喰種のヴィランアカデミア   作:パンダ丸

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5話 赤赤孿は、

 

 

 

 「雄英高校」とは、

 

__No.1ヒーローオールマイト並びにNo.2ヒーローエンデヴァーを筆頭に多数のスーパーヒーローを排出した実績とネームバリューで、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的となっている名門中の名門。

 

 現在襲撃予定の1年A組は、USJで授業をしているらしい。このワードだけ聞くと何とお気楽なと勘違いしそうだ。

 

 「USJ」とは、

 

 水難事故・土砂災害・火事……あらゆる事故や災害を想定したプロヒーロー・13号の名の下に作られた演習場、

 

 "ウソの災害や事故ルーム"

……名付けのセンスの方がウソだろ?と思ってしまう。

 

 

 そして俺たちが彼らの前に現れるのは、奇しくも命を救う訓練をしている時間。

 何て最悪(最高)な皮肉だろう。

 

 

 

 

 

__平和の象徴を殺せ

 

 

「13号に、イレイザーヘッドですか……先日頂いたカリキュラムにはオールマイトがここにいる筈なのですが。」

「どこだよ……せっかくこんなに大衆引き連れて来たのにさ……オールマイト、平和の象徴。いないなんて……子供を殺せば来るのかなァ?」

「凄ぇ、広。金かかってんな。」

 

 黒霧のワープにより大人数で移動して次々にUSJに乗り込む。どうやら何か作戦外のことがあったらしい。

 作戦の要ではない俺は広場中央で突っ立ったままでいる。なぜなら、最初は大人しくしてろとの言葉をもらっていたからだ。俺としては最終的に喰れば何でも良かった。腹減りすぎると元気が出ないし静観している。

 

「ヴィラン!?馬鹿だろ!?」

「ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぜ!」

 

 と、広場に続く階段の上にいる生徒たちの大きな声が聞こえた。さっそく馬鹿やアホと言われるがまぁ頭は良くないので否定できない。可哀想なヴィラン共。

 

「子供にアホって言われるなんて可哀想な大人(馬鹿)達だな。」

 

 ボケーっと見ていると全体的に黒い格好をして布を首に巻いた引率の教師らしい男が広場に単身突っ込んできた。手下共が好戦的になって仕掛けていく。

 

「射撃隊行くぞォ!」

「情報じゃ13号とオールマイトだけじゃなかったか!?ありゃ誰だ!?」

「知らねえ。が、一人で突っ込んで来るとは……」

 

「「「大まぬけ!!!」」」

 

 と、男を射撃しようとするが、どうやら個性が出せなくなっているようだ。まぬけはどっちだという話になってくる、恥ずかしい。

 

「馬鹿野郎!アイツは見ただけで個性を消すっつう"イレイザーヘッド"だ!!」

「消す?へっへっへ、俺らみてえな異形型のも消してくれるのかぁ!?」

 

 あの男がプロヒーロー・イレイザーヘッドらしい。

 個性を消す個性___この超人社会においてはキーマンになりそうな程凄い個性だ。

 

 異形型の個性を持つヴィランがイレイザーに向かって行くが、

 

「異形型は無理だ、発動系や変形系に限る。が、お前らみたいな奴の旨みは統計的に近接戦闘で発動されることが多い。だから、その辺の対策はしてある。」

 

 と、あっさり仲間ごと倒される。弱すぎるだろうと思うが、俺も個性を消されたら素の身体能力のみで戦わなければいけなくなるため勝てるかは怪しい。

 

「あ、思い出した。」

 

 __イレイザーヘッド

 

 薄らとどこかで聞いたことあるような気がしていた。個性の詳細を聞いて思い出した。いつだったか祖父が助けてもらったというヒーローの名だった。確か喫茶店が面する道で凶暴なヴィランが暴れていたのを直ぐに捕まえて、お礼を言う暇もなく颯爽と帰って行ったらしい。

 その話を聞いて祖父を助けてもらったのだから俺もお礼を言いにいかなければ!と、前世含め生まれて初めて人に感謝をしたのだ。

 まぁ俺の記憶力はカスなので直ぐに忘れてしまったが。それでも、

 

__おじいさんを助けたヒーロー

 

 

「やっぱり、カッコいいなァ……」

「嫌だなプロヒーロー。有象無象じゃ歯が立たない。」

 

 俺が感心していると、黒霧が生徒たちの方にワープしていた。大して作戦を聞いてなかった俺は知らなかったがプロヒーロー・13号、及び生徒の分断は黒霧が行うようだ。生徒たちを散らして手下共に嬲り殺させる、悪くない作戦だ。

 

 数分後、イレイザーに続々と倒される手下共を見ながらあくびしていたが、動く時が来たらしい。

 

「レン、赫子出せるなら上から様子見渡して来い。」

「了〜解。」

「ッ!しまった……制服?」

 

 俺は視られていないらしく赫子が出せたのでUSJ全体を高い建物を渡り大ジャンプしながら様子を見に行く。

 

__暴風・大雨ゾーン、暗いのと雨で見えにくいが手下共の半数以上は倒されている。

「視界が悪くて狩りに向いてない……次。」

 

__倒壊ゾーン、爆発と硬化らしき個性を持つ生徒により倒される。

「肉も硬いのか……?美味そうじゃない。」

 

__土砂ゾーン、氷の個性を持つ生徒により瞬殺。

「氷、冷え肉か……」

 

__山岳ゾーン、電気系の個性を持つ生徒により一人を除いて一網打尽。

「女の肉二つ……!後で弔くんに言ってアレもらおう。」

 

__火災ゾーン、尻尾の個性を持つ生徒によりヒットアンドウェーで凌がれている。

「動物の肉はいらね。」

 

__水難ゾーン、既に倒されていて生徒の姿無し。

「雑魚ヴィラン共喰っていいか?ーーングッ」

 

 

……まとめると敵連合は弱い、弱すぎる。こうもあっさり負けているのを見ると同じ敵連合の一員として情けなくなってくる。水難ゾーンのヴィランを少し味見してしまったのは内緒だ。弔に報告だけ済ませようと外した口輪を元に戻して広場に戻った。

 

 

 広場では、イレイザーと弔及び残っている手下数人が戦っていた。苦戦しつつも押しているようだった。感謝はあるが今は敵なので、さすがに俺も貢献しようと思い後ろから赫子で攻撃を仕掛けるが、

 

「……っと?赫子出ねえ。そんな瞬時に消せんのか。良い個性だなァ。」

「やっぱり制服だったか……敵連合には未成年までいるのか?」

 

 と、個性を消され後ろから蹴りを放ちあっさり躱されるだけで終わった。雑魚なのは俺もだった。

 

「弔くん、口輪(コレ)付けても付けなくても舐められてるけど?」

「もう制服脱げ。」

「真ッ裸?……意外と羞恥心はあるんだけど。」

 

 と、脳無先輩が控えてるからかお互いふざける余裕はあった。

 

「他の場所はどうなってた?」

「どうもこうも完敗、大人の癖に子供にボロ負け。未だ死者ゼロ。」

「やっぱりか。有象無象はヒーローの卵にすら届かない。

 というかその口……生徒食べたのか?」

「んや、ヴィラン。雑魚すぎていいかと思って。

 生徒は美味そうな肉いたけどまだヴィランが潜んでたからな。最後に喰い行く。」

「ハァ……まぁ良いか。」

 

 一旦現場を手下共に任せて弔と話した。弔は予想していたようで呆れつつもそこまで不機嫌な様子はない。

 ヴィランを喰ったという言葉にも特に怒られることがなくて良かった。弔のこういう適当なところ好きだ。逆に手下共を全て倒し終わったイレイザーが俺の言葉に反応する。

 

「食う、だと?……お前どっかで見たことあるな。

 人を食べる、そんなヴィランが最近居たな、確か……"喰種"だ。」

 

 あっさり正体がバレていた。ヒーローはやはり毎日ニュースを見ているのか、それとも警察から情報を流されるのだろうか。というか、

 

「前科一件しかバレてねえはずなのに何でこんな有名?」

「人を食べる化け物を野放しにしたくないんだろ。」

「弔くんは対俺の時だけヒーローの味方すんな。」

 

 イレイザーがこちらに向かって来たので会話を止めて戦闘モードに移る。

 

「まさか喰種が敵連合に与するとは。ジーニストとエッジショットを退けた実力……今、ここで倒さねえと……」

「だからそれは先生に攫われただけなんだよな。過大評価されても雑魚喰種は困るんだ。」

 

 個性消された状態なので赫子は使えないがとりあえず殴る蹴る避けるをしておく。実習をサボると卒業できなくなるからだ。二人がかりで追い詰めて、ついに、

 

「動き回るので分かりづらいけど、髪が下がる瞬間がある。一アクション終えるごとだ。そしてその間隔は段々短くなっている。

 

__無理をするなよ、イレイザーヘッド。」

 

 弔がイレイザーを捕まえ肘を少しだけ崩す。初めてまともな攻撃が当たった瞬間だった。やはり俺は根からのクズで、暫定祖父の恩人がやられていても助けようとは思わないようだ。

 

 俺が弔の言葉に意外とよく見ていて頭の回転が早いなと呑気に考えていると反撃されて倒れていた。しかし、弔は倒されて尚も続けてイレイザーヘッドに対する考察を述べている。

 

「その"個性"じゃ集団との長期決戦は向いてなくないか?、普段の仕事と勝手が違うんじゃないか?、君が得意なのはあくまで奇襲からの短期決戦じゃないか?、それでも真正面から飛び込んできたのは生徒に安心を与えるためか?」

 

 カッコいいなあ、カッコいいなあと弔が言う。そして、

 

「ところでヒーロー、本命は俺じゃない。

__対平和の象徴、怪人"脳無"。」

 

 ついに脳無の出番がやってきた。ここまで俺はほとんど何もしていない空気みたいなものになっている。新入生だしこんなものだろう。

 

「ぐぁ……!!」

 

 グシャッと音がした。捕まえ、腕を折り、俺らが苦戦したイレイザーをあっさり数分もかからず倒した。さすが脳無先輩である。そして、顔面を地面に叩きつける血が飛び散る。

 

「美味そう……」

「レン、待て。ヒーローを食うのは生徒を殺して絶望させた後だ。」

 

 ヒーローは駄目らしい。それなら近くに匂いを感じる、あの三人の誰かにしよう。と、体をそちらに向けるが、

 

「死柄木弔。」

 

 黒霧が目の前に現れ、偶然だろうが道を阻まれた。

 

「黒霧、13号はやったのか?」

「行動不能にできたものの、散らし損ねた生徒がおりまして……一名逃げられました。」

「は?はぁー………………お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ。さすがに何十人ものプロじゃ敵わない。今回は、ゲームオーバーだ。

 レン、帰ろっか。」

「え〜〜〜……」

 

 俺の残念な声を無視して弔が背を向けて歩き出す、が急に方向転換をした。その目は死んでなどいなくて逆に燃えていた。だから弔の意図が分かった。俺は口輪を外した。

 

「けどもその前に平和の象徴としての矜持を少しでも、

 

__へし折って帰ろう!」

 

__いただきます!

 

 そう言って、弔は紫の果実みたいな頭の生徒に手を向け、俺は三人の中の唯一の女の子に齧り付こうとする。

 

「ひ、ひえぇ……」

「け、ケロッ!?」

 

 しかし、俺と弔が同時に止まる。違和感を感じて振り向くとイレイザーがこちらを視ていた。どうやら個性を消されているらしい。違和感が強まる。

 

「……は?」

「本っ当カッコいいぜ、イレイザーヘッド。」

 

「手、放せぇぇ!」

「脳無。」

 

 

__SMASSH!

 

 緑頭の生徒の攻撃はズドンッ!と音を出して脳無にぶつかる。衝撃は吸収され、もちろん効かなかった風が巻き起こるぐらいの威力だった。でもそんなことより、

 

「レン、どうした?」

「牙が伸びない……?」

 

 手を自分の口の中に入れ、歯を触る。齧りついたときに違和感がした。人間を捕食するときに伸びて鋭くなる筈の牙が通常の状態のまま動かない。心なしか飢餓感も薄まった気がする。仮にこれが個性を消されたという状態なら、

 

 

 数日前の先生の言葉を思い出す

 

『そういえば君は何で個性を「赫子」と呼んでいるんだい?「喰種」の方が合っているというのに。』

 

__俺の個性は「赫子」ではなく「喰種」

 

『ああ、そうか。君は自分が化け物であることは受け入れられても元が人間だったことは拒絶したい事実なのか。』

 

 心臓の鼓動を感じる。ドクッドクッと音が速くなる。人間の腹から出てきたんだ、当たり前だ。けど見ない振りをしていた。だって俺が"人間"なら両親と一緒に生きられなかった理由がなくなってしまう。人間になりたくない。だって、

 

ーーまた孤独になった理由がただの不幸だとでもいうのか

 

『本当愉快な生き物だねぇ。』

「……もう黙ってくれ、先生(クソ野郎)。」

 

 思考を止めまた女の肉を喰おうと口を大きく開ける。弔も改めて生徒二人に手を向ける。しかし、

 

 

 

「嫌な予感がしてね、校長のお話を振り切ってやって来たよ。来る途中に飯田少年とすれ違って何が起こっているかあらまし聞いた。

 

…………もう大丈夫、私が来た!」

 

___"平和の象徴"オールマイト、現る。

 

 

 USJについにオールマイトが登場した。No.1らしい遠くからでも伝わる気迫に押され、俺は一旦女の子から離れた。そして、弔の隣に戻る。

 

「待ったよ、ヒーロー。社会のゴミめ。」

「No.1の肉はどんな味がするんだろうなァ?」

 

「あれが……!生で見るの初めてだぜ。迫力凄ぇ……」

「馬鹿野郎!尻込みすんな、アレを殺って……」

 

 

「相澤くん、すまない……」

 

 ズカカカン!と、音を出して手下共を殴りイレイザーを救出する。そして、ついでとばかりに俺たちを殴り生徒三人も救出される。

 

「皆、入口へ。相澤くんを頼んだ、意識がない。早く!」

「え!?あれ!?……早ぇ!」

 

「……あ、蛙吹さん腕大丈夫!?」

「大丈夫よ、噛まれて少し血が出ただけ。」

「残念だ。でも痛くない……?」

 

 オールマイトは大して力をこめていなかったのか、少しよろける程度で赫子で防げた。しかし弔は殴られた衝撃で顔の手が外れてしまったようだ。

 

「ああああ……駄目だ、ごめんなさい……お父さん。」

 

 俺はその姿に同情したのか、それとも共感したのか、自分でも分からなかったが気づいたら目の前に落ちた手__お父さんを拾い弔に渡していた。普段はそんな小さな優しい行動でさえしないのに。

 

「救けるついでに殴られた……ハハハッ国家公認の暴力だ。さすがに速いや、目で追えない。けれど思った程じゃない。やはり本当だったのかな?」

 

 

__弱ってるって話。

 

 

「オールマイト、駄目です!あの脳ミソ男!ワン……ッ、僕の腕が折れないくらいの力だけどビクともしなかった!!きっとアイツ……」

「緑谷少年、大丈夫!」

 

 そう言って緑谷というらしい生徒の言葉を遮りピースする。そしてこちらにむかって攻撃を仕掛けてきた。

 

「__CAROLINASMASH(カロライナスマッシュ)!」

「脳無。」

 

 脳無が俺と弔の前に立ちオールマイトの攻撃を吸収してくれた。

 

「ムッ!!マジで全っ然効いてないな!」

 

 オールマイトのその言葉に弔が反応して喋り始める。

 脳無の個性は「ショック吸収」であり、させてくれるかは別として、ダメージを与えたければゆっくりと肉を抉り取るのが効果的、と。喋っていいの?と一瞬思ったがこう見えて弔はよく考えているので行動を誘導するためだろうなと考え直した。先生の教えにより俺も少しは賢くなった気がする。

 

「わざわざサンキュー!そういうことならやりやすい!」

 

 という声が聞こえると、ズドーン!と爆発音と聞き間違えるような大きな音がした。オールマイトのバックドロップによって脳無が地面に埋められたようだ。

 

「凄ぇ〜さすがオールマイトだ!」

「やれえぇぇぇ金的を狙ええー!!!」

「私たちの考えすぎだったかしら?凄いわ……」

 

 と、一つおかしなのが混じったが生徒たちの歓声がこちらまで聞こえてくる。しかし、

 

「っ!そういう感じか……!」

 

 ダメージを受けているのはオールマイトのようだった。彼はコンクリートに深く突き立てて脳無の動きを封じる作戦のようだったが、黒霧のアシストによってワープした脳無の上半身によって逆に腹に肉を抉られていた。

 

「君ら初犯でコレは……覚悟しろよッ!」

 

 オールマイトは身動きが取れないようで更に深く肉を抉られている。血の匂いが漂ってくる。

 

「もういいよね?いいだろ!いいよな!?

 

__No.1の肉、いただきますッ!」

 

 そう言って俺は我慢できずオールマイトの腹に齧り付く。筋肉が硬くて俺の歯でもすぐには噛み切れそうにない。しかし、血を味わいながらもっと深く牙を突き立てる、肉を抉る。

 

「ゔっ、クソッ!」

「オ、オールマイトォォォォ!」

「浅はか」

 

 緑谷が此方に向かって殴りかかろうとするが、黒霧が間に入りワープで飲み込もうとする。

 

「どけっ邪魔だ!デク!」

「てめぇらがオールマイト殺しを実行する役とだけ聞いた。」

「おっ……と、危ね。」

 

 先程倒壊ゾーンで見た爆破の生徒に黒霧が阻まれ、土砂ゾーンで見た氷の生徒に脳無が凍らされた。オールマイトに齧り付いていた俺は凍らされる前に赫子で移動した。間一髪だった。

 

「だあーーッ!クソッ良いとこねえー!!」

「スカしてんじゃねえぞモヤモブが!」

 

 弔は赤髪の生徒の攻撃をあっさりと避けたが、黒霧は爆破の生徒に捕まった。

 

「平和の象徴はてめぇら如きに殺れねぇよ。」

「かっちゃん……皆……!」

 

 オールマイトに逃げ出され、黒霧__移動手段まで抑えられた。更には黒霧の個性の詳細が暴かれたようでヒーローらしからぬ言動で脅されている。

 

「やられたな……んでも肉ちょっとだけ食えた。」

「凄いなァ、最近の子供は。恥ずかしくなってくるぜ、敵連合……脳無、起きろ。」

 

 そう弔が言うと凍っていた脳無が動き出し、右手右足を落としつつ立ち上がった。

 

「身体が割れたのに動いてる……?」

「皆、下がれ!」

「脳無先輩の味見……ングッ」

 

 赫子で少し離れた場所に落ちたままの右足右腕を拾い口元に持ってきて食べる。オールマイト他生徒たちにはお決まりの化け物を見るような顔をされた。

 

「た、食べた!?」

「仲間を食ったのかよ……」

「イカレてやがる……」

 

「おえっ……こんなクソ不味いの久々に食った。

 弔くん、脳無先輩の味やば、」

「……レン?」

 

 不味い不味い不味い不味い不味い

 

「ゔっあああああ!」

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い

 

「ゔうううぅ……ハァ、ハァ……」

 

 靄がかかったような思考と涙が溢れてくる目で辛うじて見えたのは、背中の皮膚ごと突き破るような痛みと共に出てきた禍々しい紫紺と赤色の赫子。捻じ曲がった棘が規則的に付いていて、小さい頃に見た庭の隅で蠢いていたムカデのような、

 

 

 

「ケーキ……がっ、ケーキ……」

 

___俺は、

 

 

 

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