入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】 作:かりん糖さん
一応4話目ですが、3話と4話の話なので3.5話目とします。
坂上先生の不信感が募り、3話のラストであんなルールが追加されましたが、それの経緯を端折りながら書いてみました。
side:坂上
我が校には優れた生徒が多く在籍している。
そして今年入学してきた新1年生は特に癖の強い学年となった。
まずはAクラス。
ここはクラス内に2つの派閥が出来ており、坂柳派と葛城派が存在する。
坂柳派は坂柳有栖を初めとし、幹部に橋本正義、鬼頭隼、神室真澄等、坂柳を支えるため身体能力に特価したバランスの良い生徒が所属している。
次に葛城派は葛城康平を初めとし、幹部に戸塚弥彦、町田浩二を添えており、全体的に学力、身体能力の高い生徒が所属している。
次にBクラス。
一之瀬帆波はBクラスの中心人物となり、クラスを纏め率いるカリスマ性を持っている。
特筆すべき才能は無いが、人を惹きつける魅力と性格の良さがさ彼女をリーダーたらしめるのだろう。
我がCクラスには残虐性、残忍性を持つ暴君名高い龍園翔、校内でもトップクラスの身体能力を持つ山田アルベルト、身体能力や統率力は劣るが龍園が居ない場合のリーダー候補となる石崎、
他にも学力の高い金田や椎名、女子の中で身体能力が高い伊吹等、粒ぞろいだ。
分野だけを見ればAクラスにも劣らない。
そしてDクラスには平田や櫛田という優等生、堀北会長の妹である堀北鈴音、入学試験で全教科50点を取ったという異質な存在、綾小路清隆。
身体能力の高い須藤に容量の良い松下もいる。
不良品とはいえ、警戒は必須だろう。
腐っても優秀な生徒だ、最大限警戒しなければ下克上をされるかもしれない。
我が校の入学試験に全教科満点で合格した坂柳有栖とほぼ同等とも言える、スコアを叩き出した少女がいた。
"小代瑠奈"
学力が非常に高く、入学試験では2位という輝かしい成績を残している。
彼女は小学生の時から優等生だったようだ。
小学生の時から全国模試では50位以内をキープしており、中学時代の模試では20位以内まで成績を上げたようだ。
彼女を推薦した担任と校長に話を聞いた。
1年時から学年首席として優秀な成績を収めており、体力テストや体育祭でも遅くとも3番手でのゴールを決
める等、身体能力も高い生徒とのこと。
そして学内の派閥争いに勝利し、幼馴染である花園家の令嬢率いる花園派を誕生させた功労者。
合唱部では伴奏を担当しており、1年時はNコン銅賞、全日本で銀賞、2年時には両コンクール共に金賞を収めた。
しかし、全日本合唱コンクール全国大会の帰りのバスで悲劇が起きた。
サービスエリアに止まっている間に誘拐事件が起こった。
何人かの生徒が誘拐され、約3週間消息が不明だった。
そして発見された時には生存者は2人、
そのうちの1人が小代瑠奈だった。
性格は暗くなり、2週間学校を休んだという。
牧之原事件と呼ばれたあの事件は今も尚解決しておらず、犯人は野放しにされたままだ。
あの事件の前後2週間で行方不明となった中学生は全国で30人もいる。
牧之原サービスエリアからは22人の失踪者が出ている。
全員休憩時間にサービスエリアに出たという共通点がある。
なのに足取りは掴めておらず、監視カメラにも映っていないのだ。
2人に事情聴取をした結果、2人とも黙りを貫いていたようだが、2週間後に小代瑠奈だけが事件について述べたところ、デスゲームをしたと話したそうだ。
例の事件後彼女は部活を引退したが、すぐに今まで通りの学生生活を送れるようになったという。
そして2月の期末テストを終えた頃、警察が事情聴取をしたところ事件の記憶を失っているそうだ。
これらの事情によりCクラス所属となったが、本来ならばAクラスに行きリーダー争いに参加出来る逸材でもあった。
欲に忠実なところを除けば、完璧な人だと言えるだろう。
そしてクラス全員のポイントを確認している時、彼女のポイント額が1000万を超えていた。
10万ポイントという大金を手にしたと言うのに、それでは飽き足らず更にポイントを稼ぐなど前代未聞だ。
そして直後、73万ポイントの支出が見られた。
ここまで高額な商品の取り扱いはリフォームやブランド品くらいだが、調書には節約家と書かれていたし可能性は低いだろう。
不正や詐欺といった可能性は拭いきれないため、昼休みに呼び出すことにした。
話を聞いてみると…
ポイントが増えた経緯について尋ねると。
『このポイントは実家から持ってきたアクセサリーをモールにある宝石店で鑑定してもらい、そこで売却をして手にしたものです。』
頭が痛い。
御自宅からアクセサリーを持ってきて、そのアクセサリーの買取価格が1000万を越えることも想定外だった。
次に売却理由について尋ねた。
『そうですね…私は今後ポイントが必要になる時が来ると思っています。来月のポイントが10万きっかり振り込まれるとは言われていませんし、この学校は実力主義を謳っている。授業中の私語や電子手帳の操作、無駄欠席を行っても注意すらされない。』
入学して約一週間で疑問を持てるとは、素晴らしい。
だがなんだろう、用意周到とでも言えばいいのか。
そんな都合よく高価なアクセサリーを持っているなんてことあるだろうか。
『そして、先生はポイントで買えないものは無いと仰いました。いつ、如何なる時も備えるべきと考えました。』
節約家として、ポイントについて考えた結果今後を見据えてポイントを増やしておきたい…
彼女の考えはこんなところだろうか。
『成程。備えあれば憂いなしということですね。では、73万円の支出については?何に使われたのですか?』
ここまではおかしくはあるが納得出来る内容...ということにしておこう。
しかし、73万の支出は放っておくことは不可能だ。
『これについては現在お答え出来ません。ですが、近いうちにわかると思います。必要であればその時に説明します。』
濁された。
しかし近いうちにわかるとはどういうことだろうか。
まあいい、何を企んでいるにしろ目的についても聞いておくか。
『わかりました。最後に小代さんの目的はなんですか?』
数秒の沈黙を得て彼女は、はっきりと告げた。
熱のこもった強い眼差しを向け、力強くはっきりと告げた。
『Aクラスに行くことです。もう何も失いたくないんです。』
え、今なんと?
『Aクラスに行くこと』
はい?な、なぜそれを…
まだ4月の頭、そして入学して数日しか経っていない。
Sシステムの説明はおろか、1ヶ月間は上級生にも箝口令が敷かれている。
来月のポイントがいくら振り込まれるのか、無料商品が何故あるのかを考えればポイントを節約しようと考えるのも不思議なことでは無い。
しかし、それでもAクラスがこの学校の頂きだということまで辿りつける訳が無い。
そして万が一Aクラスが頂きだとして、そこを目指すと言えることもおかしいだろう。
気がついたとしても、どうしたらAクラスへクラス替えが出来るのかという質問が先に来るはずだ。
小代さんの口ぶりや態度は、この学校のシステムを知り、Aクラスに行くための2000万ポイントを貯めようとする生徒では無いか。
こんな優秀な生徒を早々にAクラスに行かせてたまるか。
それも都合よく高価なアクセサリーを持ってきたという事も怪しいだろう。
まるでこの学校のシステムを予め知っているかのようだ。
この件は上に報告し、新たな規制を作らせよう。
生徒指導室を片付け、報告準備を行う。
小代さんについては警戒を強めていかなければならないな。
コンッコンッ
「どうぞ。」
中からは柔らかな低い声が響く。
「失礼します、坂柳理事長。折り入ってお話が──」
この件を話すと理事長は目を丸くし、驚いているようだ。
それもそのはず、こんな額を稼いだ生徒は詐欺で卒業間近に退学になった生徒くらい。
入学し数日で誰がシステムを予知したかのように宝石を売り、ポイントを稼ごうと思うのだろうか。
本当に、実に恐ろしい。
彼女の血縁者や知り合いにはこの学校卒業生及び関係者は居ない。
つまり入学前からポイントを増やす計画を思いつくことはほぼ不可能だ。
「一体なぜこんな行動に出たのでしょうか。家から宝石をたまたま持ってきたというのも、不自然です。」
「いえ、もしかしたら例の事件でこの学校について情報を得たという可能性があります。また花園家がバックに着いている以上、情報が漏れた可能性も考えられます。」
成程、その線もあるのか。
例の事件、花園家と小代さんの関係性について詳しく探る必要がある。
「今回の件は名前を伏せ、放送にてお知らせします。生徒のプライベートを守るための措置として、受け入れて頂けますね?」
むしろ、生徒名を公表でもされたら他のクラスに狙われる可能性が高まる。
「わかりました。」