プルトンの設計図を燃やして任務完了となったことで、原作におけるエニエスロビー編は発生しないことがほぼ決定したようなものだ。
仮にロビンを捕獲するような依頼が上から来たとして、海賊の捕縛は海軍の仕事だからそちらに回せと突っ撥ねれば問題ない。
しかし、楔が抜け原作を変えられるようになったからこそ思うことではあるが……正直俺個人としては、ルフィを含めた麦わらの一味を応援したい気持ちでいる。
ルフィは原作の主人公であり、いわば運命に愛された存在だ。エニエスロビー編が発生しなくても、なんだかんだで代替えとなる事件が起こり、ギア2やギア3も習得するのではないかと思っている。
そして俺が特に手出しをしなければ、運命に導かれるまま進んでいくだろう……というか、そもそも麦わらの一味は積極的に政府に敵対するような連中ではない。戦えば勝てる海軍船などにも大抵逃げることを選ぶ。
例えば、エニエスロビー編、インペルダウン編、頂上戦争編……これらを除けば、直接政府とやり合っているようなことは少ない。
エニエスロビー編を潰して、あとはインペルダウン編と頂上戦争編も、エースが海軍に捕らえられなければ発生しない。あとは割と国とかを救っているパターンが多いのは、物語の主人公だからだろう。
俺に直接関係ありそうなその三つは潰すつもりなので、そうすると俺がルフィたちに関わることはほぼ無い気がする。
その三つが発生していない状態だと、俺の下に暗殺任務が届く可能性もほぼ無いだろう。原作においても悪魔の実が覚醒しながらも、全力で潰すという感じでもなく、ワノ国編以後にCP0に下されたのはベガパンクの暗殺任務だった。そういう部分も含めて運命に愛された主人公といえる。
まぁ、その辺りはどうでもいい。俺が麦わらの一味を応援したいという気持ちでいる理由は単純で……
俺はワンピースの物語が完結する前に死んだので
ロジャー海賊団以外が何百年も辿り着いていない以上、普通に探しても見つかるものではないのだろう。そもそも俺は古代文字を読めないので、ポーネグリフを辿れない。
いや、仮に古代文字が読めたとしてもそもそも四つ目のロードポーネグリフのありかを知らない。さすがに
世界にほぼほぼ絶望して滅ぼす気で最後の希望として探すならともかく、そうじゃない状態で自ら探す気にはならない。
なので、最終的には高確率で辿り着くであろう、麦わらの一味に
……まぁ、だからと言って別になにをするでもないが……そもそも、本当にエニエスロビー編以外で麦わらの一味と接点が無い。
運命に導かれて俺とは関係ない場所で頑張った結果、
せめて四つ目のロードポーネグリフの場所を知っていれば、他に打てる手もあったのだが……まぁ、いいか。
そこまで考えたところで時計を見ると、そろそろトムの引き渡しの時間だったので、立ち上がって移動する。
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指定の場所に移動すると、身元引受人のアイスバーグと同行してきたであろうフランキーの姿があった。おそらくは、最初はアイスバーグひとりで来る気だったのだろうが、フランキーが強引についてきたといったところか。
俺を見て表情を強張らせたふたりだったが、俺に続いて歩いてくる人物を見て、感極まったように涙を浮かべる。
「たっはっ!! アイスバーグ、フランキー……ドンと逞しくなったな」
「「トムさん!?」」
獄中生活で少し以前よりは痩せているが、それ以外は変わりない様子のトムを見て、ふたりは堪え切れないとばかりに駆け出して、トムにしがみつく。
「トムさんっ、俺はっ……俺はっ!!」
「泣くなフランキー。お前には、ずいぶん辛い思いをさせた。もちろん、アイスバーグにも……」
「トムさん……すまねぇ、俺たちはトムさんに託されたものを……」
「話は聞いた。かまやしねぇさ。むしろ、もっと早く処分しとくべきだったもんだ。なんにせよ、こうして立派に成長したお前たちと再会できて、嬉しいぞ」
まだ引き渡しは終わってないんだが……まぁ、さすがに感動の再会を邪魔するほど野暮でもないので、泣きじゃくりながらトムと話すふたりが落ち着くのを待つため、俺は飴を取り出して咥えた。
その後しばらく経って落ち着いたアイスバーグに正式な身元引受の書類にサインをさせる。
「確かに……それじゃあ、これでトムは正式に釈放だ」
「……お前さんの考えは、結局最後まで分からんかった。いったい、なにが目的だ」
「……だから、お前らは揃いも揃って、俺をどんな極悪人だと思ってるんだ。あくまで仕事だ。ああ、仕事ついでにもうひとつ……」
せっかく主要となる面々が揃っているので、ついでにこの話もしてしまおうと書類を取り出す。
「確認だが、トムはガレーラカンパニーで雇う形になるのか?」
「ンマー当面はそういう形になるだろうな。トムさんへの風当たりもある。しばらくは我慢してもらうことになる」
「そうか、では……仕事の依頼だ」
「……は?」
「数年後を目処にエニエスロビーを建て替える計画を立てているのだが、そうなると当然物資の運び込みも多くなる。そこで、海列車の線路をもうひとつ増やして、海列車自体も増やす形で、行きと帰りの列車が同時に走れるようにしてくれ。ああ、これは政府からの正式な依頼だから、報酬などもしっかり用意する」
原作においては、エニエスロビー編の2年後にガレーラカンパニーは海列車の新車両「パッフィング・アイス」を完成させているが、トムが居るなら5年待つ必要もない。
線路を増やしてもらったほうがいいし、ガレーラカンパニーにとっても海列車の技術を職人たちに学ばせるチャンスだし、悪くは無い話だと思う。
「ンマー……この流れで、いきなり仕事の依頼か……」
「まぁ、正式な書類は後日用意してガレーラカンパニーに持っていくが……話だけは先にしておいた方がいいだろう。現時点では、海列車を作れるのはトムだけなのだし、本人が居る場面で言ったほうがいい」
呆れたような表情を浮かべるアイスバーグだが、トムはなにか真剣な表情で腕を組み考えていた。そのまま少し沈黙したあとで、一度頷いて口を開く。
「……その話、ドンと引き受けてもかまわねぇ。ただ。ひとつ条件がある」
「ほう? いいぞ、言ってみろ」
「可能かどうか分からんが、もし可能なら――」
「……いいだろう。それならこういう方法はどうだ?」
トムが仕事を受ける代わりに出した条件を聞いて、俺は軽くため息を吐いた。さすが海列車を作るだけあって、突拍子もない発想をするものだ。
少し感心しつつも、提示された条件に合った方法を回答してやる。
「ただし、永遠に行うわけでは無い。ある程度で打ち切るつもりだから、根本的な対策を考えておくことだ」
「おう、分かった。それじゃあ、海列車に関してはドンと任せておけ」
「てめぇ、スパンダム……そんな約束して本当にできるんだろうな?」
「問題ない。そもそもだ……」
いぶかし気な表情を浮かべるフランキーに答えつつ、俺が軽く手を振ると遥か遠方で巨大な水柱が上がり、三人は目を見開く。
「――俺にとっては、島を破壊するのに古代兵器なんて必要ないんだよ。興味が無い理由が分かるだろ?」
そう言って、唖然とする三人に背を向け、俺は司法の塔への道を歩き出した。
しかしまぁ、海列車の増線を引き受ける代わりに「アクアラグナによる被害をなんとかしてほしい」という話だったので、当面の間は毎年アクアラグナの時期に俺がアクアラグナを吹き飛ばすという形で話をまとめた。
さすがにこれは俺がやるしかないか……まぁ、海列車が増えることの利益を考えれば、年に一度程度の高潮の対処ぐらい安いものだ。
スパンダム:狂パンダ。プルトンの一件は既に狂パンダの中では終わったことなので、トムたちとも普通に接している。エニエスロビーを建て替えようと、予算案とか計画を組んでいるところ。
ポチ;後方ワンコ面待機中。会話に参加してないだけで、ずっと狂パンダの後ろに控えてる。待てができるワンコ。
トムズワーカーズ:正直狂パンダのことがまったくわからない。司法船襲撃がCP4の暴走と知らないので、三人にしてみれば目的が読めない不気味な存在。ただ、約束は守る相手と若干認識は上方修正中。
アクアラグナ:毎年パンダが狩りに来るよ? やったねアクアちゃん!
黒ひげ:狂パンダがインペルダウン編と頂上戦争編を発生させる気が無いので、どでかい死亡フラグが建設された。