入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】   作:かりん糖さん

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3話 株を上げた

3話目です。

少し話を調整しました。

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それから暫くは勉学に励むフリをしながら、青春ライフを満喫していた。

ひよりとカフェで本について語り合ったり、櫛田とメインストリートから離れた路地裏にある喫茶店や雑貨屋に足を運んでみたり。

 

 

「あれ?職員寮の奥にあるの、お店だよね?」

 

 

奥に見えるは工事中の角川リサイクルだ。

扉は新しく取り換えられ、外壁も綺麗に補修されている。

 

 

看板も新しく作られ、青を基調とした可愛らしい外装となっていた。

汚れもほとんど目立たくなっているため、清掃業者でも雇ったのだろう。

 

 

「そうだね。えっと、角川リサイクル?リサイクルショップかな?すごく可愛いお店だね!」

 

 

「そうだね。気になるけどリニューアルオープンは12日みたいだよ。」

 

 

「へぇ!節約も出来そうだし、1度オープンしたら一緒に行こうよ!」

 

 

「いいね!あそこお菓子とかも売ってるんだけど、印刷ミスとかで売れなくなったのをスーパーから仕入れてるみたいで、賞味期限とかは全く問題ないし、かなりいいものが揃ってるよ。」

 

 

「そうなんだ!楽しみだなぁ」

 

 

本心とは思えないが、この学校の本質に気づき始めているのなら喜ばしいことだろう。

12日の放課後櫛田と出掛けることになった。

 

 

翌日の昼休み。

ひよりと弁当を食べていると突然校内放送で呼び出しをされた。

 

 

『1年Cクラスの小代瑠奈さん。今から生徒指導室にお越しください。繰り返します。1年Cクラスの小代瑠奈さん。坂上先生がお呼びです。生徒指導室までお越しください。』

 

 

呼び出しとは何故だろうか。

問題行動を起こしたわけでも、褒められるようなことをした訳でも無い。

 

 

強いて挙げるならば、突然増えたポイントに関する話くらいだろうか?

少し思案していると、ひよりが不安そうな顔を向けていた。

 

 

「行ってくるよ」

 

 

「わかりました。品行方正なるーちゃんです、大丈夫だとは思いますけど。」

 

 

「うん、すぐ帰ってくるよ。」

 

 

生徒指導室に来るのは初めてだ。

小中と優等生だったから、生徒指導とは無縁だった。

転生前の人生も私は大人しい部類にいたため、行動を咎められたことは無い。

つまり根っからの真面目である。

 

 

「失礼します。1年Cクラスの小代瑠奈です。」

 

 

「入りなさい。」

 

 

中に入ると座るように促された。

 

 

「飲み物は緑茶でいいですか?」

 

 

落ち着いた声音、態度から何かを怒っているようには見えない。

だが坂上が呼ぶからには何か意味があるはずだ。

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

頂いたお茶口に含み、軽く会釈をし坂上に向き合った。

坂上も同じように茶を飲んでから口を開いた。

 

 

「今日貴方を呼び出した理由は、貴方のポイントが突然1000万ポイントを越えたからです。貴方には幾つかお聞きしたいことが有ります。まず、1325万ポイントの出処をお聞きしても宜しいですか?」

 

 

かなり怪しまれているようだ。

 

 

普通10万ポイントを貰ったんなら、それ以上のポイントをすぐ手に入れようとは思わないはずだ。

普通ならばポイントを何に使うかを考えるだろう。

だが私は如何にポイントを増やすかに重きを置いて行動している。

 

 

素直に答えたところで私にマイナスは無い。

 

 

「このポイントは実家から持ってきたアクセサリーをモールにある宝石店で鑑定してもらい、そこで売却をして手にしたものです。」

 

 

「!…なるほど、そんな方法があったとは。盲点でしたね。では、何故宝石を売却したのですか?」

 

 

坂上は酷く驚いた顔をしたが、すぐに冷静さを取り戻した。

 

 

「そうですね…私は今後ポイントが必要になる時が来ると思っています。来月のポイントが10万きっかり振り込まれるとは言われていませんし、この学校は実力主義を謳っている。授業中の私語や電子手帳の操作、無断欠席を行っても注意すらされない。」

 

 

私の言葉に坂上の顔色はどんどん青くなっていく。

 

 

「そして、先生はポイントで買えないものは無いと仰いました。いつ、如何なる時も備えるべきだと考えました。」

 

 

「成程。備えあれば憂いなしということですね。では、73万ポイントの支出については?何に使われたのですか?」

 

 

これについてはまだ計画段階であり実行は出来ていない。

いずれ大きな金儲けをするための下準備にすぎないため、黙秘させてもらう事にする。

 

 

「これについては現在お答え出来ません。ですが、近いうちにわかると思います。必要であればその時に説明します。」

 

 

「わかりました。最後に小代さんの目的はなんですか?」

 

 

目的は勿論Aクラスに行くことだ。

 

 

「Aクラスに行くことです。もう何も失いたくないんです。」

 

 

事実のみを告げると坂上は急に目を見開いた。

「何故それを」「いやしかし」とブツブツ一人言を吐きながら頭を抱え始めた。

しばらくすると緑茶が無くなったため、顔色の悪い坂上に断って退出した。

 

 

そういえば何故坂上はあんなに驚いた顔をしていたのだろうか。

まあいいや、早く帰ってお弁当を食べよう。

 

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階段を上がっていくと上からカランカランと何かが転がってきた。

近寄ってみるとそれは杖だった。

 

 

このアイテムを使う原作キャラは1人しか知らない。

二学期以降Aクラスを引っ張っていく、Aクラスの女王だ。

 

 

"坂柳有栖"

 

 

原作主人公の幼少期を知る理事長の1人娘。

 

 

杖を拾い上の階を見上げると薄紫色の髪が特徴的な美少女が微笑んだ。

私は慌てて階段を駆け上がり、彼女に杖を差し出した。

 

 

「落としたのは貴方だよね?これじゃあまるでシンデレラだ。はいどうぞ。」

 

 

名前を呼びそうになったがなんとか堪えた。

合法ロリもとい性悪脆弱激重夢見がちなメンヘラ幼女。

 

 

「拾ってくださりありがとうございます。私は坂柳有栖と申します。」

 

 

近くで見ると肌のきめ細かさや髪の艶やかさをより実感する。

 

 

だがどことなく目が赤いようだ。

表情もどこかムスッとしているように感じるし、何かあったのだろうか?

 

 

そういえば原作で近くにいた橋本や鬼頭が居ないのもおかしいな。

 

 

「私は小代瑠奈。疲れてるみたいだけどどうしたの?付き人さんもいないみたいだけど。」

 

 

「?!…ど、どうしてそれを…」

 

 

先程の坂上先生同様、目を見開いて酷く驚いていた。

坂柳有栖はこんな風に初対面の相手に感情を顕にする人間では無いはずだ。

 

 

「いえなんでもありません。Dクラスの生徒に落とした杖を事故とはいえ蹴られてしまい、運悪く階段の方へ吹き飛んでしまったのです。彼は振り返る事もせず、謝罪の一言も無しに通り過ぎて行ってしまったのです。」

 

 

なるほどそれは災難だ。

というか常識的に考えて蹴り飛ばした張本人が杖を拾いにいくべきだろう。

こんな奴は不良品と呼ばれても仕方ないだろう。

 

 

「それは災難だったね。次そんな奴がいたら私が怒っちゃうよ。」

 

 

「ふふ、それは有難いです。是非お願いします。良かったら連絡先を交換しませんか?貴方はとても興味深い方ですね。初対面の相手のために怒れるなんて。」

 

 

「勿論だよ。これからよろしくね!坂柳さん。」

 

 

坂柳は引き攣った笑みから打って変わり、原作のような強者のオーラと威圧感ある態度を示した。

少なくとも嫌われてはいないようだが、なんだか心地が悪い。

 

 

彼女をAクラスの教室まで送ると入口に橋本や鬼頭、神室が集まってきた。

 

 

「坂柳、随分遅いお帰りだったみたいだけど何かあったの?…アンタは」

 

 

神室は他人のフリをしてくれてるようで何より。

 

 

「おやおや、随分美人さんじゃないか。俺は橋本正義、君はいったい姫さんとどんな関係なんだ?ま、よろしくな。」

 

 

橋本が坂柳の隣にいる私に気づき、フレンドリーな、でもどこか警戒したような顔で話しかけてきた。

原作では坂柳派閥にいながらも、龍園に取り入ったりと最終的にAクラスに行くために影で画策している男だった。

 

 

欲に忠実で私利私欲のために生きるところはどこか私と重なる気がする。

 

 

というか、なんか既視感があるんだけど、なにかのアニメか漫画でも似たようなキャラがいたような気がする。

 

 

「初めまして、1年Cクラスの小代瑠奈だよ。坂柳さんが疲れてるように見えたから、ここまで支えてきたの。」

 

 

愛想よくにっこり微笑んでみたが、神室は嫌そうな顔をしている。

やめろ、関係バレるだろとツッコんでみる。

 

 

「へぇ、小代さんは親切な人なんだな。」

 

 

人の良さそうな笑みを浮かべる橋本と対称的に、鬼頭は無表情だった。

 

 

「ええ。私が杖を落としてしまい、更にその杖をDクラスの男子生徒に蹴り飛ばされてしまったのです。威力が強く、階段の下まで飛んでいきどうしようかと思案していた所を彼女が助けて下さったのです。」

 

 

「そんな大袈裟だよ、人として当然のことをしたまでだよ。気にしないで。」

 

 

そして、意外なことに坂柳が私のフォローをしてくれた。

本当に気に入られているような気がするが、油断ならない人だ。

 

 

今のフォローは坂柳派の少し威圧的なオーラを払拭するには充分だった。

人間らしい振る舞いをすることで、近づきにくい雰囲気を解消してみせた。

 

 

これはさすがと言わざるを得ないだろう。

人の上に平然と立ち、平然と人を従えるカリスマ性を私はよく知っている。

 

 

坂柳派の全員と連絡先を交換し(神室とはフリ)、自クラスへ変えると丁度昼休みが終わってしまった。

 

 

「ひよりただいまー」

 

 

「随分遅かったですね、何があったんですか?」

 

 

「それがね、坂上先生と話した後に階段でA「席に着け、授業を始める。」…後で話すね。」

 

 

茶柱先生が授業を始めたため、慌てて教材を卓上に出した。

 

 

そういえばせっかく作ってきた弁当が残っているな。

家に帰ってから食べなくちゃ。

 

 

帰りのHRが始まった直後、急遽追加された校則について放送が入った。

 

 

『新たに追加した校則は"御自宅から持ち込んだ物の外部業者への売却を禁止する"というものです。これは例外なく、廃棄以外で外部業者に渡すことを禁止する校則です。』

 

 

私以外の全てのクラスメイトがポカンとした顔をしていた。

しかし坂上は深刻そうな顔をしながら補足説明をしていった。

 

 

「入学してからひと月で1000万ポイント以上を稼いだ生徒がいます。方法は至極簡単で、自宅から持ってきた宝石をモールの宝石店で売却したのです。」

 

 

「なんだよそれー」

 

 

「そんなのありなの?アタシもやれば良かった!」

 

 

そうは言うけど、数百万、数十万する宝石や価値あるものを家から持って来ているのか?

恐らくここで生活するのに不必要なものは持って来てないはずだ。

 

 

男子の石崎グループや女子の真鍋グループがザワザワつき始めるが、坂上は真剣に話し続けている。

そういえば龍園は未だに静かにしているようだった。

 

 

今は蛇でも、きっといつか龍となって牙を向くに違いない。

恐らく来月一日の小テストの結果発表後、このクラスの王になるのだろう。

 

 

石崎を暴力で打ち負かし、龍園を伊吹の見ているところで3度戦い3度負かしたアルベルトが軍門に下る。

他者を屈服させる怪物が眠りに冷めたらポイントを絞られるのがオチだ。

 

 

ポイントを貯金できるシステムについてはどうにかしたいものだな。

それこそ生徒会長に相談してみてもいいかもしれない、少し考えてみるか。

 

 

「全員静かに。今回の件がいかに重要なルールかということを来月の一日には理解出来るはずです。いいですか?くれぐれも御自宅から持ち出したものを売らないように。」

 

 

「えーそいつだけずるーい」

 

 

犯した行動を咎める訳では無く、あくまで学生の自主性を尊重した学校は大分やばいと思う。

だがまあ、原作が変わる程のことではなさそうで安心した。

 

 

しかし今回のルール追加により、残りのジュエリーボックスを即売ってAクラスに行くことは出来なくなった。

おおよそ800万近いポイントが必要になった訳だが、さてどうしたものか。

 

 

まずはリサイクルショップを機能させ、ほんの少し利益を受け取ることから始める。

軌道に乗れば、あそこを情報を取り扱う店として繁盛させることも夢じゃないはずだ。

 

 

まあ情報を売るならば、まずは情報を仕入れるところから始めよう。

まあ、どうしても情報が無いなら作ればいいだけだが、名誉毀損、誹謗中傷といわれたらおしまいだ。

 

 

立ち回りを考えるべきだろう。

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