戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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第十八話 贖罪の一歩

 

 

 

 

side雪音クリス

 

 

突如鳴り響いた警報音にアタシは戸惑う。

 

 

「おい…一体なんの騒ぎだ…?」

 

 

「なにって…知らないの!?ノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの!?」

 

 

アタシは未来の言葉に愕然とした。

それってつまり…

 

 

「クリス…!?」

 

 

未来の声が聞こえた気がしたけど、それを気にしていられなかった。

バカ…アタシってばなにやらかしてんだ…!

 

 

ノイズが現れたのは、アタシがここまで来たからだ。

もっと言えば、アタシがソロモンの杖を起動させたから…

 

 

戦争の火種を消すために…フィーネの役に立つために…

 

 

理由なんざどうでもいい、ただ…

 

 

「アタシのせいで関係のないやつらまで…!」

 

 

最も許せないのはこの惨状を生み出した、自分自身。

叫び、悔しさに膝から崩れ落ちた。

頬を何かが伝う。

 

 

「アタシのしたかった事はこんなことじゃないッ…!でもいつだってアタシのやることは…!いつもいつもいつもッ!」

 

 

ノイズがやって来た。

朝とは比べものにならない量だ。

この統制された動き…間違いなくソロモンの杖で制御されている。

フィーネが…差し向けたんだろう。

 

 

「アタシはここだ…だからッ!関係ないやつらのところになんて行くんじゃねぇ!」

 

 

ノイズが迫る。

フィーネに操られたソレは動きに人の意図がある。

それを見て、避ける。

 

 

「Killter Ichai…ゴホッゴホッ!」

 

 

歌おうとして…しくじった。迫るノイズ。

クソッ!まだ何もできて…!

 

 

だけど、アタシの命は何故か尽きなかった。

目の前に現れた赤髪の男が、コンクリートを捲り上げて飛行型ノイズの攻撃を防ぎ、更には周りの小型ノイズにぶつけて反撃までしてみせた。…理解できなかったのは、足を地面に叩きつけた振動で、つまり単純な脚力でコンクリートが捲れたことだが。

 

 

 

はぁぁ…!

 

 

 

小型ノイズの突進まで同じ方法で防いだその男は、アタシを抱えて近くのビルの屋上まで飛び上がった。

 

 

「大丈夫か…?」

 

 

思わず離れてしまったが…そこに飛行型ノイズが現れた。

今度こそ…

 

 

Killter Ichaival tron(銃爪にかけた指で夢をなぞる)

 

 

イチイバルのシンフォギアを纏ったアタシは、アームドギアを出して飛行型ノイズを迎撃し、ノイズは爆散した。

 

 

「ご覧の通りさ!アタシのことはいいから他のやつらの救助に向かいな!コイツらはアタシがまとめて相手するって言ってんだよ!」

 

 

屋上から飛び降りて、ノイズを迎撃する。

 

 

「着いてこいグズ共!」

 

 

ノイズを川辺に誘導し、襲いかかってきた飛行型をすれ違いざまに攻撃、破砕した。

 

 

機関銃で、ボウガンで、時にミサイルで、アタシはノイズを殲滅していく。

 

 

アタシは、アタシにできることを…!

 

 

 

 

side立花響

 

 

ノイズ発生の報告を聞き、走っていると、ヴァイスさんから通信が来た。

 

 

「響さん、ごめん。そちらに行けそうにない。()()()()()に遭遇した。」

 

 

「…!わかりました!」

 

 

ヴァイスさんは“死の誘引”…わたし達奏者で言うアームドギアがない状況だ。

 

 

あまり時間をかけてはいられない…

しかも、ノイズが一斉にどこかへ向かって…

 

 

瞬間、悲鳴が聞こえた。

 

 

その発生源と思しき建物に入り、中を見回す。

 

 

「誰かー!誰か今…ッ!」

 

 

声を出したのと同じタイミングでノイズの触腕が下りてきた。

咄嗟に避け、崩落する床から抜け出して着地したけど…

 

 

上方にいるノイズを目視する、まるでタコのような形だ。危なかった。そう思って大きく息をしようとして、誰かに口を塞がれた。

 

 

 

そこに居たのは、わたしの陽だまり、未来だった。

 

 

未来は携帯電話の画面に文字を表示して、ノイズの特徴と状況を教えてくれた。

 

 

このタコのようなノイズは、大きな音に反応する。

そして近くに未来と、一緒に逃げていたふらわーのおばちゃん。

つまり、シンフォギアを纏うために歌うことができない。

 

 

どうしよう…そう考えていた時、未来は新たな文章を画面に表示した。

 

 

それを見て目を見開く。

咄嗟に携帯を取り出し、拒否しようと文章を表示して、未来に見せた。

 

 

それに対する未来の返答を見て、わたしは嬉しくなった。

でも、それでもダメだ、未来を危険に晒したくない…!

 

 

そう思って、文章を打とうとして、未来がやんわりとその手を押さえた。

 

 

わたしの耳に囁く未来。

 

 

「わたし、響にひどいことした…今更許してもらおうなんて思ってない…それでも一緒にいたい…私だって戦いたいんだ…!」

 

 

「ダメだよ…未来…」

 

 

「どう思われようと関係ない…!響一人に、背負わせたくないんだ…!」

 

 

立ち上がった未来は、声を大にして言った。

 

 

私、もう迷わない!

 

 

ノイズが、未来の声を捉え動き出した。

駆け出す未来とそれを追うノイズ。

 

 

それが建物から出たのを見計らってふらわーのおばちゃんに近づき…戦うために、歌った。

 

 

Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)

 

 

建物から出て、緒川さんにおばちゃんを託して未来を探すために走る。

 

 

未来は今も走っている。

 

 

囮になって、ノイズの気を引くから、と。

 

 

陸上部の逃げ足ならなんとかなると、わたしが助けてくれると信じているから、と。

 

 

ただの文字から未来の思いが痛いほど伝わってきた。

 

 

わたしに…託してくれたッ!

 

 

応えたい!

 

 

 

シンフォギアでみんなを助けるなんて思い上がりだった。

 

 

人助けは一人ではできない…助ける人も、助けられる人も、一生懸命だから、初めて“人助け”なんだ!

 

 

だから、二年前のライブのあの日、あの場所で奏さんはわたしに「生きるのを諦めるな」と叫んでいたんだッ!

 

 

今なら…わかる!

 

 

 

未来の悲鳴が聞こえた。

まだ遠いッ!

 

 

 

そうだ、今ならわかる。この助けたいという思いは…惨劇を生き残った思い出なんかじゃない。託された…思いなんだッ!

 

 

脚部のジャッキを伸ばして、足と一緒に蹴る!

 

 

ノイズのストンプで道が壊れ、下に落ちていく未来、見つけたッ!まだ…間に合う!

 

 

腕のパーツにエネルギーを集め、ノイズに向けて押し込んだ。

爆砕するノイズを無視して未来の元へ。

 

 

空中で抱きかかえて、そのまま着地体勢へ。

腰部ブースター、脚部ジャッキを最大展開。

 

 

着地と同時に地面に叩きつけた。

それでも勢いを殺しきれず、二人で川縁を転がった。

 

 

「かっこよく着地するって難しいんだなぁ…」

 

 

「あっちこっち痛くて…でも、生きてるって感じがする。ありがとう。響なら絶対に助けに来てくれると信じてた。」

 

 

「ありがとう。未来なら絶対に最後まで諦めないって信じてた。だって、わたしの友達だもん。」

 

 

お互いに感謝と思いを伝えると、未来に押し倒された。

 

 

「怖かった…怖かったよぉ…」

 

 

「わたしも、怖かった…」

 

 

「私、響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの…!誰かの役に立ちたいと思っていたいつもの響だったから…でもッ!」

「悲しいこと、苦しいこと全部背負って、私はそれがたまらなく嫌だった…また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してた…」

「だけど、それは響を失いたくないわたしのわがままで…そんな気持ちに気づいてしまって…今までと同じようになんてできなかった…!」

 

 

その言葉は、未来の思いと葛藤の凝集だった。

 

 

「未来…それでも未来はわたしの…ヘッヘヘ…ハッハハハ!」

 

 

未来は戸惑ってるみたいだけど、だけど…

 

 

「だってさ…髪の毛ボサボサ、涙でぐちゃぐちゃ、なのにシリアスなこと言ってるし…」

 

 

「もう、響だって似たようなものじゃない!」

 

 

「ぬえっ…嘘ッ!未来、鏡…貸して!」

 

 

すると、未来はおもむろに携帯電話を取り出して

 

 

「鏡はないけど、これで撮れば…」

 

 

そうして、わたしと未来は写真を撮った。

 

 

それを見てみると、

 

 

「ぬわぁぁ…す、すごいことになってる…呪われてるレベルだ…」

 

 

「私も想像以上だった…」

 

 

わたし達は、二人で笑いあった。

やっぱり、わたしの守りたいものは、ここにある。

 

 

 

 

 

 

 

一人は陽だまりに帰り、一人は夜を彷徨うまま。

そして魔人は…元凶と対峙していた。

 

 






OTONAの規格外さを説明できる文才が欲しいッ!


第二十二話、どうだったでしょうか?


今作主人公はたった一文だけしかで出来ませんでしたが、何をしていたのかは次の話で明かしたいと思っています。


今回で原作八話“陽だまり翳りなく”のエピソードが殆ど終了したので、九話“防人の歌”、十話“繋いだ手だけが紡ぐもの”のエピソードが終わればフィーネ戦です。


…まだまだ長いですね。精進します。


アンケートの投票も合わせてお願いします。

アイムートはフィーネ戦で覚醒させるつもりなのですが、眠り続ける彼女の夢の内容をどうするか募集します。

  • 本編で話を取るべき
  • 閑話にして欲しい
  • そもそも描写しなくておけ
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