戦姫と魔人の永劫破壊   作:檜山俊彦

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第三話 揺らぐ立ち位置

 

 

 

side立花響

 

 

「愛想は無用よ。これから向かう場所に、微笑みはなど必要ないから。」

 

 

憧れの人に愛想笑いをバッサリ斬られ少し落ち込むも、ここに来るまでの流れを思い起こしてみる。

 

 

軍服を着たヒトが歩いて去ってから、私は事後処理のためにやってきた黒服の人々に手錠を着けられ車で連行された。

 

 

女の子は母親と再会できていたのは、安心したが。

 

 

そして、自分の通う「私立リディアン音楽院高等科」の職員棟のエレベーターに乗って地下に降りているのが今、ということだ。

 

 

混乱でよく分からなくなるのは本日何回目だろうか、と首を捻りつつ、重々しくなった雰囲気の中、エレベーターの下降が緩まり、ついに止まる。

 

 

それから手錠をつけたまま廊下を歩くと、また一段と重々しい雰囲気になり、扉が開くと…

 

 

「人類守護の砦、特異災害対策機動部二課にようこそ!」

 

 

という声が。

 

 

…えっ、なに?なになになに?

歓迎、されてるの?翼さん「微笑みはいらない」とか言ってたのに!?

 

 

〈熱烈歓迎!立花響さま〉

 

 

という横断幕まで見えれば、なんとなく事情は飲み込め…なかった。

 

 

体が完全にフリーズ。

思考も止まり、助けを求め後ろを見ると翼さんも想定外だったのか、頭を抱えている。いや、わかっていたけど信じたくなかった。みたいな感じだった。

 

 

一緒にいる黒服の男性も、苦笑している。

 

 

すると研究者然とした格好の女性がこちらに歩み出てきて…

 

 

「さあさあ、お近づきの印にツーショット写真〜!」

 

 

「…嫌ですよー!手錠したままの写真なんて、きっと嫌な思い出として残っちゃいます!」

 

 

 

しかも何故か初対面な筈の自分の名前を知られている。

赤髪の男性曰く「大戦時に設立された特務機関なのでね」らしいが…即ち調査に長けていると言いたいのだろうか、と思案してみる。

しかし理由は先程の女性がどこからか掲げたバッグによってわかった。見覚えがありすぎる。

 

 

「あぁーっ!わたしのかばーん!」

 

 

不幸な事が多い今日は厄日かもしれない。

 

 

わたし、呪われてるかも。

 

 

と心の中で呟いた。

 

 

 

side風鳴弦十郎

 

 

既に響君はリディアンの寮に帰し、翼も自室で休んでいる頃だ。

 

 

「話さなくて良かったのか?」

 

 

「Sound Only」と表示された通信画面に俺はそう問いかける。

彼女は俺たちの同僚だが…

直接会って話ができるのはシンフォギア奏者である翼だけ。

 

 

それに、悔しさを感じる。傲慢だとはわかっているが…

 

 

「私が魔人になったのは私の判断です。ここにいられるだけで私は満足なんですから。」

 

 

「…声に出ていたか?」

 

 

「えぇ。悔しそうでした。……すみません。気を遣わせてしまって。」

 

 

「いや、こちらも悪かった…」

 

 

「まぁ、“死の誘引”の性質は万物に適用される。ある種平等な力です。」

 

 

どこか寂しげに言う自らの同僚の声を聞いて…

 

 

「だけど残酷なモノでもある。辛くは…ないのか?」

 

 

反射的に聞いてしまった。

 

 

「……どうしたんですか?司令。貴方らしくないですよ?」

 

 

回答は、沈黙。そういう事だ。彼女を余計に傷つけてしまった。

 

 

「あ、あぁ。すまない。」

 

 

「2年ぶりに現れたガングニール。そしてその奏者である立花響。2年前のライブ、彼女その場にいたみたいですから。」

 

 

「相変わらずの地獄耳だな。」

 

 

「それ、褒めてます?」

 

 

「勿論だ。」

 

 

「アハハハ…ありがとうございます。

 

話の続きですが…兎にも角にも、彼女は奏者になってしまった。我々は彼女に協力を求めざるを得ないでしょう。」

 

 

「そう、だな…」

 

 

目下最大の問題は、立花響の“立ち位置”だ。

“上”はノイズと戦える力をみすみす遊ばせようとは思わないだろう。

 

 

二課が政府機関である以上、上の命令には逆らえない。

それに…

 

 

「私の立ち位置の事まで気にする余裕は二課にはないでしょうに…心配してくれるのはありがたいですけど、今は立花響の事です。できれば戦わなくていい方向に進むといいんですが…」

 

 

「君はサイコメトラーか何かか?」と笑って誤魔化してみるが、内心には怒りがあった。

 

 

そう、アイムート・ヴァルトルート・フォン・キルヒアイゼン。

彼女の今の身分、いや、()()()()は“自立稼動する聖遺物”だ。ヒト、人類として扱われていないのが現状。

 

 

二課に好意的な政府高官は彼女の立場を保護しようと奔走してくれているが、米国からは彼女の()()()()も届いているそうだ。

 

 

故に俺たちは彼女の永劫破壊をセーフティの意味合いも兼ねて“活動位階”にセーブするよう指示されている。

 

 

これ以上の武力を見せて、米国を刺激しないためだ。

 

 

「私は第二次大戦を形成で駆け抜けました。メルクリウス(水銀野郎)のせいで前線に出る機会は少なめでしたが、多分、黒円卓のメンバーの次に敵を殺してましたね。」とは彼女の言だ。

 

 

彼女から伝え聞いていた黒円卓の面々の力を鑑みればそれに次ぐ、というのがどれほど凄まじいかよく分かる。しかも前線に出る回数が少なかったにも関わらずとなれば…

 

 

上層部が危機感を覚えるのも無理からぬ話だった。

 

 

結果、彼女はかなり危うい立ち位置なのだ。

 

 

「司令、魔人が、ヒトならざるモノがヒトに溶け込もうとすればこうなるのはしょうがないんですよ。司令が気に病む事じゃないです。今日は疲れて…なさそうですがしっかり休んでください。それでは、通信終了。」

 

 

「Sound Only」の表示が消えたのを見て、少し悲しくなりつつも彼女の言葉に従って次の日に備えて体を休めることにした。




オリ主の立ち位置、実は執筆中に思いつきました。

なんで採用したかって…?

面白そうだったからさぁ!

第六話どうだったでしょうか。

そして“番外騎士”と銘打った通り、オリ主の実力は黒円卓の面々の次ぐらい…というかコンディションによっては三騎士に届くのですがその理由はまたおいおいということで。

え、獣殿と水銀?無理無理。絶対無理。

今のところG編まではやろうと思っているのですが、その後どこまでやるかを募集します。

  • G編までで良きよ。
  • キャロル見たい!GX編までやれ!
  • AXZ編までやらなければ許さん!
  • XVまでやれ!やるんだァ!
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