入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】 作:かりん糖さん
葛城と坂柳、中立派の強化モブの石田はどう変わっていくのか。
クラス内の対立、他クラスへの対抗、王者としての心構え。
あと数話で無人島試験が始まります。
書いていてとても楽しいです。
過去が現在に影響を与えるように、未来も現在に影響を与える。
by フリードリヒ・ニーチェ
全員の契約書を真嶋に渡し、全員に控えは後日PDFでメールに添付して送信する事を伝えた。
「みんな契約してくれてありがとう。さて本題に入ろうか。」
私は神室に先月見せた昨年のクラスポイントの推移を示したグラフを黒板に貼り付け、クラスメイトにコピーしたものを配布した。
「このグラフって昨年の1年生のクラスポイントか?」
「そうだよ、戸塚君。皆に注目して欲しいのは赤丸で囲ったここ。」
一年BクラスのクラスポイントがAクラスのクラスポイントを大幅に上回っていることが分かる。
ここから読み取れる事はBクラスがAクラスに下剋上したという事。
「なるほど、半信半疑だったけどこれで分かった。今の2年Aクラスは元一年Bクラスなんだな。」
中立派の石田の発言に生徒達の表情が暗くなった。
「俺は生徒会の役員として2年や3年の生徒と関わる事もあるが、現2年Aクラスのリーダーは生徒会副会長の南雲雅先輩だ。」
葛城の発言に弥彦が「流石です葛城さん!」と騒いでいるが、葛城のひと睨みで黙らされていた。
5月の中旬頃葛城と一之瀬は生徒会入りを果たしており、葛城は派閥の長たる実力をクラスに示している。
対して坂柳派は坂柳がテストで示す以外に、大きな功績は何一つ立てなられていない。
だからか、坂柳は葛城の言葉を食う様に更なる情報をクラスに開示した。
「聞いた話では、南雲副会長は2年生の全クラスからプライベートポイントを徴収していらっしゃるとか。2年生の支配をされている南雲副会長は堀北会長同様、この学校では頭一つ抜けた優秀さをがあるそうですね。」
「うん、私も彼については調べてるよ。でも今は南雲先輩の事は置いておこう。私はこの下克上が身近に迫っている事に危機感を抱いて欲しいんだ。」
「どういう事だ?」
弥彦の成長は精神面のみのようで自分で考えようともしない。
まあ、ウザさが少しマシになっただけでも良しとしよう。
「今の私達一年生のクラスポイントを思い出してみて欲しいんだ。」
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Aクラス 1054
Bクラス 720
Cクラス 620
Dクラス 87
ーーーーーーー
「思い出してって言われても、他のクラスと差はあるよ?Dクラスなんて1000ポイント近い差が出来ているし。」
坂柳派の女子生徒の言葉に多くの生徒が賛同しているが、坂柳と葛城、石田は冷めた目をしていた。
「皆さんそれは違います。」
「ど、どういうことですか?」
思いの外低い坂柳の声に騒いでいた女子生徒が恐る恐る尋ねる。
確か彼女は坂柳派の生徒だったか。
「小代さんがおっしゃっているのは、AクラスとBクラスのクラスポイントの差を確認しろ、という事ですよ。私達Aクラスは他クラスに追われている身であり、ポイントが最も近いBクラスが私達を脅かす存在だという事です。グラフを見る限り8月に全クラスのクラスポイントが増加していますし、何かあるんでしょうね。」
「坂柳の言う通りだ。このまま定期考査や普段の生活態度を継続するだけでは足りない。昨年の下剋上のタイミング的に何かクラスポイントを賭けたイベントが起きている可能性が高い。そのイベントをクリアし続けなければ、他クラスに負けてしまうだろうな。」
坂柳と葛城の発言で両派閥の生徒も真剣な顔付きに変わった。
あの弥彦ですら苦い顔をしている。
弥彦は坂柳の発言に噛みつきたいが、葛城が彼女の発言を認めているから出来ないのだろう。
「だが、ポイントを賭けたイベントとなると団体戦か?」
「はい、恐らく団体戦だと思われます。」
石田の疑問に坂柳と葛城が頷いた。
少しの間を置いて石田が絶望的な言葉を口にした。
「なら間違いなくウチのクラスはBクラス以下に降格するだろうな。下手したらDクラスよりも劣っているかもな。」
「はぁ?なんでだよ?石田」
弥彦が席を立ち上がり石田に詰め寄った。
石田は弥彦から視線を外しながら溜め息を吐いな
「弥彦、落ち着くんだ。すまないな、石田。」
「いや、大丈夫だ。…少し考えれば分かる事だ。ウチのクラスは2つの派閥に別れている。どちら側に着くか決めかねている中立側の人間もいる。この状態で団体戦を行う場合、坂柳と葛城は方針が違うから協力は困難だ。足の引っ張り合いが起き、裏切り者も出てくるかもしれない。」
石田の言葉はAクラスの生徒に響いたようで、多くの生徒が石田の言葉に耳を傾けている。
弥彦も否定できないと分かって大人しくなってくれた。
「中にはクラスを見限って他クラスに情報を流したり、他クラスと組んで敵対派閥を失墜させるなんて事もあるだろうな。そして、内紛が起きれば、他のクラスに付け入る隙を与える事になる。」
原作の橋本や坂柳が行っていた事だ。
この世界線でも充分あり得る。
「石田君の意見は可能性として有り得る。だからその話もしておきたかったんだけど、石田君に全部言われちゃった。」
「流石だな優介」
「流石ね。」
中立派の明るい男子生徒と小春が石田を称えた事でクラス内の殺伐とした雰囲気が大分和らいだ気がする。
「さて、今後出るかもしれない裏切り者への牽制も出来た事だし、本題に入ろうか。」
鞄から大きなポスターを取り出し、グラフの横に貼り付ける。
ポスターの内容がコピーされたプリントを配布し、内容を読み上げる。
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《無人島試験のルール》
【基本ルール】
・各クラスは1週間、無人島での集団生活を行う。
・テントや衛生用品は最低限配られるものの、飲料水や食料、トイレなどは試験専用の300ポイント(クラスごと)で購入する必要がある。
・専用ポイントは試験終了後、クラスポイントに変更される。
【追加ルール】
・島の随所に「スポット」と呼ばれる地点があり、占有したクラスのみ使用可能になる。
・スポットは専有する度に1ポイントのボーナスがある。
・スポットの占有は8時間のみ。切れた場合、更新作業が必要となる。
・スポットの占有には、リーダーとなった人物が持つ「キーカード」が必要となる。
・正当な理由なく、リーダーを変更することは不可能
・最終日、他クラスのリーダーを当てる権利が与えられる。当てれば1人につき+50ポイント、外せば-50ポイント。
・逆に、リーダーを当てられてしまった場合、-50ポイント
【禁止事項・ペナルティ】
・体調不良や大怪我によって続行できない者は-30ポイント+リタイア
・環境を汚染する行為は-20ポイント
・毎日午前・午後8時に行う点呼に不在の場合、1人につき-5ポイント
・他クラスへの暴力行為、略奪行為、器物破損などを行った場合、そのクラスを即失格+対象者のプライベートポイントを全没収
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ルールを読み上げるのも一苦労だ。
クラスの様子を確認すると大半がプリントと睨めっこをしている。
坂柳だけはプリントでは無く私を見つめているがもうルールは頭に入ったのだろうか。
葛城や石田といった成績上位者ですらまだプリントを読み込んでいる最中だというのに、坂柳の理解力は化け物級らしい。
それから約3分程経過した頃、全員が顔を上げ私の方を向く。
真嶋の方へアイコンタクトを送ると静かに頷いてくれたので、本題について説明を始める事にした。
「皆読み終わったかな?皆に配布したプリントは私達一年生の初めての特別試験の内容だよ。試験は夏休み中の8月上旬に行われるそうなの。」
私は彼女の方を向いて語り掛けた。
「──────そうだよね?坂柳さん。」
「ど、どういうことだ?なんで姫さんがこの試験を知っている前提なんだ?」
橋本が理解出来ないと坂柳と私の顔を交互に見て深いため息を吐いた。
「ふふふ、小代さんはよくお気付きになりましたね。それとも、その情報もポイントで買われたのですか?」
「ポイント?…まさか、小代は特別試験の内容をプライベートポイントを使って買ったというのか?」
坂柳は女優もゾッとする程美しい笑みを浮かべて挑発してきた。
葛城はすぐに坂柳の発言の意図を理解し核心をついた。
「御名答。この試験内容を私は35万プライベートポイントで真嶋先生から買ったの。坂柳さんが知っているかどうかは、試験内容からの推測。試験を受けるなら早い段階で検査とか診察を受ける必要があるだろうし、真嶋先生との相談は必須でしょ?」
「35万?」
「なんでそんなポイント持ってるんだ?」
「そんなものまで買えるなんて…」
クラス内はざわついているが、流石Aクラスといったところか。
すぐに状況を理解し落ち着きを取り戻してくれたようだ。
「小代さんの想像通りですよ。私はこの試験には出席出来ません。一週間ほど前真嶋先生と主治医の方と三者面談を行ったのですが、発作が出る恐れがあるそうで、今回の試験は不参加となります。クラスの皆さんにはご迷惑をおかけします。」
やはり原作通り坂柳は不参加らしい。
このままだと、坂柳派の裏切りと葛城が龍園との不公平な契約によりこの試験は荒れてしまうだろう。
だがこの試験を葛城が知っていれば、270ポイントでのやりくりや戦略も変わってくるはずだ。
あの時は試験も知らなければ、坂柳の不参加で不利益を被ることすらも知らなかったのだから。
「真嶋先生、先生は試験内容を買った時『試験に関する質問があれば答えよう』とおっしゃいましたよね?」
「ああ。我々教員はこの試験への協力やアドバイスを禁止されている。だが、試験を進める上での質問には答えよう。」
「では先生、坂柳さんが不参加となった場合リタイア扱いになりますか?」
「リタイア扱いとなり、300ポイントから30ポイントが引かれることになる。」
この発言にはクラス中が、主に葛城派の生徒が理不尽だと不公平だと文句を垂れている。
その様を坂柳は不敵な笑みを浮かべて楽しそうに観察していた。
全く、悪趣味な女王様である。
「先生、坂柳さんの不参加は覆ることはありませんか?」
「彼女の主治医と相談をした結果、無人島での生活は困難だとドクターストップがかかったんだ。」
無人島試験において、30ポイントは大きい。
それに船上試験も控えているのだから坂柳にはそちらだけでも参加して欲しい。
だが現段階で船上試験の話を出すことは出来ない。
私が買ったのは無人島試験の内容のみだから、今出来ることは坂柳の許可を取り参加枠を買うか、試験の邪魔をさせないことを坂柳派に契約させるか、あるいは…
「坂柳さん、貴方は特別試験に参加したい?」
「そうですね…」
予想外の質問だったのか坂柳は即答せず考えるように目を閉じた。
全員が彼女の言葉を待っている。
「心情としては参加したいです。初めての特別試験ですからね。ですが、戦略面や理論的な面ではお役に立てるでしょうが、生活面では介助が必要となりますし使い物にはなりません。寧ろご迷惑をおかけしてしまいます。」
まあ、そりゃそうだろう。
彼女は生まれながらの天才であるが、先天性の疾患を抱えている。
彼女は皆の出来る当たり前が出来ない事、特別扱いを受ける事に対して悔しさを感じているはずだ。
これは本心なのだろう。
この試験で幾ら葛城派を陥れる事が出来たとしても、試験に参加できなかったという事実は残る。
仕方ないこととはいえ、Aクラスを不参加という形で不利にしているのは他でもない坂柳有栖なのだから。
「葛城君はどう思う?」
「俺か…」
葛城は誠実な男だ。
それはこのクラスで生活していれば誰でも分かる事だろう。
派閥関係なく彼の性格や態度を嫌う人間はほぼ居ない。
坂柳の身体的な問題は派閥関係なく今後も問題に上がるはずだ。
直近だと体育祭が例に上がる。
「昨日までの俺ならば坂柳が参加しなければ自派閥の成果を出し、勢力拡大に動いていただろう。」
そうだ、原作で葛城は無人島試験で結果を残そうとした。
そして失敗した。
「だが小代の話を聞いて、無人島試験で坂柳派の生徒が俺を失墜させる為の裏切りをする可能性を知った。」
葛城は自席から立ち上がり坂柳の前へ向かった。
この行動に坂柳派の生徒は警戒体制に入り、葛城の行動を注意深く観察し始めた。
「坂柳、俺はこの試験クラス全員で勝ちに行きたい。」
「ふふ、ついに私に降ることを決めましたか?葛城君。」
余裕そうな声音とは裏腹に、坂柳の表情は困惑しているように見える。
だがそれも無理は無い。
このクラスで葛城の行動に困惑しない人間は一人も居ない。
真嶋先生ですら手に持っていたバインダーを落とす程呆気にとられている。
弥彦なんか涙目で今にも叫び出しそうだ。
ちなみに私も彼の行動には驚いた。
だって突然坂柳に向かって頭を下げたのだから。
照明の光が葛城の頭に反射して眩しい。
葛城は発光した。
石田優介
所属 1年Aクラス
学籍番号 S01T002124
誕生日 6月7日
【学力】 A
【知力】 B
【判断能力】 A−
【身体能力】 B
【協調性】 B+
【面接官からのコメント】
文武両道で真面目な生徒だ。
数学試験では満点を記録し、その他の科目でも高得点を叩き出しており非常に優秀な生徒だ。
人格的にも優れており、Aクラス配属とする。
【担任からの一言】
数学に関しては学年一とも言われる坂柳有栖や小代瑠奈以上の力を持っていることが伺えます。
クラスを支える柱として、生徒をサポートをして欲しいと思います。
干支試験でどのグループに入る小代ちゃんを見たいですか?
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リーダーグル
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美少女グル
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リーダーと山内グル
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参謀グル