闇の正義スパンダム   作:ぬこノ尻尾

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合同会議と七武海

 

 

 エニエスロビーの長官室でいつものように大量の書類を処理する。数多の報告書、任務の割り振りに各種要望……食堂のメニューにタコライス? 予算内であれば許可、割り振った予算内なら好きにすればいい。

 

「長官、戻ったぜ」

「……任務完了だ」

「ああ、ジャブラとフィズか、ご苦労。報告書の提出が済んだら指定時間までは自由待機でかまわない」

「「了解」」

 

 任務を終えて長官室に来たジャブラとフィズに、引き出しから報告用の用紙を取り出して渡す。なぜかCP9のメンバーは長官室で報告書を書くので、専用のデスクも用意したぐらいだ。

 まぁ、提出が早いのはメリットなので俺としては問題ないが。

 

「それにしても、最近は革命軍に関わる任務が多いな。今回も革命軍支部長の暗殺だったしな」

「活動が活発になっているともいえるし、革命軍以外の事件が少ないともいえる……まぁ、俺も、午後からは海軍本部で合同会議だがな」

 

 書類を処理しながらジャブラの言葉に答える。革命軍は年々規模を広げており、必然的にソレに関する任務も多くなる。

 原作においてもジャブラが革命軍の支部長の暗殺数を自慢げに語っていたりもしたし、事実として世界的に拡大しているのだろう。

 

「革命軍ねぇ……長官は、どう思う?」

「興味はないな。どんな組織でも国でも、完全な一枚岩などということがあり得ない以上争いは起こりうる。思想なんてのは、立ち位置が変わればいくらでも変わる。是非など考えるだけ無駄だ」

 

 フィズの言葉にも簡潔に返答する。俺は革命軍にもその思想にも興味はない。ただ、立ち位置で言えば俺は革命軍にとって倒すべき敵か……まぁ、好きにすればいい。俺の前に刃を持って立つなら殺すだけだ。

 そんなことを考えていると、書類の処理は全て終わったので、俺はデスクから立ち上がりジャブラとフィズに声をかける。

 

「俺は少し出てくる。ふたりとも、報告書が完成したらポチに渡しておけ」

「どこいくんだ?」

「割り振り切れない任務があるからな……いまから、革命軍の支部長を3人ほど抹殺してくる。昼前には戻るから、なにかあればその時に言え」

「昼前……あと2時間もねぇぞ?」

「スムーズにいけば1時間もかからん……ポチ、留守は任せるぞ」

「はい!」

 

 俺がデスクから立ち上がると同時に、ポチは衣装掛けに掛けておいたジャケットを用意しており、それを受け取って外に出る。

 幸い三つともそれほど距離は無い。午後からの合同会議もあるし、さっさと終わらせるか……。

 

 

****

 

 

 剃刀で雲の上を高速移動して10分ほど、最初の島に到着したので降下はせずに見聞色の範囲を広げる。島の地形、建物……支部の場所を確認。

 報告にあった暗殺対象の支部長は建物の屋上に居るようなので、手早く終わらせられそうだ。

 そのまま俺は空中で指に覇気を纏わせ、デコピンをする要領で弾く。

 

「指銃・飛撥」

 

 別になんと言うことは無い超遠距離用の撥だ。飛んだ指銃が、支部長の眉間を正確に撃ち抜いたのを見聞色で読み取る。数秒待って確実に死亡したのを確認して、次の島に向かう。

 飛撥は便利だが、威力に難があって壁などがあると仕留めきれない場合がある。今回は建物の屋上に居たので使ったが、建物内の場合はもう少し時間がかかっただろう。

 

 すぐに剃刀で移動を開始して、次の島へ向かう。この距離なら……7分で着くな。

 

 ふたつ目の島のターゲットは、どうやら支部内にはおらず近くにある街に居るみたいだったので、さすがに狙撃するわけにはいかない。誤差程度に照準がズレれば一般市民に当たる可能性もある。

 島に降下した俺は、ターゲットの居る街に入る。しかし、この黒スーツは目立つな。政府の人間ですって宣言してるようなもんじゃないか……まぁ、ジャケットを脱ぐだけで分かりにくくはなる。

 見聞色でターゲットを見つけ、人ごみに紛れて接近……すれ違い様に相手が知覚できない速度で、指銃で心臓を撃ち抜いて終わり。

 

 ターゲットは少しの間己の異常に気付かず歩き続けてから、血を吹き出して倒れた。上がる悲鳴、倒れたターゲットに周囲の視線が集まる中で、俺は気配を消して剃で離脱。街からある程度離れ、再度見聞色でターゲットの死亡を確認してから剃刀で次の島に向かった。

 

 三つ目の島の革命軍支部は……地下か、面倒だな。かなり広い作りな上、ターゲットも奥に居る。

 残念だ……俺はルッチとは違い殺人を楽しみたいわけでもない。ターゲットだけを速やかに殺せるなら、他を殺す気は無い。

 だが、別に……ターゲット以外を巻き込まないという信念があるわけでもない。

 

 ターゲットが居る部屋の直上となる場所に移動した俺は、地面に軽く震脚を放つ。大きな揺れと共に地面には亀裂が入り、見聞色ではターゲットの居た部屋を含めた複数の部屋で崩落が起こり、多くの人間が押しつぶされるのを確認できた。

 ターゲットは……押しつぶされて死んでるな。まぁ、地下に施設を作る以上、地震で崩落することもある……巻き込まれて死んだ奴は、運が悪かったということだ。

 

 時計を確認するとまだ45分しか経っていない。思った以上に早く終わったな。午後の会議以外にこれといって急ぐ仕事もない。

 ……近くに町があるみたいだし、ポチたちに土産でも買って帰るとするか……。

 

 近くの町に移動してみると、なるほど……革命軍がそれなりの規模の地下施設を持つだけあって、なかなか貧困の厳しそうな町だ。

 ただ、町の中で富と貧の差が大きいという感じではなく、町が全体的に貧困という印象だった。裕福な者は別の町に住んでいるのだろう。

 

「そういや、お客さん。さっき地震があったのを知ってるかい?」

「ああ、そういえば少し揺れたな」

「そうそう、この辺じゃ珍しいからビックリしちまったよ。まぁ、大した揺れじゃなかったからよかったが」

 

 菓子などを取り扱っている店を見かけて、店主と軽く雑談をしつつ土産の購入をする。だがそこでふと、視線を感じて振り返ってみる。

 離れたところから物欲しそうな顔でこちらを見ている複数の子供たち……浮浪児というほど身なりは悪くないが、菓子を買い与えられるほど裕福ではないのだろう。

 

「……あと十箱追加でくれ」

「十箱? 大量だね。ウチとしてはありがたいけどね……はいよ」

 

 土産とは別に菓子を十箱受け取った俺は、遠巻きに見ていた子供たちの下に近づく。俺の見た目のせいか一瞬ビクッとした子供たちだったが、目の前に菓子の入った箱を置いてやるとそちらに視線が集中した。分かりやすいものだ。

 

「……分けて食べるといい」

「……え? い、いいの?」

「ああ、単なる気まぐれだ」

「あ、ありがとう……」

 

 簡潔に告げたあと、軽く手を振ってその場から去る。実際口にした通り単なる気まぐれだ。たまたま目に付いた相手に施しをして、多少の自己満足を獲得する。俺にとっての善行なんてのは、それだけで十分だ。

 

 

****

 

 

 エニエスロビーに戻ってポチたちに土産を渡したあと、昼飯を食べてからマリンフォードにある海軍本部へやってきた。

 今回は革命軍に対する合同会議であり、世界政府三大機関のトップのひとりでもある俺も出席する形だ。とはいっても、基本的には海軍が主導となるため、ほぼ話を聞くだけではあるが……。

 

 マリンフォードの港に到着すると、同じように着いた船から顔見知りが下りてくるのを見かけたので、そちらに移動して声をかける。

 

「マゼラン署長、ご無沙汰しています」

「おお、スパンダム殿。久しぶりですな」

「以前は検証に協力していただき、ありがとうございました」

「いえいえ、私としても非常に勉強になりました。まさか、私の毒が一切効かないとは……」

 

 マゼラン署長もインペルダウンのトップであり、俺と同じように合同会議のためにやってきたのだろう。以前毒耐性の検証に付き合ってもらったお礼を告げたあと、軽く雑談しつつ大会議室へ向けて海軍本部内の廊下を歩く。

 

「ドクドクの実は確かに強力ですが、物理的なダメージは発生しにくいですし……例えば鉄の壁のようなもので遮断されてしまった場合、相手に毒が届かないという事態が発生しかねませんし、そういった対策は必要かと思います」

「確かに、機動力という点にはあまり自信がありませんし、地形によっては逃げられてしまう可能性もありますね。立場的に実戦を行うことが少なく、お恥ずかしながら盲点でした」

「強力な能力であっても相性というのは存在しますからね。可能かどうかはわかりませんが、毒を硬く凝固させて物理的な武器として利用したりできたりすると、いい武器になりそうですね。切り札を使えば別でしょうが、アレはマゼラン署長の消耗も大きいでしょうしね」

「そうですね。毒の巨兵(ベノムデーモン)は、消耗の大きさもありますが、それ以上に周辺への被害が大きいので、気軽に使うわけにもいきませんしね」

 

 マゼラン署長のドクドクの実は確かに強力だが、原作においてドルドルの実との相性の悪さで足止めを喰らったりもしていた。

 毒の性質上貫通性が無く、壁に阻まれてしまうのが弱点と言えるだろう。ただ切り札のベノムデーモンは、無機物も汚染し侵食する性質を持つので、別ではあるが……。

 

「ベノムデーモンの毒を、コントロールして少量で行使できるようになるのが一番いい気もしますね」

「能力の鍛錬に力を入れてみますか……スパンダム殿には効きませんでしたがね。なかなかの絶望感でしたよ」

「ははは」

 

 マゼラン署長とは互いに司法の島と監獄のトップということもあって、日ごろから電伝虫などでやり取りする機会も多いので、それなりに関係は良好だ。

 対して海軍の元帥であるセンゴクとは、あまり関わる機会が無い。意外と連携しないというか、連携して当たるような仕事が少ないのも要因のひとつだ。

 まぁ、海軍は海軍という組織としてある程度完結しているというのも要因ではあるが……。

 

「そういえば、ご存知ですか? 今回は王下七武海にも召集がかかっているとか……まぁ、こちらは我々とは別の場所で会議を行い、センゴク元帥が対応するらしいですが……」

「ああ、小耳には挟みました。時間もズレていますし、会う可能性は低いでしょうが……まぁ、そもそも、素直に招集に応じるのかどうか……」

 

 マゼラン署長が口にした内容は俺も耳に挟んでいた。今日俺たちの会議のあとで七武海も同様に会議を行うらしい。

 尤も、気まぐれな七武海が素直に招集に応じるわけでもなく、何人来るかは不明だが……おそらく、くまは来るだろう。革命軍と繋がりがあるのだし、政府側の動向は気になるはずだ。

 後は分からないな。ミホークは原作で来ているのが珍しいみたいな発言があったので来ない可能性が高い。逆にドフラミンゴは割と、招集に応じているような雰囲気があった。

 

 普通に考えれば時間がズレているので遭遇することは無いはずだが……過去の経験的に、こういう場合は……遭遇しそうだな。

 

 

 




スパンダム:日々真面目に仕事している狂パンダ。革命軍にとっては悪夢みたいな相手である。気まぐれに施しや善行などをすることもある……というか、一般人には割と優しい。マゼランにアドバイスをして、インペルダウン編の難易度を上げる鬼畜。

ポチ:忠犬にして狂犬。もちろん補佐として狂パンダについてきてるので、会話に参加していないだけで後方ワンコ面待機している。

マゼラン:初対面の時に好印象だったこともあり、狂パンダとの関係は良好。ただ、ベノムデーモンすら一切効果なしだった狂パンダには心底驚愕した。己の力不足を感じ、最近能力をさらに鍛えているとか……インペルダウン編の難易度上昇中。ただでさえ、ルフィが作中で負け越している珍しい相手なのに……。

センゴク:あんまり狂パンダと直接的な関わりは無い。極めて優秀で仕事も早い人物であり、司法の島のトップに相応しい存在だとは認識している。

七武海:場合によってはくまとパンダのクマ科遭遇があり得るか?
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