SNSで「喰種」と検索する。
本物を見てしまったであろう一般人の恐怖の言葉や未だ捕まえられないヒーローへの批判などの呟きはもちろんのこと、嘘か誠か分からないような自称研究職の人体解説まで検索に引っかかる。トレンドになる程ではないがじわじわと呟きが増えている。
もう一つのSNS、画像付きで投稿できるアプリを開いて#喰種で検索すると赤赤孿の顔写真を持ちながら映る見知った顔を見つける。女子高校生だ。「同じクラスになるはずだったレンくんといっしょに♡」という一文を付けて投稿されている。その投稿には、
「どっちも顔面強くて草」
「ヴィランなのに高校通おうとしていたのやば」
「下手な俳優よりカッコいいからファンになりそう」
などと正気を疑うようなコメントばかり書かれている。平和ボケにも程がある。何より一番心配になるのは生徒の頭だ。クラスの中心的人物で目立ちたがり屋な面があるのは分かっていたがここまでとは思わなかった。これも一種の承認欲求だろうか。自分たちが娯楽のように消費している彼がいつこちらに牙を向けるか分からないのに。その時にヒーローが必ず助けてくれるなんて、そんな事あるはずないのに。
生徒と超人社会、二つの未来を憂い鬱鬱とした気分で溜め息を吐く。この一連の流れは毎朝の習慣になってしまった。
今日も高校へ行く。今日も喰種__赤赤孿がいるはずだった教室で教鞭をとる。
『こころ』___夏目漱石より
「はい、それでは授業を始めます。
今日から現代文は『こころ』に入るから教科書の92ページを開いて。課題だったので一通り読んできてもらったと思うけど、段落ごとに音読してもらおうかな。今日は8日なので出席番号38番の
ハーイと珍しく緩川さんが良い返事をした。
僕の担当教科は現代文、4時間目は自分の受け持ちクラスでの授業だ。『こころ』はいろいろなアプローチの仕方があるので毎年悩む教材だ。文量が多いため眠そうな人が多いのも問題だが。
「では読み終わったところで、今回の授業のテーマは"何故Kは自殺したのか"です。後で意見を聞くから、隣の席の人とペアになって話し合ってね。」
静まり返っていた教室が少しだけ賑やかになる。キャッキャッと笑い声もたまに聞こえるので授業に関係のない話をしているのだろう。
「はい、5分経ったので出た意見を聞きたいと思います。今日の日直は……
「え〜〜失恋したから!あたしも彼氏と別れたら軽く病むよ〜」
芽留野さんは長い爪をいじりながら答える。当てて黙りこくってしまうよりは助かるが生徒の恋愛事情は知りたくない。
「うん、そうだね。そういう意見もあるよね。長伸くんは?」
「…………友人に裏切られたから。」
「そうだね、それが一般的だね。」
とても小さな声だが真面目な回答をもらった。このクラスでは貴重な真面目枠だろう。声に出しては言えないが偏差値の低い底辺高なのでまともな回答の方が珍しい。まぁ全員が授業をさぼらないだけ有難いと思う、そのレベルだ。
「2人とも意見ありがとう。実は『こころ』は遺族小説と言われることがあるんだよ。あとは同性愛的な見方ができたり、肉体を伴わない精神的な繋がりだったり読めば読むほど新しい発見がある。」
高校生にする解説にしては難しいかと思うが、今日までずっと考えていた大切なことを授業を通して今伝えたい。教卓を前にして姿勢を正す。
「ここからはテストには出ないし、僕の個人的な意見として聞いて欲しい。僕は大学生のとき『こころ』を研究していたんだ。だからたくさん思うところがあるんだけどね、『こころ』は自由を掲げた小説だと思うんだ。最後の場面を思い出して。親だとか親族だとかそういう血の繋がりから脱する、つまり古い血の倫理から解放され新しい血を重要視したんだ。解放された血が「私」に生命を与える。
うーん、上手くまとめられないな…………何が言いたいかというとね、みんなには自由に生きてほしい。超人社会に縛られることなく自由に生きて幸せになってほしい。ただ、幸福のそばにはいつも不幸がある。Kを出し抜いてお嬢さんを手に入れた「私」もずっと苦しんだように……みんなも忘れないでほしい。幸福に笑う自分の横には不幸な隣人がいるということを。」
それさえ忘れなければ、他人の痛みに気づける人間だったら自由に生きても間違えないはずだ。決してヒーローやヴィランを娯楽になり下げてはいけない。超人社会は永遠ではない、これを理解してくれる人が世界に何人いるだろうか。
「……さて、少し本題から逸れてしまったね。みんなは何か疑問点はあるかな?」
シーンとまた教室が静まり返る。いつものように手は上がらないだろう。僕の話も何人本気で聞いていたか、2、3人いたら良い方だろう。
「ハイハーイ!私質問があります!」
「……え?」
手を挙げたのは緩川さんだった。緩川さんはSNSに赤赤孿の写真を投稿している問題の生徒だ。授業にちゃんと参加するのが初めてで驚いてしまった。
「何かな?」
「普通って、何ですか?」
「普通?」
「普通に生きるにはどうすればいいんですか?
自由に生きるのを許されなかったら…………殺してもいいですよね?」
首を傾げて、緩川さんはニィッと笑った。
「…………誰だ。」
「先生?」
「僕はこれでも生徒をよく見ていると自負している。自分のクラスなら尚更だ。緩川さんはそんな笑い方をしない。君は誰なんだ。」
「え〜バレるの、早いねェ!」
緩川さんの姿をした誰かはケラケラ笑うとドロッと溶けた。比喩じゃなく、事実として。生徒達と同い年くらいの、そして緩川さんとは似てすらない容姿の女の子が現れた。
「レンくん、バレちゃった。」
てへっという効果音が付きそうなくらい軽く笑い、聞き覚えのある音で誰かを呼んだ。瞬間、ドガンッと何かが破裂したような音がして教室の前扉が吹っ飛んできた。生徒たちの悲鳴が響く。
「俺のクラスメイト……初めまして!」
教室の中に入ってきた乱入者は旧名簿の顔写真で何度も見た顔___赤赤孿だった。驚いてみな一斉に立ち上がる。しかし教室の前扉近くに座っていた生徒はドアの一部にぶつかり起き上がらない。
「あ、あいつ喰種だ……!」
「え?まじ?」
「おいやべーって!」
「長伸が血流して起きねえ!」
「きゅ、救急車を、」
動揺しながらも行動してくれた生徒が救急車を呼んでいる。後扉から逃げ出そうとする生徒もいたが近くに座っていた緩川さんに変身していた誰かに蹴飛ばされていた。1人も逃す気はないようだ。
「みんな、下がるんだ!先生の後ろへ!」
気休めだが長伸くんを除く生徒たちを窓際付近に行かせて自分が前に立つ。ここは3階だ、さすがに窓からは逃げられない。そこも計算済みなのだろうか。
「せ、先生……あの人って赤赤孿ですよね!?今、喰種って話題になってるヴィ、ヴィランの!」
と、普段はハキハキと明るく喋る生徒が吃りながら聞いてきた。
「ああそうだ、だから変に刺激するなよ。」
「大丈夫だぜ、先生。ヒーローが来てくれるだろ。」
と、クラス委員長の
それには反応せず思考する。こんなことも起きうると考えていたのだろうどこか冷静に見ている自分がいた。頭の中はすっきりしている。普段勇気なんて持ち合わせていないのにここまで落ち着いていることに驚く。携帯を後ろ手に操作して通報した。気づいているであろう2人はニヤニヤとこちらを眺めるだけだった。
「トガちゃん、どうだった?高校の授業は。」
「んー中学とあまり変わらなかったです。つまんなーい。」
まず僕がとれる最善の行動……緩川さんの安否確認とヒーローが来るまでの時間稼ぎだ。長伸くんは赤赤孿の足元にいるため近づけない。
「緩川さんはどこにいる!?」
「えーっと……」
「あ〜」
「「どこだっけ?」」
「な……!?」
2人は顔を見合わせてうっかり忘れてしまったかのように言った。これはまずい、返答により彼女を知っている、そして何かしら危害を加えたのは確実、緩川さんはもう既に……と最悪の事態を想定する。
「あ、ゴミ捨て場だ!」
「そうでした!朝のことなのですっかり忘れてました。」
「すぐ壊れたから遊べなかったもんね。」
まるで今日の朝ごはんを思い出したかのように簡単に、
「クソッ!」
ああ、彼らは生徒と同年代の未来ある若者じゃない。紛れもない加虐者、ヴィランだ。
「え、緩川ちゃんが……何で……」
僕と同様に理解してしまったのだろう仲の良かった芽留野さんが青ざめて言った。僕は彼女達に何もしてあげれない。一つのすべき事が消えた今とりあえず時間稼ぎをするしかない。
「何が目的だ?」
「なぁ、先生。質問があるんだ。」
赤赤孿は嬉しそうにそう言う。緩川さんの振りをしていた女の子のように軽く手を挙げた。
「ケーキって本当はどんな味なの?」
「え……?」
「あれって吐くほどまずいのに人間は幸せの絶頂みたいな顔で食べるじゃん。」
「は?」
「甘いって聞いたけど発情した女の肉より甘いの?」
「何を言って、」
混乱して、言葉が出てこない。
「普通って何ですか?」
「ケーキはどんな味?」
「「先生、教えて。」」
ヴィラン達はまた顔を見合わせて悪戯が成功したかのような笑みを見せる。無邪気な悪だ。
僕は、僕らは何も言えない。
ケタケタと2人分の高い笑い声が教室に響く。それに心が乱されるがヴィラン達のペースにのせられないよう深呼吸をした。再び冷静になるとこの騒ぎになぜ誰も駆け付けないのだろうと考えるが同じ階にある2クラスは丁度合同体育の時間だったと思い出す。なんて、タイミングの悪い。
「助けを……いや、被害者が増えるだけか。」
もう通報はできた。ヒーロー以外の助けは要らない。超人社会を推奨していなかった筈の自分が出した情けないその結論に嘲笑う。せめて、僕ができる精一杯はしたい。
「何か要求があるのか?僕ができることなら何でもする。だから、生徒には手を出さないでくれ。」
今度は僕が両手を挙げて前に出て近づき言った。興味が生徒から自分に移ればいいが。
「どうする?レンくん。刺す?」
「うーん、俺としてはみんなと友達になれる方が嬉しいんだけどね?弔くんが見せしめが必要だって言うからさ〜ヴィランが舐められる訳にはいかないんだって!」
「まさか、緩川さんを狙ったのはあの投稿か……!?」
今朝見たSNSの投稿が発端かもしれない。僕は、行動するのが遅かったようだ。
しかし赤赤孿は僕の問いに答えずニッコリと笑うだけ。ヴィランなのに好青年のような笑みだ。その姿に悪感情を抱けない、それが、酷く恐ろしい。
「まァ、お前みたいな奴のことだよ。」
その瞬間顔の真横でブォンッと音が聞こえた、その次に誰かの悲鳴も。
「っ……離せ!」
「や、
赤赤孿が出した触手のようなものに捕まっていたのは普段はムードメーカーのやんちゃな男子生徒、夜真田くんだ。その手にはスマホが握られている。
「この状況で動画撮ってるとかほんと平和ボケしてんのな?」
「レンくんは私のなので、とっちゃダメでーす!」
赤赤孿は嘲笑いながら、ヴィランの女の子は胸の前でバツをつくりながら言った。言葉通りならあのスマホで動画を撮っていたのか……なんて、頭と間の悪い行動をとるんだ。
「やめてくれ!僕が代わりになるから……彼は保護者の方から預かった大事な、」
「ごめんね、バイバーイ!」
「見せしめでーす!」
「た、助けっ」
ヴィラン達に駆け寄りながら言った言葉はやけに高いテンションの声に遮られ、そして目の前が真っ赤に染まった。
「あ、ああッ……!」
膝を着いた。捕まった夜真田くんは教室の天井ごとお腹を触手に突き破られた。赤赤孿と僕は悲鳴と共に比喩でも何でもない、血のシャワーを浴びていた。そしてゴミでも放るかのように夜真田くんを足元に捨てた。
「嘘だろ……?」
「夜真田が!」
たった一撃で天井に穴が開いた。先程夜真田くんの名前を叫んだ仮名澤くんがこちらに駆け寄りピクリとも動かない夜真田くんを抱き起こす。そうか、彼らは幼馴染だった。
「ごめん、ごめんなさい夜真田くん……先生助けてあげられなかった。何も、できなかった……」
緩川さんと夜真田くん、大事な生徒を守れなかった。僕は教師失格だ。
「…………」
赤赤孿は無言で穴を開けた天井を更に崩す。僕は降り注ぐ自然光に釣られ、空を見上げた。赤赤孿は崩れてこちらに降り注いでくる瓦礫を触手で撃ち飛ばし続けている。
「夜真田が殺されたっ!」
「あれがヴィラン……」
「何で、何でヒーローが来ないんだ……」
「怖いよ、助けてっヒーロー!」
「先生が通報した筈なのに、」
生徒達は口々に騒ぎ出す。
「ヒーローはまだかよ!?」
「痛っ!」
「もうやだやだやだ、誰か……!」
しかしそれも、
「った……足が、挟まった。」
「ヒー……ロー………」
徐々に、
「お父さん、お母さん、助けて……」
聞こえなくなった。
数十分ぶりに静寂が訪れた。悲鳴が消える代わりに僕の心臓を刺す音が聞こえてくる。
無事だったのはヴィラン達の近くにいた僕と仮名澤くんだけだ。
「おい、嘘だろ!?みんな、起きてくれッ!」
「もう取り返しがつかないぞ……」
僕は涙を流しながら赤赤孿を見上げて睨んだ。
「俺がこの世界に生まれ落ちた瞬間から取り返しなんてつかねえよ。」
不愉快そうに眉を顰め、彼の口調が幾分か悪くなった。
「レンくんレンくん、真っ赤!」
嬉しそうなはしゃいだ声が聞こえる。目の前は生徒達の血で赤く染まり、窓から見える校庭の緑達が揺れていた。まるで聖夜に浮かれる街中のようだ。
「メリークリスマス!サンタさんからのプレゼント……なーんて。」
「時期はずれのクリスマスだねェ!」
ヴィランにもサンタが来るのか、なんて現実逃避にもならないことを考える。
「じゃあ最後の仕上げだ。
…………実は俺も廊下で授業聞いてたんだよね。」
ちょっと参加したかった、と血に濡れた顔で照れたように笑う。
「でも、たまには先生役をやるのも面白そうだな。」
「レンくん?」
首を傾げる仲間の女の子を無視して赤赤孿は徐に歩き出し、これまた血に濡れた僕のファイルを拾う。中に入ってたプリント___『こころ』の学習計画書は無事だったようだ。どうでもいい。
「えーっと、Kくんはなぜ死んだのでしょう?」
プリントを読み始めた。何がしたいのか全く分からない。しかし、僕は立ち上がる気力もなく靄がかかったような思考でそれを見つめる。隣の人の気配がなくなった。
「遺書があったから自殺?それとも先生の策略?
……いいえ違います、
言い終わると、教室から逃げ出そうとしていた仮名澤くんのお腹を貫いた。
「「アハハッ」」
なんか笑えてきた、この光景さっきも見たな。もう何もかもどうでもいい。
「終わった?」
「ああ、俺の小さい未練もこれで終わりだ。」
家に帰ったら何に食べようか、透き通った水とうどんがいいな。
「無事か?助けに来たぞッ!……って、何だコレは……!?」
「面倒な奴が来た。」
うるさい奴が来た。もう僕は寝たいんだ。
「全然知らないヒーローです、殺っちゃいましょう!
『ご覧下さい、学校の天井が破壊されて見える範囲全て真っ赤に染まっています。喰種です!喰種が現れました!』
……ってマスコミも来ました。ヘリコプター?」
「うわ、大きなヘリかっこいいな!」
今日は風が強いな、そんな予報なかった……眠い。
「良いコト思いついた!
せっかくこの世に生まれたんだ……俺たちも自由に生きようトガちゃん、
空を見上げると真っ赤な鳥がいた。そしてその鳥が太陽と重なるころ、聞き覚えのあるようなないような悲鳴が聞こえた。
「俺の世界は弱肉強食なんだ、悪いなァ。
____次はお前だ、
カメラとマイク、そして赤が僕に降り注いだ。
何故僕は殺されなかったのだろうか…………あれ、何のことだっけ。
『ヴィラン名"喰種"、本名赤赤孿の監視報告書』
___接触一回目
「ここで何してるの?」
「昼寝。」
「ふーん、僕は佐々木研。暇なら話し相手になってよ。」
公安役員の個性により変身して公園のベンチで寝ている対象に接触成功。対象はパーカーのフードを被り軽い変装をしていたが、佐々木研に対して警戒している様子は特になし。
___接触二回目
「やぁ、また会ったね。レンくん。」
「お前は毎日暇なの?」
一回目と同じ公園にて接触。前回より長い時間接触することに成功。聞き出した情報を繋げると現在は待機、近々何か行う予定有り。引き続き情報を引き出すことに専念する。
___接触三回目
「友達?」
「そうだろ?だって3回も会ってるんだから!」
「……そうだね。」
今回も同様の公園にて接触。情報は特に引き出せず。唯一気になったのは対象が缶コーヒーを飲んでいた点だ。
___接触四回目
「このゲームは何?」
「大量の敵を捕まえて味方にして最終的に自軍の数を競うんだ。」
「えー裏切られそうなゲームだね。」
「現実的だな……昨日の
「それじゃあズッ友だよ、昨日の
今回は公園近くのゲームセンターにて対象が遊んでいるところと接触。近々楽しい催しがあると発言。警戒が必要と考える。
___接触五回目
「屋台がある!レンくん見て屋台あるよ。」
「屋台?」
「僕りんご飴大好きなんだよね、一緒に食べよう?」
「……いいよ。」
今回は公園にて待ち合わせ、近くの神社へ向かった。小規模の祭りが開催されていたため屋台で買ったりんご飴を食した。
「あ、用事思い出した。俺帰らないと。」
「そっか、じゃあ僕も帰ろうかな。」
解散となる直前に対象がりんご飴を半分食したことを視認、その後尾行を開始した。対象が10分歩いた後路地裏に入り転がっていたゴミ箱へ何かを吐き出したことを確認。
「オエッ、クッソ不味いな。飴は甘いんじゃねえのか………そもそも甘いってどんな味だよ。」
___接触六回目
「レンくんは好きな食べ物ある?」
「食べ物……あー珈琲。おじいさんが珈琲を淹れるのが上手かったんだ。」
「そうなんだ。」
「初めて飲んだ時はすごく美味しくて感動したんだ、他は何も感じなかったのに。」
今回は例の公園にて接触。接触を重ねたことにより、対象を改めて普通の人間とは体のつくりが違うと断定。基本的に人間の食べ物は受け付けず、例外は珈琲のみと推測する。
___接触七回目
「今日はいっしょに遊べないんだ、ごめんね?」
「別にいいよ、でも今度また会ってね。
レンくんは僕の初めての友達なんだから。」
「…………研くんは、笑うのが下手だね。」
今回は保須市にて接触。どこかへ向かうようだったが同行を拒否されたため後をつけた。尾行により目的地は対象が通う予定だった保須南高校だと判明。その後、昨日起きた「保須南高校1年E組集団殺害事件」へと発展。対象は生徒38名を殺害した後ヘリコプターに乗り報道していたカメラマン、アナウンサー、アシスタント計3名を食い殺し、トガヒミコと共にその場から姿を消した。羽から聞こえた音によると姿を消す直前に「新しい仲間が来る」と発言していた。
ーーー敵連合、活性化の恐れあり。
ハァ、と9割書き終えた報告書を前に溜め息を吐いた。昨日の疲れが残っているのかもしれない。いつもより体が重い。とはいえ接触七回目の昨日は何もしていない。「保須南高校事件」の時も監視を続けていたが今正体がバレる可能性のある行動は控えろと、上からの命令で何もさせてもらえなかった。地獄絵図ができあがるのを見てるのみだった。上に対する反抗心はない。赤赤孿、死柄木弔のバックにいる人間ごと捕まえたいのだろう。それは理解できる。
生き残った教師が精神を病んで一生病室から出られなくても、遅れて駆けつけたプロヒーロー達に非難が殺到しようと、最愛の子供を失った親達が集団自殺を図ろうとも俺の選択は間違っていなかった。今回は小規模な犯行だった。38名の犠牲は今後の想定被害に比べたら軽いものだ。俺には「正義」なんて似合わないから、こんなヒーローに相応しくない行動をとるのは俺だけでいい。これで間違っていない
___俺を見ててくれ
「俺も、いや
潜入捜査官K__公安所属のプロヒーロー・ホークスは呟いた。
個性「変身」
『他人を別人に変身させることができる。姿のイメージと二者間の信頼関係があれば認識阻害効果も付いてくるぞ!お得だ!』