完走頑張ります。
「待って!?」
飛び立つ飛行機の背中を追い掛ける。
エンジン全開なのにまったく届かない。
「違う!!黒幕はそこには居ないんだ!!姉ちゃん!!」
その飛行機には支援会社であるラプラスが乗っている。そこには黒幕は居ない。
それは一つの尻尾に過ぎない。その
そして、その尻尾にはハンターを殺す為の毒が塗り込んでいる。
その飛行機には、爆弾が。
「待って!!待ってくれ!!」
滑走路の終わりが見えてきた。
そろそろブレーキ掛けないと衝突して死んでしまう。
俺は姉を信じてブレーキを掛けた。
「頼む……お姉ちゃん……」
飛行機が飛び立って数十分後。
飛び立った飛行機から何が落ちていくと飛行機が爆発した。
だが、俺のスマホに表示されているGPSは消えてなかった。
……曇り空から雨が降り始めた。
――
雨が降る中バイクを走らせて落ちた現場へと急ぐ。
GPSの信号が弱まってきた。移動をしていたが、現在は止まっている。
嫌な予感しかしないが、姉なら大丈夫だ。今は隠れているだけだ……
そう考えて……いや、考えずにバイクを更に加速させる。
そして、目的地に着いた俺は姉を見つけた。
雨に打たれ火傷や紫色に変色した打撲痕が服の隙間から見えた。
大丈夫だ。頼む。生きていてくれ。
「お姉ちゃん!?良かった……脈あり。体温もまだある。気絶してるだけ……少し出血をしてる。どこかに隠れて治療しないと……」
すぐ近くに取り壊し予定で中に誰もいない家があった。
そこへ侵入してお姉ちゃんを治療する。
「この時ばかりは緊急医療対応可能な服を持っててよかったよ……」
通常の服より止血効果の高い繊維を使用している服を力尽くで破き止血する。
あとは救援を呼ぶだけ……だが、この時ばかりは信頼できる人間が居ない事に躊躇してしまう。
「いや……この程度なら大丈夫なはずだ。もう少しここで休んで移動しないと……」
その時だった。
ガタンッ!
ドアのほうだ。何か人が居る。
気配を探ると数人が固まっている。
バレたかッ!?
姉をもっと安全な場所へ移動させてハンドガンを持って壁へ身を隠す。
音がしたドアからここまで一本道。足音的にあまり重装備ではない。それに、あまり重くなさそうだった。
多分。ラプラスかオメガ。どちらかの鎮圧部隊だろう。
情報を伝えるべきか?いや。こちらには向こうの不利になる事を持ってない。逆に刺激してしまうか?
「どうすれば……」
独り言を呟く。
そして隠れてから何十秒立っただろうか?
ギリギリまで壁に近付く。
遅い。何が狙いだ?こっちは窓側から銃弾を受けられる場所じゃないはずだ。
こっちが行動したのがバレたか?
「こちらは広域連携国内治安維持活動組織「アトラス」東京都区内担当「ハングドマン」部隊だ。そちらの所属する組織、部隊名。そして目的は何か。こちらには敵意はない。しかし、防衛処置については躊躇しない」
反応が無い。
つまり、交戦する意思であるということだ。
クソ……駄目か。
耳栓をする。
そして、数秒。体感にして数分とも思える時間を過ごし、その時はやってきた。
バアアアァァン!!
ドアが破られた。
すぐに壁越しに銃だけ出して射撃。
物が転がる音。目を塞ぐ。
爆音。
すぐに目を開けてナイフを構える。
壁から出ると少女とかちあった。
ナイフを振った。
まぐれでナイフに当たり逸した。
体当たりしてブレーキ掛けずに少女を持ち上げる。
横腹から銃を出して何発か撃ち少女を放り投げる。
地面に落ちてるドアを立てて数秒の身代わりにして元の場所に戻る。
そして、窓から入ってきた少女が起きた俺の姉へ銃を向けてる場面に出会った。
0.3秒。
人が突然の事を認知するまでの時間だ。
その時間さえあれば十分だった。
「やめっ……ッ!」
銃声。
打撃音。
崩れていく姉の姿。
俺は、気絶する最中。ヤツの顔と絶望、恐怖、怒りを口にした。
「あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”ぁ”あ”ぁ”!?」
視界には無意識に手を伸ばした景色が映っていた。
――
俺はあのあとなんの因果関係か、俺の姉を殺した奴に引き取られた。
俺よりも年下で、身長も低い奴だった。
あの作戦での俺の姉の死は事故死とされ、葬式すら上げられずに雑に処理される。
返ってきた遺品は一つ。姉の非殺傷兵器だけだった。
そして、この世界は大きく変わった。
まず、東京都を担当していた「アトラス」は接収され、統合化組織オメガに組み込まれた。
ラプラスもアトラスの残り物を大量に持って行った。特に人材を。
そして、俺は精神病を患ってしまい。組織からは排出された上で孤児として引き取られた。
一時期施設で過ごしていたが、その後引き取られた。
あのままだったら死んでいたが、それも良かったのかもしれない。失う物はもう何もない。逆に得られる物があるはずだ。
なら、死んでも良かったのかも……
いや、自殺しようとしたらヤツが……あの化け物が来る。
それだけは嫌だ。今もずっと部屋に引き籠もっているが、死のうとした瞬間部屋の中にドアを壊して入ってくる。
一度のみならず2度もだ。
それが怖い。あの姿を見ただけで悪寒と吐き気を催す。
頼むからもう来ないでくれ……俺に優しくしないでくれ。
なんで俺は復讐も満足に出来ず。立ち直る事すら出来ないんだ。
もういい……言葉なんて彩りに過ぎない。
感情にどうこう言葉を付けて何が良いのだろうか……
「もう……嫌だ……」
寝てしまおう。
もう、この世は俺の住める世界じゃない。
なら……寝て死んでしまえば……もう…………………
――
私は大きな失敗をしてしまった。
責任。それは下に人が居る我々ラプラスが特に大切にしている事。
その責任は、思ったより重く、苦しい物でした。
最初は簡単な任務だと思ってました。
黒幕と思われる者を捕縛。もしくは殺害せよ。
私は初の任務で少し興奮してました。
そして、
「あ”あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”ぁ”あ”ぁ”!?」
彼の絶叫は今でも耳に残ってる。
その罪悪感からか、数日後処分される彼を引き取ってしまった。
そして、そこからは忙しく、重苦しい毎日でした。
水も食事もせず。睡眠も取らずに体育座りで暗い部屋の中でずっと動かない。
ずっと……何日も。
そして、彼の首に付けた健康管理チョーカーから彼が危機状態になった時。私は自分の背負っている責任と罪を改めて確認してしまった。
「殺せよ……殺せ……おれも……あの場で……」
手が震えている。
その後はずっと動かなかった。
尿や糞。体臭の混ざった最悪な匂いの中でずっと生活してきた彼の精神状態は調べようにも無かった。
その後部屋を移しもう一度そこで生活させてみた。
その後は少しだけ生きようとしているのかトイレやシャワーを浴びたりするようになった。
少しだけ安堵した。だけど……
「なんでこんな事を……」
集点の合わない目を見てしまった。
その目は普通ではない。
そこから体に日に日に傷が増え。傷ひとつ無かった肌から傷跡が何本も浮かび上がり所々紫色に変色していた。
そして、自殺しようとした所を取り押さえた時だった。
「ヒィッ!?嫌だ!!嫌だ!!殺すな!!やめろ!!やめろよぉ……やめてください……お願い…、お願いします。お願い……します。なんでもしますから……お願い……お願い…………します………ッ!!」
突然発狂して泣き出した彼を見てもう無理でした。
私のせいでこうなってしまった……
私は……私はどうする事も出来ませんでした。
どうすれば……彼の心を直せるのでしょうか?
………私にはもう答えが見えません。
―――
俺は突然働かさせる事になった。
まあ、ずっと養ってくれるわけでも無さそうだと思ったので覚悟はしていた。
働く先はラプラス。その稼働部隊である201四隊である。
その201四隊は四人分隊でペアで動くとの事だ。
仕事内容は巡回、追跡、突入、捕縛、殺害、暗殺と……前とまったく変わらなかった。
だが、一つ違うとすれば動く人数の多さと殺傷武器の使用を極限までに減らしている事だ。
アトラスでは殺害は通常だが、ラプラスでは相手の命と情報すらも欲しいらしい。
圧倒的な情報収集能力。法外問わず作成する製薬能力。人権無視した作戦立案、実行。
アトラスよりもこの組織は腐り、しかし腐り落ちた物から新たな芽を出す。
まったく。最悪な組織だ。
だが、金は出る。
その金は全て
まあいい。金は無くても良い。
ただ、俺の計画さえバレなければいい。
あの時の俺とは違う。
俺は、もう自分じゃない。
「今日もやるか」
そう言いビルを飛び降りた。
――
あの日から変わり始めた。
執事が突然彼に仕事を始めさせた。
強引だった。
拒否すらも許されずに髪を掴まされ連れて行かれる彼を見て私は何も出来なかった。
皆彼には冷たく、人として見ていなかった。
なんで?どうしてそんな事を……
だけど、私は皆に嫌われるのを怖がって見て見ぬ振りをしてしまった。
でも、彼は段々と生きようとする気力が湧いてきたのか自傷も食事を拒否することも無くなった。
以前として彼は私を見ると手が震えたり目を逸らしたりするけど、あの時よりは良い兆候だと思う。
そして、執事が押し付けた仕事についてわかった事がある。
それは私と同じ組織「ラプラス」に入ったとの事。
部隊は201四隊。新設された部隊らしい。
彼の仕事は過激ながら鮮麗されているみたい。
しかし、殺人に躊躇が無いのが困りどころらしい。
あの姿からはそうは思えなかったけど、最近の彼を見てるとそんな気がしてきた。
でも、どこか危うくて……
私はどうすれば良いのでしょうか?
文字数は大体こんな感じです。