CP9の司令長官としての仕事にも慣れ、メンバーとの関係もそれなりに良好だとは思う。最近はケガで休職していたフィズが復帰し、精力的に仕事を行うようになっている。
原作においてはロブ・ルッチに匹敵すると本人が語っていたが、実際の能力を見た限り、戦闘力に関してはルッチにやや劣る。
ジャブラやカクとルッチの中間ぐらいの戦闘力といったところである。だが、それでもメンバー内で上位ではあるし、むしろフィズの真骨頂はそこではない。
フィズは指揮能力に優れており、ある程度の規模の部下を任せてもかなり上手く運用する。この点に関しては、ルッチより明確に上回る部分だろう。
特に複数人で行う任務に関しては、小隊長としての適性が高いので重宝するし、下級役人を多く連れて行う仕事も任せやすい。
他の部署との連携も問題なく、かなり優秀で使いやすい人材だ。コレだけの人材を、くだらない責任の押し付けで手放そうとしていたとは、世界政府には呆れるばかりである。
まぁ、士気が高いのはいいことではあるが、どうにもやる気があり過ぎてオーバーワークになりがちなので、その辺りは上司である俺が上手くコントロールするべきだろう。
「……隊長、全員集合しました」
「ああ、分かった」
ポチの言葉を聞き、後方を振り返ると、そこにはCP9のメンバーが全員集合していた。今回はかなり大きな任務であるため、極めて珍しいことではあるが全メンバーで任務を行うことになった。
対象はとある国の反乱軍……この国は非常に豊富な資源があり裕福な国であり、世界政府にとっても重要な加盟国だ。いや、訂正しよう……裕福なものはとことん裕福で、貧困なものはとことん貧困な格差の大きい国だ。
この国の現王政に対して大規模な反乱の準備が進んでいるという情報が入り、CP9に仕事が回ってきた。
「……フクロウ、敵の規模は判明したか?」
「チャパパパ、3700だぁ」
「事前の情報通りか……ブルーノ、主要人物は?」
「情報にあった幹部と思わしき人物は全て砦内に確認できている」
崖の上から見下ろす俺たちの眼下にあるのは、大昔に大規模な戦争で使われたという砦。反乱軍の拠点であり、明日の決起を前に、ほぼ全員が集結しているとのことだ。
一網打尽にするには一番効率のいい状況と言ってもいい。こういった状況でブルーノのドアドアの実の能力による情報収集能力は非常に有効だ。
それこそ、空気さえあればどこにでも潜めるというのは、諜報員としては最高の能力と言っていいだろう。
「で、どうするんだ、長官? 主要人物の暗殺だけなら、俺がいって終わらせてくるが?」
「いや、今回上からの指示は反乱軍の壊滅だ。主要人物だけでなく、戦力も反乱が不可能なレベルまでそぎ落とす必要がある」
「へぇ、つまり結構派手な戦闘になるわけか……楽しみだぜ」
「別に暴れてもいいが、目撃者は全て消せよ、ジャブラ」
フィズとジャブラの言葉に答えつつ、時刻を確認する。作戦決行の時間まであと10分……砦内の多くの者が寝静まった闇深い夜。まさに暗殺集団に相応しい時間だ。
「カク、カリファ、クマドリ、ポチの四人は四方を警戒。砦から脱出したものは、全て消せ。残りは突入、指揮官から順に迅速に始末しろ……ルッチ」
「うん?」
「皆殺しでかまわない、好きにやれ」
「ふふ、そう来なくてはな」
事前に打ち合わせは念入りに行っているが、最終確認として指示を出す。大規模な戦闘は久々で、多くの殺しが出来そうということもあり、ルッチも上機嫌だ。
崖の上に立つ俺の後方に、綺麗に整列するメンバーに対し、軽く片腕を上げて告げる。
「時間だ……闇の正義を、執行する」
『了解』
腕を振り下ろすと、息の合った声が聞こえ、メンバーは闇に溶け込むように素早く剃で移動。殲滅作戦を開始した。
それを見送ってから、俺はポケットから棒付きキャンディーを取り出し、包装を破って咥える。
俺が出てもいいのだが、連携をしての規模の大きい戦闘の機会は貴重だし、アイツらの経験のためにも手は出さない方がいいだろう。
兵力は3700……数字だけ聞けば立派だが、その実ほとんどは戦闘経験のない素人の集まりで、武器も寄せ集めのものばかりだ。
そもそも戦争をするには少なすぎるし、王都に奇襲をかけてギリギリ成立するかどうか程度の規模だ。実際に決起して反乱を起こしていたとしても、鎮圧されていた可能性も高い……アイツらの能力を考えれば45分あれば、十分殲滅可能だろう。
俺は取りこぼしが無いように、ここで見聞色を用いて探っておけばいい。
しかしまぁ、苦しむ者たちのために反乱を……か、馬鹿馬鹿しい話だ。仮に勝ったとしても、結局はいまと上下が入れ替わるだけ、苦しむ者が消えてなくなるわけでは無い。
万人が幸せな結末に終わる戦争などというものはないというのに……まぁ、夢を見るのは勝手だが、相応に夢破れる可能性も考慮しておくべきだな。
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40分経たないぐらいの時間で、仕事を終えたメンバーが俺の元に戻ってきた。全員怪我はなく、返り血すらほぼ浴びていない。満点の仕事ぶりだ。
「隊長、任務完了しました」
「ああ、俺の予想より5分以上早い。優秀だな……ご苦労」
そう告げると、メンバーたちは綺麗に整列する。普段は自由に振舞っていてもさすがはCP9のエージェントであり、必要な場面ではしっかりと統率の取れた動きを取れる優秀さには感心する。
見聞色で探ってみても、砦内に生存者は無し……これで、任務はほぼ完了だ。
「それで、長官。死体はそのままにしておけばいいとのことだったが?」
「ああ……『ここに反乱軍はいなかったし、砦も無かった』……これは、そういう筋書きだ」
ルッチの問いかけに答えながら、俺は月歩を用いて高く跳躍する。俺がわざわざ現地に来て指揮を執っていたのには理由がある。
それは主に後始末のためだ。殲滅だけなら、ポチかフィズに指揮を取らせればよかったが、3700人の死体がある砦を綺麗にするのは手間だ。
この国との交渉は終わっている。反乱が起こりかけた証拠など不要、古い砦ごと消してしまえ……とまぁ、そういうわけだ。
方法は一任されている……ならば跡形もなく消し飛ばしてしまったほうが楽だ。
グッと拳を握り、そこに覇王色の覇気を纏う。赤黒い稲妻のような光が腕から迸り、俺はその力を砦に向けて振り下ろす。
「六王……覇銃」
覇王色を乗せた六王銃の衝撃は、圧倒的な破壊力をもって砦に落ち、轟音と共に大量の土煙を巻き上げる。
遠くから見ればキノコ雲でもできているかもしれないが、いまは夜で遠方から視認は不可能だし、この場所は人里からかなり離れている。音に関しても最寄りの町でも、どこかに雷が落ちた音、程度にしか思わないだろう。
CP9のメンバーがいる崖に着地し、土煙が晴れるのを待つ。土煙が晴れると……そこには隕石が落ちたかのような、巨大なクレーターだけが残っていた。
「……任務完了だ。帰還するぞ」
「あ、あぁ……長官、アンタ、アレじゃねぇか? 本名はプルトンとかウラヌスって言うんじゃ……」
「誰が古代兵器だ……」
「いやいや、こんなん古代兵器みたいなもんだろ!? 砦が跡形もなく消し飛んだぞ……」
夜でも分かるほど青ざめた顔で話しかけてくるジャブラとフィズに簡潔に答えながら、歩き出す。CP9のメンバーたちは任務完了という言葉を聞いて、ある程度自由に話して構わないと判断したのか、会話を楽しんでいるようだった。
「……チャパ……本当に、長官が敵じゃなくてよかったぞ」
「なにがどうなったら、拳振っただけであんなことになるんじゃ? もうある程度慣れたかと思うたが、長官のバケモノぶりには、いまだ驚かされるのう」
「く、くくく……六王銃を片手で、しかも、この威力……まったく、どこまで面白い男なんだ」
「アレを打たれたらどうなる? エアドアで亜空間に入れば、ギリギリなんとかなるか? いや、そもそも間に合うのか……」
「よよいっ! なにか~赤い雷がぁ~見えたようなぁ~!」
「さすが、隊長! 惚れ惚れする強さです。カリファさんもそう思いませんか? 本当に隊長は昔から凄くて……」
「え? ええ、思うけど……チェルシー、いまは移動中だから、その話はあとにしましょう」
賑やかなことだ。しかしまぁ、原作のCP9でもそこそこ仲は良かったが、こうして会話している表情や声色から察するに、なんとなく原作より仲が良いような気がするな。
特にルッチが原作と比べてかなり表情豊かで笑うことが多いのも要因かもしれない。まぁ、メンバー同士の関係が友好で困ることは無いか……さて、とりあえず戻ったら、夜間勤務だったから、コイツ等には半休を与えて……俺は報告書の作成だな。
スパンダム:古代兵器パンダ。身内にはそれなりに優しいけど、それ以外にはやっぱり狂パンダ。最近また仕事が増えた気がするが、定時までには問題なく終われるのでまぁいいかと考えている。
フィズ:現職復帰、ジャブラとカク以上、ルッチ未満ぐらいの戦闘力。原作のエニエスロビー編で居たとしたら道力3000ぐらい。しかし、戦闘力より指揮能力が高評価で、狂パンダに心酔しており日々相当の熱意をもって仕事に当たっている。
ルッチ:CP9での日々は非常に楽しく、気の許せる仲間に最高に面白い上司が居て、楽し気に過ごしている。かなりよく笑っており、原作より表情豊かな感じになっている。笑顔と狂気溢れる素敵な職場です。
ポチ:相変わらず忠犬で狂犬。この後、カリファは3時間ほど狂パンダの話に付き合わされたとか……。
CP9メンバーたち:やっぱうちの長官おかしいわ……でも味方な分には頼もしい。
砦ちゃん:パンダに壊された……いったい砦ちゃんがなにをしたというんだ……