道中で見た海列車の凄まじさに驚きつつ水の都ウォーターセブンに辿り着いた麦わらの一味。住民に教えてもらった岬へと船を停泊させた。
その際にゴーイングメリー号に想像以上にガタが来ていることを感じつつ、造船所がどこにあり、船大工をどうやって探せばいいのかを相談する。
「とりあえず、手分けして造船所を探す組と、黄金を換金してくれるところを探す組に分かれて……」
ナミが方針を決めるために話をしていると、突如岬に大音量の音楽が流れ始めた。
「なんだぁ、この音楽?」
「ヘイ、お前たち、海賊か? アウ!!」
音楽に乗ってリズムを取りながら現れたのは、後方にふたりの女性を従えた海水パンツにアロハシャツを着た青髪の男。
「ここで会ったのは偶然だがぁ、もしも、この島で略奪をしようってんなら、この島一のスーパーな男が黙っちゃいねぇぞ! そうだ、俺は人呼んで、ワァオ! んースーパー……フランキー!!」
「……なんだこの変態……」
フランキーの登場に思わずといった様子でルフィが呟き、他の面々も唖然とした表情を浮かべていた。そんな視線を気にした様子もなく、フランキーはサングラスを指で軽く押し上げながら口を開く。
「おう兄ちゃんたち、別に俺は海賊って理由だけでぶちのめそうとか考えてるわけじゃねぇぞ。あくまでテメェらの目的が知りたいってだけさ」
「アニキは解体屋フランキー一家の棟梁にして、賞金稼ぎだわいな!」
「いわば、この島の裏の顔と言っていいだわいな!」
フランキーの言葉にモズとキウイも追随する。賞金稼ぎという言葉を聞いて、ゾロやサンジの表情が鋭くなり、いつでも戦闘を開始できるように臨戦態勢に移行する。
「おい、ルフィ。なんかヤバそうだぞ」
フランキーのただならぬ気配を感じてウソップが青ざめながら呟く中、ルフィは静かにフランキーを見つめる。
「……それで、なにをしにきた?」
「船の修理」
「そうか、なら問題ないな」
『いいのかよ!?』
ルフィの返答であっさり警戒を解いた様子のフランキーに他の面々がツッコミを入れるが、フランキーは特に気にした様子もなく、ゴーイングメリー号を眺める。
「……ほぅ、なかなかスーパーな船だな。いろいろな航海をくぐり抜けて来たって面構えしてやがる。だが、修理がよくねぇな、完全な素人仕事だ」
「なんだお前、分かるのか? 船大工か?」
「ああいや、俺は解体屋だ……だがまぁ、多少は造船の知識もある」
「そっか、じゃあお前造船所の場所を知らねぇか? 船を直してもらいてぇんだ」
フランキーから敵意が消えたのを感じたのか、ルフィが笑顔で話しかけると、フランキーは少し複雑そうな表情を浮かべたあとでルフィの質問に答える。
「この島で造船所って言えば、ガレーラカンパニーだが……この船を修理か……ん~どうも、船体のバランスがなぁ……こいつはもしかすると……兄ちゃんたち、船底に浸水したことはあったか?」
「え? ああ、それなら何度か……」
「やっぱりか……」
フランキーの問いかけにサンジが答えると、フランキーはなにかを考えるような表情を浮かべたあとで、突然海に飛び込んだ。
その行動に一味が首を傾げていると、少ししてフランキーは海から上がり、髪を整えてから首を横に振る。
「……駄目だ。残念だが、この船はもう修理できねぇ」
「なっ!? いきなりなにを……メリー号を修理できねぇって、そんな……金はちゃんと……」
「そういう問題じゃねぇんだ……海に潜れる奴は一度入って船底を確認してみろ。船底に船首から船尾までを貫き支える竜骨って木材がある。船の中核と言っていい木材だが、それが酷く損傷しちまってる」
慌てるウソップに冷静に告げ、フランキーが船底を確認するように促すと麦わらの一味で泳げるものは海に入り、船底を確認した。
ルフィやチョッパーも、無理やりゾロやサンジに抱えてもらう形で船底の竜骨を目で見て確認した。
「……見たな? 竜骨ってのは船の命と言っていい重要なものだ。極端な話、竜骨さえ無事なら船を直すことはできる。だが、そこが駄目になればもう修理は不可能、造り直すしかねぇ。つまり、この船は既に致命傷を負ってしまってんだよ」
「そんなっ……」
地面に胡坐をかいて座りながら告げるフランキーの言葉を聞いて、一味の表情が曇る。真剣な表情で語るフランキーの表情は嘘をついているようなものではなく、嫌が応にも言葉が事実であると感じることができた。
当然それで納得できるわけもなく、ルフィがフランキーを問い詰める。修理が不可能なら同じ船を造り直せないのかとも尋ねるが、フランキーの返答は非情なものだった。
「……造り直す? どれだけ似ていても、それはもう同じ船じゃねぇ、別の船だ。それをやって傷つくのは、誰でもねぇお前ら自身だぞ」
『……』
重い沈黙が流れる中、船長であるルフィはグッと拳を握り叫ぶように告げる。
「……信じられるか!! 今日だって快適に……お前は、ゴーイングメリー号がどれだけ頑丈か知らねぇから……」
「そ、そうだ! お前は解体屋なんだろ、だからワザとそんなこと言ってるんだろ!!」
「ちょっと、アンタたち……」
信じられないと叫ぶルフィと同意するウソップ……ナミがふたりを窘めようとしたが、それをフランキーが手で制した。
「いや、いい。受け入れられねぇ、受け入れたくねぇ気持ちは分かる。お前たちがこの船を大事に想ってることは伝わってくるし、船みりゃ分かる。そりゃ、いきなり現れた解体屋の俺に、船はもう寿命だなんて言われても、納得なんてできねぇだろうさ」
責めるようなルフィとウソップの言葉にも冷静に返すフランキーを見て、ルフィとウソップもバツが悪くなって俯く。
そんなふたりと見て、フッと笑みを浮かべたあとでフランキーが口を開く。
「……だから、お前たちにひとつ提案がある。俺の見た限りではその船はもう無理だし、修理も不可能だって意見だ。だが、お前たちもそれじゃ納得できねぇだろ? だから、俺の知り合いにこの島一……いや、世界一の船大工が居るから、その人にこの船を見てもらうってのはどうだ。もしかしたら、なにか方法が見つかるかもしれねぇ」
「世界一の船大工?」
「海列車は見たか?」
「ああ、凄かった」
「アレを最初に作り出した人って言えば凄さも伝わるだろ」
海列車を凄かったと評するルフィの言葉に対し、どこか嬉しそうな笑みを浮かべながらフランキーは説明する。
「あの海列車パッフィング・トムを作ったのは、トムさんって船大工でな。いまはガレーラカンパニーで、若い連中に造船技術を教えてる人だ。その人ならもしかして、俺に思いつかねぇ方法を知っているかもしれねぇ……だが、期待はするなよ。俺もそれなりに知識はあるが、もう修理は不可能だと思っている。ほぼ確実に返答は変わらねぇと、そう思っておけ」
「……そうか、分かった。じゃあ、その世界一の船大工に見てもらおう。ウソップもそれでいいか?」
「……ああ、その……感情的になって、すまなかった」
「気にすんな。船を見りゃわかる。お前たちにとってこの船は、ただの船じゃなくて仲間なんだろ? なら、その仲間がもう駄目だって言われて、簡単には納得なんてできねぇだろ」
人のいい笑みを浮かべてウソップの肩をポンと叩きながらフランキーは立ち上がり、ルフィたちの前でグッとポーズを決める。
「ここで会ったのもなにかの縁だ。このフランキー様がいろいろと面倒を見てやるぜ! お前ら、水の都は初めてだろ? 辛気臭え面のままじゃ、なにもいい結果にはならねぇし、ガレーラへの道すがら街も軽く案内してやるよ!」
「この街はアニキの庭みたいなものだわいな!」
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エニエスロビーの司法の塔で、俺はコーヒーを飲みながら一枚の報告書を見ていた。それは情報戦に強いタマから届いた情報であり、ウォーターセブン付近の海賊の動きについて記されていた。
「……海賊連合ねぇ」
その報告書によると、グランドライン前半では珍しい億越えの海賊団3つが同盟を結んで、この近くに来ているらしい。
そしてその中で一番懸賞金が高い海賊は2億4千万、この付近では破格の金額と言っていい存在だろう。しかも、その海賊は元海軍少将であり、真っ赤に染まった正義のコートを着て海賊活動を行っていることから、血濡れの海兵やら、レッドマリーンやらと呼ばれる存在だった。
そしてどうやら、海賊連合の目的は古代兵器の復活らしい。実力では四皇などには勝てないと理解しているため、古代兵器を用いて海賊王になろうとしているのだろうか……。
しかし、なるほど……元海軍少将であれば六式を使えてもおかしくはないし、現状のルフィにとってはキツイ相手でもある。
他の2つの海賊団もそれぞれ船長は億越えであり、おそらくだがゾロやサンジが戦うことになるのではないかと思う。
そして海賊連合の狙いが古代兵器の復活と来れば、ロビンを巡る戦いになるわけで、さらにウォーターセブンには、俺から聞いてロビンの過去を知っているフランキーやアイスバーグが存在している。
つまり、これがいわゆる運命の補填ともいえる要素であり、原作におけるCP9の代わりとなる敵というわけか……。
なるほどな……正直少しほっとした。ルフィたちにワンピースを見つけて欲しい。そうじゃなくとも、ワンピースがなんなのかという情報を得たいと思っている俺にとっては、少し懸念だった。
ウォーターセブンでフランキーが仲間に入らず、サウザンドサニー号を入手できないとなると、どこかで詰むんじゃないかと少し心配していたが、これなら俺が余計な手を回さなくても、フランキーの加入とサウザンドサニー号の入手は上手くいきそうだ。
しかし、まぁ、原作でもそうだったのだから当たり前ではあるのだが……アクア・ラグナが近く、俺がトムとの約束のために対応するタイミングとバッチリ重なっている。
……とりあえず、アクア・ラグナに対処する時にはいつも以上に周囲に気を配るか……偶然巻き込んだりすると、俺が運命を改変できることを考えると、ルフィたちが巻き添えで死ぬ可能性すらある。
そうなるとワンピースは自分で探すしかないので、俺の中での優先順位が低い以上、正体を知るのはかなり後回しになってしまう。
まぁ、とりあえずは海賊連合の動きに注意する形でいいか……しかし、ふむ、ならいっそ……。
「……ポチ」
「はい?」
「久しぶりに水水肉でも食べに行くか……」
スパンダム:狂パンダ。エニエスロビー編は発生しないので、普通に観客のような感覚で傍観してる。ルフィたちを一目見ておくのもいいかなぁとか、そんなことも考えている模様。
麦わらの一味:原作とは違ってココロと会っておらず、初手でフランキーと遭遇。
フランキー:トムが生存していることもあって、原作と比べてかなり丸くなっており、海賊相手でも事情を聞いてから戦うかを決めたり、気に入った相手にはいろいろ手助けしたりと頼れる兄貴的な面が強くなっている。
トム:出所後ガレーラカンパニーに雇われ、最近は造船よりも後続の育成に力を入れており、職人たちからはかなり尊敬されている。
ココロ:トムが生存しているため酒は止めて痩せており、昔に近い姿に戻っている。現在はチムニーやゴンベと一緒にウォーターセブンに住んでいる。よくフランキーにも小言を言っており、フランキーが原作より丸い要因のひとつでもある。なお、若い頃の姿は、顔の骨格まで違う気がするほど別人。
ゴーイングメリー号:資料等の情報や有志の検証が正しいなら、40~50日ほどで壊れており、チョッパーやロビンに至っては1ヶ月も乗ってない可能性が高いという話は、感動が薄れてしまうのであまり考えるべきではない。
海賊連合:運命の補填で登場した敵……だけど、別にこの作品はルフィたちの物語ではなく、パンダの物語なのでダイジェスト壊滅が確定している。
トットムジカ:ルン♪o(≧▽×)oルン♪ パンダとお出かけ! その海賊連合ってやつらのところに行くの? 消しちゃう?