喰種のヴィランアカデミア   作:パンダ丸

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7話 遅れてきたヒーロー

 

 

「あれ……?」

「緑谷少年!大丈夫か?」

 

 意識を失っていたオールマイトと緑谷が起きた。その他生徒らはまだ起きていない。

 

「僕は大丈……エッジショットとシンリンカムイ!?凄い!ヒーローが駆けつけてくれたんだ!それにMt.レディも……Mt.レディ?」

 

 緑谷が見たのは全身穴だらけのMt.レディの姿だろう。その様子から目を逸らすようにシンリンカムイが言う。

 

「貴様……絶対に許さんぞ、捕まえてやる!」

()()()()?この期に及んでまだそんなこと言ってんの……ヒーローはお気楽でいいなァ。」

 

 ああ、やっぱり納得がいかない。化け物は殺すべきだって言っているのに。

 

「レン、待て。そのヒーローよりオールマイトをやるぞ。今なら三人でいけるだろ。」

「ハイハイ、オールマイトな!」

 

 三人で意識を取り戻し立ち上がったオールマイトと向かい合う。不思議なことに彼の体から蒸気のようなものが出ている。

 

「……カムイ、動けるか?」

「少しだけ感覚戻ってきてますがまだ動けないです。」

「俺もだ……オールマイト!生徒らを連れて逃げてください!」

「大丈夫、私が戦う!」

 

 未だ一体三という有利な状況で戦えるらしい。シンリンカムイとエッジショットが鱗ごときで動けない理由は知らないが多分弔が何かしたんだろう。迷惑かけちゃったので俺も活躍しようと赫子を出すが、

 

「……あれ?弔くーん!ムカデモード終わった。」

 

 ほら、と言って脳無を食べる前の血液のような色に戻ってしまった赫子を見せた。

 

「チッ使えねえ……」

「オブラート!」

「まあまあ、有利なのは変わらないですし。行きますよ。」

 

 弔に突っかかろうとした俺を黒霧が諌め、言葉を合図に戦闘体制を取る。

 

「___鱗赫(りんかく)!」

「___ワープゲート」

 

 二人のヒーローを倒した時の合わせ技をオールマイトに向けて放った。しかし、

 

 

 

___Bang!Bang!Bang!

 

 と、銃声が複数回鳴った。鱗は撃ち落とされオールマイトに届くことはなかった。

 

「来たか!!」

「ごめんよ、皆……遅くなったね。すぐ動ける者をかき集めてきた。」

「1ーAクラス委員長、飯田天哉!!ただいま戻りました!」

 

 と、USJの扉が開かれプロヒーローたちがたくさん現れた。さすがヒーロー、遅れて来る割に良いところでやって来る。

 

「先生たち……遅いよ……!」

 

 2階にいる生徒の泣き叫ぶ声が聞こえた。黒霧が散らし損ねた生徒たちだろう。

 

「もう被害は起きていたのか……遠距離で確保する手段があるものはすぐに!」

「絶対に逃してはならん!」

「ぼ、僕だ……!」

 

 ついさっきまで倒れていたプロヒーロー・13号が生徒の手を借りて起き上がり個性を発動しているのが見えた。遠距離だからか吸い込まれても抵抗はできるようだ。

 

「うえっ、これが吸い込まれる感覚……」

「あーあ、タイムオーバーか。さすがに何十人ものプロヒーローの相手はできない。帰るぞ。」

「無理ゲーって奴?」

 

 弔と黒霧のワープゲートに歩いて向かった、しかし後ろから狙撃された。

 

「弔くん!」

「っ……レン!」

 

 弔の背中を突き飛ばしワープに押し込む。狙撃の技能が高くしっかり急所を外して俺の体に撃ち込んでいる。

 

「……待て、喰種!!」

「貴様を捕まえねば……Mt.レディの仇……!」

「……なぁヒーロー!俺は、死ぬまで止まらねぇ!

 ハハッ、殺してみろよ!」

 

 銃弾を避けず、撃たれながら振り返って二人のヒーローに言う。そして黒い靄に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

___ヒーロー、敗れず?

 

 

 

 

 

 

 死柄木弔、黒霧、赤赤孿の襲撃事件主犯格の去ったUSJは、助けが来たと喜べるような雰囲気ではなく陰陰たる空気に包まれていた。

 

「先生……Mt.レディが!」

「これは……」

 

 到着したプロヒーローたちが目にしたのは損傷の激しい遺体___Mt.レディの涙を流しながら息絶えている姿、そして爆豪を筆頭に緑谷・轟・切島・オールマイトの大怪我を負った姿、エッジショット・シンリンカムイという実力派のプロヒーローが流した血と涙。

 

 生徒達が駆けつけたヒーローに素直に喜べなくてもおかしくない状況であった。

 

「手遅れとしか言いようがない。本当に俺は何をしていたんだ……」

 

 事件発生時刻に授業がなかったため、好物であるトマトとモッツァレラチーズのカプレーゼを堪能していたブラドキングは自責の念に駆られた。

 

「まずは生徒とヒーローの手当て及び人数確認を!そして今この場に残っているヴィランの拘束と逃げたヴィランの追跡ができる者は早急に行動に起こしてほしい!

 …………我々にはまだ悲しむ権利はないのさ。」

「「「ハイ!」」」

 

 根津は想像よりも深刻な被害状況に戸惑っていたヒーロー達に喝を入れ指示を出した。

 

 

 

 事件を片付けてもまだやることがある。雄英の管理体制の見直し及び強化、入学して早々に起きてしまった事件の当事者である生徒たちのメンタルケア、マスコミへの会見、逃げたヴィランを警察と連携しての逮捕。全てを終えてやっと悲しみに暮れることが許される。

 

 そんな()()()な存在がヒーローである。

 

 

 

 

 

 

 

 

___雄英高校会議室

 

 

「死柄木という名前、触れたモノを粉々にする個性……20〜30代の個性登録を漁ってみましたが該当なしです。"ワープゲート"の方、黒霧というものも同様です。」

 

 事件から数日後、雄英高校の会議室では塚内直正警部が雄英の教師であるプロヒーロー達、そして当事者として特別参加のエッジショットにUSJ襲撃事件の詳細を話していた。それに対してスナイプが言う。

 

「何も分かってねえって事だな……」

「ただ、もう一人の主犯格と思われる"喰種"と名乗る少年については戸籍と個性届けが存在していました。元々この事件の前にもヒーローと交戦しています。」

「人を食べるという非常に危険なヴィラン……まさか雄英に来るとは……」

 

 塚内の言葉に根津校長が過去の報道思い出して言った。他のプロヒーローたちも思い当たることがあるようだ。

 

「Mt.レディ殺害の張本人か……」

「惨虐、その一言に尽きます。生徒らが気を失っていて良かったと思える程です。」

 

 オールマイトの言葉にエッジショットが付け足す。

 

「あー、その……シンリンカムイの活動休止の原因はそれかい?」

 

 今朝のニュース番組で短期間の活動休止を報道されていたシンリンカムイについて、事情を知ってるであろうエッジショットに一人のヒーローが言葉を探しながら問うた。

 

「俺が彼に勧めました。仲間が生きたまま食べられているのを見ていることしかできなかった絶望……あれはプロでもきつい。あれからまともに眠れていない様子でしたので。」

「そう……仲、良かったものね。」

 

 熱愛疑惑が出るほど、先輩後輩としてかなり仲が良かった二人を思い浮かべてミッドナイトが言った。

 重苦しい雰囲気に包まれる会議室に相澤がパンッと手を叩いて言う。

 

「未来の話をしましょう、合理的じゃない。

……戸籍と個性届けがあるなら赤赤孿に繋がる手がかりもあるんですよね?」

 

 彼の合理的思考は現在の状況と合わせてみるといっそ残酷と感じてしまうが、それが彼のプロとしての誠実さだと知っているヒーロー達は思考を切り替える。

 

「ええ、それでかなり詳しい情報を手に入れたので共有したいと思います。」

 

 塚内は少し厚めの資料を捲りながら言う。戸籍と個性届け、そしてさまざまな関係者に聞き取りを重ねて得た情報をまとめて作成した赤赤孿の経歴が書かれた資料である。

 

 

 

「本名赤赤孿、敵名『喰種』

 父親赤赤(あかあか)犬牙(けんが)、母親赤赤(あかあか)たね()の間に生まれる。

 4歳の時に個性『赫子』が発現する。その三日後に父親と母親が亡くなり母方の祖父母に引き取られる。小学校、中学校は休みがちではあるものの通っていたようで、中学の入学式の次の日に祖母が亡くなり、中学三年生の冬高校受験が終わると同時に祖父が倒れ入院しまもなく亡くなる。

 そして、通う予定だった高校の入学式に出席後、同高校の女子生徒を殺害、その場に鉢合わせたプロヒーロー・シンリンカムイの話によると近くにいた男性の腕を食べてから人質にしつつ逃亡。そして逃げた先に居た女性四名の内三名を捕食。一名を人質にしつつベストジーニストと交戦。人質を捕食され、エッジショットや警察が応援に駆けつけるも黒霧の個性と思われるワープ___黒い靄のようなものに飲み込まれ、逃亡される。

 また、同日に例の高校で発見された体の一部を失い絶命していた男女含めた計五名の高校生についても彼の犯行として捜査中。

……ここまでが現在分かっている中での確実な情報です。」

 

 

 

 予想よりも酷い被害状況にヒーロー達は苦い顔をした。

 

「身内を次々に亡くしているのは同情するけれど、あまりに惨いわね。」

「そのことなのですが……

 両親の死はヴィランによる強盗殺人として捜査してきましたがどこにもそんなヴィランは存在せず、今になって赤赤孿による犯行である可能性が浮上しました。」

 

 会議室は喰種は身内まで捕食していたのか、という驚愕の空気に包まれる。

 

「事件発生当時の状況は両親の遺体はなく、血溜まりにうずくまる少年のみ。彼の現在を踏まえて両親を食べて殺したという仮説を立てました。」

「……警察はほぼ断定しているんじゃないかい?」

「ええ、というのも事件発生三日前が赤赤孿の個性発現した日であり、あらゆる食べ物を受け付けない体になったとして個性専門の病院で受診してるんです。不健康な身体状況にありました。」

「まさか……」

 

「はい、警察としては

 

 赤赤孿は人間の肉しか食べることができない

 または、普通の食事では栄養を摂ることができない

 

 と、考えています。」

 

 あまりにも無慈悲な真実に一同は息を呑む。事実を受け入れたくないのか、一人のヒーローが納得できない様子で質問する。

 

「で、でも祖父母は食べなかったんだろう?」

「先程の両親の話には続きがあって……赤赤孿の祖父、触手(さわらで)田食(たつみ)の病死そのものには事件性はないのですが、彼の遺体が病院からなくなっていたんです。」

 

 先程と同じような展開にヒーロー数人が頷く。顎に手を当てて考え込んでいた一人のヒーローが手を挙げて質問をする。

 

「それならさすがに病院側が気づいてたんじゃない?」

 

「こちらもそう思って当時の担当医と看護師に聞き込みをしました。担当医は生前の触手田食に"自分に何が起こっても気にしないでほしい"と言われていたそうです。

 また、看護師は赤赤孿が祖父を捕食しているところを目撃していたようで詳しいことを聞けました。"最初は恐怖で体が動かなかったが、食べ終わった後涙を流す子どもに同情した"とのことです。

 そのため警察に話す前に医者に相談して二人はあらましを把握し、悲しい真実を隠蔽してしまった……これが事件の全貌です。」

 

 彼が体格の割に痩せ細っていたのも同情した要因の一つでしょう、と資料を置きながら付け加える。

 

「一言相談してくれれば……」

「確かに……本人から話くらいは聞くのだがね。」

 

 ヒーロー達は頭を抱えた。悲劇に同情するのは仕方ない、しかし早いうちに止めれていたかもしれない悲劇を連鎖させてしまった、そこが痛い。

 

「彼の祖父は人間の肉しか食べられないことに気づいていたのか……」

「恐らく。」

「孫を憐れんで自分を差し出したのか。」

 

 そして、話題は彼の身内から個性の話に移り変わる。

 

「凶悪な犯罪者によくある異常性癖の一種かと思っていたが……そんな簡単な話ではないようだな。」

「彼の身内の個性はどうなってる?」

「その資料も用意してあります。」

 

 そう言って塚内は二枚の資料を抜き出し見せる。

 

 

 

赤赤(あかあか)犬牙(けんが)。個性「強牙(きょうが)」、鋭い牙を生やす。

 

 赤赤(あかあか)たね()__旧姓、触手(さわらで)たね()。個性「触種(しょくしゅ)」、触手のように成長する種を手から生み出す。触手の強度はクッションになる程度。

 

 触手(さわらで)田食(たつみ)。個性「悪食(あくじき)」、手を触手に変化させそこから食べ物を吸収し栄養を摂ることができる。個性の影響からかどんな物でも消化できる胃を持つ。』

 

 

 

 と、資料に書かれていた。備考で祖母は無個性と示されている。

 

「三人の個性が合わされば彼の個性にも納得がいく……か?」

「どっちにしても人間しか食べれないのはおかしい。」

「その部分だけ突然変異の一種と考えれば、珍しいがおかしいことではない。」

「しかし、事実だとしたらどうすればいい?捕まえることは彼を餓死させることと同義だぞ。」

 

 ブラドキングの現実を見据えた厳しい言葉に会議室は沈黙に包まれる。できるならば避けたい話題であった。いくらプロのヒーローとはいえどここまで難題なヴィランはそう出会わない。

 

「事件の時、赤赤孿の個性を消せました。俺が()れば何とかなるのでは?」

 

 「抹消」という個性を消す個性を持つ相澤が言った。その言葉を聞いたヒーロー達の顔が少し明るくなる。オールマイトがビシッと相澤を指して言う。

 

「それだっ!相澤くんが視てる間に彼に普通の食事をして貰えば良いんだ!」

 

 しかし塚内は渋面を作りながら言う。

 

「毎日、しかも三食イレイザーに拘置所まで来てもらうのか?それにイレイザーが何らかの事情で来れなくなったらどうするんだ。」

 

 そもそも確実性がない、と塚内の正論に誰も異を唱えられなかった。しかし尚も案を出し続ける。

 

「人肉……に代わる食べ物の研究や個性専門病院で調べてもらうとかはどうだ?」

「相手は殺人鬼ですよ。そんな奴に割く時間と費用が勿体無い。」

 

 今度はエッジショットが厳しい言葉を言う。その言葉にミッドナイトが反論する。

 

「そもそもヴィランになったのは私たちが救けてあげられなかったからじゃない!自分の個性に苦しめられているのよ?」

「アイツは捕食を楽しんでいる!凶悪なヴィランに手を差し伸べるのがどれだけ無駄なことか貴方も知っているだろう!?」

 

 両者共感情が昂っているようだ。席から立ち上がって意見を衝突させている。

 

「だからそれは、」

「……それにアイツは最後俺たちに言った。

"自分は死ぬまで止まらない、殺してみろ"と、救済なんか求めていない。」

「それでも救けなきゃ!ヒーローなんだから!」

「喰種は被害者じゃない()()()なんだ!!」

 

 二人の勢いに周りも止めるが、どちらの意見も分かるからこそ具体的な言葉が出てこない。見かねた根津が窘める。

 

「二人共、そこまでだよ。このままでは解決しなそうだから今日はこれで解散なのさ。頭を冷やしてまた話し合おう。最後に資料をもう一回見せてもらえるかい?」

 

 根津は塚内にも聞いた。塚内も頷き、資料を一つ一つ机にならべて見せた。それを見ながら相澤、オールマイトが呟く。

 

「マスクでよく見えなかったがこんな顔をしていたのか。」

「戸籍を見る限り緑谷少年達(彼ら)と同い年か……」

 

 赤赤孿が捕食中に撮られたであろうその写真を見た。サラサラの癖のない金髪に血のように真っ赤な目を歪ませている。そしてその美しい容姿を台無しにする口元を汚す真っ赤な液体が写っていた。普通なら口元を注視しそうだが、オールマイトは彼の目が気になった。

 

「彼の瞳はいやに澄んでいるね……快楽殺人犯や精神異常者にありがちな混濁した瞳ではない。大罪を犯しながらも()()に生きてきた人間の目をしている。」

 

「死柄木弔の無邪気な邪悪さと赤赤孿の異常性、それが上手く噛み合って多くのヴィラン共の目には魅力的な悪意として映ってしまった。リーダーは死柄木弔のようですが、俺はこの赤赤孿の方が恐ろしい。」

 

 相澤の意見にオールマイトが頷き、そしてその場にいるヒーローたちも共感した。

 

「……同感だね。」

 

 ヒーロー達は配られた資料を改めて見返す。

 

(ヴィラン)名"喰種(グール)"___喰う種族、か。

 なんて言葉を名乗っているんだ……」

 

 その名前は自分の悲劇を受け入れているようにも感じた。凶悪なヴィランのはずなのに悲壮感が増す。

 

 

__対峙した時に自分は同情せず捕まえられるのか

 

 

 誰もが考えていたのに誰もその言葉を言うことはできなかった。言ってしまったが最後、自分達はヒーローとして、警察として、大人として、彼をヴィランとして見ることができなくなってしまうからだろう。

 

 狡猾で残虐なヴィランに同情してハッピーエンドを迎えたヒーローなど存在しない。そして、ヒーロー達は思い出した。

 ヒーローとヴィランは紙一重___悲しい運命を辿ったヒーロー歴の長い者たちがよく言う言葉を。だから、ヒーローは自分がヒーローでいるために赤赤孿を避けたかった。

 

 

 

___()()()()()

 エッジショットは会議室から出て、強い思いを秘めた言葉を呟いた。

 

ヒーロー(救う側)のままでは喰種は止められない。」

 

 

 

 

 

 

 

『先日雄英高校ヒーロー科の災害訓練施設で生徒たちがヴィランに襲撃を受けた事件の続報です。警察の調べによると犯人グループは自らを"敵連合"と名乗り今年春から雄英高校教師に就任したオールマイトの殺害を計画していたことが新たに分かりました。警察は72名のヴィランを逮捕しましたが、主犯格の所在は依然として分かっていません。

 ここからは雄英高校職員による会見の様子をお送りします。』

 

 昼のニュース番組、そして次は雄英の校長である根津が事件のあらましを説明している映像に変わった。そして、次の話は今回の事件で殉職したヒーローについてだった。

 

 

『Mt.レディ___素晴らしいヒーローでした。

 彼女の輝かしい人生は心ないヴィランによって絶たれてしまいました。しかし、彼女は最後まで悪に屈することなく生徒らを()()無事に守り切りました。私共は彼女に敬意を、そして必ずやヴィラン達を捕まえることを約束します!』

 

 

 

 

「まあ随分当たり障りのない会見って感じだな。」

 

 バーカウンターに座りながら会見を見ていた弔は言った。

 

「確かに俺たちの顔と名前出てないな。」

「君たちが悪の象徴(シンボル)となるのを防ぎたかったのだろう。」

 

 ソファに寝そべりながら会見を見ていた俺の疑問に先生が答えてくれた。

 

「先生って前から思ってたけど頭良いね。」

「ハハッ、僕にそんなことを言うのは君くらいだよ。」

 

 嬉しいのか不快なのか判断がつかないトーンで言う。

 

「しっかしいろいろ準備した割に殺れたのヒーロー一人だけだぜ?助けが遅けりゃもっと殺れたはずなんだ。」

「雑魚ばっかだったからな。」

 

 俺含めて!と元気よく手を挙げて発言した俺を弔は鼻で笑いながらテレビの電源を消した。

 

「悔やんでも仕方ない。今回だって決して無駄ではなかった筈だ。精鋭を集めよう!じっくり時間をかけて!」

「えー……またスカウトかよ?」

「そうだね、僕は動けない。だから君たちのようなシンボルが必要なんだ。

___死柄木弔、赤赤孿、もっと君たちという恐怖を世に知らしめろ!」

 

 そう言って先生もモニターから姿を消した。俺たちの雄英高校襲撃作戦及び実習はそれなりに平和に幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

___その()()はすぐに現れる

 高層ビルのスクリーンに映る雄英の会見を見た少女は呟いた。

 

「レンくん、早く会いたいです……!」

 

 

 

 

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