切って戦うことなど。
しかし、そこに一報が入る。
「報告します!」
センゴクの勘が告げている。
これは、悪い知らせだ。
「“百獣のカイドウ”が、本隊を率いて拠点を発ったとのことです!」
後半の海、“新世界”を我が物顔で闊歩する“四皇”が一角“百獣のカイドウ”。地上最強生物とまで呼ばれるあの男が動いたというのか。
「シキ、貴様まさか」
『お前の表情が見れないのが残念だ、センゴク。これもまた“情報”だ。あの小僧とは昔に縁があってなァ。話を持ちかけたらすぐに動き出した』
「世界大戦でもするつもりか!?」
『そのつもりだ』
シキが笑う。
ただただ、伝説の海賊が笑う。
『おれはこの海の支配者になる。それに抗おうってんなら、いくらでも相手をしてやるぜ?』
そして、電話が切れる。センゴクはしばらく考え込んだ後、海兵を呼んだ。
「三大将をここへ。兵の招集については、できるだけ急ぐよう改めて伝えてくれ」
「はっ!」
敬礼を返してきた海兵の表情に違和感を感じ取る。センゴクは彼を呼び止めると、言葉を紡いだ。
「何かあるのか?」
「は、いえその……招集は、本当にマリンフォードでよろしいのですか? それも、一週間という期限で」
「ああ、構わん。ここに集まればいい」
先程までシキと繋がっていた電伝虫を見つめながら、センゴクは言う。
「奴の言葉を借りるなら、“情報”だ」
◇◇◇
最初、ルフィはその光景が信じられなかった。
外部へと中々繋がらない電伝虫。繋がっても不安定ですぐに切れてしまう。
どうにかウタが連れ去られたこととこちらは僅かしかいないことは伝えたが、それ以降の連絡も向こうからの指示がない。
焦りだけが募る中。突然、それが現れた。
空間に開いたドア。そうとしか表現しようがないそこから、ウタが現れたのだ。
「あ、ルフィ──」
「ウタ!!」
彼女がこちらに気付いた瞬間、ルフィは彼女に向かって一目散に抱き着いていた。わあ、とオリンが目を輝かせていたが、ルフィは気付かない。
ちなみに空中のドアからは更に二人の男と鳥が現れているのだが、ルフィの視界には入っていない。
「ちょっ、ルフィ。苦しい」
「す、すまねぇ。怪我とかないか? 何もされなかったか?」
「大丈夫。勧誘はされたけど、断ってきたし。それよりルフィ、私がいなくて寂しかったでしょ〜?」
にひひ、と笑うウタ。ルフィはああ、と即答した。
ウタが固まる。
「無事でよかった」
そして、脱力したように座り込むルフィ。ウタはえーっと、と視線を彷徨わせる。視線の合ったオリンは微笑みながら頷いた。
そして、ルフィはそこでようやく後ろの二人と鳥に気付く。
「うおっ!? いつの間に!」
「最初からいたが。……“歌姫”しか目に入っていなかったようだな」
呆れた、という様子で言うのは牛の角のような髪型をした男、ブルーノだ。彼ともう一人、鳩を肩に乗せている男はジッ、とルフィを見つめている。
ルフィはその男に見覚えがある気がした。誰だっけ、と思ったところで思い出す。
まだ将校ですらなく、正義のコートを着ることさえできなかった時代。教えてもらったばかりの“六式”の習得に苦労していた時に、その男と出会ったのだ。
「あっ、お前まさか!」
「……なんだ、覚えていたのか」
あの時、気まぐれと言いつつ“六式”について教えてくれた男。彼のおかげでルフィは周囲も驚愕する速度で“六式”を習得するに至ったのだ。
「お礼言おうと思って随分探したのにいなくてよ! あの時はありがとう!」
「ただの気まぐれだ」
鳩を肩に乗せた男──ロブ・ルッチが肩を竦める。あのね、とウタがルフィの肩を叩いた。
「あの二人が助けてくれたの。ドアドアの実の能力なんだって」
「“エアドア”という。体力の消費が激しいため多用はできんが、我々のような諜報員には最適だ」
「本来の任務を中断し、ここでシキについて調査を行っていたら“歌姫”を救出しろという別命が下された。その命令に従ったに過ぎん」
二人は言う。任務だから当然なのだと。
だが、ルフィは二人に対して頭を下げた。
「ありがとう!」
それは純粋な礼だった。何の含みもない。
海軍とCPは伝統的に縄張り争いというか、仲が悪い傾向にある。そのため協力関係を結ぶことが難しいのだが、ルフィにそんなことは関係ない。
ウタを救い出してくれた。ただそれだけで、彼の中でこの二人はもう“良い奴”なのだから。
「まあ、礼を言われて嫌な気分にはならんな」
そんな風に僅かに微笑むブルーノと、帽子を被り直すルッチ。
ルフィの中で張り詰めていた糸が解れていく感覚がある。息を吐く彼に、ウタが言葉を紡いだ。
「それでね、ルフィ。シキの目的についての話があるの」
そして、彼らは聞く。
伝説の大海賊、“金獅子のシキ”の目的を。
◇◇◇
大海賊“金色のシキ”の旗艦にある司令室には様々な計器がある。彼の能力の弱点の一つであるサイクロンを避けるためであり、更に言えば“情報”を彼がとても大切にしているからだ。
かつて大嵐によって後の“海賊王”ゴールド・ロジャーを逃し、己自身も大怪我を負うことになった。その時に痛感したのが“情報”の重要性だ。
気象だけではない。ありとあらゆる情報を集め、彼はこの島を支配し、計画を積み重ねてきた。
そして今日も、新たな情報がここに来る。
「あの、シキ様」
「ん、どうしたベイビーちゃん。いつもみたいにお爺さま、って呼んでくれて良いんだぜ?」
シキと同じ金髪のロングヘアの女性に対し、シキが笑いかける。いえ、と女性──イルは首を横に振った。
「仕事中ですし、その……ラウンド様もおられるので」
腰に二本の刀を差したその女性が、チラリと部屋の奥を見る。そこには一人の巨漢の男性がいた。
その男の名は、ラウンド。“大地の王”と異名をとる海賊であり、懸賞金は四億を超える怪物だ。シキが集めた海賊の中では特に寡黙である代わりに忠実で、シキの孫娘を気に入ったのか随分気にかけている。
「私のことは気にしないで欲しい」
そう言って黙り込んでしまい、イルが焦った表情を見せる。シキはそんな孫娘に対し、いいじゃねェか、と言葉を紡いだ。
「本人が気にするなって言ってるんだから、気にするなよベイビーちゃん。それで、どうしたんだ?」
「は、はい。その、電伝虫の発信を探知しました。北東の村からのようです」
「ほう、相手は?」
「海軍本部です」
言い切るイル。なるほど、とシキは笑った。
どうやったのか、ウタが逃げ出したのはすぐに彼にも知らされた。だが、ここは遥か上空の島だ。そのうち見つかるとして尻尾を出すのを待っていたのだ。
そして案の定、出てきたということだ。
「よし、じゃあ行ってくる」
「よろしいのですか? わざわざその、お爺さまが行かなくても」
「いいさ。計画開始までのちょっとした余興だ」
笑うシキ。その彼へ部屋の奥から歩み寄る影がある。
「シキ殿。例のウタウタの使い手のところへ参られるのか?」
「おお、アルキディクスか。お前も来るか?」
「計画まで鍛錬以外にすることがなく。是非に」
アルキディクス──“海災”アルキディクス。大王イカの人魚であり、世界政府の分類状は海賊となっているがどちらかというとならず者と呼ぶのが正しい人物だ。三億近い懸賞金も懸けられており、政府からしても危険人物と認知される男である。
人魚差別の激しいこの世界で生きてきただけあってそれなりの体験をしているようだが、本人曰く全て腕っぷしで黙らせてきたため思うところはないらしい。シキのところに来たのも、戦場を用意してくれるからだ。
「よし、じゃあ行くか。イル、ここは任せる」
「はい、行ってらっしゃいませ」
長いスカートをつまむように両手で持ち、一礼するイル。かつての経験が抜けきらない彼女の癖だ。
部屋を出ようとするシキ。彼はそこでとあることに気付く。
「おい、そこの電子音は何だ?」
モニターの一つから電子音が響いていたのだ。その近くにあったスタッフが、すみません、と頭を下げる。
「どうも“自走式映像伝電虫”の発信を誤認しているようでして。成長し、電波が少し変わると登録外のものと認識してしまうんです。通話もないですし」
島の情報を外へ漏らさぬようにするため、自分たち以外の電伝虫が通話をした時は通知が入るようになっている。だがこの島の生物は異常な進化を遂げており、その進化も終わったわけではなく未だに日々起こっている。そのため、成長した“自走式映像電伝虫”の電波が未確認のものとして扱われることは稀にあることだった。
「機械ってのは、融通が利かなくていけねェな」
便利であるが、どうにも杓子定規だ。シキは肩を竦める。時代の変化には対応してきたつもりだが、どうにも疲れてしまう。
とはいえ、利用しなければならない。“情報”というのは、何よりも重要な概念なのだから。
◇◇◇
その日は、朝から村が騒がしかった。
いつも思い詰めた表情をし、俯くように生きていた住人たち。彼らはやってきた一人の男性のところに集まっている。
「おばあちゃん、お母さん! 大ニュースだよ! シュウちゃんのお父さんが帰ってきたの! 他のみんなもすぐ帰ってくるって!」
「本当かい!?」
喜んだ様子で室内に飛び込んできたシャオの言葉を聞き、母親が驚愕の表情を浮かべる。
「ほんとだよ! お父さんとお姉ちゃんにもまた会える! シキがここを出ていくんだって! 動物たちも連れて“計略の海”へ! “東の海”へ!」
その名を聞き、部屋の隅で仮眠を取っていたウタは眉を顰めた。
『そうか、“東の海”はベイビーちゃんの故郷か。まあ、おれの目的はすぐにわかるさ』
あの地下牢で、何度も聞かされた言葉が脳裏に蘇る。
『何度でも言うが、ベイビーちゃん。必ず、自らおれの仲間になりたいと懇願することになるぞ。仲間なら聞いてやれることってのもあるもんだ』
シキは心からこちらを屈服させ、支配しようとしていた。そういう男なのだろう。そんな男が一体何をするつもりか。
彼の計画は“東の海”の壊滅、そして支配だ。更にその事実を持って世界政府を降伏させると語っていた。CP9の二人が調査した結果も同じだったらしい。
「……東の海……」
それはウタの故郷の名だ。正確に言えば彼女の生まれた場所ではない。彼女はシャンクスの船で育てられた。
だが、あの日。シャンクスたちに置き去りにされたあの日から、彼女にとっての居場所はある少年の隣であり。故郷はフーシャ村になった。
この島の凶悪な動物たち。それを利用し、シキはとてつもない計画を実行しようとしている。本部には連絡が取れたが、間に合うかどうかはわからない。
「ルフィ」
待っている時間がもどかしい。ウタは立ち上がると、外で休んでいるはずの彼の下へと向かおうと家を出る。
だが、家の前で休んでいるはずの彼と他の者たちは誰もいなかった。
周囲を見回しながら、ウタは歩き出す。そして、とある家の影から出た瞬間。
「ウタ! 来るんじゃねぇ!」
ルフィの声が響いた。そこで気付く。ルフィを中心に、オリンたち自分の部下たち。そしてCP9の二人。その全員が完全に臨戦体勢に入っている。
視線の先にいるのは。
「見つけたぜ、ベイビーちゃん」
この島の支配者、“金獅子のシキ”だった。
◇◇◇
とある海の海上にその軍艦はあった。特徴的な艦首をしたその軍艦は、海賊たちが最も恐れる軍艦の一つだ。
海軍が誇る生きる伝説、“伝説の海兵”を謳われるガープの船。
その甲板に複数の海兵が集まっていた。彼らは皆一様に空を見上げている。そこには複数の島が浮かんでいた。
「これを全部、一人の能力者がやってるってのか……?」
呟くように言うのはスモーカーだ。今回の作戦の話を聞き、センゴクに部下のたしぎと共に直訴してまで参加を願った人物である。
「冗談で“伝説”と呼ばれとるわけじゃないからのう。あの男を捕らえたのはわしとセンゴクじゃが、それはあの男が正面切ってマリンフォードに攻め込んできたからじゃ。本気で逃げられれば、追撃は難しい」
「あそこまでは、流石に我々の手は届きませんね」
眼鏡の位置を直しながら、驚愕の混じった声で言うのはたしぎだ。
「そうじゃな。かつての時代であれば手を届かせる術がなかった。じゃが、時代は進んだ。少々荒技であるが、海軍の手は奴のところに届く」
「少々というには、あまりにも突拍子がないというか」
近くにあるとある物体を見て言うのはモモンガである。彼もまた志願した身であるが、それでも目に入る物体については思うところがある。
そこにあるのは、ベガパンクが今回の作戦のために急遽作成した新兵器だ。流線形の形をしたそれは細長い形状をしており、天に向かって屹立している。その兵器の名をベガパンクは『試作七号強襲型ロケット』と名付けた。
「あの、ガープ中将! やはり自分も!」
海兵たちの中から一人、声を上げた者がいる。コビーだ。かつてルフィに救われた過去がある彼は、今回の作戦についても参加したいと希望していた。だが、それをガープが押し留めていたのだ。
「何度も言うがな、コビー。これは先遣隊じゃ。敵の本拠地に少数戦力で乗り込む以上、生存率は高くない。本番はこの後でもある。お前はそこで戦うんじゃ」
そう言われ、引き下がるコビー。悔しそうだが彼は聡明だ。自分の実力が足りないことをよくわかっている。
「そういう意味では、お前らについても残れと言いたいところじゃが」
今回の作戦に志願した三人に対し、どこか呆れた調子でガープは言う。モモンガが頷いた。
「私はあの二人の教育係でしたので。情もあります」
モモンガはその厳格な性格もあって当初からかなり奔放というか自由であった二人の指導係に抜擢された過去がある。……押し付けられたとか言ってはいけない。
ただ、彼の軍艦に乗ったり指導を受けた経験はかなり二人にとっては重要なものであったようで、ウタは勿論のこと、あのルフィでさえも当初に比べれば多少は海兵としての在り方を考えるようになったのだ。
ちなみにその事実は偉業として一部では語り継がれている。モモンガが今でもたまに海兵の指導を兼ねた兵の受け入れをしているが、それはあの二人の指導の実績からであったりする。センゴクたち上層部からの厚い信頼だ。
「おれはあいつらに借りがある。あのアラバスタで、あいつらがいたからこそクロコダイルの逮捕に辿り着けた。これはいい機会だ」
「はい。私も同じ気持ちです」
アラバスタの事件において、二人と並ぶ英雄と評されたスモーカー准将とたしぎ少尉だ。海軍はクロコダイルの不正、その証拠を掴んだスモーカーとあの反乱の場において戦い、市民たちを救ったたしぎを英雄として認知している。だが、この二人にとっては思うところがあるのだろう。
「全く、海兵が情に惑わされおって」
呆れたように言うガープ。その彼にモモンガが苦笑しながら言った。
「あなたもでしょう、ガープ中将」
「わしはいいんじゃ。あやつらは大事な大事な孫であるしの。ひ孫の顔も見せてもらわにゃならん」
後半は大分気が早いとも思うが、誰もツッコミを入れなかった。正直、時間の問題だという共通認識さえある。
しかし、とガープは上空の島を見つめながら言う。
「まあ、わしとて普段なら手出しはせん。それはあの二人への侮辱であるからの。だが……今回は違う。あの男との戦争になるならば、それはもう海兵個人でどうにかできる次元を超えておる」
そろそろ行こうか、とガープは告げた。
「お前たちは予定通り島の監視を続け、本部に連絡を密に。わしらの方は、状況次第で連絡を入れる」
そして、ロケットへと乗り込んでいく四人。最後にガープが入ろうとしたところで、残る海兵たちが一斉に敬礼をした。
「「「武運を!!」」
「ああ、互いにな!」
海軍本部。海の守護者たち。
その戦いが、始まるのだ。
いつでもどこでも、センゴクさんは苦労人ですね。
盛られた設定。
“七宝剣”……シキが“七武海”を模して作った高額の賞金首による七人の幹部。カガシャ、ブルチネラ、下記のラウンドとアルキディクスもここに名を連ねる。イルは秘書枠なのでなし。
イル……シキの孫娘を名乗る女性。二十代前半の、腰に二本の刀を差したロングスカートを好む女性である。どうにも色々、秘密があるようだ。シキの秘書枠である。
“大地の王”ラウンド……ツチツチの実の能力を持つ、懸賞金は四億を超える海賊。非常に寡黙だが、イルが仕事をしていると見守るように近くにいる。
“海災”アルキディクス……大王イカの人魚であり、分類上海賊とされているが単独で動くどちらかというとならず者と表現するのが正しい男。三億近い懸賞金も懸けられており、間違いなく危険人物である。