whiter than white(PSYCHO-PASS)   作:鈴夢

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信じることの難しさ

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

――20F ドミネーター保管庫

 

 

 

 

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通路に倒れるのはエリミネーターで気を失った者たち。そしてその後ろから絶え間なく留置者たちは姿を現す――

 

 

「うっ!」

「ぐはぁっ!!」

 

 

撃っても撃ってもキリがない。

それに本物の銃を持ったヴィクスンの姿もあり容易に動くことも敵わない。徐々に霜月達に焦りと疲れの顔が見え始めた。

 

 

 

「埒があかねぇぞ!デコンポーザーねぇのかよ!コレ!」

「そんなもん使ったらビルごと消滅するわよ!」

 

 

何とか持ちこたえてきた攻防戦。しかし限界は近い様子。さすがの霜月も切羽詰まった状況に声を荒あげ唐之杜達に必死に通信を繋いだ。

 

 

 

「分析官!早くエレベーター動かして!」

『もうちょっと待って!今サーバールームに辿り着いたわ。』

「オーケー。頼んだわよ。こっちも限界が近いわ――」

 

 

 

 

 

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――70F サーバーフロア

 

 

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通路の先のメインサーバールームに駆け足で辿り着いた舞白と唐之杜。2台のコンソールにそれぞれが手を伸ばす。

 

 

「唐之杜さん。私もフォローします。」

「助かるわ。舞白ちゃんは"こっち"の知識も豊富だものね?」

「さすがに1人で公安局ビルのシステムをどうにかできる能力は無いですけどね?でも何が起こるか分からないですし、念の為唐之杜さんの近くにいたいんです。」

「……ふふ、ありがとう。」

 

唐之杜ほどの専門家では無いが多少は力になれる。それに舞白は梓澤を警戒し続けていた。あの男なら他にも罠をしかけている可能性が十分に高い。ここで万が一唐之杜に何かあったら……考えるだけで不安ばかりだ。

 

 

 

「さあ、反撃開始よ。」

「開始です!」

 

2人は背を向けそれぞれのコンソールに設置されたキーボードを指で叩き始め、静けさが広がるサーバールーム内でその音だけが響き渡った。

 

 

 

 

「――都知事は俺に任せてくれ。急いでくれよ?志恩さん。舞白さん。」

「任せて!」

「はい!」

 

 

サーバールームの入口の重厚な扉を前にイグナトフは2人を奮い立たせる。止まることない2人の指の動きにこちらも緊張感が増していく。小宮もその姿を外から見守り、祈るように手を握る。

 

 

 

するとその時、2人分の足音が耳に入る。奥から聞こえるそれにイグナトフと小宮は警戒するも、現れた人物たちに安堵の表情を浮かべた。

 

 

「入江!如月!怪我は?」

 

それは先程、人型ドローンと共に姿を消した入江と如月。どうやら彼らの様子を見る限り上手くいったようだ。

 

「あんなブリキ人形楽勝だったぜ?」

「……お前、なんでそんなに水浸しなんだ。」

「ドローンと一緒にプールに落下したんです。……お陰で案外簡単に倒せましたけどね。」

「へへっ!真緒ちゃんも無事だし、水浸しになる事くらいどうってことねえよ!」

「…もう。調子いいんだから……――それよりサーバーの回復は?」

 

入江と如月の視線がサーバールームへと向けられる。作業をしている2人の姿を確認しホッと胸をなでおろした。

 

「もうすぐだ。今、志恩さんと舞白さんが復旧作業に入ってる。俺たちはこの通路と都知事を守るぞ。」

「「了解」」

 

いよいよ反撃できる――

誰もがそう思った矢先、突如として再び災難が訪れるのは誰が予想できただろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金属を引っかくような警戒警報のブザー音。そして強制的に閉められる重厚なサーバールームへの扉。唐之杜と舞白の姿が見えなくなった4人は大きく目を見開き、慌てた様子で声を上げる。

 

 

「そんな!志恩さんと舞白さんが!」

「都知事危険です!離れないでください!」

 

扉まで向かおうとした小宮を引き止める如月。そして再び警戒心を剥き出しに表情を強ばらせるイグナトフと入江。

 

 

「しまった!!」

「マジかよ……」

 

 

 

 

 

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「――やっぱり一筋縄ではいかない、か。」

「舞白ちゃん。」

「扉は強制的に閉められてます。こちらから開けられない……」

 

閉められた扉に手を当て怪訝な顔をして睨みつける。そしてどこか不安そうに名前を呼んだ唐之杜を心配させまいと振り向いた時には笑みを見せた。

 

「……とりあえず手を止める訳にはいかないわね。このままシステムを――」

 

再びコンソールに手を置いた唐之杜。

しかしその時、2人の目の前にコミッサのホログラムが現れると嫌な男の声が2人の鼓膜を叩いた。

 

 

 

『――よく辿り着いたね?しかし残念。この部屋から出ることは出来ない。それ以上コンソールに触れたら3分後に"有毒ガス"が吹き出す。―――くれぐれも自殺行為はしないように。忠告しておくよ?』

 

 

舞白はふと天井の通気孔に視線を向ける。毒ガスが吹き出すであろう場所を睨みつけ、再びデバイスに浮かび上がるコミッサに視線を落とす。

 

 

「梓澤……」

『君ならこの部屋に入ると思っていたよ。想定内だ。』

「……ッ……」

『"セカンド"。君は仕事を放棄した、そのツケだ。……君の選択ミスが起こした悲劇。自業自得だねー』

「まだ選択をミスしたかなんて分からない。脅しても無駄。」

『……そこの分析官と2人仲良く毒ガスで中毒死。悲しい結末だ……最愛の兄と旦那と再会できないまま君はここで死ぬ。』

 

悲劇的結末をのらりくらりと巫山戯た声色で語る梓澤。舞白は小さく息を吐き何とか平然を保つ。

 

 

『せいぜい頑張ってね。"舞白ちゃん"』

 

 

途絶える通信、消えるホログラム。

すると舞白は再びコンソールの前へと戻りモニターに映し出された3分にセットされたタイマーに視線を向けた。するとゆっくりと唐之杜が傍に寄り、優しく肩に触れた、

 

 

「…舞白ちゃん。これを。」

 

 

唐之杜は持っていたガスマスクを舞白に差し出す。しかしそれを反射的に拒む舞白。2人は苦しげに思い詰めたような顔で見合う。

 

 

「待ってください!それは唐之杜さんが!」

「ダメ。お願いだから言うことを聞いて。」

「嫌です!絶対に――」

「言うことを聞いてちょうだい。」

 

 

真っ直ぐと艶のある声。その声色にはいつもの温和なものはなく、真剣で怒りさえも伺えた。まるで子供を叱る母親のように唐之杜はじっと舞白を見つめる。

 

 

「――いい?都知事がチェスの"キング"なら舞白ちゃんは"クイーン"。あなたが倒れたらキングを失う可能性が高くなる。賢いあなたなら分かるはずよね。」

「…でも………!」

「これが我々の仕事。舞白ちゃんと同じように我々公安局の人間にも成すべきことがあるのよ。」

 

唐之杜の圧に根負けすると舞白は素直にマスクを受け取る。漸く受け取った相手に笑顔を浮かべ安堵する様子を見せる。そして懐に隠し持っていたタバコを手に取り落ち着かせるようにそれを口に含んだ。

 

 

「ふぅー…――なめんなよ、犯罪者。」

 

奮い立たせるように煙を口から吐き出す。そして"分析の女神様"の美しい指がキーボードに伸びる。

 

「舞白ちゃんは引き続きフォローを頼むわ。」

「唐之杜さん……」

「いい?やり遂げるの。私たち2人なら大丈夫。」

「……はい。」

 

2人は背を向け合いコンソールに触れる。するとその瞬間、モニターに映し出されたタイマーがカウントをスタートし始める。その機械音が鼓膜を叩く度イヤに心拍数が上昇していく。

 

 

 

「舞白ちゃんも居るし3分もあれば十分。―――ふふ……こういうの本当は待ってたのかも。私。」

「……どういう事ですか?」

 

背を向けたままキーボードを指で叩き続ける2人。舞白はそんな唐之杜の台詞に疑問を浮かべた。

 

 

 

「いつも安全な場所にいてサポートはするけど、誰かが傷つくのを見てるだけ。私も現場に行きたいって心のどこかで思ってた。」

「……唐之杜さん。」

「8年前。あなたが槙島に傷つけられて、友達も失って……医務室で錯乱した時の事、覚えてる?」

 

「はい。…覚えてます。」

 

 

槙島によって親友が目の前で吹き飛んだあの時の事。酷い怪我を負い尚且つ精神状態がほんの一時錯乱したあの時。唐之杜は必死に舞白を宥め、ただただ投薬することしか出来なかったもどかしさ――

 

 

「私は慰める事しか出来なかった。オマケにメモリースクープで嫌な思いもさせた。ボロボロになったあなたは慎也くんと海外に失踪して……そこでもまた傷ついて。日本に帰国しても大変な事ばかり。」

「メモリースクープは自分が望んだことです。……傷ついたこともありますが私は後悔してません。何も…」

 

 

傷ついてもいつの間にかキョトンと平然だった舞白。しかしそれが逆に唐之杜の心を傷つけていた。まだまだ未来ある若者が次々と様々な場面で傷つく。なのにその笑顔が苦しくてたまらなかった。

 

 

「――私はいつもの分析室でサポートしかできない。実は言うと本当は辛くてたまらなかったわ。…なんでかしらね?妙に舞白ちゃんには母性みたいなものを感じちゃうのかも。」

「母性…ですか?」

「ええ。昔からあなたの事を知ってるからかしら?新人監視官として慎也君が刑事課に配属されて、"可愛い自慢の妹がいる"っていつも聞かされてたの。」

 

 

続く会話、止まらない2人の手。

まるで遺言のように続く唐之杜の台詞は余計に舞白の心を掻き立てる。

 

 

「直接会う機会なんて無いし、むしろ潜在犯の私に分け隔てなく舞白ちゃんはデバイス越しで沢山頼ってくれたじゃない?」

「……」

 

ふと過去の記憶を遡る。

唐之杜とは勿論直接会ったことなど無かった。潜在犯と関わりを持つことは自身のサイコパス悪化に繋がりかねないということが今の時代の一般常識。しかし舞白にとってはそんな事は関係の無い事だった。

ひょんな事から唐之杜と繋がることができ、暇さえあれば連絡を取り続けた。

 

 

「―――慎也君の愚痴とか宜野座君との恋愛話とか。友達と喧嘩した時も連絡くれたり、用がなくても他愛のない連絡をくれて――"お姉さん"っていうより"お母さん"みたいな感覚だった。……あなたが可愛くて可愛くて仕方ないのよ。すごく嬉しかった。楽しかった――」

 

 

潜在犯としての人生を歩んでいた唐之杜。自分が潜在犯堕ちしてからは外部との連絡など殆どなく孤独だった。そんな心の支えは公安局の仲間たち。そして狡噛の妹の存在だったのだ。

 

 

 

 

「私ね。実は犯罪係数が下がってるの。……だけどいざ外の世界に出られるって思ったら怖くなった。ここでの生活に慣れすぎた―――ただの臆病者なの、私。」

「……臆病者なんかじゃないです、唐之杜さんは。」

 

舞白の声に微かに笑みを浮かべる。しかし互いに手は止まる事は無い。

 

 

「だからこそ、ここで舞白ちゃんを……みんなを助けられたらさ?変われる気がする。堂々と外に出て普通に美味しい物食べて、遊びに行って…好きな人と街を歩いたりしたい。これを乗り切ったら"違う人生を"―――」

 

 

 

 

"違う人生を――"

唐之杜の儚げで艶のある声が響いたその時、タイマーが映し出されたモニターは赤く警報を告げ、けたたましい警告音が鳴り始めた。

 

そして通気孔から広がる紫色の煙。それは瞬く間にサーバールームを覆っていく。

 

 

強い刺激臭が香ったその時、唐之杜は吐き気と目眩に襲われ酷く咳き込む。

 

 

「あと少し……、…うっ……ゲホッゲホッ!」

「はっ!唐之杜さん!お願い私のマスク……」

「絶対に外さないで!っ……うぅ……」

「唐之杜さん!」

「……これで……、完了、よ――」

 

最後の力を振り絞って唐之杜はキーを指で叩く。

 

 

舞白がマスクを外そうと手にかけた時、唐之杜の力強い手がそれを止める。膝から崩れ落ちる相手を必死に抱える舞白。お互いの視線が交わり、唐之杜は一瞬ほほに寂しい自嘲のような笑いを零した。脱力する身体、だらりと垂れる相手の手を必死に握る。

 

 

 

「―――間に合っ……た………」

 

「しっかりしてください!!唐之杜さん!唐之杜さん!!!」

 

鼻や口から鮮血が滴り落ちていく。瞼は閉じられ意識を手放したようだ。まだ息はある――

 

 

「((出血……心拍……瞳孔――))」

 

見覚えのあるその光景に閃いたように目を大きく見開く。そしてガスマスクを外しそのまま壁に投げつけると、微かに嗅いだ感覚のある独特な臭いに舞白は声を上げた。

 

 

「――ッ!この臭い。間違いない。」

 

ツンと鼻を掠める独特な臭い。舞白は再び息を止め唐之杜を担ぐ。なんとかシステムを奪い返した2人はそのまま出口へと向かい、即座に扉を解錠した。

 

 

開く扉。その先に4人が待ち構えていたのだった。

 

 

 

「唐之杜さん!……一体中で何が――」

 

イグナトフを先頭に駆け寄る。しかし舞白はそれを止めるように声を上げた。

 

「サーバールームに近づかないでください!毒ガスが蔓延してます!私が運びますから下がってください!」

 

 

ガラス張りの割れた通路に広がる凍てつく空気。それが毒ガスの蔓延を防ぎ部屋の外は安全だった。舞白は必死にその空気を体内に循環させ、少し吸い込んだ毒物を浄化するように何度も深呼吸する。

 

 

「……何……この臭い……」

「何かやべぇ臭いだぜ?もっと下がれ――」

 

如月と入江も異変に気づき、イグナトフと小宮をさらに奥の通路へと誘導する。そして舞白達もその場所へと合流すると4人は血相を変え駆け寄る。

 

 

 

「サーバールーム内に毒ガスが撒かれました。……私は唐之杜さんに救われたんです。」

「……梓澤廣一の罠か。」

「はい。なんとかシステムは奪い返せましたが――」

 

 

舞白は直ぐに唐之杜を床へと降ろし応急処置を施していく。傍らではイグナトフもデバイスを使い状態を確認するも危険な状態だということが分かる。そして舞白は斜めがけにしていたウエストポーチから手際よくあるものを取り出すとその場にいた4人は目を細めた。

 

「注射器?何をする気だ。」

「この毒物はかなり危険です。回りが早い。私も以前同じものを吸い込んでます。」

 

唐之杜の服の袖を捲りあげ、舞白は注射器を翳す。

 

するとその時、イグナトフと舞白の間を割って入るように伸びる手が舞白の腕を掴んだ。

 

 

 

「――信用していいんだよな。宜野座舞白さんよー……」

「入江!アンタ何言ってんの?」

「こいつは一度裏切ったんだろ?課長達もイグナトフ監視官も慎導監視官もこの女を信用してるのは分かってる……が。」

 

舞白の腕を掴む入江の手に力が篭もる。舞白はそんな彼を見上げ、真剣にその瞳を見つめた。

 

 

「――信じてください。」

「……俺だってアンタのことを疑いたくねぇよ。ただ、土壇場で何でも上手く打破するアンタを信用するのも怖えんだ。」

 

 

微細な疑念。入江の気持ちも分からなくは無い。ぽっと出で何もかも土壇場で回避する舞白。そしてこの状況―― ただ信じてもらうしかない舞白は必死に瞳で懇願する。それを入江は鋭い目付きで見据えていた。

 

 

 

 

そんな時、イグナトフのデバイスを覗き込み徐々に命の危険に晒されていることを理解した小宮は必死に舞白達に声をかけた。

 

「心拍数が下がってる。このままじゃ……志恩さん!」

 

 

「…………」

「入江さん。あなたが持っているその銃を……銃口を私に向けてください。」

 

舞白は入江の左手を掴む。

そして握られていた銃を自分の頭に突きつけ、表情を変えないまま口を開く。

 

「ッ!?」

「万一、唐之杜さんの体に異常が生じたら……どうぞ引き金をそのまま引いてください。」

 

その行動に唖然とする4人。しかし舞白は本気だった。一刻を争うこの状況下において、疑いをもちかけた入江を止めるにはこの手段しかない。自分の命と天秤に。信じてもらうにはそれほどの行為が必要だった。

 

 

「入江、舞白さんの手を離せ。」

「……っ……」

「銃口はそのまま向けていてください。怪しいと思えば引き金を引けばいい。その"選択"をするのはあなたです。入江さん。」

 

毅然とした態度の舞白は微かに口元に笑みを零した。彼女のあまりにも異常な行動に入江も素直に従う他ない。そして手が離されると舞白はそのまま注射器を唐之杜の腕に刺し込む。

 

 

銃口は彼女に向けられたまま――

 

 

 

 

 

 

 

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――20F ドミネーター保管庫

 

 

 

 

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『――エネルギー残量 ゼロ。バッテリー交換または充電ドッグにセットしてください―――』

 

 

銃撃音や留置者の怒号が飛び交うフロア。霜月達のリミットも残り僅かだろう。廿六木が手にしていたショットガン型ドミネーターもついに根を上げ始める。

 

 

 

 

「クソ!!」

「はやく……エレベーターさえ使えれば……」

 

霜月達の背後にあるエレベーターはまだ動く様子は無い。エレベーターの傍では雛河が自前のデバイスで何度も再起動を試みるもシステムが奪われてる以上どうにもならなかった。

 

 

 

「――お願い。志恩さん、舞白――」

 

 

絹糸のような細く繊細な声。若干怯えを含んだような小さな声で霜月は呟く。ここを突破されれば命は無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「課長!廿六木さん!!」

 

 

刹那、雛河の声が2人を振り向かせる。背後のエレベーターの扉が開き通常通り稼働することを告げた。霜月と廿六木は踵を返し一気に走り込む。

 

 

 

「来たわ!!走って!」

「了解だ!」

 

 

3人は逃げるようにエレベーターに駆け込んだ。その瞬間、最後の砦だった扉がこじ開けられるとヴィクスン達が現れる。向けられる銃口、しかし霜月たちの方が早かった。

 

重厚なエレベーターの扉は閉まり、なんとか銃撃を免れた3人。そしてなんとか逃げ延びた安心感と解れた緊張感から解放されたのだった――

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……助かった………」

「危なかったわね。」

「正に危機一髪ってやつだな。」

 

息をあらあげ肩で呼吸をする3人。そして落ち着きを取り戻すと霜月はイグナトフに連絡をはかる。

 

 

 

 

「ありがとう。コントロールを奪取したのね!?」

『はい、ですがまだ完全ではありません。…それと…唐之杜分析官が意識不明の重体です。』

 

 

「えっ…」

「何!?」

「…そんな……」

 

 

システムは3分の1を奪い返した模様だ。しかしそれとは真逆の悪いニュース。唐之杜の意識不明の重体という報告に3人は声を詰まらせた。

 

 

『ですが、先程より呼吸も安定はしてきています。舞白さんの解毒剤、応急処置で何とか生命を維持している状態です。』

「直ぐに医務室に運ぶ必要があるわ。誰か向かえる?」

『入江と如月に向かわせます。』

「……オーケー、そっちは任せたわ。私達も70階に向かってる。合流しましょう。」

『了解。』

 

 

 

 

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――70F サーバーフロア

 

 

 

 

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通信を終えたイグナトフは舞白達に向き直る。

 

舞白の膝に頭を乗せ、横たわる唐之杜。重篤な状態を回避した彼女の容態は徐々に落ち着きつつある。しかし油断はできない。あくまでも応急処置のみしか施しておらず危険な状態は変わらない。

 

 

「という訳だ。入江、如月。2人は分析官を医務室へ。」

「了解です。……監視官は?」

「俺はサーバールームと都知事を守る。――舞白さん。あなたもお願いできますか?」

「はい。勿論です。……それに、美佳ちゃんがここに来るなら尚更です。」

「感謝する。」

 

 

こくりと頷く舞白。霜月がこちらに来るのであれば尚更彼女のような戦力は必要不可欠だ。局長が殺された――その次は十分に霜月が狙われている可能性が高い。都知事と刑事課課長。イグナトフと舞白がそれぞれ彼女達の護衛として動くのが得策だ。

 

 

唐之杜を医務室へ運ぶ入江と如月。そして小宮と霜月の護衛にイグナトフと舞白。それぞれが使命を果たすため行動を起こす。

 

 

 

「2人にドミネーターを一丁渡す。使ってくれ。」

「私たちは大丈夫です。後で合流する霜月課長に渡してください。」

「俺たちはこれで十分だ。」

 

"これで十分"と入江が翳したのは小銃。そして改めて舞白へ向き直ると入江は深々と頭を下げた。

 

突然のことにキョトンと目を丸くする舞白。入江は頭を下げたまま口を開いた。

 

「――さっきは悪かった。お前を疑った俺が馬鹿だった。」

「疑われても仕方ないです。それ相応の事をしてきたんですから。謝らないでください。」

「……すまない。」

 

ゆっくりと持ち上がる頭、見合う2人。そんな舞白の表情から"お互い様"だと言わんばかりの無邪気な笑みが浮かばれていた。入江は先程の行動、銃口を頭に突きつけた事を後悔していたのだった。

 

「どうか、唐之杜さんをお願いします。」

「ええ。任せてください。行くわよ、入江。」

「おう!――志恩さん、もう少しの辛抱だ!必ず助けるからよ!」

 

 

入江の選択によって繋がれた命。

駆け引きのような緊迫した舞白とのやり取り。それを傍らで見ていたイグナトフ。危険極まりない有り得ない行動に異論を唱えたい気持ちもあるがあえて何も口にしなかった。

 

 

 

「((……宜野座舞白……))」

 

セカンドの地位を与えられている舞白。実質、梓澤の次に権力を持つインスペクターだ。

しかしイグナトフの心情に疑いの気持ちが消えていく。

 

 

「((俺はあなたを信じる。))」

 

 

真っ直ぐと光る舞白の瞳。

入江達を見送るその横顔は月明かりに照らされ、まるで美しい白い狼のように見えた。

 

 

 

 

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――46F 分析室ラボ

 

 

 

 

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「ぐぅううぅぅぅぅぅぅうううう!!!クソがああああああああぁぁぁ!」

 

 

分析室のコンソールに両手拳を叩きつける小畑。耳が裂けそうな程の大声が室内に響く。

そして声を上げたことによって落ち着きを取り戻した小畑は深呼吸し、落ち着いて梓澤へと状況を報告した。

 

 

「…ごめん、梓澤。コントロールを3分の1くらい取り返された…」

『完全に奪い返されても対応出来てたよ。大丈夫。小畑ちゃんは頑張ったよ。それに3分の2守りきったなら上出来さ……』

 

悔しそうに表情を歪める小畑。するとモニターに別の人物からの通信を知らせるアラートが届くと首を傾げモニターに視線を向けた。

 

 

「……ん?なんだこれ――」

 

 

キーボードを叩き応答する。

するとそこには"セカンドインスペクター"という名前の表示と冷静な女性の声が室内に流れ始めた。

 

『――小畑千夜さん。宜野座です。』

「あぁん?なんだてめぇ?何の用だっての。」

『システムの3分の1は奪った。残りの3分の2も必ず奪い返します。』

「はぁ?やれるもんならやってみろ脳筋イカレ女。」

『あなたの通信、妨害手段……この数ヶ月間で分析させてもらってます。』

「だから何?」

 

微かに声色に余裕気な雰囲気を宿す舞白の声。すると新たにモニターに表示された見慣れないエラーコードに小畑は大きく目を見開く。

 

『プレゼントです。即席のウイルスだから簡単に解かれるかもだけど――』

 

モニター画面に埋め尽くすほど現れたもの――それは公安局マスコットキャラクターのコミッサ。舞白が短時間で生成した簡易的なウイルスソフトだったのだ。

 

 

『こちら公安局刑事課です――――』

『――こちら公安局刑事課です――』

『こちら――』『任意同行――』

『――を求めます――繰り返します――』

 

キーボードを何度叩いても消えない大量のコミッサ。そしてコミカルな声の警告音声が永遠に鳴り響く。それは明らかな妨害だった。

 

 

「くっそがぁぁぁあ!!」

『"脳筋イカレ女"もやられっぱなしじゃ気に食わないのでお返しです。――頑張って解除してみてくださいね?』

 

 

舞白はそう言い残し一方的に通話を切る。明らかな挑発行為に小畑の怒りは最高潮に達したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

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――70F サーバーフロア

 

 

 

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「っと……とりあえず時間稼ぎは出来そうです。」

 

デバイスを閉じ、ニッコリと微笑む舞白。呑気なその姿に苦笑いを浮かべるイグナトフと小宮は物怖じしないその言動に恐れを見せる。

 

 

「……ねぇ、あなた怖くないの?」

「怖くないと言ったら嘘になりますけど…まあ、何とかなりますよ。それにあのハッカーの手は大体掴めてます。大丈夫です。」

 

"へへへ〜"と後頭部に手を添え2人に笑顔を向ける。イグナトフと小宮は互いに顔を見合せ困ったように頬を緩ませた。

 

 

するとその時、通路の先のエレベーターが開くとほんの一瞬3人は体を身構える。咄嗟にイグナトフは2人を守るように前に立つも現れた人物たちが確認できると安堵したように言葉を述べた。

 

 

 

 

 

「霜月課長!廿六木も雛河も…無事でよかった……」

 

 

 

 

霜月、廿六木、雛河。

3人はやっと仲間と再会できた安心感にほっと胸を撫で下ろす。そして同時に小宮の無事を確認した霜月は緊張の糸が途切れたように安堵の笑みを零す。

 

 

「都知事!ご無事で……」

「みなさんのおかげです。本当に私一人だったらどうなっていたか。」

 

 

小宮に駆け寄る霜月。会心の笑みを頬いっぱいに浮かばせ強く手を握った。

 

……そして小宮の傍らに立つ"親友"に視線を向けたその時。その穏やかな表情が一変し、親友に両肩に掴みかかる。

 

 

 

 

 

「こンの大馬鹿者!!!」

「……ぅぅ………」

「一体今の今までどこに居たのよ!?どれだけ心配かければ気が済むの!?」

「美佳ちゃ……落ち着いて―――」

「落ち着いていられる訳ないでしょーが!馬鹿!」

 

 

激しく両肩を何度も揺さぶる霜月とされるがままの舞白。しかし彼女達の関係を知っているの者はその再会に嬉しさが込み上げる。とくに雛河はその2人の様子に頬を緩ませた。

 

 

 

「――まあ、とにかく。無事でよかったわ。」

「ん………ごめんなさい。…」

 

肩から手を離しため息を漏らす。彼女の重荷を下したように清清しい顔は本気だった。嘘偽りなく、舞白が無事であったことを心の底から嬉しく思うその様子。ぶっきらぼうで乱暴な言動を起こす霜月だったが舞白はハッキリと彼女の心情を理解している様子だ。

 

 

 

久しぶりの仲間たちとの再会に柔らかくなる雰囲気。するとイグナトフは廿六木が手にしていた巨大な銃を目の前に不思議そうに問いかける。

 

 

「―――ところで……なんだそれは?」

「話せば長くなる。後で監視官にも握らせてやんよ?」

「そんな場面に出くわさないことを祈ってるよ。」

 

できれば災難なもうごめんだと言わんばかりに言葉を放つ。そんな時、霜月は入江と如月、そして唐之杜の姿が無いことを改めて確認する。

 

「入江と如月。分析官は?」

「指示通り、2人が医務室へ運びました。」

「オーケー。ここから私たちの反撃よ。――雛河、志恩さんの代わりを頼むわ。できるわね?」

「はい!出来ます!」

「俺はあのヲタク小僧を守る。充電もできるかもしれねぇしな?」

 

先程のサーバールームに向かう2人。廿六木はショットガン型のドミネーターを片手に入口で待機し警戒にあたる。雛河は先程まで唐之杜が立っていたコンソールの前に立つと直ぐにキーボードを指で叩き始めた。

 

そしてイグナトフと霜月は向かい合うとさらに計画を立てていく。

 

 

 

「――課長。ドミネーターは二丁あります。一丁はアン・オワニーの救助に向かった灼に送りたいのですが。」

「そうね……。雛河、ダンゴムシは使える?」

 

「はい。"先生"のお陰でかなりの数のダンゴムシが集まりました。これを使えば運べるかと思います。」

「オーケー。やってちょうだい。」

 

 

 

ぞろぞろと足元に集まるダンゴムシ。

雛河がそれを操り、ドミネーターを通気孔から運び出す。

 

無事、慎導の元まで届くことを願う。

 

 

 

 

「そして問題は都知事の安全確保ね。ここは危険すぎるわ。」

「局長室はどうでしょう?敵も予想できないはず。」

「―――なるほど。この状況下ではベストかも。」

 

着々と決まっていく行動。テキパキとコミュニケーションをはかる2人の姿。特に割って入ることも無く舞白は傍らで見守り続ける。

 

 

「じゃあ、イグナトフ監視官が都知事を連れて行って。」

「了解。ですが課長は?」

「ここを守る。課長の私がいればいい囮になるでしょ?」

 

 

ニヤッと強気な笑みを浮かべると霜月は左手を腰に添え、右手でグーサインを作ると親指で舞白を指さす。

 

 

 

「――それに。私には舞白がいるわ。その辺の警備ドローンなんかより役に立つわよ。」

「警備ドローンと比べられるのは癪だけどその通り。」

 

"失礼な!"なんて半ば冗談交じりで文句をつけ加える。

 

ちょうど良い人員配置にそれぞれが納得した様子で頷けばイグナトフは都知事の傍へと寄り、舞白は霜月の隣に立つ。

 

 

 

「ではドミネーターを…」

「私は大丈夫。あなたが持っていって。」

「了解です。」

 

 

イグナトフは手渡そうとしたドミネーターを握りしめると霜月と舞白に向き直る。そして霜月が最後にと言葉を放った、

 

 

 

「必ず都知事を守りなさい。イグナトフ監視官。」

「はい。……舞白さんも。霜月課長を頼みます。」

 

 

それぞれに向けた台詞。互いに視線で会話するように意思を固めるとイグナトフと小宮は踵を返す。

そしてそれを止めるように、舞白はふとイグナトフに向けて言葉を投げかけた。

 

 

 

 

 

「イグナトフ監視官。」

「……何だ?」

 

ピタリと止まる両足。

先を歩くふたりはこちらに振り返る。

 

 

 

「Я верю тебе―――」

「…………」

 

 

舞白が放った言葉。それはロシア語だった。この状況で言葉の意味を理解できるのはイグナトフしかいない。自分だけに向けられたであろう言葉を理解したイグナトフはほんの一瞬眉を寄せ困惑するようにも見えたが、再び真っ直ぐとした切れ長の瞳が舞白を捉える。

 

 

 

「Спасибо」

 

 

イグナトフもまたそれに答えるようにロシア語で返答する。すると2人は納得したような視線を向け合い、再びイグナトフと小宮はその場から踵を返した。

 

 

 

「何言ったのよ舞白。」

「何が?」

「ロシア語でしょ?」

「…………」

「"スパシーバ"……イグナトフ監視官が言ったのは"ありがとう"って意味よね。」

「すごい、翻訳機無しでも理解でき――」

「それくらい分かるわよ馬鹿!……で?あんたは何を言ったの?さすがにそれは分からなかったわ。」

 

「…………」

「……?何よ。言いなさいよ。」

 

 

じいっと隣の霜月を見つめる舞白。2人にしか分からないような会話だった事に若干不服そうな霜月は自分より背丈の高い舞白を怪訝そうに見上げる。小馬鹿にされるのは慣れっこだが隠された気もして嫌な気分だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘密」

「――はぁ!?」

 

 

にんまりと天真爛漫ないつもの笑みを浮かべる舞白はその場から踵を返し、サーバールームから離れるようにガラス張りの通路を歩いていく。そしてそれを納得いかない様子の霜月は追いかけるように後ろを着いていき舞白に食いかかった。

 

 

「ちょっと!刑事課課長の霜月美佳に隠し事?まさか2人で何か企んでるんじゃないんでしょうね?」

「違うよ。何も企んでなんてない。」

「じゃあ教えてくれてもいいでしょ?

――――ねぇってば!」

 

グイッと引かれる舞白の右腕。

霜月はそんな舞白の硬い機械的な右腕の感触に一瞬ドキリと驚いた様子で動きを止める。

 

"そういえば、右腕は義手なんだった"なんて脳裏に浮かべ、それに気づいた舞白はガラス張りの通路のど真ん中で霜月に振り返った。

 

 

 

 

 

 

「――――ッ」

 

 

 

月明かりに照らされる親友の姿。白銀の髪の毛はそれに反応するように光り輝き、冷たい風に結われた髪の毛がゆらゆらと揺れていた。真っ直ぐ向けられた舞白の瞳。兄の狡噛、そしてどことなく六合塚を思い出させる切れ長の瞳の力に何故か見入ってしまった。

 

 

澄んだ眼差し。まるで心の中を見透かすような濁りの無いその瞳。何か素通しのガラスのような感じもちらつく。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――美佳ちゃん。」

「…………っ……」

 

 

 

 

何故かドキドキと高鳴る鼓動――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロシア語。勉強してみたら?」

「…………は」

「だから、ロシア語。」

 

 

 

「…………は?」

 

 

舞白はそんな霜月の気持ちを理解することも無く相手の手を掴み、がっしりと両手で握りしめた。

 

呆気に取られたように情けない声を上げる霜月。予想外すぎる舞白の台詞に理解が追いついていない。

 

 

「語学って楽しいよ?この事件が解決したら教えてあげ――」

「アンタね!この状況で呑気すぎるのよ!ムカつく感情を通り越して呆れるわ!」

 

 

パッと振り払われる両手。しかし舞白は呑気に笑っているだけだった。

 

 

 

 

霜月は両手を組み、舞白に背を向ける。そして言いたかった本音を背を向けたまま口にする――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アンタに会いたかったわ。舞白。」

 

「…………」

 

 

 

霜月の背から感じる微細な感情。舞白はふざけている様子を演じながらもそれをきちんと理解していた。そしてまたもや親友を心配させるような自分の行動を心底反省していたのだった。

 

 

 

 

「何よ。何か言いなさいよ。」

「…………」

「感謝しなさい!このひと月、私がアンタをあえて追わなかったこと。公安局の力を使えば、アンタの居所なんてすぐに掴めたし捕らえることだってできたんだから。」

 

"あえて野放しにしてやった"と言わんばかりに威勢よく言葉を放つ。しかし霜月は背を向けたままだった。彼女がどんな顔をしているのか舞白は分からなかった。

 

 

そんな時、舞白はゆっくりと霜月に近づく。そして背後からぎゅっと彼女を抱きしめる。

 

 

 

「美佳ちゃん。ありがとう。」

「うっ……ちょ……なに……!いきなり何よ!」

 

 

「"信じてくれてありがとう"。」

 

 

 

 

 

その言葉に霜月は体の動きを静止させた。彼女の本音と思われる言葉が鼓膜を叩き、抱いていた感情が溢れだしてしまいそうだった。

 

姿を消した親友の安否を1番に心配していたのは宜野座以上に自分もあんじていたのだと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――当たり前じゃない。私たち"親友"なんだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

月明かりが2人の姿を覆う

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

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