side雪音クリス
突如鳴り響いた警報音にアタシは戸惑う。
「おい…一体なんの騒ぎだ…?」
「なにって…知らないの!?ノイズが現れたのよ!警戒警報知らないの!?」
アタシは未来の言葉に愕然とした。
それってつまり…
「クリス…!?」
未来の声が聞こえた気がしたけど、それを気にしていられなかった。
バカ…アタシってばなにやらかしてんだ…!
ノイズが現れたのは、アタシがここまで来たからだ。
もっと言えば、アタシがソロモンの杖を起動させたから…
戦争の火種を消すために…フィーネの役に立つために…
理由なんざどうでもいい、ただ…
「アタシのせいで関係のないやつらまで…!」
最も許せないのはこの惨状を生み出した、自分自身。
叫び、悔しさに膝から崩れ落ちた。
頬を何かが伝う。
「アタシのしたかった事はこんなことじゃないッ…!でもいつだってアタシのやることは…!いつもいつもいつもッ!」
ノイズがやって来た。
朝とは比べものにならない量だ。
この統制された動き…間違いなくソロモンの杖で制御されている。
フィーネが…差し向けたんだろう。
「アタシはここだ…だからッ!関係ないやつらのところになんて行くんじゃねぇ!」
ノイズが迫る。
フィーネに操られたソレは動きに人の意図がある。
それを見て、避ける。
「Killter Ichai…ゴホッゴホッ!」
歌おうとして…しくじった。迫るノイズ。
クソッ!まだ何もできて…!
だけど、アタシの命は何故か尽きなかった。
目の前に現れた赤髪の男が、コンクリートを捲り上げて飛行型ノイズの攻撃を防ぎ、更には周りの小型ノイズにぶつけて反撃までしてみせた。…理解できなかったのは、足を地面に叩きつけた振動で、つまり単純な脚力でコンクリートが捲れたことだが。
「はぁぁ…!」
小型ノイズの突進まで同じ方法で防いだその男は、アタシを抱えて近くのビルの屋上まで飛び上がった。
「大丈夫か…?」
思わず離れてしまったが…そこに飛行型ノイズが現れた。
今度こそ…
「
イチイバルのシンフォギアを纏ったアタシは、アームドギアを出して飛行型ノイズを迎撃し、ノイズは爆散した。
「ご覧の通りさ!アタシのことはいいから他のやつらの救助に向かいな!コイツらはアタシがまとめて相手するって言ってんだよ!」
屋上から飛び降りて、ノイズを迎撃する。
「着いてこいグズ共!」
ノイズを川辺に誘導し、襲いかかってきた飛行型をすれ違いざまに攻撃、破砕した。
機関銃で、ボウガンで、時にミサイルで、アタシはノイズを殲滅していく。
アタシは、アタシにできることを…!
side立花響
ノイズ発生の報告を聞き、走っていると、ヴァイスさんから通信が来た。
「響さん、ごめん。そちらに行けそうにない。
「…!わかりました!」
ヴァイスさんは“死の誘引”…わたし達奏者で言うアームドギアがない状況だ。
あまり時間をかけてはいられない…
しかも、ノイズが一斉にどこかへ向かって…
瞬間、悲鳴が聞こえた。
その発生源と思しき建物に入り、中を見回す。
「誰かー!誰か今…ッ!」
声を出したのと同じタイミングでノイズの触腕が下りてきた。
咄嗟に避け、崩落する床から抜け出して着地したけど…
上方にいるノイズを目視する、まるでタコのような形だ。危なかった。そう思って大きく息をしようとして、誰かに口を塞がれた。
そこに居たのは、わたしの陽だまり、未来だった。
未来は携帯電話の画面に文字を表示して、ノイズの特徴と状況を教えてくれた。
このタコのようなノイズは、大きな音に反応する。
そして近くに未来と、一緒に逃げていたふらわーのおばちゃん。
つまり、シンフォギアを纏うために歌うことができない。
どうしよう…そう考えていた時、未来は新たな文章を画面に表示した。
それを見て目を見開く。
咄嗟に携帯を取り出し、拒否しようと文章を表示して、未来に見せた。
それに対する未来の返答を見て、わたしは嬉しくなった。
でも、それでもダメだ、未来を危険に晒したくない…!
そう思って、文章を打とうとして、未来がやんわりとその手を押さえた。
わたしの耳に囁く未来。
「わたし、響にひどいことした…今更許してもらおうなんて思ってない…それでも一緒にいたい…私だって戦いたいんだ…!」
「ダメだよ…未来…」
「どう思われようと関係ない…!響一人に、背負わせたくないんだ…!」
立ち上がった未来は、声を大にして言った。
「私、もう迷わない!」
ノイズが、未来の声を捉え動き出した。
駆け出す未来とそれを追うノイズ。
それが建物から出たのを見計らってふらわーのおばちゃんに近づき…戦うために、歌った。
「
建物から出て、緒川さんにおばちゃんを託して未来を探すために走る。
未来は今も走っている。
囮になって、ノイズの気を引くから、と。
陸上部の逃げ足ならなんとかなると、わたしが助けてくれると信じているから、と。
ただの文字から未来の思いが痛いほど伝わってきた。
わたしに…託してくれたッ!
応えたい!
シンフォギアでみんなを助けるなんて思い上がりだった。
人助けは一人ではできない…助ける人も、助けられる人も、一生懸命だから、初めて“人助け”なんだ!
だから、二年前のライブのあの日、あの場所で奏さんはわたしに「生きるのを諦めるな」と叫んでいたんだッ!
今なら…わかる!
未来の悲鳴が聞こえた。
まだ遠いッ!
そうだ、今ならわかる。この助けたいという思いは…惨劇を生き残った思い出なんかじゃない。託された…思いなんだッ!
脚部のジャッキを伸ばして、足と一緒に蹴る!
ノイズのストンプで道が壊れ、下に落ちていく未来、見つけたッ!まだ…間に合う!
腕のパーツにエネルギーを集め、ノイズに向けて押し込んだ。
爆砕するノイズを無視して未来の元へ。
空中で抱きかかえて、そのまま着地体勢へ。
腰部ブースター、脚部ジャッキを最大展開。
着地と同時に地面に叩きつけた。
それでも勢いを殺しきれず、二人で川縁を転がった。
「かっこよく着地するって難しいんだなぁ…」
「あっちこっち痛くて…でも、生きてるって感じがする。ありがとう。響なら絶対に助けに来てくれると信じてた。」
「ありがとう。未来なら絶対に最後まで諦めないって信じてた。だって、わたしの友達だもん。」
お互いに感謝と思いを伝えると、未来に押し倒された。
「怖かった…怖かったよぉ…」
「わたしも、怖かった…」
「私、響が黙っていたことに腹を立ててたんじゃないの…!誰かの役に立ちたいと思っていたいつもの響だったから…でもッ!」
「悲しいこと、苦しいこと全部背負って、私はそれがたまらなく嫌だった…また響が大きな怪我をするんじゃないかって心配してた…」
「だけど、それは響を失いたくないわたしのわがままで…そんな気持ちに気づいてしまって…今までと同じようになんてできなかった…!」
その言葉は、未来の思いと葛藤の凝集だった。
「未来…それでも未来はわたしの…ヘッヘヘ…ハッハハハ!」
未来は戸惑ってるみたいだけど、だけど…
「だってさ…髪の毛ボサボサ、涙でぐちゃぐちゃ、なのにシリアスなこと言ってるし…」
「もう、響だって似たようなものじゃない!」
「ぬえっ…嘘ッ!未来、鏡…貸して!」
すると、未来はおもむろに携帯電話を取り出して
「鏡はないけど、これで撮れば…」
そうして、わたしと未来は写真を撮った。
それを見てみると、
「ぬわぁぁ…す、すごいことになってる…呪われてるレベルだ…」
「私も想像以上だった…」
わたし達は、二人で笑いあった。
やっぱり、わたしの守りたいものは、ここにある。
一人は陽だまりに帰り、一人は夜を彷徨うまま。
そして魔人は…元凶と対峙していた。
OTONAの規格外さを説明できる文才が欲しいッ!
第二十二話、どうだったでしょうか?
今作主人公はたった一文だけしかで出来ませんでしたが、何をしていたのかは次の話で明かしたいと思っています。
今回で原作八話“陽だまり翳りなく”のエピソードが殆ど終了したので、九話“防人の歌”、十話“繋いだ手だけが紡ぐもの”のエピソードが終わればフィーネ戦です。
…まだまだ長いですね。精進します。
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アイムートはフィーネ戦で覚醒させるつもりなのですが、眠り続ける彼女の夢の内容をどうするか募集します。
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本編で話を取るべき
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閑話にして欲しい
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そもそも描写しなくておけ