入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】   作:かりん糖さん

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今回のお話は真嶋先生の回想になります。
担任から見た小代瑠奈とはどういう人物なのか。
若干勘違いも入ってますが楽しんでくれたら嬉しいです。
そして、今回の話に百恵ちゃんが選ばれた直接的な理由が出てます。
ものすごく短いですが、理由を探しながら読んでみると面白いかもしれません。


13.5話 ①side:真嶋

side:真嶋

 

 

もちろん、生まれつきの能力の問題も全く無視はできない。それでもやはり、これはおまけみたいなものだ。絶え間なく、粘り強く努力する。これこそ何よりも重要な資質であり、成功の要といえる。

by トーマス・エジソン

 

 

 

 

人は平等か否か。

俺の答えは不平等だ。

 

 

単純に生まれ持った才能の差でランク付けられてしまう。

どんなに努力をしてもgiftを持った天才達とは根本から異なる。

 

 

それが性質によるものなのか遺伝によるものかは些細な問題であり、重要なのは才能を持っているかどうかだ。

高度育成高等学校に入学してから、そこで教師となってから、様々な人間を見てきた。

 

 

奇天烈な発想を持つ天才、他者の追随を許さない天才、天才に抗おうとする秀才、自堕落に過ごし退学してゆく凡人、権力に手を伸ばしその身を変えた暴君。

他にもありとあらゆるタイプの変人奇人凡人賢人を見てきた。

 

 

Aクラスで卒業するものには大なり小なり才能があった。

勿論リーダー頼りでAクラスを維持した者もいるが、この学校では出来る者と出来損ないが明確に組み分けられている。

 

 

稀に起こる下剋上だってたまたま集まった者の素質が近かったからに過ぎない。

だが別に努力を批判している訳では無いのだ。

 

 

意図していてもしていなくとも向上の為の努力は報われる事が多い。

特にこの学校ではそれが顕著だ。

 

 

こういう者を努力の天才だという人間もいたな。

果たしてその成績は才能によるものなのか、努力が報われた結果なのか。

 

 

それはきっと彼らの今後の人生で判明する。

努力にだって限界はある。

 

 

だからこそ俺は一人の女子生徒に興味を持っていた。

入学して数日で1000万プライベートポイントを貯めたCクラスの生徒、小代瑠奈。

 

 

実力はAクラス相当のものだが、協調性が低くとある事件に巻き込まれ、一時期は精神を病んでいたそうだが、ある日突然事件前の彼女に戻ったそうだ。

医者の話では、自分の心を守るため辛い事件の記憶を忘れているという。

 

 

この事実は中学2年時の学年末試験後の事情聴取で判明しているそうだ。

学校生活に支障もないため現在は経過観察のみが担任に求められている。

 

 

そんな彼女がAクラス相当の実力を次々と発揮し、6月1日ついにAクラスの生徒となった。

1日の放課後、彼女はAクラスのリーダー候補の坂柳と葛城、中率派の矢野と石田、Bクラスの一之瀬とCクラスの龍園、彼らの側近を集めて自身の有用性と価値について説明したそうだ。

 

 

彼女はAクラスに来るまでの間、生徒会公認のアプリを開発している。

噂では他にも商売に手を出しているという噂もあるが真偽は不明だ。

 

 

しかしプライベートポイントは語っている。

公認アプリの手数料の他、毎月額は変わるが多くのポイントが彼女の懐に入っている。

 

 

そして7月、小代瑠奈は新たに二つの契約を結んだ。

 

 

一つ目はCクラスの暴力事件の映像をバラさない代わりに、Cクラス全員から毎月2万ポイントを徴取するというものだ。

一時的に大金を得るのではなく長期的に少しずつポイントを徴取するというアイデアは秀逸だ。

全員から、という事もあり毎月80万プライベートポイントを獲得する事が出来る。

 

 

龍園としては証拠提出によるクラスポイントの減少を気にしたのだろうが、これは悪魔の契約だ。

 

 

二つ目の契約は次の特別試験の内容を買うという契約だ。

契約というより取り引きというべきなのだろうが、今回は特別試験の内容をバラす事が出来ないので契約の扱いになる。

 

 

『真嶋先生、私達が初めて行う特別試験の内容を教えていただけますか?』

 

 

『こんな質問をされたのは初めてだな。特別試験の内容は試験まで伏せる事が決まっている。』

 

 

『では幾らで教えて頂けますか?』

 

 

入学式の日、この学校にはポイントで買えないものはないと説明した。

これは全クラス共通だが、そこに疑問を持つ生徒は少ない。

 

 

5月1日にSシステムの説明を行う時にクラス移動に必要な額も説明される。

ポイントで買える物には権利や点数、出席や過去の情報と斜め上の発想をしないと思いつかない様な物も挙げられる。

 

 

そして勿論特別試験に関する事も場合によってはプライベートポイントで買う事が出来る。

だが特別試験の内容を試験を経験する前に購入しようとする者は初めてだ。

 

 

ひとまず彼女の目的を確認しよう。

 

 

『回答する前に質問に答えて欲しい。小代、君は試験の内容を知って何をするつもりだ?』

 

 

『試験の内容を知ったらそれをクラスメイトに伝えます。今のクラスは二つの派閥に分かれており、協力が求められる試験ではAクラスは不利です。クラスに纏まりを持たせる為の対策を施したいと考えています。後は単純に試験の戦略をあらかじめ練っておきたいんです。皆で考えれば良い案が見つかるはずです。』

 

 

まあ、予め試験の戦略を考えるために試験内容を買う生徒はたまにいる。

だが派閥が出来る事の弊害について考えこの結論に至ったのならば彼女の頭脳は一級品という事なのだろう。

 

 

『他にも試験によっては身体的都合により参加出来ない者が出るものもあるかもしれませんよね?その場合Aクラスは不利になる。特にリーダー不在だと側近達が暴れ回る可能性もあります。これらを防止するために試験内容を知りたいんです。』

 

 

驚いた。

 

 

小代はAクラスに来たばかりだが、クラスの内情をよく理解している。

それだけでなく、現状の打開策を考え行動に移そうとしている。

 

 

試験の内容も予想し、身体的問題を抱える生徒(恐らく坂柳)な事を思いやりながらも派閥問題について考えている。

まだ試験を経験していないのによく思いついたものだ。

 

 

だが残念な事に試験内容を知っても、それを第三者に話す事は禁止されている。

だからこそ、試験内容を買う者には契約が義務付けられているのだ。

 

 

『小代の考えは分かった。試験内容については15万で売る事が出来る。ただし、この内容を第三者にバラす事は禁止されている。この取り引きを行う場合契約が義務付けられている。ここまで言えばわかるな?』

 

 

小代は俺の言葉に俯いた。

彼女は暫くすると俺を見上げた。

 

 

彼女の瞳には強い光が宿っていた。

 

 

『試験内容をクラスメイトのみに教える権利、いくらで買えますか?』

 

 

『は?』

 

前代未聞の権利を買おうとする小代に驚くと同時に得体の知れない恐怖を抱いた。

これは前例のない契約になるため即答する事は出来ない。

 

 

小代には上と確認を取ると言ってその場は別れた。

俺はこの日契約を通すため、初めて坂柳理事長と交渉をした。

 

 

結果、俺の一ヶ月分の給料の減額と引き換えにこの権利をもぎ取った。

その代わり、この権利を売買した事は俺と小代、理事長と一年Aクラスの生徒のみの秘密となった。

 

 

Aクラス全員に説明前に契約させる事を小代と約束し、破格の20万円で権利を売った。

給料の減額は正直のところかなり痛いが、それよりも彼女の発想力は上を行く。

 

 

彼女の資金力、交渉力、学力、斜めうえの発想力はAクラスにとって大きな武器となる。

 

 

彼女は一ヶ月間でAクラスに溶け込み、中立派の矢野や六角と共に行動していた。

彼女はAクラスの中立派の生徒の主催する勉強会にクラス移動前から参加していたらしく、中立派内では参謀に該当するであろう地位についている様だ。

 

 

そういえば中立派の生徒はこの一ヶ月で大きな成長をした。

元々石田や矢野は成績は優秀だが穏やかな生徒で、どちらの派閥につくか迷っているため中立派だと名乗っており、平和主義者だった。

 

 

しかし、小代が来てから何故だか突然坂柳や葛城の討論に参加したり、話し合いの場では中立の代表のように振る舞う様になっていた。

そしてこの流れはクラス全体に広がり、石田派などと揶揄される程の地位を二人は手に入れた。

 

 

クラスの話し合いに中立派の代表として参加する内に、彼ら二人が本来持っていたリーダーシップや統率力が引き出され、中立の観点から見える視野を用いて葛城や坂柳の次点の地位を築いている。

そう、彼ら二人は議長と副議長の様な存在へと知らぬ間に昇格していたのだ。

 

 

彼ら二人を成長させたのは恐らく小代だろう。

彼女開催した話し合いの場で彼女はクラスを一つに纏めて見せた。

 

 

一見葛城と坂柳が歩み寄った様な光景は緻密な計算を得て生まれている。

それもたった一人の生徒の手によって。

 

 

そしてあの話し合いで彼女は葛城を変えた。

 

 

人は苦境に立たされると選択を迫られる。

葛城は彼女の話を聞いて坂柳に歩み寄るという選択をした様に見える。

 

 

だが実際葛城は脅されたのだ。

小代瑠奈に。

 

 

クラスポイントも下がるし、坂柳は試験の邪魔をするし、葛城派もどうなるか分からないけど、派閥を優先する気かと。

 

 

小代瑠奈はそこまで考えて葛城を追いつめた。

後ろには崖しかない。

元から選択肢は一つだった。

 

 

葛城の選べる選択は試験中の同盟のみ。

 

 

彼女は恐ろしい生徒だ。

人々をコントロールし、自分の望む未来へ導いて見せた。

 

 

小代瑠奈は天才か否か。

 

 

学力は学年2位、身体能力は中の上程度、ピアノは全国大会受賞レベルとかなりの腕前だ。

ピアノに関しての才能はあるそうで、本人も自覚している事が面接で分かっている。

 

 

この高校に入ってからも近隣の街で開かれたピアノコンクールで受賞しており、実力は証明されている。

だが俺が知りたいのは頭脳面での才能だ。

 

 

幼い頃から神童と呼ばれ、幼稚園入園の段階で二次不等式を解けたなんて逸話もある程だ。

だが期待が大きい分、相当な努力を行ったとも書かれている。

 

 

幼少期の記録によると、ピアノと勉強で8時間以上を費やしていた事が分かる。

 

 

彼女の家で雇われていた使用人によると、この家では特殊な教育が行われ、そのカリキュラムをこなす事で一家の仲間として認められるそうだ。

だが小代の実力は歴代最高レベルらしく、より難易度の高い問題を制限時間を短縮して解かせる方針に切り替わったという。

 

 

解答を誤ると座敷牢におしこまれ、そこで全問正解するまで問題を解かされ続けるらしい。

この壮絶な教育の中には一般的な五科目以外にも、FBI捜査官認定試験等の予想問題のようなIQテスト、ダンスやマナーといった教養、哲学や経営学の基礎と様々な学習カリキュラムを行っていたようだ。

 

 

これを聞いて思った事は彼女は努力を体現したような人間であるという事。

しかし時折出てくる彼女の発想は才能を持つからこそ生まれたものだと評価する事も出来る。

 

 

この答えは今後学校生活を送る上できっと分かるはずだ。

 

 

この学校には才能ある生徒が大勢いる。

特にこの学年はそれが顕著だ。

 

 

どのクラスにも癖のある才能を持つ君主が立ち、クラスを統べている。

AクラスとDクラスは明確なリーダーは決まっていないがそれは些事である。

 

 

今後どうなってゆくのか、非常に楽しみだ。

今年のAクラスは歴代最高水準といっても良い程のメンバーが集まっている。

 

 

天才である坂柳有栖、保守的な考えを持つ葛城康平、覚醒した石田優介と矢野小春といったリーダー候補達。

 

 

坂柳派には身体能力に長けた神室と鬼頭、バランスの良い橋本、学力の高い山村。

葛城派には頭脳明晰な町田を筆頭に学業成績の上位者が集められている。

 

 

入学試験で補填された優れたコミュニケーション能力を持つ生徒、六角百恵。

そして資金力と頭脳、交渉術を持ち合わせたリーダーにもなれる程の実力者小代瑠奈。

 

 

他の生徒も頭の回転が高く学力の高い生徒が揃っている。

 

 

対して他のクラスも今年は粒揃いが集まっている。

例を挙げればキリがないが、特にDクラスは凄い。

 

 

学力とコミュニケーション力の高い櫛田と平田を筆頭に、身体能力がトップクラスの須藤、入試を全教科50点に揃えた綾小路、学力トップクラスの幸村に身体能力学力共に上位の堀北、極め付けは高円寺コンツェルンの跡取り息子高円寺六助。

 

 

間違っても不良の溜まり場とはいえない個性豊かなメンバーだ。

 

 

これから三年間荒れるだろうな。

彼らとの全面戦争だ。

 

 

だが勝つのはいつの時代も優秀なクラスだ。

決して手は抜いてはならんぞ、お前達。

 





矢野小春

所属    1年Aクラス

学籍番号  S01T009904

誕生日   10月27日

【学力】   A-
【知力】   B
【判断能力】 B
【身体能力】 B
【協調性】  B+

【面接官からのコメント】
人当たりもよく学力の高い優秀な生徒だ。
中学時代は生徒会副会長を務め、全校生徒を纏めており非常に優れた統率力を持っている。
また中学時代に複数の書道コンクールで優秀な成績を収めている。
優秀な試験結果を残したためAクラス配属とする。

【担任からの一言】

勉強と部活動の両立をしながら、勉強会を開き中立派の生徒の学力向上のために尽力しています。
仲間思いな生徒なので、今後の試験でクラスのために活躍してくれることを期待します。

干支試験でどのグループに入る小代ちゃんを見たいですか?

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