戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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これからも精進致します!


第十三話 兆しの行方は

 

 

 

side風鳴翼

 

 

「もしもし。」

 

 

「もしもし、こちらアイゼン。」

 

 

ICUを出て少しした今日、緒川さんの代わりに立花が私の見舞いにやって来た。

 

 

私の部屋の様子を見て、誘拐と勘違いされ捲し立てられた。

真実は、単純に私がその辺りに気が回らなかっただけだったのだが…

 

 

電話がかかってきたのは、立花が私の病室の片付けをすると言って止める間もなく始め、足の踏み場が見えてきた頃のことだった。

私は病室から一旦出て、通話ボタンを押した。

 

 

「あぁ、アイゼン女史でしたか。」

 

 

「うん。翼、調子はどう?あの日、間に合わなかった私が言えることでもないけど…」

 

 

「いえ、あの日アイゼン女史がいなければ、多大な被害が出ていたと聞いています。それを知って感謝こそすれ、責めるいわれはありません。」

 

 

「そう言ってもらえると、ありがたいんだけどね…あ、そういえば、病室はどんな感じ?散らかってる?」

 

 

無理矢理話題を変えたこともあり、少し動転した。

 

 

「い、いきなり何を…」

 

 

「またまたーそこのところどんな感じ?……誰か片付けているみたいだけど、緒川さんじゃないね、誰?」

 

 

「わ、わかるんですか?立花です。見舞いに来てくれて…」

 

 

叔父様もそうだが…アイゼン女史も中々どうして規格外だ。

恐らく反響定位なのだろうが…個人まで特定するなんて、精度が高すぎる。

 

 

「ほほー?仲良くなっちゃって羨ましいなーこのこのー!」

 

 

「わ、私と立花はまだ…」

 

 

「わかってる。まだ、認めきれてないんでしょ?」

 

 

「…」

 

 

そう、その通りだ。私は、まだ…

 

 

「いいんじゃない?」

 

 

「え?」

 

 

「天羽奏は天羽奏。立花響は立花響。それぞれ全く異なる個人だし、だから同じ関係を築く必要はない。そこは柔軟にやらないと。前にも言ったでしょ?人間の選択に、絶対の正解はないって。自分が後悔しない道を、選びなよ。二人で話し合ってさ。」

 

 

「それは…」

 

 

許せる、だろうか。奏のいた場所に立花を置くことを、自分が。

 

 

「仲間も家族も超えた特別。風鳴翼にとって天羽奏という少女はそういう存在なんでしょ?仲間のカタチ、友人のカタチ、家族のカタチ…そして、特別のカタチ。誰もが別のものを思い描いていて、それでいて一つずつじゃない。一つずつに絞る必要もない。」

 

 

諭すようにゆっくり溢れる言葉。私はそれを聞きながら、その声音にどこか寂しさを感じた。

 

 

「だからさ、自分の思ったことを、相手の思ったことを、咀嚼して、考えて…そこから解を出せばいい。仲間か、特別か、はたまたそれ以外か、そんな事は、その時考えればいい。」

 

 

「……はい。」

 

 

「頑張りな。私に言えることはこれくらい。後は当人間の問題だ。部外者は退散するとしようか。」

 

 

「ありがとう、ございました。」

 

 

電話が切れた。

 

 

 

…話そう。立花と。

自分が何を思っていて、立花が何を思っているか、全力で語り合おう。でなければ、折角もらった言葉が流れるばかりだ。

 

 

私は病室に戻った。

 

 

 

 

sideアイムート

 

 

「フフッ…ハハッ…ハハハハハハ!何言ってるんだか…似合わないことを…なんというか、こっちが惨めだなぁ…」

 

 

電話を切り、携帯端末を懐にしまった。

 

 

仲間?あんな狂人共がどうして仲間と言えるのか。

 

 

友人?あぁ、いたよ、何人か。死んだけど。

 

 

家族?まぁ、もしかしたら姉さんもどこかの世界で生きているかもしれないが…まぁ、期待は出来ない。

 

 

特別?ハハッ…■■■■■■■■■■■■■■■■■■?

 

 

おっと、変なことを言うところだった。

 

 

まぁ、とりあえず。

 

 

私は今も、どこか夢心地なのだ。

この世界が水銀野郎(ロクでなし)の作った泡沫の夢なのではないかと。どこかでそう思っているから。

 

 

あの状況で生きている方が不思議なのだ。

まぁ、それは、今はいい。

 

 

ただ…今だけは、この幸せな夢に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ネフシュタンの鎧を纏った少女がこちらに接近してきます!」

 

 

敵襲!?あれ…?なにしてたんだっけ?

行かないと…

 

 

「司令!行きます!私への裁量権は戻ってますよね!」

 

 

「あ、あぁ!頼んだ、アイゼン君。

 

 

周辺住民への避難警報を発令!響君にも連絡だ!」

 

 

事態は刻一刻と動いてゆく。

 

 

 

 

side立花響

 

 

司令から連絡を受けて、予想到達地点に向けて走る。

携帯をしまうと、未来がいた…

 

 

「未来…?」

 

 

ッ!マズい!

 

 

ネフシュタンの鎧から放たれた鞭は地面を抉り、未来を吹き飛ばした。

 

 

衝撃で跳ね飛んだ赤い車体が、未来に迫る。

 

 

…させない…!わたしの陽だまりに…手を出すなッ!

 

 

「Balwisyall nescell gungnir tro(喪失へのカウントダウン)」

 

 

シンフォギアを纏い、車を殴って弾き飛ばす。

 

 

「響…?」

 

 

「ごめん…!」

 

 

未来の声が、困惑と少し恐怖を混ぜたような声が、痛い。

でも…

 

 

 

 

思考を戻す。だが、考えるほどに…

 

 

ここでは戦えないッ!

推測でしかないけど…こうすれば!

 

 

わたしは人気のない方へ移動することにした。

彼女の目的が“わたしを攫う”ことのままだったら…行けるはず!

 

 

暫くして、止まる。

向こうもちゃんと着いてきてくれた訳だ。

 

 

「ドンくせぇのがやってくれる…!」

 

 

その言葉にムカッとしたわたしは言いたいことを全部言ってみることにした。

 

 

「どんくさいなんて名前じゃない!」

 

 

「わたしは立花響、15歳!誕生日は9月の13日で血液型はO型!身長は…この間の測定では157cm!体重は……もう少し仲良くなったら教えてあげる!趣味は人助けで、好きなものはごはんアンドごはん!あと…

 

 

 

彼氏いない歴は年齢と同じィ!」

 

 

「な、何をとち狂ってやがるんだお前…」

 

 

まだだ、まだ言い足りない!

 

 

「わたし達はノイズと違って言葉が通ずるんだから、ちゃんと話し合いたい!」

 

 

「なんて悠長…この期に及んでッ!」

 

 

迫る鞭、でも、わたしだって、一歩ずつでも進んでいるんだ!

余裕を持って回避しながら叫ぶ。

 

 

「話し合おうよ!わたし達は戦っちゃいけないんだ!だって、言葉が通じていれば、人間は…「うるせぇ!!」ッ!」

 

 

「分かり合えるものかよ、人間がッ!そんな風にできているものか!気に入らねぇ…気に入らねぇ…気に入らねぇ…気に入らねぇ!わかっちゃいねぇことをペラペラと口にするお前がァッ!」

 

 

かつて体感したものとはレベルの違う“怨嗟”がそこにあった。

 

 

「お前を引き摺ってこいと言われたが…もうそんな事はどうでもいい…お前をこの手で叩き潰す!今度こそお前の全てを踏み躙ってやる!」

 

 

「わたしだってやられるわけには…」

 

 

わたしがそう言った瞬間、振り下ろされた黒白のエネルギー球。

かつて翼さんが受け止めきれず、ダメージを受けたソレ。

 

 

「もってけダブルだ!」

 

 

更に二発目。

でも、わたしだって、ここでッ!

 

 

 

 

胸に宿る思い、それを形にするアームドギア。

生成が間に合わず、エネルギーそのものをぶつけた。

 

 

それによって、思ったよりダメージを受けずに済んだ。

 

 

でも、やっぱりギアの形に固定出来ない…

エネルギーはある。それをさっきのようにぶつける!それでッ!

 

 

迫ってきた鞭を握り、引っ張る。

 

 

 

雷を…握り潰すようにィィ…!

 

 

 

 

 

最速で!

ㅤㅤㅤㅤ最短で!

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ真っ直ぐに!

ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ 一直線に!

 

 

 

 

この思いをッ!胸の響きを伝えるためにィィィィ!

 

 

エネルギーを解き放つ!

 

 

瞬間、轟音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

鎧を砕きし戦姫の拳。

風穴開けずとも、思いだけは貫かんとす。

 





…すみません…!フィーネ登場まで行きませんでしたが、予想以上に文字量を食われて切ってしまった…!


第十七話、どうだったでしょうか?


初めてタイトルを本編と被らせてみました。
(丁度いいタイトルが思いつかなかったとも言う。)


次こそは、フィーネ登場…と、もしかしたらOTONAの戦闘を書くことになるかもしれません。


できるかなぁ…?

フィーネの生存についてアンケートを取りたいと思います。

  • いや、原作通りに幕を引いて頂いて。
  • 転生阻害のために魂を捕獲しちまえ!
  • 鎧は壊して研究に専念して貰って、どぞ
  • 鎧も残して戦力アップ…?
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