入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】   作:かりん糖さん

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ついに高野累の真実が明らかになります。
今回は色んなAクラスの生徒が出てきますが、特に覚える必要はありません。
司城君はイケメンですが、ビビリな設定です。
無人島試験は途中からダイジェストとでお送りします。


17話 無人島試験(前編)

 

 

『龍園君。私達にはやる事が多いのです。手短にお願いできますか?』

 

 

「随分せっかちだな?この試験を葛城が勝利に導けばお前の支持率に関わるからか?」

 

 

どうやら龍園は坂柳が葛城を失脚させる為に半参加という形を取ったのだと勘違いしているみたいだ。

実際はAクラスの初期ポイントを増やすための参加なのだがな。

 

 

「龍園君、無駄話をしに来たのなら帰ってくれるかな?私達は交渉相手から不法侵入者として見る事になるけど良い?」

 

 

私の言葉に龍園は舌打ちをする。

それから口元を歪ませて笑う。

 

 

「仕方ねぇな。まあ良い。俺はCクラスの王として交渉しに来たんだよ。」

 

 

龍園は原作とほぼ同じの契約書を提示してきた。

物資の全てをAクラスに貸し出すかわりに、毎月Aクラスの生徒全員がCクラスに対して3万ポイント支払う、というものだった。

 

 

原作と違うのは額だけだな。

まあ断るけど。

 

 

「坂柳さん。私にはデメリットしか無いと思うんだけど、どう思う?」

 

 

『奇遇ですね、小代さん。この取引は私達のマイナスが大きいです。龍園君はこの取引を葛城君と行いたかった。そうでなければ、龍園君の実力を過大評価していた事になりますが。』

 

 

龍園はクックックっと声を上げて笑う。

 

 

「よく分かったな。その通りだ。やっぱり坂柳相手に対して小細工は通用しねぇみたいだな。まあこれくらいの方が張り合いがあって楽しめそうだ。」

 

 

龍園は手にしていた契約書をポイっと投げ捨てて洞窟を去っていった。

何がしたかっだんだ、あの男。

 

 

『なんだったんでしょう…龍園君を過大評価し過ぎていたみたいですね。』

 

 

原作よりもだいぶ弱体化?した龍園を見送り、坂柳との談笑を続けた。

暫くするとDクラスに交渉へ行っていた葛城、石田、山村、橋本、六角の5人が帰ってきた。

 

 

「おかえりー!どうだった?」

 

 

「交渉成立だ。この試験中、AクラスとDクラスは互いを指名し合わない。そして他クラスのリーダ情報を互いに交換する事になっている。」

 

 

ならBクラスとCクラスのリーダーを当てる事に注力しよう。

その後、葛城達が留守の間に龍園が契約を持ちかけて来た事を報告した。

 

 

「ふむ。坂柳、お前はCクラスの狙いに気付いていたのか?」

 

 

葛城も私と同じ考えのようだ。

 

 

『いえ、私も予想外でした。それにしてもDクラスは随分あっさりと契約を結んでくれましたね?』

 

 

確かに、Dクラスはクラスポイントを失うリスクを減らす為にしても、私達と組む必要はない。

何故なら私達がAクラスだからだ。

 

 

それともDクラスもこの試験の本質に気づいていらのだろうか。

Aクラスのリーダー当てを諦めてまで私たちと組む理由が想像出来ない。

 

 

「そこは橋下が上手くDクラスを誘導してくれたんだ。」

 

 

「上手くはないが、まあ何とか納得してもらう事には成功したぜ。」

 

 

橋本の交渉術や対話術は見事なものだ。

彼の性格も交渉向きな為、今回の交渉に橋本を連れていった葛城の判断は素晴らしいな。

 

 

以前の彼なら自派閥の人間を連れて行くだろうが、今回はクラス一丸となって動いている為、敵対している橋本を連れていくという判断が出来たのだろう。

橋本も契約があるから裏切れないとは思うが、監視という意味でも葛城は良い選択をしてくれている。

 

 

その後、夜に備えて必要なのものを買うための話し合いが行われた。

15ポイントの仮設シャワーと5ポイントの調理セットと同じく5ポイントの調味料セットを買う事になった。

 

 

225ポイントしかないので大切に使おう。

 

 

「ただいまー!結構釣れたよ!」

 

 

 

午後16時30分頃、調達班の釣り組が戻ってきた。

 

 

調達班の生徒が五つのバケツを洞窟前に並べる。

中を確認すると13匹の魚と2匹のウナギが入っていた。

 

 

え、ウナギ?

 

 

「ウナギだよな?これ。」

 

 

橋下が目を丸くして驚いている。

葛城や山村、石田も固まって驚いているようだ。

 

 

時が止まったかのように無言の時間が流れる。

町田が沈黙を破りレコーダーに向かって話しかけた。

 

 

「坂柳、ウナギを釣ってしまったのだが、密猟に入るか?」

 

 

『少々お待ちください。』

 

 

なるほど、密猟はまずいな。

無人島生活において釣りをする事はほぼ不可決なので、密猟については調べておくべきだった。

 

 

失念していた。

坂柳の報告を待つ間、誰一人として話さなかった。

 

 

流石真面目なAクラスだな。

Dクラスならそんなの関係ないと、気にせず食べそうだが生憎ウチのクラスは優等生の集まりなのでリスクを犯す人間はいないのだ。

 

 

『皆さん、ネットと教師陣の方に確認したところウナギには禁漁期間が存在します。これは地域によって異なるので、ここの管轄は国という事になるそうです。今回の試験中に獲得した食料に関しては気にせず口にして良いそうです。』

 

 

「おお!!!今日は鰻丼だ!!!」

 

 

「鰻のひつまぶしも美味しいよ!」

 

 

百恵と弥彦が騒がしい。

しかし坂柳の一言に黙り込んでしまった。

 

 

『最低でも2日は泥抜きのために綺麗な水にウナギを入れてください。釣りをしたという事ですし、今入れている水には泥や血液が含まれているはずです。後ウナギの血液にはイクチオヘモトキシンという毒が含まれているので気をつけて下さい。』

 

 

ガックリと肩を落とす二人をよそに、ベースキャンプ待機組がバケツの中身を仕分けていく。

そういえばウナギはこのくらいのバケツなら脱走できそうだなぁ。

 

 

水槽のようなものと蓋があれば良いのだが…。

 

 

 

「ウナギが脱走したらあれだし、逃げにくい底の深い容器は無いかな?」

 

 

私の言葉に百恵が速攻で言葉を返す。

流石、食べる事が大好きな百恵だ。

 

 

「あ!だったら小屋にあった水槽?みたいなのには蓋もついてたよ。あれに重い石でも乗せたらいいんじゃないかな!」

 

 

「小屋の距離も近いし、誰か持ちに行ってくれないか?」

 

 

葛城が呼びかけると百恵が真っ先に手を挙げる。

 

 

「じゃ私いくよ!水槽みたいなやつの場所も覚えてるから。」

 

 

だが女子一人で夕方に出歩くのは危ない。

Cクラスを警戒している事と単純に遭難や怪我を考慮してである。

 

 

「誰かもう一人着いて行ったほうがいいよ。一人は危ない。」

 

 

「俺がついて行きますよ!葛城さん!!」

 

 

まあ弥彦も一応男だし、何かあっても対処くらい…いや、連絡くらい出来るだろう。

葛城は少し考える素振りを見せ、頷いた。

 

 

その15分後、調達班の採集組も戻って来た。

 

 

採集組は胡瓜や茄子、パプリカ、ピーマン、玉ねぎといった野菜が大量に入ったリュックを下ろした。

私達もトマトを40個持ち帰っているので、恐らく一週間は持つだろう。

 

 

「今日使う野菜はシャワールームの水で洗ってから調理をしよう。洞窟の一番奥は気温が低いからそこに保存する。」

 

 

ちなみにシャワールームの水は飲料水としても使えるらしく、初日に買ったお食事セットに付いていたペットボトルを水筒として再利用するつもりだ。

これで安全な水の確保は出来たが、水がなくなる度に本部から大きなタンクを持って来なければならないので意外と面倒だったりする。

 

 

腐ったりしないといいけど、洞窟なら何とかなるかな?

 

 

ちなみにこの洞窟本当に涼しいんだよね。

まるで天然のクーラーだよ。

 

 

釣れた川魚は鮎、虹鱒、岩魚、ウナギの5種類だ。

全部で7匹釣れており、塩焼きにして食べたが意外にこれが美味しい。

 

 

凝った料理は作れないが、空腹を満たすには十分すぎる美味しさだ。

トマトと茄子とパプリカを使ったスープも体が温まって美味しかった。

 

 

ちなみに19時頃からスポットの更新を占有班は行なっているため、6ポイント増加している。

 

 

調味料セットにはカレー粉があるので、どこかでカレーも作れたらいいなぁ。

 

 

ご飯が調味料セットに入っており、10キロのお米がある。

しかしお米は朝食のみと決まっており、明日からは隠密班と鳥羽のお弁当に使われる予定だ。

 

 

この調味料セット、万能すぎる。

 

 

チーズ500gと牛乳1L×5、お米10kg、シャケフレークってもう調味料の枠超えてるよね。

チーズや牛乳は腐る可能性があるので本部で保存してもらっているよ。

 

 

20時の点呼には隠密班、見張り班含めた全員が揃う。

 

 

「全員揃っているな。この調子で頑張って欲しい。何かあったら呼ぶように。」

 

 

真嶋が去っていくと、代表と隠密班と見張り班のメンバーで報告会が行われた。

坂柳派の代表は現地の山村と船の坂柳両方参加だ。

 

 

『では、隠密班と見張り班の皆さん報告をお願いします。先ずはCクラス担当の鬼頭君お願いします。』

 

 

「はい。Cクラスは午前中の11時頃にベースキャンプを浜辺に決めてます。そこからスポットを龍園の部下達が探しに行った様で、聞き間違いでなければ4つのスポットを占有しています。午後にAクラスと取引を行ったようですが、30分程で戻って来ました。その後Bクラスのベースキャンプへ向かったようです。リーダーは龍園です。」

 

 

鬼頭優秀過ぎるだろ。

あの龍園相手に完璧な隠密をしているようだ。

 

 

流石Aクラス最強兵器だ。

坂柳が重宝する隠密力、身体能力が彼の最大の武器なのだろう。

 

 

「ふむ、まあ続けて警戒しておこう。龍園がリタイアするかどうかだけ確認して欲しい。」

 

 

『そうですね。鬼頭君はCクラスの監視をお願いします。』

 

 

坂柳の命令に従って鬼頭は任務に向かう。

あ、これ渡さないと。

 

 

鬼頭の使っていたペットボトルに水を入れ直した物を手渡す。

 

 

「鬼頭君、一応水を持って行って。入れ直しておいたから。」

 

 

「ありがとう、小代。では行ってくる。」

 

 

彼を見送ると、14時〜20時担当の鳥羽茂が報告を始めた。 

 

 

彼はリタイア者のチェックをしていたが、午後に高円寺がリタイアし船に戻った事を確認しているようだ。

他にはリタイア者は出ていないそうだ。

 

 

最後にBクラス隠密班の竹本茂はスタート地点の近くの河原でベースキャンプをしていると報告した。

 

 

リーダーは白波千尋がキーカードを持っているのを確認したらしい。

午後にCクラスが交渉を持ちかけにきたらしく、帰り際の龍園の笑顔から成立している可能性が高いと述べている。

 

 

竹本もよくもまあリーダーを見つけたものだ。

それとも白波がリーダーを任されて浮かれていただけなのか。

 

 

どちらにしてもAクラスにとっては嬉しい報告だ。

警戒を怠ってくれればこちらも動きやすい。

 

 

『成程。分かりました。葛城君、確認ですが清水君が見張り担当の時はリタイア者はゼロですね?』

 

 

「ああ、そう言っていた。」

 

 

葛城がすぐに頷く。

暫しの間を置いてから坂柳が指示を出していく。

 

 

『分かりました。では鳥羽君はお疲れ様でした。明日に備えて休んでください。竹本君はBクラスの監視をお願いします。』

 

 

ちなみに現在のAクラス生徒の夜の行動は以下の通りだ。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

《夜の行動》

 

島崎いっけい→点呼後に本部見張り

 

鬼頭隼人→報告後にCクラス監視

竹本茂→報告後Bクラス監視

 

里中聡・森重卓郎→ベースキャンプ見張り

 

的場信二・杉尾大→仮眠中

※的場は鬼頭と交代で午前6時半までCクラス監視。杉尾は2時から本部見張り。

 

占有半→シャワー後2時45分まで仮眠

※スポット占有のため

 

その他→23時消灯

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

2時45分、ベースキャンプ見張り役に起こされた占有班は夜の闇に紛れてスポットを回る。

初めに洞窟内と近くの川を占有し、小屋、トマト畑、滝、池とスポットを回って行く。

 

 

滝の横を出ると後は川沿いを歩いて帰るだけだ。

帰る途中向かい岸の川辺に謎の発光体が見えた。

 

 

「な、な、な、な、何あれっ…」

 

 

「な、なんか光ってないか?」

 

 

「本当だね。」

 

 

百恵の言葉に全員が向かい岸の方を向く。

女子と橋本が怖がる中、葛城はじっと発光体を観察している。

 

 

寝ぼけているのかと思い目を擦って見たが発光体は消える事はなく、漂っている。

見間違いでも無さそうだが、あれがはの

 

 

ちなみにイケメンの司城は、先輩彼女さんの名前を呼びながら一目散に洞窟へ走って行った。

一本道なので彼が道に迷うこともないため、葛城も気にしていない。

 

 

暫くすると葛城が発光体の正体を口にした。

 

 

「あれは蛍だ。虫だよ。」

 

 

「ほたる?なんか綺麗な川とか田舎にいるっていう?」

 

 

「ああ。ここの川は美しいし、都会と違って空気も綺麗だ。蛍がいると言う事はこの川が綺麗だという事の証明なんだ。」

 

 

葛城が蛍について解説すると、貴重なものを見れたのだと全員が蛍を見ながら散歩感覚で洞窟に戻った。

深夜に起きるのはキツいが、綺麗なものを見る事が出来て嬉しくなった。

 

 

私達は普段東京の都会の学校に通っている為、見る機会はなかなかない。

普段できない経験が出来た事はこの試験のおかげでもあるので、素直に喜んでおこう。

 

「ただいま。あれ、司城は帰ってるのか?里中。」

 

 

橋本が司城の安否を里中に確認する。

 

 

「司城は彼女の名前を呼びながら洞窟に飛び込んで行ったよ」

 

 

「そうかい。んじゃまあ俺らも寝るか。」

 

 

司城は幽霊が怖いようだ。

その後占有班は午前8時頃まで眠り続けた。

 

 

「おはよう。朝食は用意してあるので冷めない内に食べてくれ。」

 

 

「…小代さん、朝だよ。」

 

 

ゆらゆらとした感覚がする。

微睡みから目を覚ますと山村美樹が私の体を揺らし起こそうとしていた。

 

 

「ん……おはよう、山村さん。起こしてくれてありがとう。」

 

 

「うん。ご飯できてるから。」

 

 

翌朝、石田と山村に起こされて占有班のメンバーが起き上がる。

山村は素っ気ない態度ではあるが優しく揺り起こしてくれたので優しい人なのだろう。

 

 

朝食はトマトとパプリカのリゾットに玉ねぎと胡瓜、トマトを使った胡麻ドレサラダだ。

リゾットには粉チーズが使われており、贅沢でオシャレな朝食となった。

 

 

「凄い美味しいね。誰が作ってくれたの?」

 

 

「あ、リゾットは真緒ちゃんが作ってくれたんだよ?料理得意なんだって!」

 

 

春香が見張りをしながら私の疑問に答える。

西春香は葛城派でありながら、派閥関係なく仲良くする珍しいタイプの生徒だ。

 

 

小柄で可愛らしいので、坂柳派の女子からも可愛がられている。

Aクラスのマスコット的癒しキャラなので皆から愛されている。

 

 

そして真緒ちゃんとは中立派の谷原真緒の事だ。

同じく中立派の田宮江美の親友で、サバサバした美人タイプの生徒だ。

 

 

料理が得意なのは意外だなあ。

そんな春香が谷原真緒について知っているのも意外だが、コミュニケーション能力が高いため知っていても別段おかしくはない。

 

 

その後は石田、坂柳、葛城、を中心に各派閥の代表者達を中心に報告会が行われた。

 

 

『おはようございます。現状Cクラスはバカンスを始めたと鬼頭君から連絡が入りました。昨夜の見張りを行っていた杉尾君と島崎君からはリタイア者が出ていないと報告が入っています。夜間のベースキャンプ見張り役の里中君と森重君からの報告ですが、他クラスの訪問は無いそうです。』

 

 

夜勤の杉尾と島崎は現在眠りについている。

杉尾大と島崎いっけいは中立派の生徒で、島崎が20時20分〜2時の見張り役、杉尾が2時〜8時の見張り役だ。

 

 

「ふむ。Cクラスがバカンスを始めたという事も何か狙いがある筈だ。」

 

 

「狙いねぇ、まあ俺も葛城の意見には賛成だ。警戒はしておこう。」

 

 

以前の葛城には無い成長に涙が出そうだ。

バカンスを始めたと言う事はCクラスは0ポイント作戦を決行したと言う事だ。

 

 

昨夜の鬼頭と竹本の発言からBクラスと交渉を行い、今日以降物資はBクラスのものになる筈だ。

一応考えを伝えておこう。

 

 

「もしかしたらCクラスは0ポイント作戦を行なっているのかも。」

 

 

「どう言う事だ?小代」

 

 

葛城が訝しげな顔で私を見つめる。

全員が私の次の言葉を待っているようだ。

 

 

「Cクラスがなんらかの契約をBクラスと結んだかもって報告が昨日あったでしょ?私と坂柳さんが龍園君から持ち掛けられた交渉は、Cクラスが物資を渡す代わりにAクラスの生徒は毎月2万ポイントを支払うというものなの。」

 

 

「その契約、無理があるんじゃ無いか?物資に毎月80万ポイントの価値があるとは思えないな。」

 

 

「葛城君は原作でその契約を龍園と結んでたよ」と口を滑らせそうになるが何とか堪えた。

 

 

「この作戦を持ちかけるメリットは毎月多額のプライベートポイントが手に入る事。でも他にもあるんだよね。何か分かる?坂柳さん。」

 

 

『そうですね……その場合龍園君は早くても今日Cクラスの生徒をリタイアさせる筈です。しかしこの試験クラスポイントが減る事はありませんから、リーダー当てとスポット占有でクラスポイントの増加を狙う必要があります。…まさか!』

 

 

「坂柳さんは分かったみたいだね。Cクラスがクラスポイントの増加を諦めるメリットはない。この作戦はCクラスが遊んでリタイアしたと思わせて、他クラスのリーダー指名を外させたり、そもそも指名させない事が出来るというメリットが一番大きな旨みだよ。」

 

 

まあAクラスに契約を持ちかけている時点でAクラスにはバレてしまうのだが。

それでも確実に旨みが得られる為、龍園に今回の試験失う物は無い。

 

 

加えてポイントがマイナスになる事は無いので、点呼をする必要も無い。

環境破壊なんかのルール無視もし放題で、点呼時間にCクラスの生徒の多くがリタイアする筈だ。

 

 

「今回の試験、ポイントがマイナスになる事は無い。Cクラスの生徒がリタイアするなら深夜か点呼の時間だろうな。本当にその契約をBクラスに持ちかけたなら、Cクラスは今日の内にポイントを使い切る筈だ。つまり、点呼も無意味なものとなる。」

 

 

石田の考えに多くの生徒が頷く。

 

 

石田はしっかり龍園の行動を予想できており、坂柳や葛城が居なかったらリーダーをしてそうな程優秀だ。

多分Aクラス内の誰よりも強化されたキャラだろう。

 

 

その後今後の動きについて話し合った。

私達占有班は11時前に洞窟内の更新を行い、スポット巡りに向かった。

 

 

近くの川と小屋で更新をし、トマト畑に向かうとトマトの数が大幅に減っていた。

他クラスがトマトを持ち去ったようだ。

 

 

「トマトが減ってるね。」

 

 

「他クラスが気づいて持っていったんだろうなぁ。」

 

 

滝と池のスポットを更新し、ベースキャンプに戻る途中キャンプ近くの畑を見ていく事になった。

畑にはパプリカとピーマン、茄子と胡瓜、玉ねぎが植えられていた。

 

 

「ちょっと持って帰ろうかな。」

 

 

「ああ、そうしよう。」

 

 

葛城の発言に全員が少しずつ野菜をリュックに詰めていく。

 

 

しかし、ここも量が減っているように感じた。

Aクラスに持ち帰られた量以上に切り取られた痕跡が残っていた。

 

 

「ねぇ!これ見てよ!」

 

 

中島が指差す方を見ると林の中に小さな畑を見つけた。

そこにはスイカとカボチャの実がなっていた。

 

 

まだ人に持ち去られた形跡はない為、Aクラスが一番乗りだ。

スイカに鰻とは、豪華な食事になりそうだ。

 

 

「葛城、持っていけるだけ持っていこうぜ?」

 

 

橋本の呼びかけに全員が頷き、リュックサックに詰める事にした。

しかしスイカもカボチャも大きく、茄子やパプリカ等の野菜を少しリュックに詰めている為、持って帰る事は難しそうだ。

 

 

「困ったなぁ。どこかに荷台と野菜を詰められる入れ物があれば良いんだけど。」

 

 

橋本の発言を聞いて葛城が何か閃いたようだ。

 

 

「確か、小屋裏の井戸の近くに荷台があったぞ。その近くにスコップ等の畑用具の入った大きなダンボールがあった筈だ。持ちに行けばスイカもカボチャも運べるだろう。」

 

 

「誰が行く?」

 

 

「なら私が行くよ。神室さん一緒に行かない?あんまり話した事ないし。」

 

 

神室は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐにいつもの面倒臭そうな顔に戻り口を開いた。

自分が指名されるなとは思っていなかったようだ。

 

 

「…分かった。行ってくるよ。」

 

 

私達は川を下り小屋の方へと歩いた。

畑からの声が聞こえなくなった頃、私は神室に尋ねた。

 

 

「神室、坂柳は今回の試験で何か命令してたりする?」

 

 

「ああ、その為に私を誘ったのね。坂柳は今回の試験で橋本の見張りと山村のサポートをしろって言ってた。」

 

 

山村のサポートはまあ、コミュニケーション能力の低い山村を助けろという意味だろう。

坂柳派の参謀的な位置にいるし、表舞台でどれだけ使えるかの確認も含まれていそうだな。

 

 

「橋本君の見張りってまたどうして?」

 

 

「そんなの知らない。坂柳が命令した、それだけよ。」

 

 

もう坂柳は橋下を警戒しているのか。

もし橋下が調達班やCクラス監視役に選ばれていたら、Cクラスとのパイプを作ろうとした筈だ。

 

 

しかし占有班はこの中にリーダーが居ると他クラスにプレッシャーを与える為に、殆どの時間を一緒に行動している。

つまり坂柳はグループ分けで橋本の動きを制限し、彼がどう動くのかを神室に調べさせ、彼の実力を測ろうとしているのだ。

 

 

私は神室との話を終え、小屋に辿り着いた。

小屋の裏手に回ると井戸があり、その近くに木製の荷台と大きなダンボールを発見した。

 

 

用具を取り出し小屋に入れて畑を目指して荷台を転がす。

畑に着くとカボチャとスイカ、その他の野菜をダンボールに詰めていった。

 

 

「カボチャ5個もいるか?」

 

 

橋下が荷台を押しながら呟く。

 

 

「人数が多いから必要だろう。」

 

 

「そうか…」

 

 

橋本は荷台を押すのがダルいのだろうな。

嫌そうな顔をしながらも、ジャンケンに負けたのは橋本なので同情すれど助けたりはしない。

 

 

「帰ったぞ。カボチャとスイカを見つけたので持って来た。石田、マップに記録したい。」

 

 

葛城が洞窟の外にいた石田に声をかけるとマップを持った山村を呼んでくれた

ペンとマップを譲り受け、スイカとカボチャのあった畑を記録していく。

 

 

とれたての野菜を冷水で冷やし風通しの良い日陰に置く。

調達班が持ってきた魚はフライパンで焼き、野菜は味噌味の野菜炒めにしたようだ。

 

 

とれたて野菜は新鮮で美味しかった。

魚もスパイスのおかげで臭みが少なく、食べやすかった。

 

 

「そういえば、見張り役と隠密班のお弁当は何を入れたの?」

 

 

鬼頭と竹本、清水は重要な役なので食事をしに一々ベースキャンプに戻るのは大変だ。

そこでベースキャンプ待機班の調理担当者は朝5時からお弁当を作り、鬼頭と竹本、清水に渡さなくてはならないのだ。

 

 

その後残りのクラスメイトの食事も作る必要があるので、地味に大変なのだ。

ちなみに調理担当者は谷原真緒と田宮江美、西川亮子の3人らしい。

 

 

残りのベースキャンプ待機班員は清掃や調達班との連絡係を行なっている。

後は下処理や冷蔵物を本部に取りに行ったり、遊んでいる訳では無いのだ。

 

 

「あー確かに気になるね。真緒ちゃん江美ちゃん!鬼頭君達のお弁当ってどんなのにしたの?」

 

 

百恵が二人を呼ぶと真緒達が調理器具を洗い終えてからやって来た。

 

 

「えっと、お弁当だよね?」

 

 

「そうそう。真緒ちゃん達の料理すっごく美味しくて気になっちゃって。」

 

 

百恵の食い意地はAクラス内に知れ渡っている為、2人はクスクス笑いながら弁当を説明してくれた。

 

 

「鬼頭君と竹本君のお弁当はピーマンとパプリカ、玉ねぎとシャケフレークを使ったチャーハン。そこに坂柳さんの余ったお弁当に入ってた唐揚げを一つずつ入れて、那須の炒め物を添えて完成。」

 

 

緑が少ないが、十分美味しそうなお弁当だ。

坂柳の分のお弁当は本部で保管されていたらしく、真嶋が朝本部まで取りに行ってくれたそうだ。

 

 

「へぇ、美味しそうだね!」

 

 

「褒めても何も出ないよ。後清水君のは坂柳さんのお弁当に入ってたおにぎりと茄子の炒め物。おにぎりの具に鮭も入ってるし、唐揚げが無い事は許してくれると助かるんだけど。」

 

 

確かに清水の弁当は肉が入っていないが、鮭でタンパク質は補ているし、栄養の偏りもほぼ無いと言って良いだろう。

 

 

「いやいや、めっちゃ美味しそう。夜も期待大だね!」

 

 

この日龍園に呼ばれてビーチに行くと報告通り、Cクラスがバカンスを楽しんでいたらしい。

煽られたそうだが、こちらも負けじと鰻やスイカなんかの自慢をして帰ってきたそうだ。

 

 

19時頃急いでスポットを回り6ポイントを獲得した。

現在のボーナスポイントは30ポイントだ。

 

 

スポット占有にかなり力を入れている為、今のところ更新時間ちょうどに更新をする事が出来ている。

この調子でいけば、100近くのボーナスポイントが獲得できるに違いない。

 

 

点呼を終えると、鬼頭、竹本、鳥羽の順に報告が行われた。

 

 

『鬼頭君、それは本当ですか?』

 

 

「はい。龍園は今日の点呼を持って深夜にCクラスの生徒を数名残し、他はリタイアさせるそうです。」

 

 

詳しく聞くと、伊吹と金田と石崎、アルベルトを残して各クラスへのスパイと隠密に使うらしい。

それ以外の生徒は深夜リタイアするよう命じていたそうだ。

 

 

さて、龍園がリタイアするかどうか。

本部見張り役にはしっかり観察して貰いたい。

 

 

『分かりました。鬼頭君は龍園を追って下さい。』

 

 

「了解です。」

 

 

鬼頭が水の入ったペットボトルを持ち、Cクラスのベースキャンプへと戻って行く。

 

 

「では竹本、Bクラスについて新たな情報があれば教えて欲しい。」

 

 

葛城に促され、竹本が口を開いた。

 

 

「途中Cクラスの真鍋がクーラーボックスのようなものを持ってきていた。中身はおそらく生物、肉だと思う。」

 

 

この情報により、BクラスとCクラスが契約を結んだ事が確定した。

 

 

「分かった。竹本もBクラスの監視を続けて欲しい。」

 

 

竹本が去って行くと、最後に見張り役の鳥羽が報告を始めた。

 

 

「リタイア者は居なかった。点呼時間にリタイアしている可能性はあるが、見張っている間は船に戻っている生徒はいないぞ。」

 

 

『分かりました。鳥羽君もシャワーを浴びて休んで下さい。』

 

 

これで全ての報告が終わった。

 

 

「明日の動きについて説明する。坂柳達と話し合った結果、明日は────」

 

 

葛城が今後の行動指針を伝えて解散する事になった。

 

 

占有班は午前3時の占有に備えて仮眠を取る。

3日目は鰻丼が食べられるかもと弥彦がはしゃいでいたが、葛城に睨まれて大人しくなった。

 

 

葛城も容赦しなくなったなあ。

 

 

3時にベースキャンプ見張りに起こされ、更新をする。

司城が蛍にビビって逃げ出していったが、特に問題もなく更新ができた。

 

 

ベースキャンプに戻って眠りに着くが、翌朝なかなか起きる事が出来なかった。

山村に迷惑をかけてしまったが、どうやら始まって3日目でそれなりに疲れも溜まっているようだ。

 

 

「……はあ、ご飯食べて会議するか。」

 

 

ちなみにこの日の朝食はカボチャスープとトマトの炊き込みご飯、ミニサラダの3品だ。

どれも絶品で、日常生活で食べるレベルの料理だった。

 

 

トマトの炊き込みご飯がスパイシーで美味しかった。

かぼちゃのクリームスープもクリーミーでシチューみたいで美味しかった。

 

 

同じ食材でも無人島でこれだけ色んな料理が作れるのだから、調理担当の3人には感謝しても仕切れない。

 

 

これを繰り返してやっとの思いで5日目がやってきた。

 

 

途中Cクラスから金田が送られてきたが、なんと言われようと無視を決め込み、見張り役の話では深夜にリタイアしたそうだ。

ちなみに3日目の夜は鰻丼を作り、少量ではあるが美味しくいただいた。

 

 

4日目は小雨が降る中スポット更新と食料調達を頑張った。

夜は雨が降っており、滑りやすい地面に注意しながらスポットを更新した。

弥彦が転んだが、本部で手当を受けたので問題ない。

 

 

5日目は蒸し暑かったが、夜にスイカが振る舞われた。

スイカ割りをし、盛大に潰れたスイカをみんなで分け合って食べた。

 

 

そして来る6日目、島にはAクラス、Bクラス、Dクラス、龍園、アルベルト、伊吹、石崎が残っている。

鬼頭の話によると、伊吹はDクラスへのスパイとして、石崎とアルベルトはどこかに隠れているらしい。

 

 

 

「ここからが本当の勝負だよ。」

 

 

試験ポイント残金 225ポイント

占有ボーナス(6日目午前8時) +90ポイント

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6日目本部にて。

星之宮と茶柱は見回りに行っており、本部には真嶋と坂上の2人が待機していた。

 

 

本部に置かれたテレビではニュースが流れていた。

 

 

 

『続いてのニュースです。愛知県名古屋市に住む九重花子さんが部活の大会の帰りに行方不明となりました。名古屋市では今月7名の高校生が行方不明となっており、市では集団登下校を呼びかける等対策を───』

 

 

 

「坂上先生、今年4月に入学予定だった高野累君を覚えていますか?」

 

 

 

「ええ、非常に優秀な受験生でした。留学先での成績もトップクラスであり、帰国後の学期末試験でも学年トップの成績を収めていたと聞いてます。」

 

 

坂上は悲しそうな顔でテレビ画面に映るニュースを見つめながら話す。

真嶋も釣られてニュースに目をやる。

 

 

最近全国各地の有名な進学校に通う生徒が行方不明になる事件が多発していた。

この事件は今年の三月から起きていたが、次第に件数が増えている。

 

 

最近では進学校関係なく身体能力の高い生徒や一芸に秀でた生徒も見つかっている。

偶に行方不明者が発見される事もあるが、発見される頃には亡くなっているのだ。

 

 

何かが起きている事は確かだが、犯行手口が不明なのだ。

監視カメラにも映っておらず、どのような場所で消えるかもわからない。

 

 

何か大きな組織が動いているのか、見つかった遺体から事件として捜査を始めてもすぐに打ち切りになってしまうのだ。

国をも動かす権力を持った何者かが天才と呼ばれる青年達を誘拐し、無惨にも殺している。

 

 

「坂上先生、高野が居たらきっとAクラス内で3つの派閥が出来ていたと思います。坂柳、葛城、高野、この3人は我の強い生徒ですから。」

 

 

 

「そうかもしれませんね。高野は特に坂柳理事長が期待していた生徒の1人ですから。素晴らしい功績を残してくれたでしょうね。」

 

 

 

高野累は天才と呼ばれる程の才能の持ち主だった。

だからこそ、その命が奪われた事が教師として残念だった。

 

 

「坂上先生、牧之原事件の生き残りである高野累と小代瑠奈。あの事件も全国有数の名門中学の生徒が行方不明となった事件でしたが、どう思われますか?」

 

 

 

「…無関係、とは思えませんね。あの事件と最近の行方不明には似通った点がありますから。」

 

 

テレビのチャンネルを変えてから、坂上は言葉を続ける。

 

 

「合格発表前に突然高野君は失踪した。ウチの学校は全クラスの人数を揃えなくてはならない。推薦で入学が決まっていた者が失踪したため、補欠合格の受験者から選ぶ事になったんでしたね。そして選ばれたのが六角百恵さん。小代さんと同じ中学出身の方ですね。」

 

 

六角百恵は高野累の代わりとして合格扱いとなったのだ。

高野累のものになるはずだった学籍番号とクラスに穴埋め役として配属された。

 

 

本来のポテンシャル的にBクラスが妥当であるが、高野の代わりなのでAクラス配属になった。

ちなみに牧之原事件の生き残りと同じ中学という理由だけで補欠合格者から選ばれている。

 

 

「坂上先生、今回の無人島試験。途中までは中止されると聞いていたのに、6月の終わり頃突然行う事に決まった。しかも国からの命令で、ですよ。」

 

 

真嶋はこの学校の生徒が巻き込まれる可能性を危惧していた。

国営の特別な学校の生徒だからこそ、行方不明者が出る可能性が高いと考えていた。

 

 

行方不明となる者の共通点は、周囲から優秀な人間という評価を得ている事だ。

今回の無人島試験、何もないと良いのだが。

 

 

「上からの圧力だとは思いますが、このご時世にわざわざ危険を犯す必要は無いと思うのですがね。」

 

 

「ええ。お偉い方の考える事はさっぱり理解出来ません。」

 

 

例えクラスが違えど、教師として全ての生徒を想う気持ちは同じだった。

彼らはきちんと教育者だった。





高野累

所属    1年Aクラス

学籍番号  S01T002704

誕生日   10月27日

【学力】   A
【知力】   B
【判断能力】 B+
【身体能力】 C
【協調性】  B

【面接官からのコメント】

学力が非常に高く全体的にバランスの良い生徒だ。
また中学はイギリスのパブリックスクールへ二年間留学しており、美術の成績はトップクラスだった。
他にもドイツ語やフランス語を学習し、日常会話程度なら問題なく話せるクァドリンガルでもある。
上記を踏まえAクラス配属とする。

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