戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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第十五話 ヒトならざるが故に

 

 

 

 

side風鳴翼

 

 

二課本部へと繋がるエレベーター。

その中で、私は自らの思いの在り処に思索を巡らせている。

 

 

今日の戦いで奏が何を思い何のために戦っていたのか、少し、わかったような気がした。

 

 

だけど、それを理解するのは正直怖い。

人の身ならざる私に受け入れられるのだろうか。

 

 

「自分で人間に戻ればいい。それだけの話じゃないか、いつも言ってるだろ?あんまりガチガチだとポッキリだ…って。なんてまた、意地悪を言われそうだ。」

 

 

 

だが今更、戻ったところで何ができるというのだ。

いや、何をしていいのかすら分からないではないか…

 

 

“好きなことすればいいんじゃねぇの?簡単だろ?”

 

 

エレベーターから降りた私は後ろから聞こえたその声に思わず振り返る。

 

 

好きなこと…言われて気づいたがもうずっとそんな事を考えていない気がする。

 

 

 

遠い昔、私にも夢中になった事があったはずなのだが…

 

 

 

 

 

sideアイムート

 

 

本当に、元一般人が遠い所まで来てしまった。そう思う。

ドイツ貴族の次女として生まれ、姉に倣い軍に入った。

魔術師と出会い、魔人になった。

 

 

第二次大戦で父母を含めた家族や多くの人々を斬り殺し、紆余曲折の後に姉と共に聖櫃(スワスチカ)に取り込まれた。

筈だったが、今、更に別の世界でノイズという害獣、そしてそれを操り何事かを成そうとする者達と戦っている。

 

 

ふと、己の渇望を口にする。

 

 

 

『大いなる者よ我に跪け』

 

 

 

我ながら浅ましい渇望だ。

叶う筈もない。自分の器量は理解している。

 

 

黒円卓に正しく名を連ねた面々と私は違う。

私は聖遺物に引き摺られて形成に到達し、僅かばかりの渇望が聖遺物の特性を引き出したに過ぎない。

 

 

奇跡は代償を求める。

私は何も支払いたくなかった。

故に何も得られず、力の不足は全てを取りこぼす要因になった。

 

 

私は、罪深い人間だ。いや、最早人間でもないのだが…

それはそれとして。

 

 

私は変化が怖かった。己の渇望が己を変えることが怖かった。

姉のように、まともでいられる自信が無かったのだ。

 

 

だから、メルクリウスの掌の上にないこの世界が…なんだか夢のようで…

それに縋った。この世界を夢だと断じて、でも…何が悪いのだろう。夢を夢のまま、微睡みのままに…

 

 

 

 

side立花響

 

 

 

「外傷は多かったけど、深刻なものがなくて助かったわ。」

 

 

「つまり、すっかり平気ってことですよね。」

 

 

「常軌を逸したエネルギー消費による…いわゆる過労ね。少し休めば、またいつも通りに回復するわよ。」

 

 

どうやら、私の怪我は大したことないらしく、命に関わるものでもないらしい。

 

 

「じゃあ、わたしは…」

 

 

では寮に帰ろうと、というタイミングで体に力が入らなくなってしまった。

 

 

「だから、休息が必要なーの。」

 

 

了子さんに諭されてしまったが…やっぱり心配だ。

 

 

「わたし…呪われてるかも…」

 

 

「気になるの?お友達のコト。」

 

 

「はい…」

 

 

そうだ、心配、な筈なんだ…

 

 

「 心配しないでダイジョーブよ。今緒川くん達に事情の説明を受けている筈だから。」

 

 

「そう、ですか…」

 

 

「機密保護の説明を受けたらすぐ解放されるわよ。」

 

 

「はい…わかりました…」

 

 

…今の私は、何が心配なんだろう?

 

 

 

 

side???

 

 

 

「まさか、イチイバルまで敵の手に…そしてギア奏者候補であった、雪音クリス。」

 

 

「聖遺物を力に変えて戦う技術において我々の優位性は完全に失われてしまいましたね…」

 

 

深刻な顔で呟く藤尭さんとあおいさん。

確かにそうなんだろう。わたしは()()()()()()だったから、あまり詳しく言える立場にないけど…

 

 

「敵の正体…フィーネの目的は…」

 

 

「深刻になるのはわかるけど、シンフォギアの奏者は2人とも健在。頭を抱えるにはまだ早すぎるわよ?」

 

 

そう言って、翼さんと響さんを連れて入ってきた桜井了子さん。

逃げて押し付けた私からするとあまり強くは言えないけど、やっぱり…

 

 

「翼、まったく無茶しやがって…」

 

 

「独断については謝ります。ですが、仲間の危機に伏せっているなど出来ませんでした…!」

「立花は未熟な戦士です。半人前ではありますが、戦士に相違ないと確信しています。」

 

 

そうか、翼さんは響さんを認められたんだね。

話す二人を見ていると、弦十郎さんの目線がこちらを向く。

 

 

「響君のメディカルチェックの結果を気になるところだが…」

 

 

「ご飯をいっぱい食べて、ぐっすり眠れば元気回復です!」

 

 

少し暗い顔をする響さん。

でも、私は真の意味で“部外者”だから…

 

 

「そうか…では…」

 

 

声をこちらへ向ける弦十郎さん。つまり…

 

 

「私が何者か、という事ですね。」

 

 

ようやく声を発した私に、司令室にいた全員の視線が向いた。

 

 

「はじめまして、特異災害対策機動部二課の皆さん。アイムートの名はいつも皆さんが会っている彼女に押し付けてしまったので…(ヴァイス)とでも名乗りましょうか。」

 

 

実際、髪色は白ですからね。

 

 

 

そう、正しい意味では私が“アイムート=ヴァルトルート=フォン=キルヒアイゼン”なのだから…

 

 

 

 

 

罪に塗れた白は戦姫達と邂逅する。

そのココロは何を語る?

 





すみません!大変遅れました!


第十九話、どうだったでしょうか?


タイトルの意味としては、


剣として己を鍛えた翼さん。

少しづつヒトではなくなっている響。

既にヒトである事を捨て去ったアイゼン。


の3名を指してます。


OTONA…?ハハッ…見なかった事にしてくれ給えよ。


今後は投稿ペースを戻していきたいと思っています。
それでは、また次回。


追記
今実施中のアンケートは次回投稿と同時に終了致します。
次回投稿は明日15時頃を予定しています。

フィーネの生存についてアンケートを取りたいと思います。

  • いや、原作通りに幕を引いて頂いて。
  • 転生阻害のために魂を捕獲しちまえ!
  • 鎧は壊して研究に専念して貰って、どぞ
  • 鎧も残して戦力アップ…?
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