寝て起きたらスーパーアースの草原でした   作:扶桑畝傍

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第16話 怒りと弔い

 

〈キイ、時間だよ〉

 

「っと、時間か。」

(まぁ、大分頭がスッキリしたな)

「って、お前ら、起きろ。」

両サイドから抱き着かれているので

動くに動けない

「ん~、まだねる~。」

「おなじく~。」

 

「ふん!」

強引に立ち上がると

 

ずるっ

 

「え?」

「あ。」

 

ごち~ん

 

ずり落ちて二人の頭がぶつかる

「「の゛ぉ゛お゛~ぉ~。」」

 

「コレから商談なんだ、目が冷めたろ。」

「いじわる。」

「そーだそーだ!」

「あ、あれ?先程用を足した?

 オデ、見間違えた?」

「あ、気のせいです、

 商人、そろそろですよ。」

「う、うむ、しっかり頼むんだぞ。」

「ぅ~、まだ痛いけど。」

「やる。」

「さっさと解決してしっかり寝るそ~。」

「「お~!」」

 

「これが。」

(商人、相手が出て来ても

 一人で来たと言って下さい)

「も、もし。」

(その為の対策はしてあります)

「わ、わかった。」

 

「おぉ、月の時間通りですね。」

「ちゃちゃ、ちゃんと来たぞ!

 オデの家族はっ!?」

「えぇ『何もしていませんよ?』」

 

 

(キイ)

(あぁ、熱反応が無い)

(なにそれ?)

(スピネルミャン)

(ミャンでいい)

(わかった、ミャン、

 生きている者は大抵

 『熱』を持っている、ただ)

(死んだばかりなら兎も角)

(わかった、

 あの相手の後ろに居る人は)

(あぁ、既に死んでいると見て良いだろう)

(酷い)

(処す?)

(まだ早い商人の話がある)

 

「こ、コレが証文と商品だで。」

(へぇ、コレが商人が使う

 『専用』ストレージか)

「ふふっ、確かに本物ですね。」

「こ、これでオデの家族を。」

「え?」

「なっ!?約束したしただ!!

 それにこの証文っ!?熱いっ!?」

 

証文は突然燃えて灰となった

 

「そんなっ!?」

「これで、貴方との約束をした

 証拠は無くなりましたね?」

「ききっ、貴様っ!!」

 

『クロノス神』

 

〈うん、コイツは僕も許せないよ〉

 

 

確かに傷は付いていない御家族と対面し

泣き崩れる商人

 

「どうするの?」

「殺しちゃお?」

「先ずは尋問を邪魔されない様にしないとな、

 やってる最中に

 『自殺』や、『遠隔自殺』

 外的要因でコイツの口封じされても困るからな。」

 

 

「っ!?ここは。」

「おぉ、起きたか。」

「貴方は?」

「商人の護衛だ。」

「護衛。」

「色々聞きたい。」

「答えるとも?」

「答えたくなるさ。」

 

そう言われ自分の姿勢がおかしい事に気づいた

「な゛っ!?何ですかコレはっ!?」

 

両手両足が縄で縛られ

筒に繋がられていた

 

「コレは俺の『愛読書』の一つ、

 『拷問と処刑の世界史』と言う本でな

 (作者も偶に読み返すとか

  大分サイコパスだよな~って俺もか)

 この棒でその筒を少しずつ動かすんだ。」

「やっ!?」

「舌、噛むなよ?」

そう言って猿ぐつわを充てられ

 

ギギギリリ

 

「ん゛ん゛んん゛っ?!」

 

「話す気になった?」

 

「そうか。」

 

ギリギリ

 

「なんだよ?まだ『3cm』しか

 締(し)めてないぞ?」

 

ギギギ

 

ゴキン

 

「ぁ~、どこが外れたんだ?」

 

腕が少し伸びている

 

「肩の関節が外れたのか。」

 

ギギギ

 

「なんだ?話すのか?」

 

「話さないのか。」

 

すると縄を緩められ

強引に肩を戻される

 

「さってと、

 ミミ~、ミャン~、

 『しっかり準備出来たか?』」

「「出来たよ~。」」

 

そこには『黒い牛があった』

 

「あぁ、その顔は知ってるのか。」

「へ~。」

「慈悲は無い。」

「話せば止めてやろう。」

 

あ、頷いた

 

「「「なんだ、こんなもんか。」」」

 

 

「な、なぁ、護衛殿。」

「なんでしょ?商人?」

「か、かか、彼は何に怯えておるのだ?」

「さぁ~?

 なんでしょうね~。」

 

(ねぇ?ミャン)

(ミミ、これだけはわかった)

 

((キイ、怒らせるとヤバイ))

 

 

まぁ、喋るわ喋るわ

どうやらコイツ

商人さんが持っている

『土地の利権書』を欲しがっていて

辛うじて『国』を保っている貴族から

『領地拡大』の任務を受けた密偵だった

 

「キイ。」

「先ずはお墓からだな。」

「お墓?なにそれ?」

 

やはりと言うか、コレが本来の『死』だ

 

「商人、

 俺の知っているやり方でいいなら

 弔わせて貰えるか?」

「・・・この地に、妻と子供を置いて行け、と?」

「神様がな、

 『怒ってるんだよ』

 『蘇生魔法』で生き返り過ぎて

 『世界が壊れる』ってな、

 だから、これからの時代は

 『死が必ず側に居る世界になる』」

「・・・そぅ、でしたか。」

 

泣きながらこの商人が詠唱していたのは

『蘇生魔法』だったが、

二人共、生き返えらなかった

 

錬成で『御影石』を錬成し

「商人、名前と家名は?」

 

ボソボソと喋るが辛うじて聞き取れたので

それを掘って行く

 

その脇で遺体を焼いている

アンデットになられても目覚めが悪いし

『きちんと弔えばスケルトンにもならないよ』

と、神様に確認済みだ

 

墓石を組み立て

「流石に『卒塔婆(そとば)』は良く知らねぇから

 そのまま家名と名前を書いてある、

 木だから、数年に一回

 書き直して新しいのと交換するんだ、

 古いのは燃やして

 『冥福』と『来世の幸せを祈る』

 それでいい筈だ。」

 

あくまで・・・あくまで俺が出来る範囲だ

『仏教』がこの世界にあるかどうか知らない

所詮『4大大陸の一つ』の一部しか知らない

 

「冥福と、来世の幸せを祈る。」

「あぁ、『俺の亡き故郷の風習』だ、

 『輪廻転生』といってな、

 本当は『魂は巡る物』らしい、

 だから、この世界の神様も

 怒ったんだろうな。」

「もう一度、会えるでしょうか?」

 

「『命日』と、『夏季と冬季の切り替えの期間』

 故郷では『お盆』と言ってたな、

 あの世から『一時帰省』を『迎え』

 7日だったか、忘れたが

 『あの世へ帰る』『送り』があったな。」

「そぅなのですか?」

「あぁ、もう、

 うろ覚えだから詳しくは無理だ、

 ただ、

 『迎え』の時は

 『馬を模した野菜で』迎え

 『帰る時は牛を模した野菜』で送る

 変わったお供えもあったな。」

「お供え?」

「あぁ、あの世から来るのを

 少しでも早くと言う意味合いで

 『当時は馬が一番早かった』から馬、

 帰る時は『牛の様にゆっくりと』

 そう言う意味だった気がする。」

「帝都からもう一人の妾を呼び

 この地で子々孫々

 『我が家で伝え続けてよろしいでしょうか?』」

「好きにしなよ、

 俺がとやかく言える物じゃねぇからな。」

「ありがとうございます、

 報奨金については。」

「墓石の維持管理に充てろよ、

 この『御影石』は

 結構高級な石なんだぞ?

 それに『この墓石』が売り物になるんだから、

 『砕石事業』でも立ち上げて

 『何時か俺が死んだ時に墓石を頼むよ』」

「っ!?」

「なんだよ?」

「貴方は、『死を恐れないのですか?』」

「怖いよ?

 じゃなきゃ生きていけないからな、

 寿命で死ぬまで足掻き続けるさ、

 出来るならアンタの

 孫かひ孫辺りに依頼を出したいな。」

「ふふっ、ふはははっ!!

 ならば意地でもその時まで生きて見せましょう!!」

「『蘇生魔法』は使うなよ?

 もう出来ない事なんだからな?」

「わかっています。」

 

とあるメモを渡す

 

「コレは?」

「今後、必要な事業と

 『農業』『医薬品の製造方法使用方法』だ、

 門外不出物だから気を付けろよ?」

「・・・疫病を御存じで?」

「その解決方法も幾つか書いてあるが

 『あくまで故郷』で通用しただけだ、

 この地でどこまで通用するかわからない、

 参考程度にしてくれ。」

「我らの『家宝』として、

 護って行く所存でございます。」

「やめろよ、かしこまられるのは好きじゃない。」

「妻と娘の事、

 そしてこれからの事、

 誠にありがとうございました。」

「あぁ、じゃぁな。」

 

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