入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】 作:かりん糖さん
8話目です。
ようやく原作主人公と出会いますが、関わりは薄いです。
次話を書き始めていますが、展開が難しいですね。
では、8話目をお楽しみください。
5月1日HR前。
「おはよう!ひより」
挨拶をし席に着くと10万ポイントが振り込まれて居ないと騒ぐ生徒で教室内は溢れていた。
ひよりはそこまで驚いていないようで冷静に情報を分析していた。
龍園については平常運転で、山田アルベルトも落ち着いているように見える。
最も、サングラスの向こうがどうなっているかは分からないが。
原作でCクラスの参謀を勤めていた金田も黙って端末を操作し、考え込んでいるようだ。
石崎はポイントが少ないと周りの生徒と騒いでいるようだった。
「るーちゃんおはようございます。ポイントが4万9000ポイントしか振り込まれていないようですね。」
流石はひよりだ。
よく分かっていらっしゃる。
「そうだね、やっぱり10万貰えるなんて虫のいい話は無いよね。」
「はい、ポイントを節約しながら生活して良かったです。」
私の話に同意し、ポイントを残しておいてよかったとほっとしているようだ。
カフェで情報共有をせずとも影響は無かったかもしれないが、大切な友人の助けになっていれば嬉しいな。
しばらくすると、学校開始を告げるチャイムが鳴り響いた。
程なくしてポスターを持った坂上がやってきたが、どこか悔しそうな表情を浮かべており、お調子者の生徒も何も言えずに教卓に立つ彼を見つめていた。
「これより朝のホームルームを始めます。」
全員がこの事態に疑問を持っているようだが、話を黙ってきけるのであれば救いようがある。
隣りのDクラスからは茶柱に対するセクハラ紛いの発言が聞こえており、流石不良品といったところか。
Cクラスがここまでおちぶれていなくて良かったと、心から思った。
だがかなり暴力的な生徒が多いため、もしかしたらDクラスより、いや1年生で1番治安が悪いのはこのクラスかもしれない。
坂上は話始める前に黒板へポスターを貼り付けた。
ポスターにはABCDと記され、その横には数字が書かれており、各クラスに対する何かしらの評価と考えることが出来る。
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Aクラス 940
Bクラス 650
Cクラス 490
Dクラス 0
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最も私は転生者なのでこの数値の意味を知っているのだが、生徒の様子をうかがうと椎名と金田、そして龍園は何かに気づいているようだった。
逆に石崎や真鍋のような考えが及ばない生徒は、能天気に電子生徒手帳をいじったり、ネイルアートを楽しんでいるようだ。
「では──」と少しの間を置いてから坂上はせつめいをはじめた。
「この学校では、優秀な生徒達の順にクラス分けがされるようになっています。最も優秀な生徒はAクラスへ、ダメな生徒はDクラスへと。このクラスはCクラスなので、基本的にはDクラスよりは優秀で、A、Bクラスには劣る生徒が集まっています。」
この発言にクラスの半数以上の生徒が後悔したような、困惑した表情を示した。
流石の石崎も「やばっ」とつい零してしまったようだ。
「この紙に書かれた数値はクラスポイントと呼ばれ、このポイントに×100した数が、毎月一日に支払われるプライベートポイントになります。クラスポイントによってこれからクラス変動があります。この学園には希望する進路を叶えるという謳い文句がありますが、この幸福を享受出来るのはAクラスのみです。クラスポイントが他クラスのポイントを超えればクラス変動が置き、上のクラスに行くことが出来ます。」
原作で言われた知識と同様、変更点は内容だった。
ポイントについての説明を終えると龍園が口を開いた。
「おい、坂上。つまり本来あったはずの1000クラスポイントは4月のうちに490クラスポイントまで減ったんだろ?何故減ったんだ?」
坂上は龍園の口の利き方に対して嫌悪感をあらわにした。
「龍園、"坂上先生"だ。詳しい減点基準は人事部の管轄なので言うことは出来ない。だが遅刻欠席早退、授業中のサボりや電子端末の使用、漫画を読む等、礼儀を欠く行為は辞めた方が良い。法律で定められている事やイジメについて我が校は厳しく取り締まる。」
確か原作で茶柱も人事部がどうのと話していた気がする。
言えないと言いつつ、ほぼ答えを言っているようなものなのだが、これはセーフなのだろうか。
須藤事件で坂上は嫌な奴という印象が強まっていたが、自クラスの生徒に対してはかなり甘いのかもしれない。
ぼんやりと仇の片隅で考えていたら、坂上は新たにポスターを2枚貼った。
「この紙には各教科の各自の点数と平均が書かれています。我が校では定期テストで一科目でも赤点をとると即退学になります。この紙で赤線を引いてあるものは赤点扱いになります。しかし今回は小テストなので適応されません。」
この発言にクラス全体がざわつき始めた。
「中間テストが3週間後に控えてますから、しっかり勉強するように。テスト範囲については──」
3週間後の中間テストに関しては過去問があるのでどうにかなるだろう。
改めて黒板に貼られたポスターから自分の名前を探すと、どの科目もクラス順位は1位を取れているようで安心した。
ひよりの名前も私の下か同率1位となっているので問題は無さそうだ。
その下に金田がおり、それ以下は少し点数が離れているようだ。
龍園の名前はだいたい半分くらいにおり、成績は多少気をつけていれば赤点になることは無さそうだった。
それよりも石崎や真鍋、諸藤、小宮は赤点候補として線が引かれていた。
アルベルトは英語は満点だが国語と社会が低く、少し頑張った方が良いだろう。
坂上が一通り話し終えると、放送が流れ始めた。
『全校生徒の皆さんに、生徒会からお知らせします。本日の現時刻から皆さんの端末に、生徒会承認済みの新たなアプリがインストール出来るようになりました。本アプリはネットバンクとして、皆さんのポイントの貯蓄に御活用できます。手数料を一部支払うことになりますが、詳しい説明は利用規約に書かれています。個人だけでなく団体としての口座も作ることが出来ますので、幅広く御活用して頂ければ幸いです。以上、生徒会からのお知らせでした。』
このアプリの有用性についてどれ程の人が理解しているのだろうか。
クラスでの徴収が簡単に出来るという事が最大の利点だ。
そしてクラスリーダーに対しての信用が無くとも、お金を一箇所に纏めることが出来るため、上級生の多くとBクラスは利用してくれるだろう。
そこまで大きな利益が手に入る訳では無いが、何人が利用してくれるのか楽しみだ。
放送が終わり坂上が教室から出ていくと龍園が教卓の前に立った。
「いいか?今日から俺がこのクラスの王だ。逆らったら許さねぇ。」
「んだと?このクラスのリーダーは俺だ!うおおおっ!」
石崎が龍園に殴りかかるが、龍園羽虫を追い払うように石崎を沈めた。
「弱えな。」
次にアルベルトが殴りかかると龍園は吹き飛ばされた。
クラス全員がアルベルトの強さに顔を引き攣らせていると、龍園はふらつきながらも立ち上がりアルベルトに殴りかかった。
勿論結果は惨敗だ。
石崎は呆然と2人のやり取りを見ていた。
この日から3日後、このクラスの王龍園にアルベルトが下り、龍園が1人2万円ずつ徴収することになった。
反発していた伊吹もしぶしぶといった感じで龍園に従うことになった。
時任は最後まで反対していたが、暴力に恐れて反発姿勢は崩さずに2万円を渡した。
ネットバンクの利用者は420人と多くの生徒が利用してくれている。
多くの手数料が手に入り、懐が潤っている。
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5月に入ってからは、生徒会長の暴行シーンやブラック櫛田の映像と音声をUSBに移し、捨てアドから脅すことにした。
テストの近いとある放課後、一之瀬とひより白波と神崎と勉強のため図書室に向かった。
ひよりと図書室に向かう途中、同じく図書室に向かう一之瀬達に出会い、せっかくだから一緒に勉強しようという話になった。
原作では人付き合いの苦手な神崎が、共に勉強することに賛成するとは思わなかったのでちょっとびっくりした。
窓際の席について各自自習を始めて30分程が過ぎた頃、突然騒がしくなった。
恐らく原作の図書室での須藤事件その①だろうな。
「どうしたんでしょう?」
ひよりが訝しげな顔で疑問を口にした。
その言葉に一之瀬や白波、神崎も頷いた。
「騒がしいよね。」
入り口付近のテーブルを見ると複数の生徒が言い争っていた。
Dクラスからは綾小路、堀北、櫛田、須藤、池、山内の6人。
Cクラスからは山脇とその友人の2人。
8人が同時に何か話せばそりゃ目立つしうるさくもなる。
「上等だかかってこいよ!」
「やめろ須藤」
須藤が大きな声で吠えると周りの生徒も迷惑そうにして、図書室から去る準備を始めた。
須藤を綾小路が止めようとするが、須藤は今にも殴りかかりそうだった。
図書館教諭の先生も留守にしているようで、ストッパー役は不在のようだ。
池や山内須藤を応援するようにCクラスの山脇達を睨んでいる。
少し様子を見てから、一之瀬が立ち上がり止めに行くようなので、私も自クラスの生徒を止めることにした。
一之瀬の後をついてDクラスの方へと向かう。
「はい、ストップストップ。」
「んだテメェ、部外者が口出すなよ。」
須藤の手が止まり、一之瀬に注目が集まる。
「部外者?この図書館を利用させてもらっている生徒の一人として、この騒ぎを見過ごす訳にはいかないの。もしどうしても暴力沙汰を起こしたいなら外でやって貰える?」
優等生らしい言動に図書室を静かに利用していた生徒たちが次々に頷いた。
そして私も山脇ともう一人のモブクラスメイトに声をかける。
「山脇君達もあんまり大事にすると龍園君に何言われるか分からないよ?Dクラスの皆さん、うちのクラスメイトが御迷惑をお掛けしました。」
「お前Cクラスなのか?」
須藤の声に頷く。
山脇達も周囲を見渡すと、多くの生徒の注目を集めていることに気づいてか素直に謝ることにしたようだ。
「わ、悪ぃ、一之瀬、小代。そんなつもりは無かったんだ。」
「もう行こうぜ、こんなとこで勉強してたらバカが移る。」
2人はそそくさと図書室を後にした。
「君達も勉強するなら静かにやろうね!以上!」
私と一之瀬が元いた席に戻ろうとすると、櫛田に声をかけられた。
「一之瀬さん、瑠奈ちゃん。ここがテスト範囲外って本当?」
ページを開きながら質問をされた。
私達はページを確認すると、顔を見合せて驚いた。
どうやら原作同様、茶柱はクズらしい。
「うん、1週間前にテスト範囲の変更がされたよ。茶柱先生は何か言ってないの?」
「うちのクラスも帆波ちゃんと同じだね。」
「それは本当なの?ええと...」
堀北が名前を聞いてきたので名乗ることにした。
「あ、ごめん。私はCクラスの小代瑠奈。こっちはBクラスの一之瀬帆波ちゃん。宜しくね。」
「一之瀬帆波です。宜しくね。」
「宜しくしないわ。それで一之瀬さん、どうなのかしら?」
私の方は見向きもせず、一之瀬に質問をしたのが若干気に食わない。
「うん、フランシス・ベーコンのページは出題範囲外だよ。ね?瑠奈ちゃん」
にこりと微笑んで私に確認する一之瀬とは大違い、さすが女神様だ。
私も同じように「そうだね」と堀北に向かって話すと、彼女は「感謝するわ、一之瀬さん」と言ってDクラスで話し合いを始めた。
若干イライラしながら一之瀬と共に元いた席に戻ることにした。
私のイライラに気づいたのか、一之瀬が心配そうに話しかけてきた。
「大丈夫?瑠奈ちゃん」
「うん、大丈夫。少しくらい私に対してリアクションしてくれてもいいのにね。」
Cクラスだから警戒しているのかもしれないが、無視する必要は無いだろう。
私の中で堀北の評価がガクッと下がった気がする。
「うん、ちょっとスルーされて悲しかったな。」
顔に出さないようなんとか笑顔を作ったが、一之瀬には無理をしているように見えたようだ。
「そうだよね、今度そんなことがあったら私がちゃんと言うからね!もう大丈夫だよ!」
落ち込んでいるように見えたのだろうか、顔に感情が現れてしまうのは直さなくてはいけないかもしれない。
「るーちゃん大丈夫ですか?」
「瑠奈ちゃん大丈夫?」
白波と日和と神崎にも顔色を心配され、ついついため息がこぼれてしまった。
何があったのか伝えると、2人ともDクラスに対して静かにヘイトを募らせているようだった。
ほぼ初対面の神崎に心配されるのなら、私はさぞ酷い顔をしていたのだろう。
本当に気をつけないとこの学校でやっていけないな。
自宅に帰ると、神室からのメッセージに返信をした。
『今日坂柳派はプライベートポイントの一部を坂柳の口座に徴収することになった。葛城派も葛城が一部プライベートポイントを回収してるのを耳にしたよ。中立派は石田を筆頭にグループ内で徴収してるみたい。あとテストは坂柳が一位、2位が葛城、3位が石田、4位が矢野、でそこから7位まで中立派が続いてる。中立派は葛城派と坂柳派の生徒より成績が優秀な人が多いみたい。』
一分後に追加でメッセージが届いた。
『後こ口座アプリは坂柳派葛城派中立派の全員が利用してる。中立派の勢力が少し拡大して、もう石田派って呼んだ方がいいんじゃない?これ。』
上記の内容のメールが送られてきた。
確かに中立派と言いながら立派なグループが出来ているため、石田か矢野がクラスリーダーとして立候補してもおかしくないだろう。
『了解。引き続き、3派閥についての情報よろ。』
その後神室からは可愛らしい有料スタンプが送られてきた。
私は無料の猫のスタンプを返した。
さて、そろそろ頃合いだろうか。
Aクラスへ上がる準備を始めよう。