入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】 作:かりん糖さん
そろそろひよりんを喋らせたい。
ひよりんにもAクラスに来て欲しいけど、それをやったら流石にバランス崩壊しますよね。
ただでさえAクラスが強化されてるのに、、、
ちなみに次回、綾小路と小代ちゃんが対面するお話を書きます。
是非お楽しみに!
あなたの夢は何か、あなたが目的とするものは何か、それさえしっかり持っているならば、必ずや道は開かれるだろう。
by モーハンダース・カラムチャンド・ガーンディー
小代瑠奈と別れ、高円寺六助は第二会議室に向かった。
そしてその中には先程小代瑠奈と話していた男、高宮真太郎が立っていた。
「高円寺六助君だね。初めまして、私は今回の豪華クルーズ、及び特別試験の最高責任者を務めている高宮真太郎だ。君に聞きたいことがあってここへ呼ばせて貰ったんだ。」
高円寺は高宮の言葉を待たず、近くにあったチェアに腰掛ける。
足を組む事なく、高宮と対等に会話をする事にした様だ。
「初めまして、ミスター・高宮。あなたの名前は父から聞いた事がありますよ。この私に聞きたい事、我が友、ベストフレンドの高野累の事でしょう?」
高円寺の幾分か丸い態度に高宮は驚きつつも、笑みを零す。
「その通りだ。君がイギリスのパブリックスクールに短期留学中、高野君と知り合ったそうだね?少し話を聞かせてくれないかな?」
警察の行う事情聴取とは違って、ただ昔話をする様に穏やかな口調で高宮は話す。
高円寺は高宮に敵意がない事を感じとり、目を伏せ思い出に浸る。
何から話そうかと思案し、彼が選んだ第1の話題は高野累との出会いだった。
「彼、累と出会ったのは私がまだ日本にいた頃、お爺様の生誕祭での事だった。累はそこに名のある音楽家の息子として参加していたんだが、彼はなかなかにユニークな男だったよ…」
高宮は年相応の高校生らしい高円寺の表情に目を細める。
そして、本物の天才の話を楽しそうに目を細めて聞いていた。
「音楽家、高野君のお母様だね。確かウィーン国立音楽大学を卒業し、ショパンコンクールにも出場している様だね。残念ながら受賞はされていない様だが、チャイコフスキー国際コンクールやジュネーヴ国際音楽コンクールでは受賞されているらしいね。」
「その通りだよ。累はそんな母上と聡明な父上の遺伝子を持つ優秀な男だった。彼自身も知性と豊かな感性を持ち、美しい絵を手掛けるアーティストだ。」
高野累は画家としての才を持ち、尚且つ高いIQや幅広い知識を持つ天才。
しかし普段の彼は柔和で温厚、正しさを持つ優等生だった。
「しかし、私と出会った時の累は壁の近くに飾られた花瓶を見てこう言ったのだよ。『死んだ花を生けるとは趣味が悪い』とね。この言葉の意味が分かるかね?ミスター・高宮。」
少し興奮した様子で話す高円寺の言葉に高宮は苦笑いを零す。
高宮の知る高野累は常識のある少年であり、その様なミステリアスな物言いをする人物では無かった。
単純に複数の顔を使い分ける怪人だったのか、常識を身につける前の彼だったのか、気になるところだ。
「残念ながら、私には分からないかな。」
高宮の言葉に高円寺は嬉しそうに頷き口を開く。
「ああ、そうだろう!そうだろう!この私にすら分からなかったのだから、凡人であるあなたに分かる訳がない。」
高野寺は嬉しそうにうんうんと頷き、また昔話を再開させた。
「累が言った事は、お爺様、そして高円寺コンツェルンの未来を憂いての発言だったのだよ。会社は上に立つ物が従う者を支配し、利益を出す。今の社会を見れば分かるだろうが、働くという事は生きる為に時間や夢を捨てる行為だ。」
自由という言葉を掲げる高円寺が現実的な発言をする、というのは違和感がある。
しかし彼は高円寺の後継者であり、後継者としての教育医を受け良き指導者になろうと努力している事が窺える。
「そこに生けられていた花は萎れていた。しかしその花は青い薔薇だったのだよ。希望、高給や名誉を餌に多くの社員を縛り付けている様は、今の現社会を表しているかの様だった。壁の花、になろうとしている彼等に向けての言葉でもあったのだろうね。見て見ぬふりをするな、と釘を刺したかったそうだよ。」
風刺画の解説をするような話し方に高宮は、高円寺のワードセンスの高さを感じた。
確かに、幼い子供がその様な発想をするのは不自然だ。
高円寺が興味を持つのも頷ける。
そして高野累の芸術センスも、彼自身の思想や思考に大きく影響されているのかもしれない。
「高野君がここに入学していたら、Aクラスを賭けた戦いに君も参加していたんだろうね。高円寺君。」
「ハッハッハ、確かにそうだ。累は類稀な才能を持っている。そしてそれを鼻にかけない謙虚さは日本人らしさがある。そんな彼ならば、Aクラスに選ばれる事も必然だろうね。」
高野累は高度育成高等学校に入学後、Aクラスに配属される事が決まっていた。
高宮は、その事実を見抜いた高円寺の分析力の高さにただただ圧倒されていた。
そして失った才能溢れる高野累という青年に対して、やるせない思いを抱く。
「流石は高円寺君、よく分かったね。高野君はAクラスに配属予定だった。」
「それくらい分かって当然さ。だが、私がDクラスに配属された事については異議を申したいがね。」
高円寺は続けて次の話題に移る。
目の前の高円寺の表情はいつも通りに見えたが、少し声のボリュームが小さい気がした。
チクタクと時計の針が忙しなく動く。
時は止まらない、戻らない、一直線に進んでいくのだ。
死んでしまった人は帰って来ない、だからこそ今を生き続けるのだ。
彼らの分まで、精一杯生きなくてはならない。
高円寺が高野の死についてどう思ってるかいるのかは知らないが、残念だと彼の死を悲しんでいる事は間違い無いのだろう。
何故なら、彼の持つ携帯ケースには今にも萎れそうな青い薔薇の写真が描かれているのだから。
彼なりに過去に蹴りを着けようと、その想いで話を続けているのかもしれない。
会議室でのフェアリーテイルはまだまだ続く。
針が12を指すその時まで、鳩時計の鐘が鳴り響くまで。
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「あら、こんなところで葛城君に出会うとは。今日はお仲間の方々はいらっしゃらないのですね。」
「フン、お前こそいつも共に行動する鬼頭や橋本、神室はどうしたんだ?」
干支試験の結果発表が行われ、行動の制限が解除された夕方、3階のとある寿司屋で坂柳と葛城が対峙していた。
と言ってもただばったり遭遇しただけの様だが。
「私は、美味しいと評判の寿司屋に来ただけですよ。橋本君や鬼頭君はプールかトレーニングルームにでもいるはずです。神室さんには少々頼み事をしている最中なので、今は席を外しています。」
「そうか。」
「葛城君は1人寿司ですか?」
坂柳有栖はクスリと小さく笑いながら葛城に問う。
「…そうだ。部屋でファーストフードを頼み、パーティーをしているのだが少々騒がしくてな。静かなところで食事をしようと思ってここに来たんだが、まさか坂柳に会うとは思わなかった。」
「そうですか。面白い偶然ですね。」
「ああ。」
葛城と坂柳は数十秒の沈黙の間、互いに向き合っていたが、店前だという事もありこのままここに居ては邪魔になってしまうと気付く。
「このままでは通行人の邪魔になってしまう。ひとまず店に入るとしよう。良ければ共に食事をしないか?お前と向き合って話す機会もなかなか無いだろう。」
「ええ、私も今そう言おうと思っていました。その提案、受けさせて頂きます。あなたとお話しするのもたまには悪くないかもしれません、ふふふ。」
2人は店内に入り、奥の個室へと向かっていった。
個室の長椅子は固めのソファで、上質な革が使われている。
コースの注文を行い、葛城はAコース、坂柳はBコースを頼んだ。
Aコースは虎河豚のコースだ。
これは、お通し、虎河豚のうす造りから始まり、寿司、白子焼き、唐揚げ、鍋(しゃぶしゃぶ)、シメの雑炊、デザートの順番に運ばれてくる。
Bコースはのどぐろのコースだ。
これは、お通し、のどぐろのうす造りから始まり、寿司、炙り寿司、煮付け、炊き込みご飯、あら汁、デザートの順番に運ばれてくる。
どちらも高級食材として人気の高い魚であり、このコースも普通に頼めば3万円はする。
今回のクルーズでは全ての施設・食事の費用が無料なので支払わなくても良いが、学生が簡単に入れるような店ではない。
暫くして食事が運ばれて来た。
「ふむ、美味いな。」
「葛城君は、河豚がお好きなのですか?」
「いや、今回初めて食べた。あまりこういう格式高い店を利用した事は無くてな。社会勉強の一環として、回らない寿司屋、というものに興味があったんだ。河豚は弥彦に勧められてな、いつか食べてみたいと思っていたんだよ。」
葛城康平は裕福な生まれでは無かった。
幼い妹は虚血性心疾患を患っており、心臓移植手術を行う必要がある。
しかし、手術には莫大な資金が必要であり、ドナーもまだ見つかっていない。
そして彼女の血液は希少な型であり、輸血をするにも一苦労だ。
彼女の治療費や入院費で莫大な資金がかかるため、葛城は家に迷惑をかけないためこの学校を受験した。
学費が無料なだけでなく、生活費の援助や卒業後の進路も保証されるこの学校へ。
実際、そんな甘い言葉の全てが事実では無かったが、葛城はこの学校に満足していた。
自分では出来ないような遊びや旅行、経験が出来るという事が葛城に楽しさを芽生えさせたのだ。
そしていつか、妹の様に苦しむ人々を助けたいと思う様になり、最近では医学部を目指して勉強をしている。
「そうですか。貴重な経験が出来て良かったですね。」
坂柳は生まれた時から、上に立つ人間としての教育を受けてきた。
身体的な障害を抱えていたが、持ち前の頭脳で他を圧倒してきた。
裕福な家に生まれ、裕福な暮らしをし、高い教育を受けている。
葛城とは真反対の人間だった。
今食べているような高級な食材を使った食事は日常的に食べているし、豪華クルーズにだって参加した事はある。
所詮お嬢様というやつだ。
そんな2人がここで平和に会話をしながら寿司を食べるなんて、誰が思うのだろうか。
戸塚や町田、橋本や神室が見たら腹の探り合いをしている様にしか見えないだろうな。
「…そういえば、葛城君。あなたは小代さんについてどう思っているのですか?」
「小代か…。」
葛城は食べる手を止め、1口茶を口に含む。
そして小代についての話を始めた。
「小代は、俺の恩人だ。小代瑠奈がAクラスに来る前、5月の下旬の頃だ。俺は彼女に助けられた事がある。内容を説明する事は出来ないが、確かに彼女のおかげでクラス内の地位を磐石なものにする事が出来た。この事実と今回の試験の結果から、優秀な人間だと思っている。」
葛城の言葉に坂柳は内心彼を小馬鹿にしていた。
坂柳にとって小代瑠奈とは異質な存在だった。
入学後2ヶ月でAクラスに移動し、自身の有能さを示して見せた。
それだけでなく、干支島試験を始めから知っていたかの様な言動をしていたり、私の派閥が広まる前に、派閥が出来た事や派閥の人間について知っているかの様な態度や発言をしているのだ。
まるで未来を知っているかの様な、そんな得体の知れない恐怖を彼女に対して抱いていた。
だからこそ、葛城の小代に対する『優秀』という評価を聞いて彼の実力の低さをより実感したのだ。
葛城は優秀であり、防衛だけでなく攻め手も使える様になったがまだまだ他クラスのリーダーには及ばない雑魚なのだ。
そんな彼が天才である坂柳と対峙している事自体、おかしな話なのだ。
だが葛城を坂柳と対峙出来る様に誘導した小代瑠奈は間違いなく、強敵になりうるだろう。
「葛城君は小代さんについてあまりに知らなさ過ぎる。そのままでは、いつか足を掬われますよ。」
「…どういう意味だ?」
「小代さんは、あなたが思う程度の人間ではありません。あれは…底が知れない怪物なのですからね。」
「怪物...だと?」
葛城は坂柳の言葉の意味を理解出来ていなかった。
小代瑠奈は他者の気持ちを汲める善人であり、それでいて知略に優れた人間でもある。
怪物というワードは彼女に不似合いだった。
「そのままの意味ですよ…葛城君、彼女を盲信する事はオススメしません。これは私からの善意のアドバイスです、ふふふ。」
坂柳は葛城に忠告をした。
そのままではお前は勝てないぞ、と煽りの意味も入っているかもしれないが。
最も、彼を失脚させるのは坂柳自身である。
敵に塩を送る理由としては、彼女が生粋の勝利主義者だからだろう。
弱い敵を倒しても嬉しさや楽しさを生まれず、ただ当たり前の事実だと脳が認識する。
強い敵を倒した時こそ、達成感や喜びを感じる事が出来る。
彼女は雑魚狩りをするタイプではなく、雑魚は他人に狩らせ、王を自分の手で潰すタイプである。
だからこそ、葛城が弱者の状態で勝ったところでつまらないのだ。
だからこそ、いずれ強敵となった葛城の首を落とす事に期待を込めて葛城に忠告を行ったのだろう。
「…その言葉、覚えておこう。」
「ええ、そうしてください。」
暫くして神室がやってくると2人揃って寿司を食べる姿に顔を顰めた。
「アンタら、何やってるの?」
「見て分かりませんか?食事中ですよ。」
「寿司を食べながら談笑しているだけだ。神室も座ったらどうだ?この虎河豚のコースは美味いぞ。」
「私の頼んだ、のどぐろのコースも美味しいですよ。特にこの炊き込みご飯には松茸も使用されていて、夏ではありますが秋の香りが楽しめますよ。」
2人の言葉に神室は深い溜息をつき、坂柳の隣、葛城の向かいに座る。
そして2人とは全く違う、海鮮丼とぶりしゃぶのコースを注文していた。
「意外と臭みが少ないのね。」
「下処理がきちんと行われている証拠です。ここは有名なお店ですからね。」
豪華な料理に舌鼓を打ちながら、3人で料理を味わったのだった。
残金 846万8300プライベートポイント
今後の展開として欲しいものを選んで下さい。
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