ありがとうございます。
これからも精進します。
sideヴァイス
「ねぇ…やっぱりダメなのかな…?」
あおいさんに貸してもらった傘で雨を凌ぎつつ街を歩く。
今は司令を探すという名目で外に出してもらっている。要は息抜きの散歩だ。
試しに、自らの内側に閉じこもって出てこない
それにしても街というのは進む度、様々な音が聞こえる。
自然の音、人の声、機械の駆動音…
中には、窓ガラスが割れる音もあったりする。
右上に目線を向けると、第二号聖遺物“イチイバル”の奏者、雪音クリスさんの姿が見えた。
彼女はマンションの一室から飛び出し、そのままシンフォギアを纏ってどこかへと去っていった。
「難儀してるな…司令も。」
彼女、クリスさんは恐らく分からなくなっているのだ。
自分が何のために、何をしたいのか。
誰が敵で、誰が見方なのか。
そんな彼女に司令の言葉はどれだけ響くのだろうか。
正直、彼女には仲間になって欲しいと思っている。
わたしもそろそろガス欠だ。フィーネの前では強がってみせたが、向こうも気づいただろう。
果たして彼女がどんな道を選ぶのか。
わたしにはそれがアイムートと彼女の大切な人々にとってより良い選択肢になることを願うしかない。
雨は降り続くばかりだ。
side立花響
翼さんとの外出---デートが楽しみすぎて眠れなかったわたしは未来が全力で揺すり起こした事で最悪の事態を回避…できなかった。
翼さんとの待ち合わせの時間に遅刻してしまったのだ。
「すみません翼さん!」
「お察しの事とは思いますが…響のいつもの寝坊が原因で…」
遠回しにわたしを咎める未来の言葉、その通りなだけにわたしは何も言えない。
荒い息を整えて、顔を上げたわたしと未来の目にはボーイッシュな服装の翼さんが映った。
凄い力の入れ様だった。
「すっごい楽しみにしてた人みたいだ…」
「誰かが遅刻した分を取り戻したいだけだ!」
小声で呟いたはずだったが、翼さんにバッチリ聞こえていたらしい。
なるほど…
「翼イヤーはなんとやら…」
その後は3人で小物を物色したり、映画に感動して涙を流したり、ソフトクリームを食べ歩きながら辺りを見回ったりもした。
服飾店では服を試着して楽しんだ。
道中、翼さんを見たというファンが全力で翼さんを探し始めたのでそれを3人でやり過ごしたり。
ゲームセンターでぬいぐるみを手に入れるために悪戦苦闘した時は変な声を出してしまったり、怒りに駆られてシンフォギアを纏おうとして翼さんに止められたり。
結局、大声を出しまくったわたしを収めるためにカラオケへとやってきたのだが、ここで意外な事実が判明した。
翼さん、演歌が大得意だったのだ。
そのカッコイイ姿に痺れたりして過ごしつつも、時間は日が沈む頃になった。
わたし達は、高台にある公園へとやってきた。
「翼さーん!」
「二人とも…どうしてそんなに元気なんだ…?」
「翼さんがへばりすぎなんですよ〜」
「今日は慣れない事ばかりでしたから…」
「防人であるこの身は、常に
翼さんは一呼吸置いて続けた。
「本当に今日は、知らない世界をばかり見ていた気分だ。」
その言葉を聞いて、思ったことを伝えようと思い翼さんの手首を掴んで引っ張った。
「おい、立花何を…!」
翼さんが息を呑んだ。綺麗な夕焼け。海岸線と街並み。
これは、翼さんが守ってきた景色。
わたしは遠くを指さして言った。
「あそこが待ち合わせした公園です。みんなで一緒に遊んだところも、遊んでいないところも、ぜーんぶ翼さんが知ってる世界です。」
「昨日に翼さんが戦ってくれたから、今日みんなが暮らせている世界です。だから知らないなんて言わないでください。」
「そうか…これが奏の見てきた世界なんだな…」
翼さんは、過去を懐かしみつつも、未来を見据えた眼差しをしていた。
「えっ!?復帰ステージ!?」
翌日、翼さんが教えてくれたのは翼さんの復帰ステージの情報だった。
「アーティストフェスが10日後に開催されるのだが、そこに急遽ねじ込んでもらったんだ。」
「なるほど…」
「倒れて中止になったライブの代わりということだな…」
チケットの裏面の会場を見て、目を見開いた。
2年前の惨劇の日の会場。
修復されたとは聞いていたけど…
「翼さん…ここって…」
「立花にとっても辛い思い出のある会場だな…」
翼さんはそう言うけど…
「ありがとうございます。翼さん。」
「いくら辛くても過去は絶対に乗り越えて行けます…そうですよね!翼さん!」
「そう在りたいと、私も思っている。」
翼さんは凛々しい顔を、していた。
side Re ヴァイス
「ノイズ…ですか。」
今日は翼さんの
フィーネめ、こちらの嫌がることをするのが余程好きと見える。
「師匠!現場にはわたしだけで…「わたしも出撃します。」ヴァイスさんも一緒でお願いします!今日の翼さんには自分の戦いに臨んで欲しいんです。あの会場で、最後まで歌いきって欲しいんです。お願いします。」
響さんに言いたいこと全部言われちゃったなぁ…
「司令、わたしも同じ気持ちです。今の翼さんはようやく夢に向けて踏み出せた一人の女の子です。邪魔するのは無粋でしょう?」
「響君、やれるのか?」
「はい!」
「ヴァイス君は…聞くまでもないか。」
「えぇ。勿論です。」
わたしと響さんは現場に急いだ。
「またコイツかッ!」
ライブ会場から少し離れた地点に、先日フィーネが召喚した城塞形状の超大型ノイズとそこから吐き出されたかなりの量の小型ノイズがいた。
すると、ノイズに攻撃が加わる。
銃撃とミサイル…位相差障壁を突破している…これは…!
そこに居たのは、イチイバルの奏者、雪音クリスさん。
加勢してくれるのか…!
艦砲射撃で吹き飛ばされたクリスさん。
それを見て、回収に動く。
もしかしたら味方なのは今回限りかもしれないが、それでもむざむざ仲間を死なせるようなことはしない!
ダメージで起き上がれないクリスさんの目の前に割り込み、弾丸と化したノイズを蹴り砕いた。
その隙に響さんが小型を粗方一掃するが…
しかし、その先には超大型の射線が通っている。
放たれた弾丸をクリスさんが、砲身をわたしが破壊して響さんを間一髪で守る。
「貸し借りはなしだッ!」
素直じゃないなぁ…
「ありがとう!」
「礼もいらねぇ!」
「響さんッ!デカいの固定するからぶっ壊して!」
「はいッ!」
「スルーかよッ!」
「クリスさんは小型狩りながらデカいの牽制して!」
「わーったよ!」
わたしは指示を出し終えると直上まで飛び上がる。
回転しながら運動エネルギーを貯めていく。
艦砲射撃はクリスさんが妨害してくれている。
ここだッ!
体を捻りながらノイズの上部に掌底を叩き込んだ。
超大型は地面にめり込み、瞬間、わたしに合わせて飛び込んで来た響さんの全力右ストレートが側面に突き刺さったノイズは、そのまま爆散した。
あとから聞いた話だが、翼さんの曲の終わりとほぼ同タイミングの出来事だったらしい。
気づいた時にはクリスさんはいなくなっていたが…
遠からず、彼女の道は響さん達と交わる。
それが確信できた。
これなら…
「ヴァイスさんッ!?」
わたしは意識を失った。
夜と朝と交わる時間の少女達の戦いは一旦幕を引いた。
ただ、そこに魔人はいない。
過去最大の難産でした…
第二十四話、どうだったでしょうか?
今回は原作9話“防人の歌”をベースにした回だったのですが、翼さんのライブシーンを混ぜると戦闘が描写できない。
どうしよう。となってしまい、バッサリ切りました。
なので、翼さん推しの皆さんには本当に申し訳なく思っています。すみませんでした。
そして、ぶっ倒れたヴァイス。
原作一期最大の山場が近づいております。
そこまで行けるように頑張りたいと思います。
出来れば、評価、感想を頂けると励みになります。
よろしくお願いします。
追記.アンケートの投票もよろしくお願いします。
アイムートはフィーネ戦で覚醒させるつもりなのですが、眠り続ける彼女の夢の内容をどうするか募集します。
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本編で話を取るべき
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閑話にして欲しい
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そもそも描写しなくておけ