入学後2ヶ月でAクラスに来ましたけど何か?【1年生編1学期終了】   作:かりん糖さん

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最近更新が遅くなってすみません。
やっと6話です。
この話は会長との会話がメインになります。
今回も面白いとは言えませんが、今後の展開を読む上で必要なので飛ばさないで貰えると嬉しいです。

数多くのご感想をありがとうございます。
是非評価ボタンも押して貰えると嬉しいです。
頂いたご指摘は確認させて頂きますので、何かあればご意見をお願い致します。


6話 商談

 

 

「さて、話とはなんだ?」

 

 

2人だけの生徒会室、私と堀北会長は互いに向き合っている。

先程まで私たちは生徒会に入るか入らないか、そして南雲副会長が勝手に生徒会希望者の生徒会入りを承認させない為の契約について話し合っていた。

 

 

「まず、お願いというのは今月に行われるであろう小テストと今後1年間の定期テストの過去問を頂きたいのです。」

 

 

「ほう?それもポイントで買った情報ということか?」

 

 

ものすごく踏み込んでくるがこれもやむを得ない、適当に答えておこう。

 

 

「まあ、そんなところですね。」

 

 

「成程。だが俺が持っていない可能性を考慮しなかったのか?」

 

 

可能性としては有り得るが──

 

 

 

「私は先輩を信じることにしたんです。」

 

 

こう言うと先輩は訝しげな顔を向けてきた。

 

 

「信じるだと?」

 

 

彼は更に怖い顔をして私を見つめてきた。

そして私は彼の発言に頷いた。

 

 

「この学校では毎年同じ問題が出題され、過去問を使うことにより赤点を回避出来る。過去問は何代にもわたり譲り続けられてきた、つまり一種の伝統だそうです。堀北会長は伝統を重んじる性格だと耳にしましたので、ほぼ確実に伝統を失くしたり捨てたりすることは無いと考えました。」

 

 

というか、金のない先輩は特に過去問を持っている確率が高そう。

だってこれ新作のゲームより高値で売れるんだもん。

 

 

「ほう、良い推理だ。推理通り俺は過去問を持っている。それも先輩に卒業前に譲り受けた3年時の過去問もな。」

 

 

なんと、3年間分の過去問を持っているとは恐れ入る。

流石は天下の堀北会長だ。

 

 

「是非とも3年間分の過去問を譲って頂きたいですね。勿論、タダでとは言いません。」

 

 

「ふむ。情報をポイントで買うくらいだから予想はついているようだな。」

 

 

「3年間分ということですし、おいくら程でお譲り頂けますか?」

 

 

「そうだな。一年分10万として、3年分で30万でどうだ?」

 

 

いくら私がポイントを持っているからといって、ここで30万も使う訳にはいかない。

先行投資だとしても、私は早目にAクラスへ移動したい。

 

 

9日夜時点の残金 1254万7620

 

 

これはひよりとのカフェ代や神室に支払った報酬を差し引いた額だ。

あまり余裕がある訳では無い。

 

 

「会長、私たち一年生は4月に10万ポイントを獲得しました。ですからその額はお支払いできません。もう少し安くしていただけませんか?」

 

 

「ふむ、そうか。君では無いのか。」

 

 

"君では無い"とはどういうことだろう?

 

 

「会長、どういう意味ですか?」

 

 

「ああ、この前HR中に放送があっただろう?」

 

 

『新たに追加した校則は"御自宅から持ち込んだ物の外部業者への売却を禁止する"というものです。これは例外なく、廃棄以外で外部業者に渡すことを禁止する校則です。』

 

 

そうか。

1000万稼いだ生徒により出来た新しいルール。

 

 

まあその生徒私なんですけどね。

 

 

「1000万ポイント稼いだ生徒のことだ。件の生徒の情報について本来生徒会に共有されるはずだが、情報はシークレットとなった。」

 

 

堀北会長は1000万稼いだ生徒を探しているのか。

誰か分かれば嫌でも目立ってしまうし、龍園に今目をつけられれば来月ポイントを搾り取られてしまう。

 

 

「情報をポイントで買ったという話だが、この学校の上級生はそんな安く情報を売り渡したりしない。つまり高額の取引が行われたと考えた場合、君が1000万円を持つ生徒だと思った。」

 

 

頭のキレが尋常じゃない、値下げ交渉して良かった。

 

 

「そうなんですね。」

 

 

「さて、今回は特別に7万ポイントでゆずろう。」

 

 

「もう少し下げていただけませんか?5万ポイントではダメでしょうか?」

 

 

「ふむ。では6万8000ポイント」

 

 

「5万3000ポイント」

 

 

「6万5000ポイント」

 

 

「5万5000ポイント」

 

 

「6万4000ポイント」

 

 

「6万ポイント。もうこれ以上勘弁して欲しいのですが。」

 

 

「なら6万2000ポイントでどうだ?本来3年間分だから価値は約5倍はあるものだぞ?」

 

 

これ以上は無理か。

まあこんなに格安で手に入るのならば値切り交渉は成功だ。

 

 

「分かりました。それで手を打ちましょう。」

 

 

「ああ。過去問についてはPDFでファイルを添付しておく。必要に応じてコピーするといいだろう。」

 

 

「ありがとうございます。」

 

 

連絡先を交換しポイントを送る。

なんだか変な気分だな、こんなに格安で手に入るとは思っていなかっただけ、相当な得をしてしまった。

 

 

「不思議か?」

 

 

「何故ここまで安くして下さったのか疑問ですね。とても有難いことです。」

 

 

「お前の考察力、観察力に敬意を示しただけだ。気にするな。」

 

 

「分かりました。ではもう一つのお話に移らせて頂きたいのですが宜しいですか?」

 

 

「構わん。」

 

 

感謝を述べお茶を飲む。

少しぬるくなったお茶を飲み干し、ゆっくりと口を開いた。

 

 

「私は、ネットバンクを立ち上げたいと考えています。」

 

 

「ネットバンク?」

 

 

「はい。具体的にはポイントを分けて貯蓄できる口座の立ち上げ、そしてその口座を誰でも利用出来るようにしたいのです。」

 

 

「何故口座が必要なんだ?」

 

 

良い質問だ。

でもこれはきっと常に勝者として君臨してきた会長には絶対に、理解できないだろう。

 

 

「まずこの学園では常にポイントを持ち歩いています。しかしこの学園では窃盗や暴行は禁止されていますが、教師の見えないところでは暴行や強奪が行われているのです。勝手に端末を操作されてポイントを全て奪われてしまう方もいます。予防策と言いますか、もしもの時に備えて、口座を作り予めポイントを貯金出来るようにしたいのです。」

 

 

「そうは言うが、被害者が名乗り出れば審議にかけられる。」

 

 

「いえ、名乗り出ることが不可能な被害者のほとんどが、同クラスの人間になるため、訴えたとしてもクラスポイントが減ってしまいます。だから同じクラスの人間に虐げられた人達は助けを求めることが出来ません。」

 

 

少し誇張しているが、これは事実だ。

だからこそ原作で龍園は暴力で他を抑えつけることが出来たのだ。

 

 

「成程な。」

 

 

やはり可能性として考えてはいるのだろう。

だがそれに対して対策を練ることも出来ない。

 

 

被害者の定義はとても難しく、本人が危害を加えられていると訴えない限り、誰もそれを断罪することは出来ない。

手を差し伸べることも迷惑だと思われてしまうかもしれない。

 

 

「それに各クラス事でポイントを徴収されることもあるでしょう。そういう時、役立つのがこの口座です。どれだけ信頼したリーダーでも、お金同然のポイントを預けることに不安を拭えない生徒もいらっしゃるでしょう?」

 

 

「成程な。事業といったな?手数料も取るつもりなんだな?」

 

 

「無料のシステムとは響は良いですが、お金を盗られるかもしれないという点において信用は出来ないでしょう?だったら有料のシステムを作る方がよっぽど信頼できる。手数料はシステムに対する正当な評価ですよ。」

 

 

「事業をしたいのならば生徒会に許可を得ずとも自分でやればいいだろう?」

 

 

いやそれじゃダメだ。

生徒会公認のネットバンクじゃないと誰も使いたがらない。

 

 

「いえ、私はこれを大々的に学校全体で使えるようにしたいと考えています。これをアプリケーションとして配信すればより多くの人が簡単に使うことができるようになります。」

 

 

「出来たアプリケーションを生徒会を通して全校に知らしめたいということか?」

 

 

「その通りです。」

 

 

軽く頷きながら同意する。

堀北会長は数秒の間を置いて、口を開いた。

 

 

「ふむ。ではもしアプリケーションが出来た場合、生徒会で試してから半数以上の承認が得られれば公式のアプリとして認めることとする。ただし──」

 

 

堀北会長は一度区切り、声のトーンを下げてはなす。

 

 

「手数料の一部は生徒会に譲渡すること。この内容で契約できるのであれば仮契約書を作成するが?」

 

 

やっぱりそう上手くは行かないか。

だけど今後のためを考えて仮契約は有難い。

まだ取り消しが聞くのだから。

 

 

「分かりました。仮契約でお願いします。また完成しましたら、手数料や譲渡金について相談の場を儲けて頂きたいです。」

 

 

「勿論だ。しかし、君はとてもユニークだ。まさかこの学校で事業を始めようと考える人間がいるとはな。史上初だろう。」

 

 

まさかここまで堀北会長に関心を示して貰えるとは思わなかった。

この流れでリサイクルショップの宣伝もして貰えたら嬉しいな。

 

 

「恐れ入ります。実は他にも事業に関しての活動を行っております。」

 

 

「ほう?どのような形で携わっているんだ?」

 

 

「職員寮の付近に当校創設時からあるリサイクルショップです。閉店間近のお店に客足を増やすことを条件に売上げの一部を頂く仮契約を結んでおります。壁の修繕や店内の清掃、装飾を増やし、スタンプカードの制度も導入致しました。」

 

 

「ほう、様々な策を講じたのだな。」

 

 

「しかし職員寮の近くな為、生徒の皆さんはあまり近寄ることが無いエリアです。ターゲットはDクラスの生徒です。安く仕入れた製品に問題は無いが、印刷ミスや包装に傷がある商品やリメイク品、中古の洋服や家電を取り扱っています。」

 

 

「客層の限定か。確かにポイントに余裕のない生徒には助かるだろう。宣伝はどうするんだ?」

 

 

宣伝効果があるかどうかで73万の投資の結果が決まると言っても過言ではない。

それだけ宣伝とは重要なものである。

 

 

「チラシを配るのは古典的過ぎますし、掲示板を利用します。知り合いの多い友人に人づてに噂を流すようお願いするつもりです。」

 

 

質問に答え終えたら、堀北会長は挑発的な声で楽しそうに煽る。

 

 

「ほう?それだけで、本当に成功すると思っているのか?」

 

 

「努力しますが、如何せん未知の領域なので上手くいくと断言できませんね。」

 

 

この人は性格が悪いような気がする。

カリスマ性も実力も倫理観も美しい容姿も持ち合わせ、この学校の王として君臨している。

 

 

だが欲深く、大胆で聖人君子では無い。

まあ少しくらい性格が悪くなくては、トップなど務まらなだろう。

 

 

優しいだけのリーダーでは衰退の一途を辿るのみ。

多少性格が悪くとも、悪事を働かなければ名君と呼ばれ名誉を手にする可能性を秘めている。

 

 

「生徒会として宣伝は出来ないが、一生徒としてその店の宣伝をさせて貰おう。」

 

 

生徒会としてならばより評価は高まるだろうが、堀北先輩としての宣伝でも充分関心を持って貰えるだろう。

 

 

「良いんですか?ありがとうございます。リニューアルオープンが12日なので是非お店にも足を運んで貰えると嬉しいです。」

 

 

「ああ、そうさせて貰う。知りもせず評価をすることは出来ないからな。素晴らしい店であることを期待している。そして君には今後も期待している。」

 

 

言い終わると同時に堀北会長は端末を操作し始めた。

数秒後、ピコンッと自身の端末から通知音が響いた。

 

 

確認してみると…

 

 

"200万ポイント"が振り込まれていた。

 

 

「え、えっとこれは一体?」

 

 

「君がしたことと同じだ、先行投資だ。200万円は君の自由にするといい。」

 

 

思わぬ臨時収入ににやけそうになるが、必死に真顔を作った。

そして感謝を述べ頭を下げる。

 

 

期待を裏切れば直ぐに関心も薄れることだろう。

今後の学校生活を生き抜くためにも、いざと言う時の頼みの綱は必要だ。

 

 

何よりここまで期待をして下さったのに、何も応えることが出来ないのはプライドにも障るし、人として恥ずかしい。

 

 

まずは目先のリサイクルショップの問題を解決する。

そして同時並行でITに強い人を探し、報酬を用意してシステム開発の依頼をする。

 

 

「最後に先輩、何方か先生を介して仮契約書へのサインをお願いして貰えますか?先輩の事は勿論信用しておりますが、念の為お願い致します。」

 

 

「用意周到な奴だな。だがこれに関してはもちろん先生方にも確認してもらう。確認が取れたら坂上先生から君にメールが行くだろう。」

 

 

「分かりました。ありがとうございます。」

 

 

きちんと担任を通してくれるところに温かさを感じる。

性格軽いと思ったことは撤回しないが、人情に熱い人なのかもしれない。

 

 

感謝を述べ生徒会室を後にし、ホームセンターへと向かった。

格安で売られている小型カメラを5台、盗聴器を4台買い、合計丁度2万円を支払った。

 

 

特別棟の須藤暴力事件の現場に小型カメラと盗聴器を設置する。

かなり小型な為、吊り下げ式の蛍光灯を支える支柱部分に取り付けることにした。これで事件時の様子がよく映るだろう。

 

 

龍園かDクラス、どちらと取引をするかは近くなったら考えることにしよう。

念の為監視カメラが無いという証拠を提出し、龍園側に着いた場合のみ匿名で生徒会に提出出来るようにしておこう。

 

 

一枚写真をその場を撮り後にした。

 

 

 

次に寮の裏手の曲がり角の電柱にも1台設置する。

事件は夜間のため、ここには盗聴器のみで大丈夫だろう。

 

これで堀北兄妹と綾小路の戦闘シーンを録音できる。

堀北会長にマイナス印象を与えないためにも、匿名の捨てアドで堀北会長に送り付けよう。

 

 

 

残りは屋上前の扉が見える壁に設置した。

小型カメラなので壁の黒いシミと同化して見にくくなっている。

 

盗聴器は屋上前の一番奥にある手すりの下に取り付ける。

櫛田ちゃんを脅すのは気が引けるが、今後の手駒となって貰う為にもここは心を鬼にしよう。

 

 

 

全てを設置し終え、寮へと戻った。

明日は一日ゆっくり読書をすることにしよう。

 

 

明後日は櫛田ちゃんと一之瀬さんとお買い物だ。

ここで一之瀬さんと面識を持ち、リサイクルショップの宣伝効果アップを狙いたいところだ。

 

 

神室にメッセージを送ってITに精通している人物を探してもらおう。

 

 

『ポスター作成で忙しいと思うけど、並行してITに精通している人物のリストを作って欲しい。どうしても見つからない場合は出来る範囲で他学年の先輩にも聞いてみて。報酬は結果が出てから出すよ。期限は今日から10日間。』

 

 

まだ既読は着かないが恐らく遂行してくれるはずだ。

寮に着いてからはほうれん草のクリームパスタを作った。

 

 

料理自体はこの学校に入る前から家庭科くらいでしか作った事がない。

なのでレパートリーも少なく、常にレシピを見ながら行っている。

 

 

茹で上がりを待っていると『分かった』と神室から連絡が入った。

そして続けてメッセージが届いた。

 

 

『後最近分かった情報を伝えとく。矢野小春は私立青葉中学校出身で、クラスでは中立派の六角百恵と仲が良い。部活には入っておらず、勉学に力を入れている真面目な生徒。石田優介は数学が得意な生徒で、授業中の小テストでは毎回満点だよ。でも社会科はどの科目も苦手みたい。中立派は明日の放課後勉強会をするそうよ。』

 

 

神室は中立派の主要人物2人に対する情報を報告してくれた。

まあ、集め始めてからすぐ分かる情報なんてこんなものか。

 

 

青葉中って私と同じ中学だよね。

 

 

それにしても六角百恵という名前、どこかで聞いたことあるような。

…あ、の親友の友達だったか。

 

 

幼馴染主催の勉強会にも何度か同席しており、勉学はそこまで得意では無かったはずだ。

同中のよしみとして勉強を一緒にしようと誘えば、詳しい情報が手に入るかもしれない。

 

 

神室に感謝を示すメッセージを送り、明日の昼休みAクラスの教室へ向かうことを伝えた。

最近中学時代のことを思い出そうとすると霞がかったように、何も思い出すことが出来ない時がある。

 

 

 

特に黄金時代である中学2年生の秋の記憶が思い出しにくくなっている。

そう言えばこの学校に来てからピアノのレッスンを1回も行っていない。

 

 

そろそろピアノのレッスンについてもどうにかしたいところだ。

外部講師のレッスンを受けるには何ポイント必要なのだろうか。

 

 

残金 1446万7620ポイント

 

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