戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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8000UAを突破しました。
ありがとうございます。
これからも精進します!


第二十四話 繋がる祈り

 

 

 

side小日向未来

 

 

「よかった…!みんなよかった…」

 

 

緒川さんが倒した壁の先には、安藤さん、寺島さん、板場さんが居た。彼女らは響の次に仲の良い友達だ。

 

 

生きていて、よかった…

 

 

二課の人達が各々進捗を報告しながら作業を進める。

 

 

「ヒナ、この人達は?」

 

 

「あ、それは…」

 

 

「我々は特異災害対策機動部。一連の事態の終息にあたっている。」

 

 

「それって…」

 

 

「政府の…」

 

 

心配そうな板場さんと安藤さん。

“政府機関”に疑念があるのかもしれない。

 

 

「モニターの再接続完了!こちらから操作できそうです。」

 

 

「響!」

 

 

繋がった先には戦う響。そして、あの時いなくなってしまったクリス。

 

 

「これが…了子さん…?…ッ!ヴァイスさんも…!」

 

 

あおいさんの見つめる先には、腹に穴を空けたヴァイスさんがいた。

 

 

「どうなってんの…こんなのまるでアニメじゃない…!」

 

 

「ヒナは、ビッキーの事知ってたの…?前にヒナとビッキーがケンカしたのって…」

「そっか、これに関係することなのね。」

 

 

「ごめん…」

 

 

結局、私も隠し事してたんだな…私を心配してくれる人達に。

 

 

視線をゆっくりとモニターに戻した。

今はただ、不安はある。

でも、今はただ戦う人達を信じて…

 

 

 

 

side雪音クリス

 

 

私が放った腰の多連装ミサイルは全て切断されちまった…

だが、時間は稼げた。

 

 

3人でアイコンタクトを取る。

どちらも、言いたい事を理解したらしい。

 

 

まぁ、少し推理が足りないかもしれねぇけどな。

 

 

爆煙に突っ込み、フィーネを引き付けているであろう2人を信じてギアにエネルギーを込める。

 

 

過剰に溜め込む必要はない。

そもそもフィーネ相手に長々と時間を稼げるとも思えねぇ。

 

 

ミサイルを2発具現化する。

 

 

「本命は、こっちだ!」

 

 

フィーネ自身を狙ったように見せかけた一発目。

 

 

そして…

 

 

「ロックオンアクティブ…!スナイプ!」

 

 

カ・ディンギルとやらに2発目をぶっぱなす!

 

 

「デストロイ!」

 

 

フィーネがミサイルに気を取られている間に、1発目に向けて跳躍。そのまま飛び乗って高度を上げる。

 

 

上昇を続けて…詳しい高度が分からなくなった頃。

ミサイルから飛び降りた。

 

 

重力に引かれるにしても、まだ時間はある。

 

 

清々しい気分ってやつか…?

悪くねぇ…!

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

「Emustolronzen fine el baral zizzl」

 

 

腰部ブースターからプリズムが展開される。

 

 

 

でも、あいつら…怒るかもな…

 

 

 

「Gatrandis babel ziggurat edenal」

 

 

更に、拳銃型のギアを展開。そのままエネルギーをプリズムに通して増幅していく。

 

 

「Emustolronzen fine el zizzl」

 

 

増幅されたエネルギーによってギアが拡張される。

 

 

 

でも、やっと“夢の叶え方”を見つけたんだ。

 

 

 

エネルギーは収束し、砲身より放たれた一撃に寄り集まっていく。それは大きな束となって、カ・ディンギルの砲撃と衝突した。

 

 

 

ギアはボロボロ、私の身体も、似たようなもんか…

でも、今だからこそわかる事もある。

 

 

私はずっと、パパとママの事が大好きだった。

だから二人の夢を引き継ぐんだ…

 

 

パパとママの代わりに歌で平和を掴んでみせる…

私の歌は…そのために…!

 

 

 

直後の衝撃に、私の意識は塗りつぶされた。

 

 

 

side立花響

 

 

その“終わり”を見て、地面に倒れ込んだ。

 

 

「そんな…せっかく仲良くなれたのに…」

「こんなの…嫌だよ…嘘だよ…」

 

 

クリスちゃんの落ちてくる姿がフラッシュバックする。

悔しさに拳を握った。涙が溢れて止まらない。

 

 

「もっとたくさん話したかった!話さないと…ケンカすることも…!もっと仲良くなる事もできないんだよ…!」

 

 

心臓の鼓動が大きくなる。

 

 

「クリスちゃん、夢があるって…でも、わたしクリスちゃんの夢聞けてないままだよ…!」

 

 

「自分を殺して、月への直撃を阻止したか。ハッ、無駄な事を。」

 

 

怒りで焦点が定まらない。

全部…壊セ…

 

 

「見た夢も叶えられないとは…とんだ愚図だな。」

 

 

コワセ…

 

 

「笑ったか…!命を燃やして大切な物を守ることを…!お前は、無駄と、せせら笑ったか!」

 

 

コワレロ…!

 

 

「それが…夢ごと命を握り潰した奴の言う事かぁぁぁぁ!」

 

 

 

何かが、途切れた。

 

 

 

side風鳴翼

 

 

「立花…!おい、立花!」

 

 

突如身体を黒く染め、咆哮する立花。

こちらの声も届いていない。

 

 

最後に見たアイゼン女史すら思わせるその姿は…

 

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御できない力にやがて意識が塗り固められていく。」

 

 

その言葉に思い出されるのは在りし日の一幕。

桜井了子(フィーネ)は、立花とガングニールの融合が進んでいると言っていた。嬉しそうに

 

 

「まさかお前…立花を使って実験を…!?」

 

 

「実験を行っていたのは立花だけでは無い。見てみたいとは思わんか?ガングニールに翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を。」

 

 

その外道とも言える魂胆に絶句する。

 

 

「お前は、そのつもりで立花を!奏を!」

 

 

フィーネに飛びかかる立花。

しかし、一度も有効打を入れられず、鞭で弾かれた。

 

 

「立花!」

 

 

「最早…人に非ず…人のカタチをした“破壊衝動”…!」

 

 

何故の苛立ちか、再度立花はフィーネに飛びかかった。

しかし、鞭を使った障壁を形作ったフィーネは猛獣の如き立花の猛攻を弾き飛ばした。

 

 

「しまったな…力を入れすぎたか…」

 

 

再度飛びかかる立花。

 

 

またしても攻撃を防がれる…事は無かった。

フィーネは防ぐことをしなかったからだ。

 

 

立ち上る土煙を見て困惑が勝っていると、

煙が晴れた先には身体が中程で二つに割れたフィーネがいた。

 

 

それでも尚続けようとする立花に、叫ぶ。

 

 

「もうよせ立花!これ以上は聖遺物との融合を促進させるばかりだ!」

 

 

私の言葉に反応して、こちらを向く立花。

しかし依然として元に戻る様子はない。

 

 

こちらに飛びかかる立花。

咄嗟に左にいなしたが…ギアを少し持っていかれた。

 

 

獣の様相のまま地に下りた立花。

そのまま直線的な跳躍で私に躍りかかる。

 

 

「立花!」

 

 

 

side小日向未来

 

 

「どうしちゃったの響!元に戻って!」

 

 

外では轟音が響くまま。

今も、黒くなった響と、翼さんが戦っているのだろう。

 

 

「もう終わりだよ…わたし達…」

 

 

泣きながら声をあげる、板場さん。

 

 

「学院がメチャクチャになって…響もおかしくなって…!」

 

 

「終わりじゃない!響だって私達を守る「“アレ”が私達を守る姿なのッ!?」…」

 

 

うん…確かに、そうかもしれない。でも…

 

 

「私は…響を信じる。」

 

 

“黒いモノ”に飲み込まれまいと、抗ってる。

立花響は、優しい女の子なんだって、信じてる。

 

 

「私だって…響を信じたいよ…!この状況が、なんとかなるって信じたい!でも…でも…!もう嫌だよ!誰かなんとかしてよ…!死にたくないよ…!響…!」

 

 

板場さんの悲痛な叫びに応えるように、声が響く。

 

 

「ごめんね…何もできなくて。避難だけさせて、私は何もしなかった。助けになれなかった。」

 

 

ここにいる人の声じゃない。しかもこの声…!

 

 

「ヴァイス君…いやアイゼン君か…」

 

 

「すみません、司令…遅く、なりました。」

 

 

「まったく…待たせやがって…

戻ってきたんだ?やれるな?」

 

 

「勿論です。私も司令もお互い了子に穴空けられてるみたいですから。その分ぶん殴ってきます。響は…一応やりますが詰めはベテラン奏者に任せます。しばらく離れてた私では効果が薄いでしょうから。」

 

 

「相変わらず凄まじい精度の反響定位だな…響君の件も了解した。行ってこい。」

 

 

まるで日常の一幕のようなテンポで進む会話。

一瞬今何が起きているかを忘れる程だった。

 

 

「貴女なら、貴女なら…!なんとかできるんですか!?」

 

 

絞り出すような叫びに、返す言葉は苦々しい。

でも、どこか祈るような声音で。

 

 

「絶対できる…とは言えない。でも、だからこそ信じて欲しい。」

 

 

「え?」

 

 

「立花響っていう女の子が、破壊衝動になんか負けないぐらい、優しい女の子なんだ…って。そしたら後は私と響とみんなで、勝つ。」

「一人じゃ足りないなら二人で。まだ足りないなら四人で、八人で、もっともっと多い人達で。思いを言葉にすれば…きっと届く。助けられる。」

 

 

「そんなの…アニメじゃないんだから…」

 

 

「アニメとオカルトは世界を救う…多分。」

 

 

それを聞いた板場さんが笑う。

それは、気の抜けた返事の奥底に“思い”を感じたからだと思う。

 

 

「ふふっ…多分って…テキトー過ぎでしょ…

お願い…します。響を、私達の友達を()()()()()()助けてください。」

 

 

「うん。わかった。」

 

 

通信が切れた。

でも、さっきまでの不安は少し和らいだ。

 

 

 

彼女が信じる物を、私も信じてみようと思う。

 

 

 

 

 

 

偽りの魔人は目覚めた。

しかして、檻となる夢は如何様であったか。

 

 





やはり、文才…文才なのか?


第二十八話、どうだったでしょうか?


アイゼンの夢と目覚めが前後してしまいました。
なので、次回は完全オリジナルの回となっております。


早く本編が見たい方もいらっしゃると思いますので、一日で二話投稿できるよう頑張りたいと思います。




追記 評価、感想よろしくお願いします。

G編に入った際のアイゼンの初期位置を募集します

  • ライブ会場でマネージャーの真似事
  • ライブ会場で観客に扮する
  • 響、クリス両名とソロモンの杖運搬任務
  • 記憶の遺跡で業務をこなしつつ米国から隔離
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