闇の正義スパンダム   作:ぬこノ尻尾

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魔王の奏でる歌

 

 

 原作主人公であるルフィが本格的に動き出したとはいえ、別に俺の生活に大きな影響はない。エニエスロビー編、インペルダウン編、頂上戦争編が発生しなければ、本当に関わる機会はない。

 一瞬ローグタウンに赴けばドラゴンを始末できるかとも思ったが、ルフィがローグタウンに現れるピンポイントの日にいかなければ意味がないし、そもそもさほど革命軍に興味もない。

 立場的にCPの俺と革命軍のドラゴンでは敵だが、俺は仕事でやってるだけなので革命軍に対し思うところは無い。なんなら、最近割と大人し目だなぁとか思ってるぐらいだ。

 ……革命軍側にしてみれば、俺は不倶戴天の敵かもしれないが、まぁどうでもいいことだ。

 

 唯一俺と麦わら一味が遭遇する可能性があるのは、ウォーターセブンだろう。アクアラグナの時期なのでタイミングは分かりやすい。だが仮に遭遇したとしても……特になんの用もないな。まさか一応世界政府の役人である俺が「ワンピースを頑張って見つけてくれ」などと応援するわけにもいかないな。

 

 とりあえず、エニエスロビー編が無くなったことによる影響だけは知りたいので、ウォーターセブンに潜伏させている役人からの情報には注意しておこう。

 そう考えつつ、書類仕事を終えてペンを置く。

 

「……最近は革命軍が大人しいせいか、仕事が少なくて手持無沙汰だな」

「大人しいのはウチに手酷くやられてるからだと思うが……まぁ、退屈というのには同意だ。それなりの規模の戦闘がしたいところだな」

 

 俺が書類を終わらせたことを察して絶妙なタイミングでポチが持ってきたコーヒーを受け取りつつ呟くと、ソファーに座っていたルッチが反応する。

 最近CP9では新世界の任務もかなりの頻度で請け負っているのだが、以前に比べて割と暇である。さんざん支部長などを暗殺されているせいか、革命軍側もかなり警戒して動きが慎重になっているので、任務自体少なくなっているというのも要因のひとつだ。

 

「チャパパパ、そういえば、最近だとアラバスタで反乱活動が活発みたいだぞぉ」

「じゃが、アラバスタの反乱には革命軍は関わっておらんのじゃろ? ならただの内乱、国からの要請でもない限りわしらが動くことは無いじゃろ」

 

 まぁ、革命軍は関わってなくとも別の組織は関わっているのだが……しかし、「VIVRECARD」における情報だと、ルフィがウィスキーピークに行く際に作った雪だるまの製造日が2月18日、サウザンド・サニー号製造が3月25日であり、その間にリトルガーデン編、ドラム編、アラバスタ編、空島編とこなすわけだ。

 仮にアニメオリジナルも入るなら、ここにロストアイランド編、ヤギの島編、虹の霧編、ナバロン要塞編、オーシャンズドリーム編まで加わるのだが……いや、無理だろ。

 パラレルである可能性が高く発生しないとは思うのだが、ここに劇場版も加えると珍獣島、デッドエンド、呪われた聖剣、オマツリ男爵、カラクリ城も時期的にはグランドライン突入~エニエスロビー編の間である。

 

 諸説あるがルフィの旅立ちからシャボンディ諸島までを参考資料を基に計算すると、およそ3ヶ月ほどといわれているが、あまりにも無茶苦茶だ。

 本当にどんな過密スケジュールにすれば成立するのやら……。

 

 こちらは暇だというのに、原作主人公はずいぶんと忙しそうだ。

 

「隊長、新しい指令書です」

「うん? ああ」

 

 ちょうどそのタイミングでポチが指令書を持ってやってきたので、受け取って内容を確認する。久しぶりに革命軍絡みの仕事であり、ある島に潜入して活動しているそれなりの規模の革命軍を殲滅せよとの内容だった。

 

「……革命軍の殲滅任務か、暇も持て余し気味だから、空いているメンバー全員でいくか?」

「面白そうだな、久しぶりにある程度暴れられそうだ」

「よし、フィズ、どっちが多く殺れるか勝負しねぇか?」

「はっ、テメェが俺に勝てるかよジャブラ」

 

 もちろんルッチは真っ先に反応したが、それ以外の面々も最近暇だったせいか乗り気な様子である。先ほどまでより賑やかになった会話を聞きつつ、俺は指令書の内容を確認して思考する。

 任務のある島の場所、時期、報告書に上がっていた内容……。

 

「……ただし、全員仮面とマントを着用するように、それと戦闘においては悪魔の実の能力の使用は禁止だ」

「うん? なぜだ?」

「最近の慎重さなどを考えると、革命軍はこちらの情報が欲しいのだろう。別に囮とかいうわけでは無いだろうが、いざ俺たちが現れた時のために、遠方に観測を行う者を配置している可能性が高い。最近この島関連で上がっていた報告書に、行動している革命軍とは別に何名か派遣されたと思わしき痕跡がある」

「革命軍にとって私たちは目の上のタンコブ、少しでも情報を得ようと観測する……セクハラですね」

「そうだな。まぁ、あくまで本命の動きのついで、保険程度だろうがな」

 

 情報を得たいと思っている相手にわざわざ情報を与えてやる必要もない。全員覇気と六式のみで戦わせて、悪魔の実の情報などは与えない。

 

 

****

 

 

 夜の暗闇の中、岩陰からひとりの男が特殊な双眼鏡を覗きながら、電伝虫で通信を行っていた。

 

「……っ!? し、信じられない強さです。あれが、CP9……本隊がどんどん、やられて……」

『そうか、辛いだろうが、出来るだけ詳細に情報を伝えてくれ』

「はい」

 

 その男は革命軍に属するものであり、今回の作戦において本隊からは離れて観測を行っていた。理由は単純であり、最近革命軍を悩ませている存在でもある世界政府最強の暗殺集団CP9が現れる可能性があったからだ。

 CP9は極めて残忍で危険な存在であり、ここ数年で革命軍がどれだけの被害を受けたか考えるのも嫌になるほどだ。

 さらに厄介なことに、基本的に暗殺か殲滅を行うため情報がほとんど得られない。気づけば大切な同志たちが壊滅しているという事態も多く、ここ最近革命軍が慎重にならざるをえない原因だった。

 

 しかしだからと言って、革命軍としての行動をしないわけにはいかない。だからこそ、最低限同志たちの死を無駄にしないために、作戦行動中には男のような観測者が複数付いており、情報を得て対策を練ろうと考えていた。

 特に男はダチョウの力を持つ動物(ゾオン)系悪魔の実の能力者であり、ダチョウの力による視力は推定で25……40m以上先のアリの動きすら正確に見ることができるほどで、観測者たちのリーダーを務めており、革命軍内でもそれなりに地位のある存在だった。

 

 男は少しでも正確な情報を得ようと、その圧倒的な視力で観測を続けていたが、その折に本部から通信が聞こえてくる。

 

『……観測者の一部から通信が途絶えた』

「なんですって!? 確認します」

 

 本部からの通信に慌てて視線を動かし、自分以外の観測者が居る場所を確認すると……倒れた観測者の姿が目に映った。

 己以外の全ての観測者の場所を確認するも、そのいずれも倒れており……生きているとは思えなかった。

 

「本部! 自分以外のメンバーは全滅です! 指示を乞う!!」

『……』

「本部? 本部!?」

『――――――』

「なんだこれ……歌?」

 

 電伝虫で本部に呼びかけるも返答は無い。それだけでなく、受話器からは不気味な、魂を凍えさすかのような歌声が聞こえてきていた。

 言いようのない恐怖を感じながら男が顔を上げると、視線の先にある存在を見つけた。岩山の上で月を背負うように立つ存在。

 左目が×の形の仮面を被り、竜の意匠が施された帽子を被ったその存在を見た瞬間、男の心は握り潰されるかのような恐怖に支配された。

 

「……あ……あぁ……」

 

 体が震え逃げることも、その存在から目を離すことも出来ない。ただやけに、受話器から聞こえてくる不気味な歌声が大きく聞こえた気がした。

 そしてその直後、仮面の左目が一瞬赤く輝いたあと、男は胸に熱さを感じた。

 

「……ぁ? ……ぇ?」

 

 己の体を見ると、そこには×の形の穴があり、それを認識するとともに、不気味な歌声を聞きながら男の意識は闇に沈んでいった。

 

 

****

 

 

 ルッチたちに革命軍を襲撃させ、俺はその間に観測兵を全て抹殺し電伝虫の機械を破壊して野に帰した。いろいろと実験的なこともしてみたが上手くいった。

 劇場版においてトットムジカが出現した際に、電伝虫の音声が切れなくなったりと影響を及ぼしていたので、似たようなことができるかと試してみたのだが、問題なく電伝虫の通信を妨害することができた。

 そしてもうひとつ、トットムジカが使っていた光線も問題なく使うことができる。最終楽章時の光線は、俺でも回避しきれず頬を掠った程の速度かつ、覇気を纏った俺の皮膚を傷付けるほどの威力なので相当だ。

 

 しかもこれは魔力を用いての閃光なので、普通のレーザーのように熱を持っていて着弾点で爆発したりなどがないので暗殺向きだ。体感的だが射程もその気になれば数十から数百kmは余裕で届く。狙いが付けられるかは別として……。

 さて、最後にもうひとつ実験をしてみるか……出来るというのはトットムジカから感じる意思で分かるので、結果が楽しみではある。

 

 仮面の下で笑みを浮かべつつ胸に穴が開いて倒れた男の下に近づく。すると俺の周囲にトットムジカ最終楽章の人形の腕が現れ、その手が男の体を掴み禍々しい光が男の体を包む、そのまま少し経ってから人形の手は男を離し、男の体は再び地面に横たわる。

 そして俺の目の前には紫色の炎に包まれたしゃれこうべが浮かんでいた。そのしゃれこうべは感覚的に俺の意思で動かすことができた。

 そして軽く指を動かすと、そのしゃれこうべが……ダチョウの形をした骸骨に変化した。

 

 なにをしたかと言えば、一種の能力コピーのようなものだ。トットムジカは最終楽章で魔力を用いて炎や雷といった様々な能力を使っていた。

 他にもできることを増やせるかどうか考えてみたら、魂の中にいるトットムジカが俺に『サンプルとなる魂に触れれば再現できる』と返答してきたので今回試してみた。

 

 なにもかもとはいかないだろうが、魂に触れることで悪魔の実の力を疑似的に再現できるというのは、面白い。あくまで魔力による再現なので必ずしも同じ能力ではないが、極めて有用だ。

 さらにあくまで再現なので、悪魔の実によるデメリットなどを得ることもない……やっぱり、コイツの力は最高だな。

 

 パチンと指を弾いてダチョウの骸骨を消したあとで、目の前の死体を見る。他の死体はともかく、胸にバツ字の穴が開いてるこの死体は消しておいた方がいいな。

 そう考えつつ、俺は指先に黒い音符を出現させて、死体に落とした。

 

 

 

 




スパンダム:真のパンダは目で殺す! せっかくの機会なのでトットムジカの力をいろいろ実験。能力の再現とかヤバいこともしている。最近暇だなぁとか思っているが、革命軍が大人しいのはコイツのせいである。

CP9メンバー:全員道力5000越えで覇気習得済みのバケモノ集団。革命軍にとってはマジで悩みの種。

革命軍:ともかくCPのせいで原作と比べて被害が大きく、あまり派手に動けていない。CP9の情報を得たいがなかなか上手くいっていない。

トットムジカ:TotMusica歌った! (๑•̀∀×๑)✧ドヤァァァ!! 魔力も凄いでしょ? パンダ、褒めて褒めてv(*-∀×*)v
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