戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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第十二話 三者三様の祈り

 

 

 

side???

 

 

湖畔の桟橋、そこに一人で立っている。

ここは、フィーネの隠れ家兼研究施設の近くにある湖…ここに来ることはそうそうないのだが…

 

 

完全聖遺物の起動には相応のフォニックゲインが必要だとフィーネは言っていた…

 

 

アタシがソロモンの杖に半年もかかずらったことをアイツはあっという間に成し遂げやがった…

 

 

そればかりか、無理矢理力をぶっぱなして見せやがった…

 

 

化け物め…まぁ、このわたしに身柄の確保をさせるぐらい、フィーネはご執心な訳だが…

 

 

アイツを確保すれば、また…アタシはひとりぼっちになる訳だ…

 

 

こういうのをセンチな気分って言うのか…?

だが…

 

 

「わかっている。自分に課せられたことくらいは…!」

「こんなものに頼らなくともアンタの言うことぐらいやってやらぁ!」

 

 

金髪に紫紺の瞳、黒い衣装の女性…フィーネに向けて完全聖遺物“ソロモンの杖”を投げ渡す。

 

 

「アイツよりもアタシの方が優秀だってことを見せてやる…!アタシ以外に力を持つやつはこの手で全部ぶちのめしてくれる!それが…アタシの目的だからな!」

 

 

朝焼けが祝福するのは、どちらか。

 

 

 

 

side立花響

 

 

未来と一緒に走りつつも、思い出すのは“あの時”のことだ。

怖いのは、力を制御できないことじゃない。

 

 

躊躇いもなく、振り抜いてしまったこと。

 

 

わたしがいつまでも弱いばっかりに…

 

 

悔しさを抑えきれない。

わたしはゴールで終わっちゃダメなんだ。

 

 

もっと…遠くへ…

 

 

 

わたしはこの後、未来より三周多く走り続け、驚かれた。

 

 

場所は変わって、リディアンの寮。未来とわたしの部屋のお風呂で未来と一緒に入浴している。

 

 

いっぱい食べて、ゆったりお風呂に入って、ぐっすり寝る。

やはり、これ以上の休息はない。

まぁ、朝だから二度寝するのは良くないんだけど…

 

 

土曜朝、自分でも結構走ったのだが、未来は元陸上部。体力も足の速さも磨かれている。

 

 

気持ちよかったと言っているし、誘ってよかったな。

 

 

その後、未来に全身を観察され、筋肉量や傷跡から危うくノイズと戦っていることがバレるところだった…

恐るべし、未来。

 

 

 

sideアイムート

 

 

黒のスーツで司令室に帰ってきた風鳴司令。

そうか、今日は…

 

 

「亡くなられた広木防衛大臣の*1繰り上げ法要でしたわね。」

 

 

そう、了子の言う通り今日はそういう日、なのだ。

私も彼には世話になった。

 

 

「あぁ、ぶつかることもあったが、それも俺達を庇ってのことだ。心強い後ろ盾を、失ってしまった…こちらの進行はどうなっている?」

 

 

「予定より、プラス 17パーセント!」

 

 

「デュランダル移送計画が頓挫して正直安心しましたよ。」

 

 

「そのついでに、防衛システム、本部の強度アップまで行うことになるとは…」

 

 

確かに、都合がいい…いいのだが…えも知れぬ不安に包まれる。

まぁ、気のせい、だろう。

 

 

「ここは設計段階から限定解除でグレードアップしやすいように織り込んでいたの。それにこの案は随分昔から政府に提出してあったのよ?」

 

 

「でも確か…当たりの厳しい議員連に反対されていたと…」

 

 

そう、そして…

 

 

「その反対派筆頭が広木防衛大臣だった。非公開の存在に血税の大量投入、無制限の超法規的措置は許されないってな。」

 

 

コーヒーを飲んで一息ついた司令は続きを語った。

 

 

「大臣が反対していたのは俺達に法令を遵守させることで俺達に余計な横槍が入ってこないよう、取り計らっていたからだ。」

 

 

そう、あの人はそうやって政府上層部と二課との緩衝材になってくれていた。

私の扱い、“自立稼動する聖遺物”についても、あの人の発案だった。

聖遺物という括りに入れることで、私のデータを秘匿情報にできるよう取り計らってくれたのだ。

 

 

「司令、広木防衛大臣の後任は…」

 

 

「副大臣がスライドだ。今回の本部改造計画を後押ししてくれた、立役者でもある…あるんだが…」

 

 

「どうかしましたか?」

 

 

…間違いなく都合の悪い人選なのだ、二課、いや日本の国防にとって。

 

 

「強調路線を強く唱える、親米派の防衛大臣の誕生だ。つまりは日本の国防政策に対し米国の希望が通りやすくなった訳だ。」

 

 

全部が全部、米国の言いなりでは無いだろうが…それでも、マズい事態なのだ。

 

 

あの国にシンフォギアなどの異端技術が渡るところなど考えたくもない。

まぁ、昔の敵国だから、ということもあるのかもしれないが…

それでも、あの国には好感を持てない。

 

 

「まさか、今回の大臣暗殺にも…米国政府が…!?」

 

 

沈痛な空気が流れた瞬間、強化工事中のトラブルが発生。了子は確認しに行くという。

 

 

まぁ、丁度いいタイミングではあったのだろう。

 

 

そうだ、翼も目を覚ましたそうだし、電話でもかけてみるか。

病室もすごいことになってるんだろうなぁ…

 

 

コール音が真っ白な部屋に鳴り響く。

何もない部屋だ。

 

 

なんというか、虚しいな。

 

 

数瞬の後、翼が電話に出た。

 

 

「もしもし。」

 

 

「もしもし、こちらアイゼン。」

 

 

まぁ、今は仲間との電話で、この渇きが癒されることを祈って。

 

 

 

 

魔人は打ち明けられない。

それがどんな結果を引き起こすか、知っている筈なのに。

 

*1
葬儀後、本来別日程で行う法要の時期を早めて行うこと





そろそろ活動のリスクが表出する頃ですね。


第十六話、どうだったでしょうか?


電話の続きはまた次回、ということで。


無印編の物語もようやく中盤にさし掛かろうかと言うところ。
今のペースを維持しつつクオリティを上げられるように頑張っていきます。


そのためには皆様のご指摘が必要でして…
(訳)感想くださいお願いします死んでしまいます。


よろしくお願いします。

フィーネの生存についてアンケートを取りたいと思います。

  • いや、原作通りに幕を引いて頂いて。
  • 転生阻害のために魂を捕獲しちまえ!
  • 鎧は壊して研究に専念して貰って、どぞ
  • 鎧も残して戦力アップ…?
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