戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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第十九話 幕の裏側にて

 

 

 

sideヴァイス

 

 

「聞きたい事はありますが、アイムートが望んでいないので聞かないことにしますよ。しかし…芸がない。単細胞生物でももっとマシなことをしますよ。ぶっ飛ばされたいんですか?」

 

 

ノイズの“道”によって、わたしは痴女の元に歓待を受けた。

誰かを招く時、普通、同じことをそっくりそのまま繰り返すか?答えは否だ。少しは趣向を凝らすだろう。

 

 

「煽ったつもりか?今の貴様は“ノイズに接触できて身体能力が高いだけ”だ。私に勝てるとでも?」

 

 

「なら…試してみますか?」

 

 

わたしの宣言が合図となって戦端が開かれた。

飛来する七体の飛行型、地上にも二桁単位でノイズがいて、全てがわたしを標的にしている。

 

 

甘いッ!わたしがDies irae時空(あの世界)で何度戦いを繰り返したと!

 

 

わたしに向けて空から飛来するノイズを最小のステップで躱す。

そしてそのまま掌底を、蹴りを叩き込んでいく。

 

 

痺れを切らしたのか地上のノイズもわたし目掛けて襲いかかってくるが、震脚で地面を砕き、周囲に破片を蹴り飛ばす。

 

 

聖遺物による位相差障壁の無効は、わたしでも可能だ。

 

 

「なるほど、腐っても魔人。聖遺物の特質を失ってなお、これ程か。だが、それ故に惜しいな。」

 

 

「どういうことです?」

 

 

終わりの名を持つ蛆虫ことフィーネの言葉に眉を顰める。

 

 

「貴様とて、無敵ではないということだ。」

 

 

そう言って尊大な調子を崩さないフィーネ。

まずはあの腕を折ろう。あの杖でノイズを操っているならそれを操作できなくさせる。

 

 

しかし、わたしが一歩踏み出したところで、ノイズの大量召喚。

小型ノイズを吐き出す大型が五体。城塞のような超大型が一体。小型は数えるのも億劫になる程だ。

 

 

「なっ!」

 

 

これにはわたしも驚いた。

 

 

なるほど、“死の誘引”がない今最も効果的な方法だ。

 

 

「貴様なら、しばらくすればこれも突破してしまうのだろうが…本来なら1分もかかるまいに…無様だな。貴様は私の悲願の成就まで静かにしていろ。」

 

 

そう言って去っていくフィーネ。

 

 

「待て…」

 

 

「そこで無様に足掻いていろ。」

 

 

「フィーネェェェェェ!」

 

 

わたしがノイズを全て倒したのは一時間後、超大型一体、大型5体、吐き出された小型を含めて713体。

 

 

周辺の人的被害は事前の避難誘導もあってなんとか0に抑えられた。

しかし…この結果はわたしの中に凝りとして残った。

 

 

 

 

side立花響

 

 

未来との仲直りから一日経って、わたしは未来を連れて二課の本部に来ていた。

 

 

「学校の真下にこんなシェルターや地下基地が…」

 

 

わたしが初めて見た時はそれどころじゃなかったから未来がちょっと羨ましい。

そう思っていると、廊下の先に翼さんがいた。

呼びかけて駆け寄る。

 

 

「立花か。そちらは確か、協力者の…」

 

 

「はじめまして、小日向未来です。」

 

 

「うえっへん。わたしの一番の親友です!」

 

 

一番大事なことを言ったつもりだったんだけど…

 

 

「立花はこういう性格ゆえ、色々と面倒をかけると思うが支えてやってほしい。」

 

 

「いえ、響は残念な子ですのでご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。」

 

 

と、二人で話していた。

え、スルーされた?

 

 

「ぬぇっ?何?どういうこと?」

 

 

「響さんを介してお二人が意気投合しているということですよ。」

 

 

結局、緒川さんにはぐらかされ、真意は掴めなかった。

 

 

「でも、未来と一緒にここにいるのは、なんかこそばゆいですよ。」

 

 

「小日向を外部協力者として異色登録させたのは司令が手を回てくれた結果だ。それでも不都合を強いるかもしれないが…」

 

 

「説明は聞きました。自分でも理解しているつもりです。不都合だなんてそんな…」

 

 

「…そういえば師匠は?あと、ヴァイスさん。」

 

 

「私達も探しているのだが、二人とも見当たらないのだ。」

 

 

翼さんも知らないらしい。

 

 

 

「あ〜らぁ…いいわね。ガールズトーク。」

 

 

「どこから突っ込むべきか迷いますが、取り敢えず僕を無視しないでください。」

 

 

「了子さんもそういうのも興味あるんですか?」

 

 

「モ〜チのロ〜ン!私の恋バナ百物語聞いたら夜眠れなくなるわよ?」

 

 

「まるで怪談みたいですね…」

 

 

了子さんの恋バナ…!きっとうっとりメロメロオシャレで大人な銀座の恋物語に違いないッ!

 

 

という心はダダ漏れだったらしい。

 

 

「そうね…遠い昔の話になるわね…こう見えて呆れちゃうぐらい一途なんだから…」

 

 

「「おぉー!」」

 

 

わたしと未来の声が重なる。

 

 

「意外でした。桜井女史は恋というより研究一筋であると…」

 

 

確かに、翼さんの言う通り、意外だ。でもそれだけに気になるッ!

 

 

「“命短し恋せよ乙女”と言うじゃない。それに女の子の恋するパワーって凄いんだから。」

 

 

「女の子…ですか。」

 

 

緒川さんが呟いた次の瞬間、恐らく緒川さんは星を見たのだろう。とだけ言うことにしたい。

 

 

気づいたら緒川さんの隣に瞬間移動もかくやというスピードで動いていた。南無三。

 

 

「そもそも、聖遺物の研究を始めたのも…そもそも…」

 

 

何かに気づいたように言葉を止めた了子さん。

わたしと未来はその先を急かしたが、結局はぐらされてしまった。

 

 

「と、に、か、く。できる女の条件は、どれだけいい恋できるかに尽きる訳よ!ガールズ達もいつかどこかでいい恋、なさいね。」

 

 

そう言って去っていく了子さん。

 

 

ガードは固い…しかしいつか聞き出してみせる…!

 

 

 

 

「ふひー…疲れた…」

 

 

しばらくするとヴァイスさんが戻って来たようだった。

 

 

「ヴァイスさん。師匠を見ませんでしたか?」

 

 

「司令ですか…?今は多分“任された仕事”を完遂しようとしているんだと思います。街の方にいらっしゃいましたし、恐らくそうではないかと。」

 

 

「その…任された仕事というのは?」

 

 

翼さんがわたしも気になることを聞いてくれた。

 

 

「二年前に司令が受け持っていた“とある少女の捜索、保護”の事です。これ以上は言わなくてもいずれ分かると思います。」

 

 

緒川さんと翼さんはピンと来た顔をしていたが、わたしにはよく分からなかった。

 

 

「ということは…」

 

 

「はい。司令が戻ってくるのはもう少し先になるかと。」

 

 

「なるほど…次のスケジュールも迫って来ましたね…」

 

 

わたしは緒川さんの言葉に驚いた。

 

 

「もうお仕事入れてるんですか!?」

 

 

「少しづつよ。今はまだ慣らし運転のつもり。」

 

 

「じゃあ、以前のような過密スケジュールじゃないんですよね!」

 

 

「だったら翼さん、デートしましょう!」

 

 

「デート?」

 

 

「突飛だなぁ…」

 

 

翼さんは驚き、ヴァイスさんは苦笑いしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

変わったのか、変えられたのか、

そう問う者達の中で未だ変わらぬ魔人が一人。

 

 

 






そろそろ…そろそろフィーネ戦に入りたい…ッ!!

第二十三話、どうだったでしょうか?

一見無駄に見えた冒頭の戦い。
実は双方に目的がありました。

そして、今回フィーネを滅茶苦茶こき下ろしているのでそろそろ“アンチ・ヘイト”をつけるべきか迷っています。

意見があると決めやすいと思います。

そして、アンケートの投票。
評価、感想をよろしくお願いします。

アイムートはフィーネ戦で覚醒させるつもりなのですが、眠り続ける彼女の夢の内容をどうするか募集します。

  • 本編で話を取るべき
  • 閑話にして欲しい
  • そもそも描写しなくておけ
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