入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】   作:かりん糖さん

19 / 32
お話が進むにつれて不安さが増していく…。
小代ちゃんより坂柳やモブの発言がどんどん増えていく。
今回の話でついに主人公が高野累殺害事件を知る事になります。
加速する謎、有能すぎる坂柳、強すぎるモブ、倒れる主人公。
盛りだくさんですが楽しんでいただけたら嬉しいです。


15話 作戦会議②

 

 

放課後、昨日と同じようにカラオケルームへ向かい話し合いを行なう。

メンバーは昨日と違い、坂柳派からは橋本の代わりに山村美紀が参加していた。

 

 

他は昨日の通りだ。話し合いが始まると、葛城が坂柳に質問を投げかける。

 

 

「坂柳、お前は今回の試験に勝つための戦略はあるのか?」

 

 

「勿論ありますよ。ですがその前に、今日の議題を教えて下さい。」

 

 

「議題だと?」

 

 

「ええ、私達Aクラスは今回堅実に試験に挑む事を昨日決めたでしょう?」

 

 

「そうだな、昨日は生存戦略と試験中の生活に関する話し合いだった。ならば今日は他クラスとの協力について話すのはどうだ?」

 

 

「分かりました。ではまず、どのクラスと手を組むかを決めましょうか。」

 

 

それから私達は話し合いを続け、Dクラスとの協力関係を築く事に決まった。

今回の試験では着実にクラスポイントを稼ぐ事が優先される。

 

 

そして目下の敵であるBクラスとの差を開けることができれば尚良いため、クラスポイントを欲している最下位のDクラスとの同盟は互いにとってメリットがある。

坂柳と葛城の話し合いによって同盟は成立。

 

 

Dクラスとはベースキャンプを決めた後、交渉を行う予定だ。

その後、石田の提案によりリーダー同士の交代作戦についての話し合いが行われた。

 

 

リーダーのリタイアは試験続行不能と判断されない限りできないため、この件は持ち帰って各々が考える事になった。

 

 

「後はリーダー当てに役立つ可能性は低いけど、リタイア者の確認かな。見張を交代制にして、茂みに隠れてリタイア者を確認すればリーダーが当てやすくなるはず。」

 

 

私の案には全員が賛同し、具体的な時間や見張りの人数を決める事になった。

 

 

「見張りとなると、天候も考慮する必要が出てくるな。雨の日に外に出るとなるとレインコート等の雨具やタオルが必要になる。」 

 

 

「そこは人選を決めてからで良いかと。基本見張りは身体能力の高い男子生徒にお願いしたいですね。」

 

 

「坂柳の意見に賛成だが、スポット占有と見張りに人員を割くとベースキャンプが女性だらけになる。何か起きた場合を想定し、男子生徒を数人残しておきたい。」

 

 

石田は他クラスの襲撃を危惧しているのだろう。

特に龍園ならやりかねい。

彼の発言はこの場にいる全員が賛同し、見張りとスポット占有、ベースキャンプに残るメンバーの案を一晩考える事になった。

 

 

「まだ少し時間があるな。このカタログの中で優先的に買うべきものでも確認しておくのはどうだ?」

 

 

用心深い町田の言葉によってカタログを全員で確認する事となった。

 

 

「ひとまず簡易トイレは二つ買うべきだな。他には調理器具と最低限の調味料と食器類か。」

 

 

「食料についてはどうする?」

 

 

「自炊するしかないが、食材を調達するの他ないだろう。」

 

 

「提案だけど、無人島に自生している果物とか野菜を探すのはどうかな?サバイバルの知識はないけど、それくらいなら出来ると思うの。」

 

 

「いや、人工島みたいだしマップの畑記号の位置を覚えて、そこで調達すればいいと思います。後は、釣り竿とか安いのを買って調達班も作れば良いと思う…。」

 

 

今まで話し合いの記録を黙って行なっていた山村が案を出し、それに賛同が集まったところでお開きとなった。

山村は寡黙な生徒だが坂柳が信頼してこの場に参加させる程優秀な生徒だった。

 

 

よく周りを見ており速記も出来るようで、文句のつけどころが無い。

 

 

私は自室に戻りベッドへ横たわった。

 

 

そして今日の出来事を振り返った。

私達のクラスの結束は固い。

 

 

それは自信を持って言える。

 

 

坂柳と葛城の派閥争いは相変わらず続いているが、二人が協力している今脅威は無い。

最高の盾と矛を手にしたと言える状況だ。

 

 

だがAクラスはリーダー次第で大きく変動するし、BクラスはCクラスよりも総合的に優れているものの、リーダーの一之瀬帆波は凡庸な人間だ。

 

 

その点、Aクラスのリーダー候補は天才と言ってもいいだろう。

圧倒的なカリスマ性と頭脳を持ち合わせた少女、坂柳有栖。

一之瀬同様仲間思いであり、学力も身体能力もトップクラスの葛城康平。

互いに弱点を補う事の出来る二人が揃っている。

 

 

ここからが正念場だ。

 

 

「絶対に負けられない。」

 

 

わたしは拳を強く握り締め、決意を新たにした。

 

 

見張りとスポット占有、ベースキャンプに残るメンバーと生活する上での役割分担。

これらを考える事が今日の課題だ。

 

 

昨日は話し合いだけで疲れてしまい、何も考えずに寝てしまった。

なので今日はしっかりと考えてから眠りについたのだが……。

 

 

翌朝、目が覚めると同時に激しい頭痛に襲われた。

昨日は興奮していたせいか気付かなかったが、身体は限界を迎えていたらしい。

 

 

今日一日は安静にするべきかもしれない。

そんなことを考えながら支度をして学校へと向かった。

 

 

教室に入ると既に小春の姿があった。

彼女は私が登校してくるのを見るとすぐに駆け寄ってきた。

 

 

そして体調の確認を行い、保健室で休むことを勧めてきた。

しかし私は首を横に振って断った。

 

 

これ以上、クラスに迷惑をかけるわけにはいかないからだ。

今は無理をしてはいけないのは分かってるが、ここで休んでしまうと試験に対するモチベーションが大きく下がってしまいかねない。

 

 

だから、少しでも負担を減らすために普段通り過ごすことにした。

授業中、先生の話を聞き流しながら今後のことについて考えた。

 

 

見張りのローテーションやベースキャンプに残るメンバーについて決める必要があるが、話し合いに参加することが出来ないためどうしたものかと悩む。

考えを巡らせる程頭痛は酷くなり、次第に教師の声が聞こえにくくなってゆく。

 

 

突然体から力が抜け机に突っ伏した。

 

 

「瑠奈ちゃん大丈夫?!」

 

 

私な誰かに名を呼ぶばれたのを最後に意識を手放した。

 

 

次に目を開けた時、そこには見慣れない天井が広がっていた。

薬品の匂いが漂う部屋、ここはおそらく保健室だ。

 

 

どうしてここに居るのか、記憶を辿り昨日のことを思い出す。

そうだ、確か倒れてそのまま気を失ってしまったんだ。

 

 

心配かけちゃったなと思いつつ、ゆっくりと上半身を起こす。

すると、扉の向こう側から足音が近付いてくるのを感じた。

 

 

「失礼します。あら、もう起きてたんですね。気分はいかがですか?」

 

 

扉を開けたのはクラスメイトの坂柳だった。

 

 

「あはは、おかげさまでだいぶ楽になりました。」

 

 

申し訳なさそうに彼女に笑いかけ立ち上がろうとするが、やんわりと布団に戻された。

 

 

「そのままで大丈夫ですよ。」

 

 

「あの、誰が私の事を運んでくれたのかな?」

 

 

「同じクラスの橋本君です。席が前後ですし、彼は運動部ですから適任でしたね。率先して保健室へ連れて行くと仰っていました。ふふふ。」

 

 

橋本正義か。

彼は軽薄な男であり苦手意識を持っていたが、今回の件で少し印象が変わった。

 

 

「あ、今何時なのかな?」

 

 

「今は昼休みです。13時14分ですね。」

 

 

「もうそんな時間か。」

 

 

確か五限の授業は美術だったはずだ。

恐らく前回同様模写の続きだろう。

 

 

「そろそろ授業の支度があるので失礼しますね。今日一日はお休みになった方が宜しいですよ。」

 

 

坂柳はそう言って去って行った。

私はもう一眠りするために布団を被りなおした。

 

次に目を覚ましたら放課後になっており、Aクラスの教室へ戻って荷物を持ち寮へ戻る事にした。

教室を出てしばらく歩いていると背後から声を掛けられた。振り向くとそこには一之瀬帆波がいた。

 

 

彼女も私と同じく鞄を持っており、これから帰るところのようだ。

 

 

「あ、瑠奈ちゃん!」

 

 

私は挨拶を済ませて別れようとしたが、彼女が私を呼び止めた。

 

 

「昨日はごめんね!」

 

 

そして一言。

私に謝ったのだ。

 

 

「えっと、どういう事かな?帆波ちゃん。」

 

 

何故謝られるのか理解出来なかった私は、疑問を口にする。

その答えはすぐに返って来た。

 

 

昨日の合同体育時に私を止めなかった事を悔やんでいたらしい。

どうやら私の体調が悪いことに気が付いていたみたいだ。

 

 

でも、それは仕方がない事だと思う。

仮に私が逆の立場であったとしても止めはしなかっただろう。

 

 

それに、もしも私が一之瀬と同じ立場なら間違いなく一之瀬と同じように行動していたはずだ。

彼女は人一倍責任感が強く優しい性格の持ち主だ。

 

 

だからこそリーダーとして皆を引っ張っているのだろう。

 

 

「大丈夫気にしないで。私は平気だからさ。良かったら一緒に帰らない?私も今から帰る所なの。」

 

 

「うん!一緒に帰ろう!!」

 

 

一之瀬帆波という人間はとても眩しく見えた。

それから私は彼女と他愛のない会話をしながら帰路についた。

 

 

今日一日休んだことで多少なりとも体力は回復した。

今日からの試験は問題なく乗り越えることが出来ると思う。

 

 

クラスチャットを確認すると、昨日の話し合いの進捗が書かれていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

以下、昨日の会議で決まった事です。

今週の金曜クラス全員で多目的室にて全体会議を行います。

試験中の代表会議は金曜の放課後まで無しです。

 

①見張り

 

清水直樹   08時00分〜14時00分

鳥羽茂  14時00分〜19時43分

 

点呼

 

島崎いっけい 20時20分〜02時00分

杉尾大    02時00分〜08時00分

 

注意点→点呼中のリタイアは不明

 

②スポット占有

 

・葛城康平

・戸塚弥彦

・司城大河

・吉田健太

 

・神室真澄

・橋本正義

・塚地しほり

・中島理子

 

・矢野小春

・小代瑠奈

・六角百恵

 

③ベースキャンプ待機

 

・町田浩二

・西川亮子

・西春香

・的場信二

・森重卓郎

・吉田健太

・福山しのぶ

 

・坂柳有栖

・山村美紀

・里中聡

・沢田恭美

 

・石田優介

・竹本茂

・元土肥千佳子

・谷原真緒

・田宮江美

 

④隠密班

 

・Bクラス担当→竹本茂

・Cクラス担当→鬼頭隼

・Dクラス担当→的場信二(交渉不成立時)

 

⑤その他

 

2チームに分かれ食糧調達。

釣り班と採集班。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

私はリアクションを付け学校へ向かった。

教室に入るとAクラスの生徒の大半は揃っており、テスト前の勉強を行なっていた。

 

 

自席に着くと前の席で勉強をする橋本に声をかけた。

 

 

「おはよう、橋本君。」

 

 

彼は後ろを振り返り口を開く。

 

 

「おはよう小代。体調は大丈夫か?」

 

 

「うん、昨日一日休んだから大丈夫。昨日は運んでくれてありがとう。」

 

 

「いや、気にすんな。突然倒れてびっくりしたぜ。まあ、今日のテスト頑張ろうぜ。」

 

 

「うん。」

 

 

彼は話を終えると前を向き勉強に戻った。

私も彼を見習い過去問の見直しを行なった。

 

しばらくしてチャイムが鳴り、担任の真嶋先生が入室してきた。

彼は教壇に立つと、いつも通り出席確認を始めた。

 

 

「欠席者は居ないな。よし、ではホームルームを始める。まず初めに今日の期末試験についてだが─」

 

 

話をBGMに過去問の見直しをこっそり進めた。

そして2日間の試験を終えた金曜日の放課後。

 

 

私達Aクラスは多目的室に集まりクラス会議を始めた。

 

 

「では今から前回の代表会議で決まった事を全体で確認していきます。」

 

 

私の言葉で全員がクラスチャットを開き、内容を確認しながら坂柳の発言に耳を傾けた。

 

 

「先ずは大まかな流れについて説明します。1日目は私達全員黒板に貼っているマップの赤丸で囲んでいる洞窟に移動します。」

 

 

「洞窟ならテントは買う必要なさそうだね。」

 

 

小春の言葉に全員が頷く。

 

 

「そうですね。その後、スポット占有班は全員でスポットの捜索をお願いします。ベースキャンプ待機班は石田君と町田君、山村さんを中心に生活環境を整えて貰います。その他の生徒は二手に分かれて食糧調達をお願いします。隠密班の方と本部見張り役の方はベースキャンプに向かわず役割を果たして下さい。お昼の12時半にスタート地点へ迎えを送りますので、隠密班の方はそこへ集合して下さい。」

 

 

そこまで言うと坂柳は一息ついた。

すると、葛城派の西春香が質問をした。

 

 

「ポイントはどうするの?誰かが管理するのかな?」

 

 

「いえ、今回は中立派の石田君に管理していただきます。リーダーは六角さんにお願いする予定です。お願い出来ますか?」

 

 

坂柳は百恵の方を向き圧のある笑顔を向けた。

百恵は少し悩んだ素振りを見せて渋々頷いた。

 

 

「14時に見張り役の方は交代をして下さい。清水君は鳥羽君に地図を持たせますから、それを見ながら洞窟へ戻って下さい。隠密の方は昼食を取り次第隠密を続けて下さい。これを7日間継続して頂きます。」

 

 

坂柳は一度説明を止めクラスを見渡し、全員がついて来れているかを確認した。

確認を終えるとまた説明に戻った。

 

 

「隠密は午前5時から点呼と昼食を除いて午後10時まで行なっていただく事になります。毎日続けるのはハードなので、別の策を模索中です。」

 

 

山丸が坂柳の発言から要点だけを黒板に書き出していく。

山村が書き終えると葛城が口を開いた。

 

 

「見張りやベースキャンプの待機、スポット占有のメンバーは仮決めに過ぎない。リーダーの六角と隠密の鬼頭、ベースキャンプの山村と町田、石田は固定となる。変更希望があれば受け付けるぞ。」

 

 

「加えてこの流れに質問がある方は挙手して下さい。」

 

 

私は手を挙げ発言の許可を求めた。

その行動に全員が驚いた様子を見せた。

 

 

特に坂柳と山村の反応が顕著だった。

坂柳が私を睨むように見つめてきた。

 

 

山村はその隣で表情を変えずにじっと見つめてくる。

そんな二人の反応を気にせず葛城に視線を送る。

 

 

彼は小さく咳払いをし、私に発言を許可してくれた。

 

 

「隠密班の人数が少なくないかな?」

 

 

私の問い掛けに対して葛城は落ち着いた口調で答えた。

 

 

「隠密班はあまり人数を増やすと勘付かれる可能性が高まる。よって隠密班にはある程度実力を持つ者を配置する必要がある。故に人数は最小限に留める事にした。」

 

 

「なるほどね……」

 

 

私は納得した様に返事をした。

 

 

「他に質問はあるか?」

 

 

葛城は周囲を見渡した。

誰も何も言わなかった。

 

 

「では今の説明通りに試験を挑む事になる。見張り役の四人には他クラスの生徒の顔と名前を試験までに暗記してもらう。このファイルを渡すので頑張って覚えて欲しい。」

 

 

見張り役の生徒達が葛城からファイルを受け取り席に着く。

 

 

あのファイルの中には全クラスの生徒の名前と写真が記されている。

名前と顔写真の下には所属クラス、性格や部活などの情報が細かく記されていた。

 

 

あのファイルを作成したのはコミュニケーション力に優れた百恵であり、坂柳監修でもあるので相当の代物だろう。

 

 

「隠密班の生徒には担当クラスの生徒の顔と名前を覚えてもらう。見張り役より覚える事は少ないが、頑張って欲しい。」 

 

 

隠密班の生徒もファイルを受け取る。

 

 

「加えて、ベースキャンプ待機班の方は無人島知識を身につけていただきたいですね。釣り班と採集班の方も危険な植物や毒を持つ海洋生物の知識を身につけて下さい。こちらは一部ですが、あの海域に生息する海洋生物の一覧です。」

 

 

坂柳は全員にプリントを配布した。

プリントには海洋生物や無人島の気候、生息する植物の予想、蒸留装置の作り方や火の起こし方、生活における注意等の情報が記されていた。

 

 

この数日間で無人島の調査から無人島生活のマニュアル作りまで完璧に行なっていたのだ。

坂柳の力は未知数であり、彼女の行動には敬意を表する。

 

 

「以上になるが他に意見や質問はあるか?」

 

 

葛城の発言に石田が手を上げた。

 

 

「葛城、ベースキャンプの見張り役も決めないか?」

 

 

ベースキャンプを他クラスに荒らされ訳にもいかない。

石田の発言は全員に受け入れられベースキャンプの見張りを決める事になった。

 

 

「見張りはローテーションで良いと思うけど、メンバーはどうする?」

 

 

「そこまで重要なものでもありませんし、やりたい方はいらっしゃいますか?」

 

 

坂柳の発言に数人の生徒が挙手した。

挙手した生徒を山村が黒板に書いていく。

 

 

挙手した生徒は葛城派の福山しのぶと西春香、坂柳派の里中聡と森重卓郎だ。

ちなみに西春香とは席が近いため仲が良く、お互い下の名前で呼び合っている。

 

 

「じゃあ、福山さんと里中君と森重君、春ちゃんの四人で決まりだね。里中君と森重君は夜間をお願い。春ちゃんと福山さんは日中の担当でどうかな?」

 

 

私は交代制案を述べると4人とも頷いてくれた。

 

 

「他には何かあるか?」

 

 

誰も挙手しないため、葛城は解散を宣言した。

 

 

「では解散とする。不審者の話は聞いていると思うが、皆複数人で人が多い道を使って帰宅して欲しい。お疲れ様。」

 

 

私は百恵や小春と一緒に帰路へついた。

部屋に着くとベッドへ勢いよくダイブした。

 

 

少し硬めのマットレスが心地よい。

テストや話し合いの疲れが出たのか、制服のまま意識を手放し眠りについた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

目を開けると美しい庭園に立っていた。

蝉の鳴き声がするため、季節は夏だろう。

 

 

動こうとした時、腹部を締め上げるような感覚がした。

確認すると私は着物を着ていた。

 

 

水色の生地に牡丹が華やかに咲いている。

私はこの着物を見た事がある。

 

 

『ほら瑠奈、こちらは××グループの会長の御子息である×××君よ。』

 

 

懐かしい母の声が聞こえる。

母の視線の先を追うと一人の少年と高年層の男性が立っていた。

 

 

『…初めまして、×××と申します。西門瑠奈さんですね。お会いできて光栄です。』

 

 

彼は誰?

 

 

少年はたおやかな笑みを浮かべながら私に手を差し伸べた。

少年の自信に満ちた声とは裏腹に肩が微かに震えていた。

 

 

彼は人間だった。

人の心を忘れていなかった。

 

 

世の中に完璧な人など居ないのだ。

私は彼の手を取り口を開いた。

 

 

「初めまして、私は西門瑠奈と申します。こちらこそお会いできて光栄です。宜しくお願いします、×さん。」

 

 

これは小学生の頃の記憶だ。

家同士の交流と銘打ったお見合いだ。

 

 

美しい庭園を眺めることの出来る和室に通され、食事会が開かれた。

見栄えの良い料理が運ばれ舌鼓を打ちながら食事会を楽しむ。

 

 

ちらりと正面に座る少年に目をやると食事のスピードはゆっくりだった。

目が合うと困ったように目を細めて笑った。

 

 

私は彼の笑みが、声が好きだった。

そんな気がする。

 

 

瞬きをした瞬間場面は変わった。

白い天井に無機質な部屋。

 

 

寮の私の部屋だ。

 

 

どうやら私は夢を見ていたようだ。

テレビをつけ、制服を脱ぎ着替える事にした。

 

 

『続いてのニュースです。今年3月に行方不明となった当時15歳の高野累さんが遺体となって発見されました。発見現場は東京都高度育成高等学校前の公園の茂みにブルーシートで覆われて隠されていたようです。警察は事件性があるとして捜査を進めているようです。第一発見者の方に…』

 

 

「は?」

 

 

乾いた声が漏れた。

 

 

確かこのニュースは百恵達が話していたものと一致する。

だがなんだろう、何か違和感を感じる。

 

 

なんだろう、私は何かを忘れているような気がする。

大切な、何かを…。

 

 

思い出せ。

思い出さなきゃ。

 

 

『そんな顔をしていたら幸せが逃げていくよ?』

 

 

『僕の名前は────だ。Ich freue mich, Sie kennenzulernen!』

 

 

『大丈夫、このゲームもあと2日で終わるんだ。』

 

 

『あいつに頼まれたんだ。君を生きて返すように。』

 

 

私の中に知らない記憶が流れ込んできた。

頭が割れるように痛みひどい耳鳴りがする。

 

 

だがあと少しで何か掴めそうなんだ。

より集中して私に呼びかける声に耳を澄ませる。

 

 

『瑠奈、ごめんね。君と一緒に帰りたかった。君を───』

 

 

ピコンッ

 

 

端末から通知音がした。

一瞬で集中力が切れ知らない記憶も誰かの声も蓋がされたみたいに聞こえなくなった。

 

 

『瑠ちゃんお久しぶりです。良かったら明日お会いできませんか?以前よく一緒に行っていたカフェで少しお話がしたいんです。』

 

 

メッセージはひよりからのものだった。

ひよりに何も言わずAクラスに移動した事を後悔していたが、自分から話を切り出せずにいた。

 

 

私は急いでメッセージを打ち込み誘いを受けた。

明日は学校も休みなので私服で会う事になる。

 

 

急いでシャワーを浴び明日に備えて就寝する事に

した。

眠る頃には頭痛も耳鳴りも知らない記憶の事もすっかり忘れており、ひよりと出かける事だけを考えていた。

 

 

翌朝、落ちついたブルーのワンピースにお気に入りのミュールを合わせて出かける支度を整えた。

前を向いて歩こう、後ろを見ても辛いだけ。

 

 

いつから私は前を向いて歩き始めたのだろうか…

 

 

カフェに着くと奥の席にひよりが座っていた。

 

 

「お待たせ。久しぶりだね、ひより。」

 

 

「お久しぶりです、瑠奈ちゃん。何か頼まれますか?季節のメニューが追加されているようですね。」

 

 

いつもと同じように振る舞う彼女はどこかぎこちなかった。




☆勢力別メンバー紹介☆&得意科目

※リーダーには☆がつく。
※参謀には★がつく。

《坂柳派》

・坂柳有栖☆→万能
・神室真澄 →美術
・鬼頭隼  →美術
・橋本正義 →英語
・山村美紀★→数学
・里中聡  →英語
・沢田恭美 →世界史
・塚地しほり→英語
・中島理子 →英語
・鳥羽茂  →世界史

《葛城派》

・葛城康平☆→万能
・戸塚弥彦 →生物基礎
・町田浩二★→数学
・司城大河 →数学
・西川亮子 →数学
・西春香  →日本史
・的場信二 →数学
・森重卓郎 →情報
・吉田健太 →数学
・福山しのぶ→古典

《中立派》

石田優介☆ →数学
矢野小春☆ →日本史
小代瑠奈★ →万能
六角百恵  →現代文
島崎いっけい→化学基礎
清水直樹  →現代文
杉尾大   →英語
竹本茂   →古典
元土肥千佳子→英語
谷原真緒  →英語
田宮江美  →数学

《その他》
残り10人は不明。

干支試験でどのグループに入る小代ちゃんを見たいですか?

  • リーダーグル
  • 美少女グル
  • リーダーと山内グル
  • 参謀グル
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。