写輪眼と斬魄刀貰って白ひげの能力で現代に転生した人 作:パプリカ23
画面を見続けた瞳が少し疲れを覚えた。一瞬の隙に銃声が鳴り、画面上の自分がダウンする。
「あ、やられた」
今のは仕方がない
負けた
降りる順番が悪かった
どんまい
コメントがぽつぽつ流れる。背中を椅子に預けながら仰け反って惜しかったなと思う。
残り3チームで両側から狙われてしまった。上を取るべきだったかもしれない。反省が頭をよぎるが、深く考え込んでばかりは居られない。視聴者を飽きさせないように口を開く。
「んー…もう少しだったんだけど。ま、切り替えて次行こうか…あら?」
止まってる?
姐さん固まってるよ
次はいける!
また止まったよ
tmt
「またか、ぼろだから仕方ないけど…やっぱり困るな」
中古の配信機材は故障が多く、特に最近は良く止まっている。再起動してみるがどうにも調子が悪く、画面が動き出さない。いよいよ寿命かもしれないなと思いながらスマホで時計を見る。
もう夜の10時を過ぎていた。昼ご飯を食べて、正午からぶっ続けでやっている。
「ま、きりもいいか。今日はここまでにしよう。機材は何とかしてみる。みんなおやすみ」
おつおつ
おやすみー またね
エリーおやすみ
姐さんお疲れ様でした!
ヘッドセットを外すと頭が蒸れる感じがする。ぷるぷると首を振ってすっきりさせて、忘れないうちに電話を掛ける。数コールした後、飛び起きたような声がスマホから聞こえてきた。
「っはひ!何かありましたか!?」
「やぁ社長、今大丈夫?」
「あ、大丈夫、です。寝てただけです、もう起きますので」
「…もしかして、また夜勤?いい加減にしないと体壊すよ?」
眼鏡をかけなおす音がして、社長の声がはっきり聞こえるようになる。
「いえいえ!大丈夫です!…それより、何かありましたか?」
「あー…言いづらいんだけどさ、配信用の機材の調子がいよいよ悪くなってきてるんだけど…」
「あ、あー…はい…も、もうちょっと、お待ちください…ごめんなさい」
さもありなん。まあこっちも言ってみただけなので、あまり気にしていなかったりする。夜勤を入れてまでして借金を返している社長に、これ以上の要求もできまい。一応状況だけ伝えておく。
「いいよ、わかってたし。こっちはもう少し粘るから、金出来たら一番に買ってくれ」
「もちろんです!絶対に約束します!」
「んふふ…じゃあね、夜勤頑張って」
「っはひっ!頑張ります!」
威勢のいい返事を聞いて思わず笑ってしまう。通話を切って立ち上がるとお腹が鳴った。
「腹減ったな」
台所へ行って冷蔵庫を漁る。人参にじゃがいも、玉ねぎに牛肉の残りがあった。
「肉じゃがでいいか」
食材を出したら人参を手に持つ。慣れ切った感覚に身を任せて力を発動させる。手の平が細かく振動し始めて人参の皮が剥がれていく。ヘタの部分を人差し指でスパッと切る。
綺麗に皮が取れたらボウルに放り込む。人参が落ちる前に指で乱切りにしておけば終わり。切り口は美しく、繊維を潰さない。昔両親に高級割烹に連れて行ってもらったときに、職人の技術を写輪眼でコピーした経験が役立っている。
同じことをじゃがいもでも繰り返す。
玉ねぎは普通目に染みるうえ、匂いも付いて面倒だが、卓越した技術と覇気を纏う身体能力があれば難しくない、指で斬撃を飛ばして空中の玉ねぎをくし切りにする。
ボウルにたまったゴミはグラグラの実で粉砕してゴミ袋へ、粉々の方がゴミ袋を圧迫しない。
全部まとめて油を敷いた中華鍋に入れて、能力で加熱させながら炒める。グラグラの実のお陰でガス代が殆どでないのは、私の人生での数少ない利点の一つである。
肉を入れて炒めた後、鍋に水を張って指を少しだけ水の中に入れる。ぼこんと一回音がして、泡が浮いて湯気が出る。熱湯が出来たら、そこへ調味料を入れていく。引き出しを開けて酒とみりんと砂糖と…
「あれ?醤油がない……はぁ」
その段階で醤油が無いことに気が付いた。時計は10時半に差し掛かろうとしている。昼頃は雨が降っていたはずで、今はどうなのか知らない。少し探れば雨音はしていない。
「カレー………いや、もう肉じゃがの気分だから。醤油無しとかあり得ない…」
面倒くさくて萎えそうな気分を奮い立たせて財布を持つ。コンビニに売ってるだろうから、さっと行ってささっと帰るのだ。
「うわ、風つよい」
スニーカーを履いて玄関を出ると、打ち付けるような強風が髪を靡かせる。ただでさえ強い風が、6階建てのせいで更に強くなっている。フードを目いっぱいに被って、サングラスにマスク。いつもの格好でエレベーターへ向かう。
途中、廊下で三つ奥の部屋の男とすれ違う。大学生らしき男の目線が私の胸にいくのを感じる、努めて無視。すれ違った後に男が振り返って尻を見ているのが見聞色で解かる。
ああ、鬱陶しい…
男が乗ってきたエレベーターがそのままあったので、入ってボタンを押した。静かに閉まるドアを見ながら、私はどうしてこんなことになったのか思い出す。
突然、女神様が現れて。貴方を手違いで殺してしまいました。ごめんなさい!代わりに転生しても良いです!チート三つあげます!それに好きな性別、容姿で構いません!
こんな風に言われたら、まずはじっくり、しっかり、よくよく考えるべきだ。
決してすぐに反応してはいけないし、適当なチートを貰ってもいけない、ましてや絶世の美女になりたいだなんて、絶対に願ってはいけない。
現代社会に斬魄刀なんて欠片も必要ないし、万華鏡写輪眼は人生を台無しにする。グラグラの実?覇気?白ひげの能力なんて過剰すぎてほぼ無駄。
願っちゃいけないものを私は願い、それを女神は善意で叶えた。
せめてどこか超能力で溢れる、危険な世界に行けたのなら違ったのかもしれないが、幸いというべきか、不幸にもというべきか私は前世と同じ現代社会に産まれた。
違いと言えば、私の願った力の元ネタの漫画が無かったくらいだ。きっと女神様が私が力を振るいやすいように善意で変えてくれたのだろう。
女神は最後に、私に「楽しんでください」とそう言った。
エレベーターを降りたら、風の強い夜道を一人歩いていく。道中すれ違ったサラリーマンが私の身長に驚き、胸を見て驚き、最後に振り返って背中のラインを見詰めている。
顔を隠してこれなのだ。とどのつまり、最悪である。
別に男だけがこんな感じではない。女だって見詰めて来るし、なんなら女の方が遠慮せずに凝視してくるから質が悪い。何よりそれが見聞色で解かってしまう自分が憎らしい。
つま先でアスファルトをとんとんと叩く。ふわりと広がった振動が、覇気と混ざって周りの様子を私へ知らせる。
グラグラの実と見聞色は相性が抜群によく、エコーロケーションの要領で周辺を把握できる。
「ちっ…酔っ払いだ…」
道の先で酔っ払いの集団が飲み屋から出てくる。二十代前半の若者達が、10人程で大声をあげながら道を塞いでいる。何をやっているのか動き出す気配もない、あんなところを通ってしまえばナンパ、セクハラのオンパレードだ。
仕方がないので裏道を通ることにする。遠回りになる上、何度か質の悪いストーカーに狙われたことがあるが、直接手を出してくる相手は逆にやりやすい。写輪眼で操って交番まで全裸ランニングさせればそれで終わりである。
私は暗い街灯に照らされた、白と黒だけの夜道を独り歩く。
思えば、それでも幼少期は幸せだった。想像してみてほしい。待望の子供が産まれたと思ったら、その娘は産科病院にいた他のどの赤ちゃんよりも可愛い。しかもすぐに歩けるようになるわ、喋るのも早い、頭もいい。運動神経に至ってはずばぬけているどころの騒ぎではない。
おまけにいじらしい程に性格が良い。中身は大人なのだから、子供じみた我儘など言わない。
私なら大喜びである。私の両親も大喜びだった。褒められて調子に乗った私は小学生の頃、ありとあらゆる動画を見て、プロの試合を見に行って、全部コピーしていった。そしてありとあらゆるコンクールで、競技で、一位の座を欲しいままにしていた。
当然、テレビの取材がきたこともあったが、それは両親が断った。
「なんでテレビ断っちゃったの?」
「いい?やちる、貴方はもう少し周りを見てあげるべきよ」
「やちる。お前が私たちを喜ばそうと頑張っているのはわかっている、ありがとうな。でも今回だけは私たちの言うことを聞いてくれ」
あの時、私は不満たらたらだったが、今にして思えば英断だったと言わざるを得ない。愛すべき両親はどうやら私のことを私よりも解っていた。
切っ掛けは中学二年のときの50m走。人数の関係で私の相手は男子生徒に。
当時の陸上部でエースとして全国的に活躍していた少年だった。年齢の割に背が高く、顔も良かった少年は自身に満ち溢れていて、同じくらいの身長の私に勝負を仕掛けてくる。
「内葉やちるさん!こ、この競争で俺が勝ったら、君をか、彼女にする!」
独りよがりで下らない、超絶上からの宣言ではあったが、クラスメイトにはウケていた。
女子は絶対に勝ち目のない、死ぬほど凶悪なライバルが消えるかもしれない好機に、はしゃいで囃し立てる。
一方で男子は面白くなさそうな、でも何か私を攻略する糸口を掴めるかもと、微妙に期待した顔で少年を消極的に応援していた。
結果は言うまでもなく圧勝である。
見え切った茶番とそれを止めない担任に嫌気がさした私は正面からぶっちぎった。誰も文句のつけようがないほどの大差をつけて完勝してやった。
そして、少年が人目も憚らず号泣するのを見て、私は漸く自分の罪に気が付いたのだった。
少年の腕の振り方、足の運び、筋肉の付き方、どれも並大抵の努力で身に付くものではない。
それを、そんな尊い努力の結晶を、私は貰っただけの力で叩き壊した。
あのとき、誰も私を責めなかったが、私だけは私を責めた。
以来、私は家に引きこもるようになり、習い事も全て辞めた。唯一の楽しみは、能力がそこまで役に立たないゲームだけだった。笑える話である、こんな生活が嫌で求めたチート能力だったのに、それが原因で結局ここへ戻ってきたのだ。
両親は私を怒らず黙って養ってくれたが、定職を持っていないことだけは心配していた。10年程経ってから、私は申し訳なさから求人を漁り、適当に選んだVtuberの会社に面接に行った。Vtuberを選んだのは勿論引き籠れるからだ。
とんとん拍子で上京して、今のマンションに住んでいる。
その後、会社は問題が起きて傾いたが、別に金を求めているわけでは無かったし、社長を気に入っていたのでそのまま在籍している。
以上が、私のどうしようもない半生だ。
ふと、道の途中で違和感に気が付いた。通り道にある、大きめの橋の中央に女子高生だろうか、少女がぽつんと立っている。いや欄干に寄りかかっているというほうが正しい。
嫌な感じがして、少し足早に少女に近づく。少女は17くらいの年頃で、制服を着ている。
鼻の上のにきびが目立っていた。牧歌的な顔立ちというか、悪くは無いが芋っぽい感じ。化粧すれば化けそうだ、というか眉毛を少しいじればそれだけで随分と印象が変わるだろうな、と思う。
「何やってんの?」
私が声を掛けると少女はこちらを向いて、一瞬驚いた。
「っ!?……ほっといてよ…」
そりゃ、出来ることなら私もそうしたい、醤油を買いに行きたい。だが残念ながら、社会人としてそれはできないのだ。
「いやぁ、そりゃ無理だ。取りあえずそこから離れてくれ」
「何?…良い人でも気取ってんの?きもいしうざいから消えてくれない?」
「……」
このくらいの年頃の子供というのは、どうしてこう触るもの皆傷つけたがるのか。尖りすぎてて私の心から血が出た気がする…
「ふー…まあ、落ち着きなって。飛び降りても良いことなんかないよ?」
これは本当だ。少なくとも、投身自殺じゃ女神さまはやってこない。
「別に…飛び降りるなんて言ってないじゃん」
「そんな思いつめた顔して立ってたら誰だって解かるでしょ」
「………なんでも、持ってるやつが…私の気持ち…わかるかよ…」
悔しそうに俯いた少女がぽつぽつと小声で漏らす。ともすれば聞こえないような囁きだったが、如何せん見聞色とグラグラの実のお陰で耳が良いのだ。
「…何でも持ってたって、満たされてるとも限らないよ」
つい思ったことが口から洩れる。少女は弾かれたように私を見上げ、火を噴くように叫んだ。
「っ!…はっ、持ってるやつはみんなそう言うんだよ。偉そうに上からさ!そんなに言うなら全部捨ててみろよ!」
この少女は一体何を失ったのだろうか、高校生なんて意外と思い詰めやすいものだが、それにしたって尋常ではない迫力である。自分の言葉が全く響いていないことはわかったが、だからと言って見過ごすこともできなかった。
「あー…それもそうだな…偉そうに悪かったよ…そこから離れてくれると嬉しいんだけど…」
冷や水を浴びせられたようにすとんと、肩を落とした少女は下を向いて呟く。
「……まあ、もうそんな気分じゃないし、良いよ…」
意外と素直に少女は欄干から離れてくれた。怪しい動きに少し警戒するが、まあ少女の飛び込みを止めるくらいは簡単にできる。家まで送って、その後醤油を買えば良かろう。
少女の方へ手を差し出す。少女はじっと手を見た後、ぼそりと口を開いた。
「…ねえ」
「何?」
「もし、飛び込んでたら…助けてくれてた?」
「……私、泳げないんだよ」
悪魔の実の副作用で、私は泳げない。完璧だった小学生時代の唯一の欠点でもあった。少女はそれを聞いて力が抜けたように笑う。
「ふふ…」
「手、出して」
私が手を催促すると、少女は手を出して私の上に乗せた。安心してしっかり握りこむ。これで離せまい。念のため少女を見聞色で探るが自殺しようとは思っていなかった。
二人で手を繋いで橋を歩き出す。
「あ、ちょっと待って。連絡きた」
「え?ああ、わかった」
丁度半分ほど橋を渡ったところで、少女が残った手でポケットを漁り、スマホを取り出す。
両手でいじろうとするので手を離すと、少女がスマホを道路に滑らせた。慌てて目でスマホを追うと、丁度来た対向車がスマホを轢いた。
「あ゛っ!ちょ、スマホ!」
ばきりと音を立てて割れるスマホに意識が飛んで、私の意識が数秒程少女から逸れた。
振り返ると少女は既に欄干を飛び越えていた。落ちていく少女と目が合う。にたりと笑って闇に消えていく、どぼんと水に落ちる音がした。
「やられた……ふふ」
思わず笑いが零れる。まさか私があんな小娘に出し抜かれるとは、見聞色ですら見抜けないほどの精神の制御だった。
「やるなぁ、あいつ」
欄干に飛び乗って、川を覗く。金属の手すりをカツンと足で叩けば、手に取るように少女の位置が分かった。大雨で増水した川の中、少女はぐるぐる回りながら水の中を沈んで流れていく。
足に少しだけ力を込めて、空を駆ける。真上まで来たらそのまま川へと落ちていく。能力をここまで使うのは、それこそ中学以来だ。
ざあざあと流れている川に近づくと、川の水が私を避けて離れていった。私は水に弱いが、力を使って水を弾き出すことはできる。川が真っ二つに割れて、川底に着地する。少し先に少女が倒れていて、ごほごほせき込みながら、こっちを見ている。
「げほっげほっ、んぐ…な、何で…泳げ、ないって……」
まだ状況がわかっていないのか、霞がかった瞳で呟いている。
「泳げないとは言ったけど、助けないとは言ってないだろ?」
写輪眼が発動して、視界がクリアになった。見聞色と悪魔の実、写輪眼の効果であたりの水しぶき一滴、川底の小さな虫まで全部が手に取るように解かる。
万華鏡がぐるりと廻って右手の辺りで空間が捻じれる。刀が一本、掌の内に現れる。
「
鞘からぬるりと巨大な白いエイのような怪物が現れる。肉雫唼は少女へ一直線に向かっていき、一口で呑み込んだ。
川底から肉雫唼に乗って、岸へと移動する。釣竿を片手にぽかんとしているおっさんが居た。
「は?……え?何?…でか、あんた…おっぱい…」
「この状況でそれかよ」
とんでもなくスケベな親父だった。おっさんが私の顔をじっと凝視している。なんだ?手を自分の顔にやると長い髪の毛が絡まった。
「あ、フード脱げてる」
どうりでこんな状況にもかかわらず、肉雫唼じゃなくて私を見るわけだ。サングラスを外しておっさんと目を合わせる。
写輪眼が発動しておっさんの顔から意思が抜け落ちる。
「お前は何も見なかった。だろ?」
「…あぁ……」
「よろしい、今日はボウズだ。釣果無し、まっすぐ帰んな」
ふらふらと荷物をまとめて帰っていくおっさんを見送って、こつこつ地面を靴で叩く。周囲に他の人影無し。
「さて…」
「………」
振り返れば、いつの間にか肉雫唼から吐き出された少女が、じっとこちらを見ている。自分の髪が風に揺られて視界が遮られる。思わずマスクを外し、息で髪を吹いて払う。
「こんなの…」
「あん?」
「こんなことできる奴が……私……私は助けてなんて言ってない!どうせ裏切るんだ!捨てるくせに、恰好つけてさ!」
さあ困った。私はこの娘のことを何も知らないのだ。そして少女の言う通り、確かにこのあとどうするかなんて考えていなかった。写輪眼で記憶を消しても、またきっとここへやって来て飛び降りるだろう。
「んー…」
「お、お前なんか……どっか行け!私は…もう…ここで死ぬんだ…」
ただし、ただ一つだけ確かなことはある。こいつは私を出し抜いたのだ。
普通で、ありきたりで平凡なこの世界で、一片の曇りなく絶対に、最強であるこの私を。
だから、私はこいつを気に入った。
「何か勘違いしてないか?」
「ぇ…?」
「お前は今、自分の命を捨てたんだ。そしてそれを私が拾った。わかるか?小娘」
「な、なにが…?」
ゆっくりと近づいて、少女の顔に手をやった。
「お前の命はもう私の物なんだよ。私に従え」
眼も覇気も使っていなかった。ただ、このくらい言えばなんとなく彼女は折れる気がしたのだ。いや、ちょっとやりすぎたかもしれない。顔を真っ赤にした少女が息も絶え絶えに答える。
「は…はぃ……」
…まあ、上手くいったことにする。取り合えず彼女を攫うことにした。家庭環境が解らない以上、家へは帰せない。連れ込む様子を見られると面倒なので、収納してから帰ることにする。
「ちょっと静かに待ってて、すぐに出すから」
「え?」
少女の身体に触れて水を吹き飛ばしながら、刀と一緒に神威の空間に押し込んだ。肉雫唼に様子を見るように心の中で頼む。
ぱんぱんと自分の服を払ってサングラスとマスク、フードを被って顔を隠す。
さて。
「醤油買って帰ろ」
私の気分は肉じゃがなのだ。
知らない人のための用語
写輪眼(神威)…特殊な異空間に飛ぶことのできる瞳術。
斬魄刀(肉雫唼)…白いエイの怪物になる刀。口の中に入れた人を治療できる。
グラグラの実…振動を操ることが出来る能力。強い。