運命とは数奇で面白いものというべきか、本来は俺がエニエスロビー編を潰した影響により、ロビンにとってはトラウマであるバスターコールもなく、麦わらの一味から離れようとする理由は無いはずだった。
本人から聞いた話ではあるがクザンとの遭遇時、原作と違ってクザンがロビンを氷漬けにすることは無く、ロビンは意識を保ったままだった。
故に大将という巨大な相手であっても、自分を守るために立ち向かおうとするルフィたちの姿を見ており、原作よりも強くルフィたちに仲間意識を持ち始めていた。
早い話がウォーターセブンに着いた時点で、ロビンはルフィたちをサウロが語っていたいつか巡り合える仲間であると認識しはじめ、少しずつ心を開きかけていた。呼び方を変えようかと悩むほどに……。
だが、そこでロビンは偶然ポチに遭遇した。ポチは本当に通りがかっただけであり、ロビンや麦わらの一味に対しての敵意など一切向けてはいない。
だが、現在のポチはCP9長官に就任したばかりの頃の俺ぐらいの能力を有しており、そのあまりにも巨大な力にロビンは恐れ慄いた。
クザンに続き、単騎で一味を壊滅させられる存在との遭遇は強いストレスになったみたいで、思考がマイナス方向に傾く。
さらにそこに来て、海賊連合の介入。結果、ロビンの心にこれ以上自分のせいで仲間たちを危険に晒したくないという思いが芽生え、経過こそ違えど原作と同じように死を受け入れようとしているような精神状態になり、一度は助けに来たルフィたちを拒絶した。
だがもちろん、そんなことで退くような麦わらの一味ではなく、規模も戦力も圧倒的に違う海賊連合にも臆すことなく戦いを挑んだ。
麦わらの一味にフランキー一家を加えても、海賊連合との人数差は10倍以上であり、三つの海賊団の船長や幹部はルフィたちより格上……と語れば凄そうには思えるが、観戦していた感想としては、実際はそうたいしたものではなかった。
たしかにレッドマリーンの異名を持つ海賊連合の実質的な中心ともいえる元海軍少将は、ルフィより格上であり、海賊連合の能力者が作り出した即席砦のような建物を舞台に激しい戦いを繰り広げていた。
だが、原作におけるルッチと比べるとやや格が落ちる印象だった。平時のルフィよりは確かに上だが、ギア2を発動されれば完全に押されており、部下たちに援護させてようやく互角といったところだ。
まぁ、この時点ではルフィもギア2を使いこなせているとは言えない状態なので、なんだかんだでいい勝負にはなっている。
しかもこの元海軍少将がかつてのオハラのバスターコールに赤犬の部下として参加していたようで、ロビンの事情も知っていて原作のスパンダムのような煽りもしており、原作を知る身としては「便利な補填キャラだな」という感想だった。
ゾロやサンジもそれぞれ別の海賊団の船長を相手取り、激しい戦いの末に勝利を掴み、仲間たちとの絆で吹っ切れたロビンも戦線に加わり、規模に差がありながらも麦わらの一味が優勢に戦いを進めていた。
しかしそこでイレギュラーが発生。海軍本部より派遣された艦隊が到着し、戦いは一気に三つ巴へと変わった。麦わらの一味は、激しい戦いの末に海賊連合の幹部をほぼ壊滅させることができたが、満身創痍と言っていい状態であり、ここで海軍の艦隊を相手取る余力はない。
絶体絶命のピンチともいえる状況で駆け付けたのは、やはりというべきかゴーイングメリー号だった。アイスバーグか、あるいはトムか……即席の修理を施された無人のゴーイングメリー号により、麦わらの一味はその場を離脱して逃げおおせた。
海軍も当然麦わらの一味を追いたいところではあるが、海賊連合を放置するわけにもいかず艦隊を分けるしかなく、さらに神風と言わんばかりに天候が荒れ始める。
その状態で航海士ナミを有し、小回りの利くゴーイングメリー号を捕えることはできず、麦わらの一味は脱出に成功。その混乱の隙を突いてフランキー一家も海列車にて離脱した。
その後は、海賊連合も甚大な被害を出しつつも海軍から逃走。ルフィたちに関しては、おそらく原作のようなメリー号との涙の別れをしていることだろう。
なんだかんだで、無難な結果に落ち着いたといえる感じだ。ロビンとの絆も深まり、フランキーとも共闘したことで加入の条件は整っているし、ゴーイングメリー号も限界を迎えたとみていい。
これなら問題なく原作のようにスリラーバークなども進行していってくれるのではないかと思う。期待しているので、是非ワンピースまで辿り着いて欲しいものである。
そんなことを考えつつ、俺は眼下の海賊船に視線を向ける。命を懸けて仲間を守った麦わらの一味とは逆で、部下を多数見捨てることで海軍から逃げた海賊連合の残党たちだ。船長などの主要人物も軒並み生き残ってはいるが……もう、不要だろう。
『海軍への伝達も終了した。そもそもあちらは逮捕に失敗しているからな、文句は無いだろう』
「なるほど……では?」
『ああ……使用を、許可する』
「了解」
五老星との通信を終えて通信機を懐にしまったあと、すぐ近くに月歩で滞空しているポチに声をかける。
「ポチ、許可がでた……始めろ」
「はい!」
俺の言葉に頷いたあと、ポチは強く両手を握りそこに覇気を込め始める。なにをしているかといえば、ポチへの指導の一環だ。規模が規模だけに、エニエスロビーの訓練場で行うわけにもいかないので、こういう機会はありがたいものだ。
そのまましばらくの時間をかけ、ポチの両手に膨大な覇気が収束したのを確認してから告げる。
「……撃て」
「了解! ……十二真衝!」
ポチが振るった腕から覇気を纏った衝撃が放たれ、ぶつかり、膨れ上がった漆黒の衝撃が海賊連合を呑み込み、消し飛ばした。
その光景を見ていたタマが、どこか感心したような表情で呟く。
「お~チェルシーちゃん。十二真衝が撃てるようになったんだね」
「最近ようやく……けど、覇気を大量に消費しますし、溜め時間も長くて……隊長のようにはいきませんね」
そう、ポチも六王覇銃をそれなりに使いこなせるようになってきたので、十二真衝に関しても教えてみた。とはいえ、訓練場では撃てないので、実際に撃たせてやるタイミングを探していた。今回は丁度いい機会だったといえる。
「……威力は及第点だ。だが、やはりまだ溜めに時間がかかり過ぎているな。実戦で使うなら、溜め時間は最低1分以内にするようにしろ」
「はい! 頑張ります」
「ん~いや、5分ほどの溜めでこの威力を撃てるなら、十分すぎるほど実戦レベルな気もしますけどねぇ……ちなみにスパンダムさんは、溜め無しで撃てたりするんですか?」
「いや、さすがに十二真衝は溜めが必要だ。威力や範囲を調整したりせずに撃つだけなら、0.5秒ほど溜めがいるな」
六王覇銃であれば溜め無しでも撃てるが、十二真衝に関しては若干の溜めは必要だ。
「……それほぼ溜め無しみたいなもんなんですが……連発できるんですか?」
「ああ、問題なくな」
「……覇気の消費はどうですか?」
「仮に100発撃ったとしても1割も減らん」
「うわ~い、やっぱり最高に理不尽でカッコいい」
俺の返答に苦笑を浮かべつつも、どこかタマは楽しそうである。そのうちコイツにも教えることもあるだろうが……やっぱり気軽に撃って練習できないのがネックだな。
今回は運が良かった。ポチも感覚をしっかり覚えただろうし、溜め時間の短縮も進むだろう。
さて、それじゃあエニエスロビーに戻るとするか……。
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海賊連合と麦わらの一味の戦いを見て戻った後も、情報収集は行っていた。やはりというべきか、今回の一件でルフィたちのことを心から気に入ったフランキーは、ルフィたちに夢の船を託すため再び船を作る決意を固めた。
そしてルフィたちにそのことを伝え、材料である宝樹アダムを購入するために2億ベリーを預かった。これもまた都合がよく、宝樹アダムが出品されるオークションの時期もズレており問題なく購入できてさっそく船作りに取り掛かる模様だった。
これに関しては、原作通りに進むと考えて少し手を回してみることにした。まぁ、当人たちのやる気次第だが、満更でもなさそうだったので船作りに協力するんじゃないかと思う。
そして、こちらはまだ確定ではないがルフィたちの懸賞金の額についても、タマが情報を入手してきた。確認してみたところ原作通りの金額になっており、一味全員が賞金首になっているのだが……微妙に違和感を覚えた。
原作のルフィの2億アップや他の面々の手配は、世界政府三大機関であるエニエスロビーを落としたという要因が強く、それが危険視された結果だったはずだ。
海賊連合はたしかに億越えの船長たちを始めとして名は知れていたが、それを倒したぐらいでここまで上がるものだろうか?
そう思いつつ報告書を見ていると……「一味7人と協力者1名という少数で、海賊連合を打ち破り船ごと中核となるメンバーを消し去った危険性を考慮」という一文があった。
あぁ、なるほど……ポチが十二真衝で消し飛ばした件も、麦わらの一味の仕業として処理した結果か……海軍に対する建前的な部分もあるのだろう。
あと細かい部分で言えば、ウソップもそげキングとしてではなく素顔で手配されているので違いはある。だが、サンジの手配書は似顔絵で、チョッパーは50ベリーというのも変わらない。
この似顔絵は哀れ過ぎるが、しかしこのおかげでジェルマに気付かれるのが遅れるという要因もあるわけだし、難しいものである。
そんなことを考えていると、突如通信が入った。相手は……五老星か。
『……先日派遣した軍の艦隊を破り、赤髪と白ひげの直接接触がほぼ確実となった』
「それで?」
『同盟という可能性は低いだろうが、目的を知りたい。流石に四皇2人相手となれば、CP0を迂闊に動かすのも難しい。お前に調査を頼みたいのだが……』
「了解。すぐに調べます」
『ああ、助かる』
原作における接触……黒ひげに関しての忠告か、原作知識のおかげで内容を知っているので報告は容易だが、いちおう別の話をしている可能性もあるし……念のために現地には向かうとするか……そしてタイミング的に丁度エースと黒ひげが戦う時期なので、帰りに黒ひげを始末するとしよう。
スパンダム:狂パンダ。十二真衝のチャージは0.5秒。のんびり麦わらの一行の戦いを観戦して、ついでに愛犬にも指導をできて満足の結果。時期が来たので黒ひげを始末に動く。
ポチ:狂犬。十二真衝を習得。しかしチャージに時間がかかるので、まだまだ精進しようと思っている。それはそれとしてパンダと同じ技が使えるのは嬉しくて、尻尾はブンブン振ってた。
フォート海賊団:消滅。死因:名前がフラグだった。
砦ちゃん:どうして? どうしてそんなひどいことするの?
五老星:なんか、安心感が凄い。四皇が接触とか聞いても、仮に同盟とか組まれてもパンダ居るので、安心……それはそれとして、なんで補佐官が十二真衝撃てるようになってるんすか? いい加減胃の痛みが……。
黒ひげ:絶望のパンダ襲来確定。
キングパンチ:……いや、あの……5分チャージとか……全然実用範囲っすよ……マジで。