四話目の続きになります。
「母さん!」
「待たせて悪かったわねルナ。ちょっと苦戦してしまったわ。」
「いえ元は弱い私が悪いだけよ。ところでその姿はなに?」
レイの姿はいつもと違っていた。背中には強大なエネルギーでできた黒い翼があり、髪はいつもの紫色ではなく黒色に変色していた。なにより纏っている覇気によって空間が軋んでいたため、見聞色を使わずとも目の前にいる者が自分達より遥かに格上だということがシュナとルナの二人にはわかった。
「あれ?この姿を見せたことはなかったかしら?確かにここ数年はジーベックに言われた通り能力を使わないで戦ってたわね。」
「あなたがここにいるということはセンゴクは死んだのですか?」
シュナは目の前の圧倒的強者を前にして対抗策を考えていたが、まず自分の認める数少ない男の安否を確認した。
「いえ、多分生きてると思うわよ?見聞色でこっちの状況がまずいことを察知して急いでこっちに来たからトドメを刺す余裕がなかったもの。まぁほっといたら死ぬでしょうけど。」
「そうですか。ひとまずセンゴクを殺さなかったことには感謝します。それにしても彼を相手にこっちの状況を把握する余裕があるとは相変わらずの化け物ですね。」
「褒めてくれてありがとう。でもセンゴクを一瞬で倒すためには能力を使わざるを得なかったわ。彼かなり強くなったわね。」
「それで大事な娘を傷つけた私を殺しますか?」
「いいえ、娘が死んでたらこの姿のまま速攻で殺してたけどまだ生きてるから今回は半殺しで勘弁してあげるわ。この子が弱いのも悪いし。」
そういうとレイは能力を解除し元の姿に戻った。
すると体から溢れ出ていた覇気も元に戻り軋んでいた空間が元に戻った。
「久しぶりに見ましたが相変わらずデタラメな能力ですね。エネエネの実を食べたエネルギー人間でしたよね。」
「えぇそうよ。私はあらゆるものをあらゆるエネルギーに変換することができるのよ。だから覇気をエネルギーに変換してエネルギーの翼を作ったり、生命エネルギーで細胞全体を強化すれば覇気の総量と身体能力のアップもできる。」
「だから姿が違ったのね、母さん」
「正解!流石私達の娘!勘がいいわね!」
レイはボロボロになりながらも正しい答えを出したルナを褒め更にルナへの好感度が上がった。
「さて。ではやりますか。」
「そうね。少し喋りすぎたわ。」
シュナとレイは互いに覇気を纏い戦闘態勢に入った。
「ルナ、この戦いをよく見ておきなさい。きっとあなたが強くなる参考になるわ。」
「うん、分かった。」
「雷神の鉄槌」
「死拳!」
シュナとレイの技の衝突により割れていた天は完全に吹き飛んだ。
「ハァハァ、相変わらずデタラメな人ですね。」
「あなたこそ、昔よりかなり腕を上げたわね。まさか私が傷を負うとは思わなかったわ。」
二人の戦いは終始レイが優勢であった。
シュナの攻撃は基本躱されるか防御されてしまい、当たったとしてもレイの覇気が強すぎるため決定打にならなかった。
逆にレイの攻撃は全てが決定打となりうる威力があり、シュナは回避と防御に全力を費やさなければならず覇気と体力が尽きるのは時間の問題だった。」
「ふん、よく言いますよ。あなたのダメージはほんのかすり傷だけで息一つ乱していないじゃないですか。」
「それだけで自慢になるわよ。私にかすり傷を負わせれる人間なんて世界に数えれるぐらいしかいないから。それにこれだけ私の攻撃をくらって生きてられるのもすごいわよ。」
レイはシュナの強さが本物であることを認め素直に褒めていた。
「あなたとロックス以外に言われたら腑が煮えくりかえりそうなセリフですがまぁいいです。ありがとうございます。」
「こちらこそ。久しぶりに楽しめたわ。娘にいい経験をさせてくれたことと、あなたの強さに免じて半殺しは勘弁してあげるわ。」
「ふふ。立てなくなるほど痛めつけるのは一般的には半殺しと言うんですよ。」
シュナは最後の力を振り絞り皮肉を言い捨て意識を失った。
「母さんって信じられないくらいの怪物ね」
「怪物!?実の母に向かって怪物とは何事ですか!流石の私も怒りますよルナ!」
ルナは母親の怪物的な強さを間近にしつい本音が出てしまった。
「まぁ、お説教は後にするとして完全に負けたわね。」
「うん、負けた。こんなに悔しいこと生まれて初めてだわ。」
「ふふ、それが敗北よルナ。その感覚をよく覚えておきなさい。そしてこの経験を糧にもっと強くなりなさい。」
「分かった。」
ルナは負けた悔しさのせいで明るい返事ができなかった。
「この子は強くなるわ。将来私達を超えるかもしれないわね。」
レイは娘の将来への期待がより一層高まった。
「ハハ、この程度かガープ?」
「黙れ!今日はお前を捕まえると決めてきたんだ!まだまだこれからだ!」
「それだけの傷を負いながらその意思が揺るがないのは褒めてやる。だがもう立っているのがやっとだろう?」
「く!」
ロックスの言うことは正しかった。事実ガープは骨が何本も折れ、全身が自分の血で塗れていた。
それに対しロックスはかすり傷が何箇所かあるだけで覇気も体力もまだまだ残っていた。
「確かにオメェは強いがまだ足りねぇ。俺を捕まえたければもっと貪欲になれ。そして迷いを捨てろ。」
「迷いだと?」
「そうさ、お前は迷っている。ここに来た時からずっとそうだ。俺を捕まえたいのは本心だろうが天竜人のクズ共を守るのは嫌だ。そんなところか?」
「・・・!?」
ロックスは人の心を読むことはできない。だが、ロックスの言っていることはまるで自分の心を読んでいるかのように的を得ており何も言い返すことができなかった。
「ハハ!今日のところは見逃してやる!そして次会うときは迷いを捨てさらに強くなって来い!」
「待て!ロックス!」
ガープはロックスを止めようとしたが振り返ることはなかった。
そしてガープは力尽き意識を失った。
ロックス海賊団と海軍の戦いは最初は拮抗していたが、確実にロックス海賊団優勢の状況となっており海軍の部隊は壊滅寸前であった。
「グララ!小娘お前はよくやったがここまでだな。」
「ハァハァ、全くロックス海賊団にはデタラメな奴しかいないのかい。」
白ひげとおつるの戦いは前者が常に有利であった。
おつるは並の中将よりも遥かに強いが白ひげとは明らかな力の差があった。
「今日のところは見逃してやる。女を殺す訳にはいかねぇしな。」
「ふん、女だからといって甘く見るんじゃないよ。いずれ痛い目にあわせてやる。
「グララ!やれるもんならやってみな!」
白ひげとおつるの戦いは白ひげの勝利に終わった。
「ママハハ!こんなもんかい海軍!」
「ウォロロ!暴れたりねぇぞ!」
リンリン率いるロックス海賊団の船員達は海軍の将校達を圧倒していた。
「くそ!なんて奴らだ!」
「強すぎる!」
この作戦に選ばれている海兵は皆かなりの手練れである。だがそれでもリンリン達にとっては雑兵と変わらなかった。
「おいカイドウ、あれをやるよ。」
「ウォロロ!何人残るか見ものだぜ!」
リンリンとカイドウは武器を構え技の体制に入った。
「総員構えろ!何かでかい攻撃をするつもりだ!」
「「もう遅い!」」
「「覇海!!」」
「うわぁ!!」
二人の強力な攻撃により海兵達はほとんどが倒れた。
「ママハハ!あっけなかったね!」
「全くだ!弱いやつらだぜ!」
「あらら、リンリンとカイドウのやつ派手にやったわね。今のでほとんどの海兵が戦闘不能になったわよ。」
「ハハ!どうやら俺たちの勝ちみたいだな!」
レイとロックスは見聞色によってほとんど海兵達の気配が無くなったことを感知した。
「ジーベック、生き残った海兵達はどうする?全員殺す?」
「いや、そのままでいいだろう。どうやら伸び代のあるやつもかなりいるみたいだしな。生かしておいた方が面白い。」
「島の貴族達は?」
「貴族共は全員殺していく。俺は馬鹿共を止めなきゃならねぇからそっちは任せたぞ。」
「了解したわ。ルナが疲れて寝てしまったから預けていくけど大丈夫?」
「もちろんだ。」
レイはジーベックの判断を聞き貴族殺しに向かった。
「野郎共!聞け!この戦いは俺たちの勝利だ!無様な海兵達には死ぬことすらさせねぇ!物資を盗み次第撤退するぞ!」
ロックスの命令が響き次第ロックス海賊団の面々は一斉に戦うことをやめ撤退し始めた。
「ジハハ!もっと戦いたかったが残念だ!勝負はお預けだゼファー!」
「俺もだ金獅子。このまま戦いてぇが仲間の救助をしなきゃならねぇ。次は捕まえてやる。」
「ジハハ!またなゼファー!」
シキとゼファーは互角の戦いを繰り広げていたがロックスの命令により戦いはお預けとなった。
かくしてロックス海賊団と海軍の精鋭によるシャボンディ諸島での戦いは海軍の惨敗、そして貴族達の大虐殺が行われ幕を下ろした。
すぐにこの戦いの結果は世界に知れ渡り世界はロックス海賊団の恐怖に震えた。
この一連の出来事を世間はシャボンの悪夢と名づけた。
シャボンディ諸島の戦いはこれで終了です。
ロックス海賊団が強すぎます。