sideヴァイス
クリスさんが合流して少ししてから、厳戒態勢の二課に再度鳴り響く警報。
「…来ましたか。司令!」
「ヴァイス君…頼んだ!」
わたしがかけた声の意味を理解してくれた司令は、出撃許可を出してくれた。
保管庫で待機していたわたしは直通の外部エレベーターで地上に出た。
既にリディアンは襲撃されそうになっていて、前方にはかなりの量のノイズがいる。
…陽動だとわかっていても…!
迫るノイズを衝撃波で破壊しても、奥にいる大型を倒さなければずっとそのままだ。
自らの出力低下が目に見えてわかり、歯噛みする。
やむを得ず魂を大きく削ってエネルギーを確保する。
記憶領域は、殆どなくなっちゃったな…
地面を割り砕くほどの力で一歩踏み込み、最奥まで突き抜けた。
ノイズの群体に一筋割れ目が入り、直後、衝撃が伝播、一気に連鎖崩壊を始める。
学園の裏側にいたノイズを片付けたわたしは、正門方面から侵入したノイズを相手取るために校舎へと走った。
校舎は阿鼻叫喚の状態だった、手近なノイズに風穴を空けて襲われていた生徒にはシェルターへ逃げるよう伝えた。
目につく限りでも大型が5体、小型だけなら50…いや建物が影になっている。もっといるな…
一先ず、大型の直上まで跳躍。そのまま先日もやった掌底で吹き飛ばす。
中にいた分、外に出ていた分も纏めて消し飛ばせたのはよかった。が…やはり手が足りない。
校舎内に入って、生存者を探して駆け回る。
中には、黒い灰…炭素転換された人間の末路もあった。
少しして、悲鳴を上げて立ち止まったリディアンの生徒三人組を見つけた。その目線の先には炭素転換された人間の名残が。
わたしには、シェルターに逃げるよう説得し、彼女達が無事に入るまで見守ることしか出来なかった。
炭素転換されては、元がどんな人間だったかすら分からない。
彼女達は転換される前の人物に何を見ていたのだろうか。
なんとか3人を落ち着かせたわたしは、二課に連絡を取ろうとしたが繋がらなかった。
もし彼女の“あの言葉”が本音なら、殺しはしていない。そう信じたい。
そして、この襲撃で確定的になった、カ・ディンギルの居所。
答えは、“二課本部エレベーターシャフト”。
そして、それを行えるのは設計者たる“桜井了子”のみ。
そしてその彼女は、今わたしの目の前にいる。
夕暮れ、人が美しく感じる瞬間にわたし達は対峙した。
「桜井了子、いえ、フィーネと呼びましょうか。貴女、カ・ディンギルとやらで何をするつもりなんですか?」
「消え行く貴様に教えてもなぁ…」
こちらを見下す尊大さ、かつてアイムートが共に過ごした“桜井了子”は完全に消滅したのだろう。
「…クリスさんの言っていた“バラバラになった世界が元に戻る”ということとも関係がありそうですが…だとしても、わたしは司令ほど優しくありません。」
「ならばどうする?」
「貴女を殺して止めます。」
わたしの言葉が今度も開戦の合図になった。
フィーネが纏うのは“ネフシュタンの鎧”。かつてクリスさんも纏っていた完全聖遺物だ。
再生と鞭による攻撃を得意とする中近距離タイプ。
直線的に迫る鞭を躱し、二本目も躱した、その瞬間一本目の角度が急に曲がり、背中から突き刺さる。
「魔人特有の身体強度も底が見えたな…」
フィーネは身体の損傷を無視して迫るわたしを見ても余裕そうだ。
鞭を引き抜いてそのまま投げ飛ばそうとするが蛇のように這い寄るもう一本に邪魔をされた。
…そもそも、今現在は借り物とはいえ魔人の肉体に傷をつけた…コイツっ!
「一体ここでどれだけ“喰った”!?」
「別にここだけではない。今までの集積だ。小賢しい者共があまり馳走を残してくれんでな。少しノイズで補っている。」
やはり、間違いない、コイツ、
「いい加減鬱陶しいな…そこで、這いつくばっていろ。」
鞭に手を弾かれ、顔面に向けられた拳を腕で受けるとわたしは後ろに一歩、二歩と下がってしまった。そしてその隙を見逃してくれる筈もない。
だがその瞬間、精神に強い“揺れ”が来た。
ふと、笑みがこぼれる。
やっとですか。待っていました。
崩れた体勢のままフィーネに蹴り飛ばされたわたしは、海に落ちて行くような感覚を覚えて、意識を暗転させた。
side立花響
未来からの通信、その内容を聞いて急いでリディアンに戻ってきたわたし達か見たのは、全てが終わったあとの残骸だった。
「未来ー!みんなー!」
叫んで問いかけても、声は返ってこない。
思わずその場に頽れる。
わたしが…リディアンを…未来に…守るって…
纏まらない思考の中、わたしの耳はかろうじて翼さんの声を捉えた。
「桜井女史…!」
翼さんの視線の先に、確かに了子さんがいた。
「フィーネ!お前の仕業か!」
クリス…ちゃん…?だって、その言い方じゃまるで…
すると何が面白いのか笑い始める了子さん。
「そうなのか…?その笑いが答えなのか…!桜井女史!」
「アイツこそ…アタシが決着をつけなきゃいけないクソッタレ。フィーネだ!」
その言葉の後、了子さんは眼鏡を外し、髪を下ろした。
そして纏いし鎧はネフシュタン。
それを見て尚、わたしは信じられなかった。
「嘘ですよね!そんなの嘘ですよね!だって了子さん、わたしを守ってくれました!」
「アレは“デュランダル”を守っただけの事…希少な完全状態の聖遺物だからね…」
「嘘ですよ…了子さんがフィーネと言うのなら、じゃあ、本当の了子さんは?」
その後フィ…了子さんが語るには、“桜井了子の身体”はもうなくって、精神はもう12年以上前に置き換わったのだ…と。
超先史文明期、彼女は巫女をしていたらしい。
それこそが、“フィーネ”なのだ…彼女はそう語った。
そして技術を発展させ“転換期”とされた時代に必ず立ち会って来た…らしい。
「シンフォギアシステム…」
「そのような玩具…為政者からコストを捻出するための、副需品に過ぎぬ…まぁ、その点
「なんだと…?貴様…ヴァイス女史をどこへやった?」
翼さんが訝しむ。そうだ…ヴァイスさんは何処に…
「貴様らも存外に節穴な目をしているのだな。見ろ。」
そうやって親指を傾け、ある一点を示した。
そこには…
「ヴァイスさんッ!」
腹部に暗い穴を空け、壁にもたれ掛かるようにして動かないヴァイスさんの姿。
でも、心なしか…髪が色を取り戻している気も…?
「抗えど覆せぬが運命なのだ…所詮は小遣い稼ぎの道具だったのだが…哀れなものだ。」
「お金…?どうして…そんなもの…」
彼女は声高に叫ぶ。
「そう、全ては“カ・ディンギル”のため!」
そして、突如地面が大きな揺れに襲われ、地中から長大な塔がせり出して来た。
その威容に圧倒される。まさに“天を仰ぐ程の塔”だ。
「これこそが、地より屹立し天にも届く一撃を放つ、架電粒子砲“カ・ディンギル”!」
「コイツで、バラバラになった世界が一つになると…?」
「あぁ…今宵の月を穿つ事によってな…!」
「月を…?」
「穿つと言ったのか!?」
「なんでさ!?」
彼女が語る理由は、“あのお方”、“バラルの呪詛”という抽象的だったりしてよく分からない言葉だらけで、それを了子さんが言っているのも、理解し難くて。
彼女曰く月が不和の象徴であるのは月こそが“バラルの呪詛”の源であり、だからこそそれを砕く。と。
そして、塔が光り始めた。わたしでもわかる。エネルギーの充填が始まった。
「呪いを解く…?それは、お前が世界を支配するってことなのか…?安い…安さが爆発し過ぎてる!」
「永遠を生きる私が余人に歩みを止められることなど有り得ない。」
「
「
「
クリスちゃんが先制攻撃。
高みに立っていた了子さんを引きずり下ろした。
そこに、3人で突撃する。
了子さんを…止める!
三者三様の鎧を纏い、相対するは悠久を生きる者
そして、魔人は目覚めの刻を迎える。
様々なデバフで中々魔人が活躍しないDies二次があるらしいですね。拙作のことなんですけど。
第二十七話。どうだったでしょうか?
次話でようやく主人公が帰って来ます!(予定)
同時にDiesがわかる方ならお察しの事とは思いますが、位階を上げようと思っています。
詠唱力は無い方だと自負しているので期待せずお待ち下さい。
追記 評価、感想、よろしくお願いします。
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