ウォーターセブンにある廃船島では、フランキーが麦わらの一味のための船を造っていた。かつてフランキーが思い描き、造船からは離れつつも何年も温めてきた夢の船。それを託すに相応しい相手と巡り合えたからこそ、全力で作業を行っていた。
そこに兄弟子アイスバーグ、ゴーイングメリー号の生き様に惚れ込んだ職人たちの後押しを受けたパウリー、ルル、タイルストンも加わり、作業が進んでいく。
フランキーの子分たちも一通り造船技術は教わっているので手伝いたがっていたが、海賊連合との戦いで負った怪我も多く、フランキーが許可しなかったので5人の体制で造船作業は行われていた。
ブランクをまったく感じさせないフランキーとアイスバーグの技量は凄まじく、ガレーラカンパニーの1番ドックで腕を振るう3人でも付いていくのがやっと……いや、少し遅れていると言っていい状況だった。できればもう少し人手が欲しいと、そんな考えが頭をよぎった時、タイミングよく3人にとって懐かしい声が聞こえてきた。
『ポッポー。ガレーラの職長たちが、揃いも揃って作業で後れを取ってるとは、情けないな』
「いや、さすがにあのペースは厳しいじゃろ。アイスバーグさんはもちろんじゃが、フランキーも大した腕じゃ」
「ルッチ!? カク!? お前ら、どうしてここに……」
そこに居たのはかつて1番ドックで共に働いていて、現在は退職して故郷に帰ったはずのふたりの職人だった。
「久々に顔を見に来てな、なんとも奇遇なことに駅でルッチと鉢合わせてのぅ」
『ガレーラに行ってみたら、ここで船を造っているという話を聞いたわけだ。クルッポー』
そう言ってふたりはパウリーたちの下に近付き、どこか不敵に微笑みを浮かべた。
『ポッポー。ガレーラの仕事というわけでないのなら、退職した俺たちが参加しても問題ないだろう?』
「そういうことじゃ、報酬は仕事が終わった後の打ち上げってことで、どうじゃ?」
「テメェら……へっ、腕は鈍ってねぇだろうな!」
手伝いを申し出るふたりに、パウリーは微かに目を潤ませながらも笑みを浮かべる。そして2人を追加で加えて、7人体制で作業は進行していった。
ルッチとカクもかつては職長候補とまで言われており、数年経ったいまも腕は衰えてはいなかった。ふたりのおかげで、パウリーたちもフランキーとアイスバーグの作業スピードについていくことができるようになり、船の制作は順調に進行していった。
その光景を離れた場所から眺めていたトムに、かつてトムズワーカーズの秘書だったココロが問いかける。
「トムさんは、加わらなくていいのかい?」
「たっはっ! ああ、これからの時代を作ってく若い連中が集まってんだ。年寄りの出る幕はねぇよ」
「そうかい。フランキーも吹っ切れたようで、よかったね」
「ああ、ドンといい顔をしてやがる」
弟子たちが協力して船を造っている光景を見て、トムは心の底から嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
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新世界の一角にて接触した白ひげエドワード・ニューゲートと赤髪のシャンクス。新世界に君臨する四皇のふたりの話し合いは、エースを止めるように進言するシャンクスの言葉をニューゲートが突っ撥ねる形で決裂した。
覇王色同士がぶつかり合って空が割れる。だが、どちらもそれ以上戦いを続ける気は無く、一撃打ち合ったあとは武器を収めた。
話は終わったとばかりに背を向けて去ろうとするシャンクスに対し、ニューゲートは静かに口を開いた。
「……お前は、エニエスロビーの司令長官のことは知っているか?」
「……スパンダムのことか?」
「なんだ、知ってやがんのか」
「ちょっと、大きな恩があってな」
「ほぅ……」
シャンクスの言葉を聞いてニューゲートは興味深そうな表情を浮かべる。そして少し考えるような表情を浮かべたあとで静かに告げた。
「なら、テメェの方が詳しそうだな。俺が最後に遭遇したのは何年も前のことだ……だが、いまだにあの野郎の強烈な覇気は覚えてる。いま、あの怪物はどこまで強くなってやがる?」
「……仮に、全盛期のアンタとロジャー船長が5人ずつ居たとしても、相手にもならないだろうってレベルだ」
「グララララ、それほどか……だが、派手な噂を聞かねぇってことは、暴れまわるような奴じゃねぇってことか……」
「底知れない存在ではあるが、敵対しない限りはそうそう力に訴えてくるような奴じゃないな」
白ひげにとって、スパンダムは過去に2度遭遇した相手であり、3度目は逃げを打つしかないと考えるほどに警戒していた相手だった。
しかし、2度目以降遭遇する機会はなく、これといった大きな噂は聞こえてこなかった。ただエニエスロビーで不夜の怪物と呼ばれているという話もあり、想定通りに手の付けられない怪物となっているのだろうとは思っていた。
「……そうか。そういや、テメェさっき大きな恩があるって言ってたな」
「ああ、まぁ、人に話すようなことじゃねぇ」
「……」
シャンクスの言葉にニューゲートはそれ以上問うことは無く、去っていくシャンクスの背を見送った。そして、世界最高峰の実力者であるふたりであっても、気付かなかった。
その話題の怪物が、遥か上空でふたりの会話を覗き見ていたとは……。
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グランドラインの島のひとつであるバナロ島にて町はおろか島そのものすら消し飛ばすのではないかと思える戦いが繰り広げられた。そして倒れ伏す背に白ひげのマークを刻んだ男……ポートガス・D・エースと、その前に立ち高笑いを浮かべる大男……マーシャル・D・ティーチ。
両者の激しい戦いはティーチの勝利という形で幕を閉じた。最後にエースが放った炎帝により荒野となり果てた島の中心部で、ティーチは勝利を噛みしめるように笑う。
「ゼハハハハ! これが闇の力だ! ……ハァ、とはいえさすがの強さだった……予定とは違ったが、麦わらじゃなくエースの首を手土産に計画を進めるとするか……おいテメェら! エースを船に運べ!」
王下七武海入りのために、麦わらのルフィの首を狙っていたティーチだが、それ以上の大物を捕らえることに成功したため、エースの首と引き換えに七武海入りを行うつもりだった。
そして、七武海の地位を利用してインペルダウンに入り込み、過去の凶悪な犯罪者たちを手下に加えて一気に成り上がる計画。
そしてあわよくば、エースを奪還しようとするニューゲートと海軍をぶつけることで、正面からでは勝つのが難しいニューゲートを消耗させ、グラグラの力を奪い取る。そんな凶悪な計画を考えていた。
そしてそれは、本来の原作においては上手くいき、結果ティーチは四皇に上り詰めることとなるのだが……それはあくまで、本来ならの話である。
「……おいっ! なにしてやがる? 聞こえてねぇのか? まったく……いったい何処まで離れて――」
「距離の問題じゃない」
「――なっ!?」
突如聞こえてきた声にティーチが振り返ると、そこには左目が×の形の仮面と竜の意匠の帽子を身に着け、マントで体を隠した男が佇んでいた。
まったくなんの気配も感じず、本当に唐突に現れたその存在にティーチが驚愕していると、仮面の男……スパンダムは言葉を続ける。
「お前のところの船員なら一足先に旅立った。もう返事をすることは無いだろう。だが、心配することは無い……すぐに会える」
「ッ!?
スパンダムから放たれた凄まじい気配に、ティーチは即座に片腕を前に突き出しヤミヤミの実の引力を発動した。
だが、スパンダムはその場に立ったままでピクリとも動くことは無い。
「ば、馬鹿な……闇の引力は全てを引きずり込む筈だっ! なぜ動かねぇ……くそっ!
全てを引き寄せる筈の引力で微動だにしないスパンダムを信じられないといった表情で見たあと、ティーチは焦った様子で地面に手を付き闇を広げ周囲全てのものを根こそぎ引き込もうとした。
だが、直後にスパンダムが軽く足踏みをすると、風船が割れるような音と共に広がっていた闇が消え失せた。
「……は? な、なんだ……能力が、強制的に解除され……ど、どうなってやがる。なにをしやがった!?」
「わざわざそんなことに答えてやる気はない。俺がお前に言えるのは一言……闇の正義を執行する」
瞬間、視界全てが黒く染まるほどの凄まじい覇気が放たれた。あまりにも次元が違うその力は、ティーチが本能的に死を覚悟するのに十分すぎるほどだった。
「……ぅっ……ぁっ……ッ……なんだ、これは……う、歌? どこから――うおぉぉぉ!?」
気圧されるティーチの耳に、突然響くように聞こえてきた不気味な歌声に導かれて視線を動かすと、いつの間にかティーチの周囲には黒い炎に包まれたおびただしい数の骸骨が浮かんでおり、それが歌を歌っていた。
「いい歌だろ? よかったな、俺の相棒がお前のために
「やめろ……く、くるな……くるなぁぁぁぁ!」
逃げようと必死に体を動かそうとするが、まるで押しつぶされるような凄まじい圧に、体が言うことを聞かない。ティーチの表情が恐怖に染まっていく中、スパンダムは淡々と告げる。
「……人の夢は終わらないらしいが、お前の夢はここで終わりだ。ああいや、そういえばお前は眠らないんだったな。なら、夢を見るのはむしろこれからか……」
「お、俺は……こ、こんなところで……」
「それじゃあ、おやすみ――『
その日、バナロ島にて、漆黒の太陽が闇すらもすべて呑み込み……滅ぼした。
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音が消えていたバナロ島にて、気を失っていたエースがゆっくりと目を覚ます。
「ここは……ぐぅ!? いてぇ……あ、ああ、そうだ。俺はティーチに……あれから、どうなった?」
体中に走る痛みに顔を歪めながらも、エースは痛みをこらえて体を起こす。たしかにエースはティーチに敗北したはずだった。
だが目を覚ましてみれば、体が拘束されている様子もない。倒した相手を見逃すような甘い性格をしていない筈だと、周囲の様子を確認したエースは直後に目を見開いた。
「なっ!? なんだこれ……いったい……なにがあったんだ?」
エースの視線の先には、ティーチを始めとした黒ひげ海賊団全員の首がずらりと並べられており、その異様な光景に心の底から驚愕した。
エースはたしかにティーチに敗れた。いや、仮に相打ちだったとしても、ティーチはともかく他の船員まで死体となっている理由が分からない。
エースは痛む体を抑えながら立ち上がり、ティーチの死体に近付いたあと、その頭を抱えるように持ちながら口を開いた。
「……なぁ、ティーチ。お前は、いったいなにを見た? なにを見たらそんな、心の底から恐怖したような面で死んじまうんだ……」
当然ながらティーチの首がその問いに答えることは無く、仲間殺しの大罪を犯したティーチを追うエースの旅は、異様な不気味さを残して終わることになった。
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律儀に黒ひげ海賊団全員の遺体を埋葬して弔い、ティーチが腰に付けていたアクセサリーをひとつ、形見代わりに持って島を去っていくエースを見送る。
ティーチを始末しても、最悪ここでエースが偶然海軍に捕らえられるという結果になってしまえば、結局インペルダウン編と頂上戦争編まで発展してしまう可能性があるので、とりあえずは、白ひげの元に戻るまでは様子を見るつもりだ。
トットムジカの力で作り出した骸骨……これにエースを監視させるつもりだ。パチンと指を弾くと、宙に浮かぶ骸骨が再現したドアドアの実の力を発動し、亜空間に消えた状態でエースの後を追う。
これで、エースになにかあれば俺に分かるので、海軍などに捕らえられそうになった場合は対処するとしよう。
さて、当初予定していた通りにティーチは始末して、インペルダウン編と頂上戦争編の発生条件は消えた。バナロ島の住人は黒ひげ海賊団を始末する前に、初手に対象を指定した覇王色で意識を奪っているので、俺の姿を見たのはティーチのみであり、そのティーチも始末したので情報が他に漏れることは無い。
ティーチの遺体からヤミヤミの実の能力もコピーした。あとは、元々魔力で炎は作れていたので必要ではなかったが、せっかく近くで気絶していたのでメラメラの実もコピーしておいた。
これでウォーターセブン、インペルダウン、頂上戦争と俺が関わる可能性のある件は全て対処済み。あとはまぁ、状況がどう転がっていくか……だな。
とりあえず、エニエスロビーに帰って、五老星に白ひげと赤髪の話について報告するとしよう。
スパンダム:冥土の土産とかくれないタイプの狂パンダ。「なにをした?」とか聞いても能力解説はしてくれない。予定通りインペルダウン編と頂上戦争編を潰すために、黒ひげを始末。ついでにヤミヤミとメラメラもコピー完了。TotMusicaが聞こえる=パンダ確定演出。
ルッチ&カク:こっちは平和。パンダから話を聞いて、パウリーたちの顔を見に行くついでに手伝い。その後、パウリーたちと打ち上げで楽しく飲んできた様子。
ティーチ:Qティーチ、お前はいったいなにを見た? Aパンダ。
エース:訳の分からないまま生存。言いようのない不気味さを感じつつ白ひげの下に帰還する。
白ひげ&赤髪:交渉が決裂したところ悪いが、ティーチはパンダに襲われて居なくなった。
五老星:指令出して即エニエスロビーから新世界に移動して、会話内容も詳細に聞いて報告……分かってたけど、パンダ優秀過ぎでは? けどこれ、どうやって会話まで聞いたの?(魔力の電気と見聞色での疑似エネル心網)
死獣:しじゅう……四十……40……相手は死ぬ。
トットムジカ:こっちを消すんだね! (`・ω×´)ゞ了解! えへへ、パンダの相棒ですっ! (⸝⸝•ᴗ×⸝⸝)