闇の正義スパンダム   作:ぬこノ尻尾

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通達と悪魔の実

 

 

 エニエスロビーの長官室で、俺は集合したCP9メンバーに近く行われる海軍との合同訓練についてを通達した。

 タマからの情報通り、正式に合同訓練の提案が届きそれを了承した形になる。内容としては、ある程度の規模と人数で行う連携訓練。CPが情報を得て海軍が実働するという訓練の、複数のチームに分かれて競い合う形で行う。

 それぞれのチームにCPと海兵が振り分けられるので、協力と連携が重要になってくる訓練だ。

 

 そして次に大規模災害を想定した協力しての救助及び避難訓練だ。世界政府も海賊や革命軍と戦うだけが仕事ではないので、有事の際には当然市民を護るための災害救助もありえる。

 これは市民役と救助役に分かれて行い、CPは主に情報収集や避難先の手配などを、海軍は実際の救助などを担当する形になる。

 

 そして最後に行われるのがCPと海軍による模擬戦。こちらはある程度の機密性を考慮して、海軍側の見学者は大佐以上のみ、CP側も事前に選定したメンバーのみとなる。

 それ以外の面々は大規模な意見交換会……という名の打ち上げで親睦を深める予定だ。

 

「……だが、当然ながらメンバー全員が順に戦う時間はない。ある程度は代表者を決めることになる。海軍側は、モモンガ中将、ギオン中将、キャンサー中将、ヤマカジ中将……そして、青雉こと、クザン大将の計5人だ」

 

 モモンガ中将は原作でも出番の多い中将で確かな実力者。ギオン中将は大将候補にも名が挙がったと原作で語られていた女中将。キャンサー中将はよく知らないな、原作で戦闘は行っていなかった気がする。ヤマカジ中将はたしか、エニエスロビー編のバスターコールで呼ばれた中将のひとりだったな。

 

「対してこちらは、モモンガ中将とは……ルッチ、お前が戦え」

「ああ、了解だ」

「総合的にはお前が上だ。だから、お前には今回の戦いにおいてひとつ課題を出しておく……相手は戦闘経験豊富な中将だ。制限のある戦いは、いい経験になるだろう」

 

 堅実な実力者であるモモンガ中将にはルッチを当てる。覇気を使う強者としてはお手本のような堅実な戦い方を得意とするモモンガ中将との戦いは、ルッチのさらなる成長にも役立つだろう。

 

「ギオン中将に関しては、フィズ……相手は桃兎という通称も持つ中将内でも上位の実力者だ。胸を借りるつもりで戦ってこい」

「了解だ。不甲斐ない戦いはしねぇ」

 

 フィズは格上との戦いになるが、いまのフィズの実力であれば十分善戦できるだろう。強者との戦いというのは貴重な機会だし、経験という意味では最高の相手といえる。

 

「次にキャンサー中将に関しては、ジャブラ、お前が行け。相手も徒手空拳を得意とするらしいが、情報は少ない。油断せずに行け」

「ああ、任せとけ!」

 

 手元に集めた情報では、キャンサー中将の実力は中将内では真ん中よりやや下ぐらい。総合的に見ればジャブラがやや上回っており、油断が無ければ堅実に勝ちを拾えるだろう。

 

「ヤマカジ中将にはカクを当てる。刀を武器とするヤマカジ中将だが、その堅牢な防御力が高く評価されている」

「なるほど、決め手に課題を抱えるワシにとって、いい経験になる相手というわけじゃな」

「そういうことだ。まぁ、その対策に関してひとつ手となるものがあるが、それはあとだ」

 

 カクの言う通り耐久力がある相手との戦いを経験させるのが目的だが、もうひとつこの後で食べさせる予定の悪魔の実の習熟も兼ねてという感じだ。

 

「そして最後に、クザン大将に関してだが、別にこれはCPと海軍の勝負というわけでは無い。とはいえ、見くびられる結果になっても問題だろう……ポチ、倒してこい」

「了解です!」

 

 青雉には悪いが、ポチにやらせることにした。まぁ、ポチも大将レベルの相手との戦闘はいい経験になるだろう。実力的に考えて、ポチが負ける要素はない。むしろ心配なのは、会場を破壊しないかどうか……。

 とりあえず、合同訓練についての通達は終わったのだが、他にも用件がある。

 

「さて次の要件だが、カク、カリファ、フクロウ、クマドリ、前に出ろ。ポチ、アレを持ってこい」

「はい!」

 

 俺の指示に従い4人が一歩前に進む。そしてポチに指示を出して運ばせてきた箱の中から、悪魔の実を4つ取り出してデスクの上に並べる。

 

「以前個別に質問したが、お前たち用に悪魔の実を手配した」

「うぉっ、すげぇな長官。マジで4つ手配しちまったのか、最低でも4億だろ……」

「むしろ、申請したら嬉々として渡してきた……」

 

 驚くジャブラに答える。実際、食い気味にすぐに用意するとかって返答が来て、ものの数日で悪魔の実が4つ手元に届いた。

 

「なんだ? また直近でなにかやったのか? 上が褒美を渡したがるようなことを……」

「最近だと数万人規模の反乱軍を皆殺しにしたぐらいか……」

『確実にそれだ!?』

 

 まぁ、確かに親父の要請を受けてのものとはいえ、功績としては俺になるわけか……。革命軍が戦力協力していたらしいし、そういう意味では革命軍の戦力を削いだとも言えるわけか。

 たしかにソレなら、上としても褒美のひとつでも渡したくなるか……。

 

「まぁ、いい。この悪魔の実に関してだが、まずこれはウシウシの実モデル:麒麟。そして、こっちはアワアワの実……あとふたつは、図鑑には載っていなかったので不明だ」

 

 ウシウシの実とかも図鑑には載っていなかったのだが、原作で見ているので先に説明しておく。なんでもいいと言ったが、予想通り原作にでた実はふたつ来たか……これに関しては別に変えようともしていないので問題ない。

 

「とりあえず禍根が残らないように、どれを誰に与えるかはくじで決めようと思うが、どうしてもこれを食べたいという希望はあるか?」

「「「「……」」」」

「無いようだな。では、この四枚の紙から好きな物を選べ、悪魔の実に張っているのと同じ番号が書いてある」

 

 四つ折りにした紙を4つ置き、選ばせる。まぁ、たぶんではあるが特に俺が意識して変えようとしない限りは、概ね原作に近くなるように運命が働くだろうし……結果はやはり、カクがウシウシの実を、カリファがアワアワの実を引き当てた。

 

「それでは、それぞれ悪魔の実を食べて訓練場に集合して能力確認だ。他の者も見学したいなら好きにしろ」

 

 

****

 

 

「ぎゃはははは、カ、カク、お前っ……最高過ぎるだろ!」

「く、くくく……なかなかイカすじゃねぇか……」

「なにがおかしい! ワシは気に入っとる!!」

 

 キリン人間となったカクを見て、ジャブラとフィズが大うけしている。ジャブラとカクのやりとりは原作でも有ったものだ。

 

「まぁ、シンプルに膂力の上がる動物(ゾオン)系は六式と相性がいい。笑っているが、ジャブラ……カクが能力者となったことで、いま総合力はお前を抜いたぞ」

「なにぃっ!?」

「能力を使いこなせるようになれば、さらに上がる。置いて行かれたくなければ、気合を入れて鍛えろよ」

「ははは、だそうじゃ。ジャブラ、悪いのぅ。差を広げてしまうかもしれんな」

「ああっ、テメェ調子に乗るなよ。すぐに抜き返してやるから覚悟しとけ!!」

 

 睨み合うふたりに対して、ジャブラに能力の確認に付き合ってやれと指示を出してから、他のメンバーの能力を確認する。

 

「どうだ、ある程度はつかめたか?」

「はい。アワアワの実は、いわゆる石鹸人間になる能力のようです。他者に使えば力を削げたりと、応用の幅はかなり広そうですね」

「なるほどな。だが、泡という性質上水が弱点になりうる可能性が高いのは注意しておけ。あと過剰な覇気によって能力は防がれる点にも注意だが、覇気は無限ではない。あえて能力を防がせて覇気を消耗させるという手もある。まぁ、いろいろ試してみろ」

「了解です」

 

 超人(パラミシア)系は使い方次第で応用の幅が広い。練度次第で強力な能力に成長する可能性もある。実際覚醒して周囲にも影響を及ぼせるようになれば、ロギアに近い戦い方も出来そうだ。

 さて、ここまではいい。原作と同じ能力だ……問題は原作では能力者ではなかったフクロウとクマドリに関して、食べた実がいったい何か……。

 

「……なんだ、フクロウ。その姿は……達磨か?」

「チャパ!? フクロウだぞ! トリトリの実『モデル:ワシミミズク』だ!」

「いや、それを分かった上で達磨にしか見えんと言っているんだ」

 

 羽根の生えた達磨のような見た目になっているフクロウに、ルッチは呆れた様子でツッコミを入れている。なんともそのままの能力に当たったものだ。

 フクロウがフクロウの実を食べるという、一種のギャグのような状態だ。

 

「……まぁ、動物(ゾオン)系なら能力は上がるだろう。それに性質上夜目なども利くようになった可能性がある。夜間での行動なども含めて、能力の検証をしておけ」

「チャパパ、了解だ~」

 

 フクロウに声をかけたあとで、最後にクマドリの方を見る。するとクマドリはなにやら壁の方を向いて、大きく見栄を切りつつ叫んだ。

 

「よよいっ!!!」

 

 とんでもない大音量の叫びと共に、クマドリの口から衝撃波が放たれて壁をへこませる。コレはまさか……ゴエゴエの実か? 劇場版一作目でエルドラゴが食べていた大声を衝撃波として攻撃に用いれるようになる能力。

 劇場版のキャラは存在していても劇場版とは違う人生を生きているパターンもあるとのことだが、この世界においてエルドラゴは悪魔の実を食べていないか、すでに死んでいるかのどちらかというわけか。

 近くにいたブルーノが青ざめた顔で耳を抑えているので、能力によって増幅された声は相当だったようだ。

 

「な、なんという大声だ……耳が痛い」

「クマドリ、その能力をしっかり制御できるようにしておけ、不意に衝撃波を放って司法の塔を破壊したりしてみろ……分かるな」

「よ、よよぃ……りょ、了解ぃ」

 

 とりあえず、あちこちで見栄を切るたび衝撃波を放たれてはかなわないので、事前にしっかり釘は指しておく。

 なんでただでさえフクロウと並んでやかましい奴が、さらにやかましくなる能力を得ているのか……派手過ぎるな。いや、クマドリの体躯と見た目も元々派手か……そう思えば、似合った能力かもしれない。

 まぁ、とりあえずこれで俺とポチを除き全員能力者となったわけだ。習熟はしっかりと行う必要はあるが、戦力としては大幅に上がったとみていい。

 

 全員が新世界の任務を行える日も近い気がするな。

 

 

 




スパンダム:狂パンダ。CP9強化計画も最終段階に入り、結果に満足気。

ポチ:忠犬にして狂犬。青雉と戦うことが決まった。

ルッチ:順調に魔改造されており、狂パンダの見立てではすでにモモンガ中将よりも強いため、課題を出される。

他中将と戦うメンバー:たぶん地の文で結果だけ出て終わって、戦闘描写はない。

フクロウ:トリトリの実「モデル:ワシミミズク」を食べて能力者に、達磨みたいと言われるが、フクロウの特性を考えると、視力も聴力も相当強化されてるはずなので、かなり当たりの能力といえる。

クマドリ:ゴエゴエの実……やかましい奴が更にやかましくなった。ただ、攻撃力はあるし、遠距離攻撃できるようになったのは強みではある。

五老星:反乱軍の一件の報酬どうしようか、金とか受け取らないよなぁと頭を悩ませていたところに、パンダから申請が来てこれ幸いと飛びついた。

クザン:……狂犬に襲われることが確定した今回の不憫枠。
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