whiter than white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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女性捜査官の憂鬱

 

 

 

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・・・・・・

 

 

 

―――時は遡り

 

討論会当日 午前10時過ぎ

 

 

 

外務省 東京本庁

外務大臣執務室―――

 

 

 

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┈┈┈┈┈

 

 

 

 

 

 

「取り逃した?

……君にしては珍しい―――」

 

広い空間に響き渡るのは威厳のある男の声。しかし、その声には半ば呆れたような、怒りの含まれた様子が聞いて取れる。

 

 

だだっ広い執務室。

舞白は姿勢を崩すことなく、真っ直ぐと佇んでいた。白いシャツに黒いネクタイ、そしてパンツスーツ姿。長い白銀の髪の毛はいつものように結われ、まるで様子は変わらないものの、微かに瞳には疲労の影が映し出されていた。

 

 

 

 

「"行動課"……行動こそがモットーだと君の上司は口にしているが……。今回の結果、君はどう思う?」

 

男は発言の後、テーブルに両肘を立てると顔の目の前で手を組み、じろりとすくい上げるように無表情を貫く舞白を睨みつける。

 

他にも、幾つもの視線が舞白を突き刺す。

外務大臣、副大臣、大臣政務官、国際法局局長、軍備管理軍縮課長――

 

名だたる外務省の幹部たちが舞白を一点に見据えていた。

 

 

「最善は尽くしました。……ピースブレイカーの2名、そしてそれを操っているであろう人物――」

 

「君は、特別捜査官だろう?"たかが廃棄区画"に潜んでいる密入国者を捕らえることもできないとは……行動課は名前だけのようだな?」

 

1人の男の発言に、グッと舞白の手元に力が入る。

 

廃棄区画ならば、何をしてもいいと思っているらしい。銃火器を使えば容易く捕らえられたはずだ、と。しかし、それは舞白の上司である花城が許可を出さなかったことだ。無闇矢鱈に使えば、廃棄区画の人間たちに危害が及ぶ―――だからこそ、花城は許可を出さなかったのだ。

 

しかし、"花城の指示のもと"とは一切口にしない舞白。ここで上司に責任をなすり付けるのはナンセンスだ。

 

 

「廃棄区画と言えど、茗荷谷は他の区画に比べて大きく違う点があります。―――以前報告した闇闘技場の存在。廃棄区画の住人たちのコミュニティも盛んで、繁華街も多く存在してます。その場所で銃火器を使った強硬手段を取れば、犠牲者は多数……」

 

「宜野座舞白捜査官。あなたは、潜在犯に情けをかけるの?」

 

女性事務次官に言葉を遮られると、舞白は相手に冷めた視線を向け、言葉を放つ。

 

「潜在犯も同じ人間です。情けも何も関係……」

 

「まあまあ、事務次官、仕方ないですよ」

 

その隣の男は嘲笑うように口を開くと、視線を舞白へ向けたまま、挑発じみた言葉を放つ。

 

「まあ、……行動課自体が潜在犯の巣窟みたいなものだ。分析官も、管理官も、特別捜査官も……そして取り纏める課長もね」

 

その男は入国管理局の課長だった。

歳は舞白と同じくらいだろうか?インテリな風貌からは意地の悪い言葉がつらつらと述べられる。

 

「ピースブレイカーの残党…国外の調査において、殆どを抹殺した事は褒めよう、素晴らしいことだ。……ですよね?幹部の皆さん?」

 

その男は周りの幹部たちに視線を向け"そうですよねー?"と笑いながら、小馬鹿にするように言葉を吐く。

 

「花城がスカウトした人材達は素晴らしい。正に"狂った元猟犬達"……洞察力も、見事な体術も、頭脳も、何もかもが狂ってる。潜在犯ありきの組織……。だからこそ"行動課"は発足された。期待値も込めてね。」

 

「"狂ってる"なんて、私たちにとっては褒め言葉ですよ。」

 

舞白は男の嫌味に負けじと無表情を貫く。しかし、そんな舞白の微動だにせず、余裕気なその姿に、男は更にヒートアップしていく。

 

 

「君の兄、旦那も本来であれば檻の中だ。……あー、あと、国防省でも公安でも上司を"殺した"あの須郷とか言うやつも……行動課に席がなければ、潜在犯として一生こき使われ、」

 

「お言葉ですが。入国管理課長―――」

 

 

気色を害し、目を尖らせる舞白。

ギョロっと、鋭い視線を向けられた男は、思わずゴクリと息を飲んでいた。獣のような、今にでも噛み付かれそうな冷酷な瞳を向けられ、ゾッと背筋を凍らせる。

 

 

 

「ピースブレイカーの"あの2人"に関して、再三こちらからも警告していましたよね。恐らく"彼らは日本にやってくる"、と。入国管理を今以上に徹底しなければ、彼らは穴を見つけて潜り込む……。報告書も私の名前で何度も提出して―――」

 

「は?……入国管理局の責任だと言いたいのか?」

 

男の顔色が、不愉快そうなムッとした表情へと変わる。しかし、舞白は再び無表情へ変わると、男に向け謝罪を口にする。

 

 

「その様に感じ取られてしまったのであれば謝ります、申し訳ありません。」

 

「……貴様……っ!!」

 

 

刹那、男は席から立ち上がると舞白の元へと向かい、襟元を掴み上げる。狡噛や宜野座達と背丈が変わらない相手を、舞白は見上げる形でじっと見据える。

 

 

「貴様のサイコパスも、さぞ濁ってるんだろうな?あぁ?……潜在犯の兄、そして旦那。聞く話によると、お前の過去の経歴は―――」

 

「……ッ……く」

 

グッと掴まれる襟元に、思わず舞白は苦しさを覚えると眉を顰める。どんなに腹立たしくても、幹部たちに手を出す訳にはいかない。そうなれば、花城に多大なる責任が問われるだろう。

 

 

「入国管理課長、席に戻りなさい。」

 

突如、その状況を止めたのは口を閉ざしていた外務大臣。男は悔しそうな表情を浮かべ、舞白を睨みつけると襟元から手を離す。そして再び席へと戻れば、敵視を向けられる。

 

舞白は乱れた服を軽く整えると、幹部たちに深々と頭を下げる。

 

 

「この度は……申し訳ありませんでした。目の前に標的がいたにも関わらず、国内で、"たかが廃棄区画"で取り逃した件については……私の責任―――」

 

 

 

 

その瞬間、背後の扉が開く音が室内に鳴り響くと、幹部たちの視線が舞白の背後へと向けられる。その人物の登場に、幹部達は驚きを隠せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼致します。」

 

「……任務のはずではなかったかな?"花城"」

 

 

"花城"という言葉を耳にすると、勢いよく背後に視線を向ける舞白。そこには見慣れた課長の姿があった。幹部達相手に、堂々とした立ち振る舞いを見せる相手は、正に行動課を引っ張るリーダーの姿だった。

 

「課長……まだ任務……」

 

「悪かったわね、遅くなって。」

 

舞白の背中をポンポンと叩くと、ニコッと笑みを向ける花城。そして、その視線が幹部たちへと向けられると、瞬きのない真っ直ぐな怒りの込められた瞳を光らせる。

 

 

「今回の件について。うちの部下は正しい賢明な行動をとったわ。」

 

「……だが、花城。前回の足立の廃棄区画もそうだが、国内で2度も彼らを取り逃した。」

 

「そのことに関しては、別途報告書も対策書も提出しています。それに判を押したのは外務大臣……貴方ですよね?」

 

「……」

 

 

 

真っ直ぐに言葉を発する花城に、外務大臣も口を閉ざす。

 

 

「ここは国外ではありません。国内だからこそ、さらに慎重に行動を起こさなければならない。シビュラシステムに全てを委託しているこの国だからこそ、より慎重に……そうしなければ、別の被害者が出る可能性もあります。その場合、特に"厚生省"からはクレームの嵐でしょうね?」

 

鋭かった目付きが、穏やかな、ニッコリとした表情へと変化していく。幹部たちは、その花城の様子に微かに恐怖を抱いていた。

 

 

 

「それに、彼女の上司である私がいない時に、うちの可愛い部下を引っ張り出すなんて何事ですか?外務大臣、副大臣……官房長に国際機関室長まで……。」

 

まるで"虐め"だなんてボヤく花城。

異様すぎるこの光景に、花城は不信感を抱くほどだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とにかく。今回の件についてはこちらでも再度調査に入ります。ヘブンズリープの潜入捜査は再度延期になるかもしれませんが、そちらも滞りなく、きちんと実施しますのでご安心を……」

 

"行くわよ?"と花城は舞白の腕を引くと、執務室から退出を試みる。

 

 

「待て花城。まだ話は……」

 

「残念ですが、この後も任務があるので。それに、今日は東京都知事選挙の最終投票日です。今後の移民達の動向に関係する大きな討論会でもありますから、……外務省もそれなりに構えておいた方がいいのでは?」

 

 

扉に手をかけ、執務室から2人は姿を消す。その様子を幹部達は怪訝な様子で見据えていた。

 

しかし実際のところ、行動課の存在は大きなものになりつつある。開国が進んでいく以上、彼らのような特殊捜査を軸にする部隊は必要不可欠だ。不用意に解体することは、この国を危険に晒す様なもの―――

 

 

 

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カツ、カツ……と花城のヒールの音が廊下に鳴り響く。そのままエレベーターホールへと向かうと、花城は傍らの舞白に視線を向ける。

 

 

 

「悪かったわね、遅くなって」

 

「そんな……課長が謝ることなんて。でも、何でですか?本来で有れば戻るのは昼過ぎ……」

 

「勘よ、勘。なんとなく、嫌な予感がしたのよ。……というか、寝てないでしょ?」

 

グイッと顔をのぞき込む花城に、ワタワタと両手を胸の前で振ると慌てる様子を見せる。

 

「ちゃんと寝ましたよ?証拠なら須郷さんに……」

 

「その須郷にさっき会ったけど?仮眠室で一緒に眠ってたのに、気づいたら居なくなってたって」

 

茗荷谷から戻った2人。さすがに仮眠を取らなければと、舞白を半ば強引に仮眠室へ連行した須郷。すやすやと眠った相手に安心したのか、須郷もまた眠りについたのだが、気づいた時にはすでに舞白の姿はなかったらしい。

 

「須郷さん、まるで私の監視官みたい。私が無茶をしないように、いつも監視してるんです。」

 

「須郷も須郷で、心配してるのよ。狡噛と宜野座とは違う視点でね?」

 

ふふふっと舞白の表情に明るさが戻ると、花城は安堵するように小さく息を吐く。そして、目の前にエレベーターが到着すると、2人は乗り込んで行く。

 

 

オフィスが置かれている階のボタンを押し込むと、ふと花城は舞白に言葉を放つ。

 

「……で、舞白。茗荷谷廃棄区画で何があったの?」

 

微かな様子から、何かあったと勘づいていた花城。舞白は花城の瞳をじっと見つめると、嘘はつけないな、と諦める様子を見せる。

 

「……"狐"に遭遇しました。……あの2人組を手引きしていると思われる"狐"です。」

 

舞白はパンツのポケットから名刺を取り出す。それは、あの男から渡された"あの名刺"だった。"清廉潔白な美しい貴女に――"。意味深な言葉と共に、狐のイラストが印字された名刺。まさか、舞白にも手渡されるとは予想外だった。

 

「相手の方が1枚上手でした。顔も見ることが出来ず、指紋も取れなかった。音声データも、周辺環境音の検出も試みましたが"できなかった"。」

 

「…………」

 

花城は名刺の表裏を交互に見ると小さく息を吐く。

 

「その男はピースブレイカーと何やら親密な関係でした。予想していた最悪の状況に陥った……。」

 

「まさか。あの残党2人組も"狐"に成り代わった……なんて」

 

「課長の仰る通り、その可能性が高いかと。」

 

花城は名刺を舞白に返すと、再びポケットにそっと戻す。そして目的階へとたどり着くと、2人はエレベーターから降り立つ。

 

すると、舞白は咄嗟に花城の右腕を掴む。相手の行動に若干の驚きを見せると、花城は立ち止まり、後ろへと視線を向ける。

 

 

「…お願いがあるんです。この件に関して、私と課長だけの秘密にして欲しいんです。」

 

「と、いうと?」

 

花城から手を離すと、真剣な顔つきへと変化する舞白。その瞳は真剣そのものだった。

 

 

「どこで誰が何を聞いているか分からない。……無闇に動けば、関係の無い命が危険にさらされる可能性があります。」

 

「……それは、あなたに接触した男に持ち掛けられたの?あなたに関係する人間たちが天秤に掛けられている……そう捉えていいのかしら?舞白。」

 

「捉え方はお任せします。……ただ、あの男は全てを知っていました。私の身辺は勿論、課長の事も。」

 

「…………」

 

滅多に見せない舞白の不安気な表情。何かから警戒するような、憂色を浮かべたその顔からは余裕はあまり感じられない。花城はその様子を見るに、ただ事では無いのだろうと察する。

 

 

「分かったわ。……でも、相手の情報が一切掴めてない状況で……危険じゃない?」

 

「恐らくですが、男の様子を考えると、何もしない限り近寄ってこない気がします。これもなんとなくですが…声色と言動からして、"人に興味がなさそう"でしたから。」

 

「"触らぬ神に祟りなし"。そういう事?」

 

「はい。……あのピースブレイカーの2人と手を組むほどです。あの2人を利用する側に立ち回ることができる人物……。そこまで大胆で、"向こう見ず"な行動は起こさないと、私は信じてます。」

 

ニコッと眉を下げたまま笑みを零す舞白。その佇まいは影が差しているように見えていた。

 

そして2人は再びオフィスに向かう為に歩き始める。

 

 

 

 

 

「そういえば、皆は……」

 

「オフィスに残るように言い聞かせたわ。あの場所に、"野郎3人組"が乗り込むって聞かなくて。大変だったのよ?連れて行ってたらどうなってたか……」

 

「確かに……大乱闘ですね。」

 

 

狡噛達を野郎呼ばわりする花城に、思わずクスクスと無邪気な笑みを浮かべる。もし、あの場にあの3人が乗り込んできたら……想像するだけで恐ろしい気もするが、何だか面白く感じてしまう。

 

 

 

そして、行動課オフィスの扉が開くと、同時に複数の視線が舞白に向けられる。それは特別捜査官の"野郎3人組"の他にも、同じく行動課にて職務を行う人物達の姿もあった。

 

 

 

「ま……舞白さん……」

 

静まり返ったオフィスに第一声を上げたのは須郷。

椅子から立ち上がると、いつもの威厳のある落ち着いた様子とは裏腹に、まるで長嘆するように、わなわなと震えているようだった。

 

その近くで狡噛と宜野座も同じく。いつもと変わらない様子の舞白の姿に胸を撫で下ろしている様子も見て取れる。

 

 

「すみません。ちょっと長くなってしまって―――」

 

へへへ……と後頭部に手を添え、困ったような笑みを浮かべる。

 

すると、舞白の近くに同課の仲間たちが集まると、何事もなく戻ってきた舞白に声をかける。

課長不在時に上から突如呼ばれ、一体何を咎められていたのかと心配していた様子だった。

 

そしてその中に須郷も近づくと、目の前の舞白に微かに笑みを向ける。

 

「よかった……姿が見えないと思っていたら、大臣執務室に呼ばれたと聞いて……」

 

「大したこと無かったですよ。そんな……皆さん大袈裟っ」

 

 

刹那、ガバッと思いっきり須郷に抱きしめられる。さすがに突然のことに舞白も驚き慄くと目を見開く。

周りの同課の人間たちもその様子に驚きを隠せない。

 

 

「す……すごーさん……」

 

トントンと相手の体を叩くも体格差もあり、簡単には離せない。しかし、更にギュッと力が込められると、舞白は小さく笑みをこぼしていた。

 

「……本当に、貴女は抱え込む事ばかり。仲間達が居ることを忘れないでくださいね?」

 

何だかんだ、危険な場面に出くわす舞白と須郷。過去にもこんな似たような事があったな……なんて呑気に考えているのも束の間。周りの仲間達、そして須郷に熱烈ハグをされ続ける舞白の視線はとある人物に向けられていた。

 

 

 

「……須郷さん。離した方が……」

 

「…………はい……?………ハッ!」

 

周りの空気と、舞白の発言に冷静さを取り戻した須郷。そして体を離すと、須郷は背後から感じる突き刺されるような視線に漸く気がつく。

 

 

 

 

 

「須郷。いい度胸だな。」

 

腕を組み、じっと須郷を見据えるのは宜野座。その横の狡噛は様子を楽しむかのように微笑を浮かべれば、須郷に視線を向けていた。

 

 

「す……すみません、宜野座さん。でも決してそういう訳じゃなくて……思わず反応してしまったと言いますか……」

 

必死に胸の前で両手をふるふると振るう須郷。

 

 

「須郷捜査官、ドンマイですね」

「そりゃ、任務帰りにヘトヘトで戻ってきて、目の前で奥さんが別の男に抱擁されたら……」

 

コソコソと聞こえてくるのは仲間達の会話。舞白は傍らの花城と視線を交えると互いに笑みを零す。

 

 

 

「今日1日楽しみだな?須郷……」

 

須郷の目の前に立つ宜野座。傍から見るとまるで喧嘩を売るようにも見えるその光景だが、瞳には子供のような、愉快だと言いたげな様子が浮かんでいた。

 

 

「……勘弁してください……宜野座さん」

 

 

 

ケラケラとその様子を笑う行動課の仲間達。明るいその空間に、舞白の曇っていた心情が一気に祓われていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たまに分からなくなる。自分が危険な職務を行っている事が、まるで嘘のように。

 

1人で放浪していたあの頃の孤独だった自分。しかし、ここ数年で様々な人間たちとの繋がりが生まれ、この空間が当たり前になって行くことに、不思議とたまに違和感を感じてしまうほどに。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

―――従わなかった場合、君の大切な人たちがどんな目に遭うか……君の頭なら分かるはずだ―――

 

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

あの男の声が脳裏に蘇る。

 

 

微かに力が込められる両手の拳。

 

 

 

 

兄の狡噛は、そんな妹の様子を横目でじっと見据えていた。

 

 

 

 

 

 

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