日中でも、光輝く流星に大陸のものたちは心を奪われる。
とある占い師は言った、「その流星は、乱れた世を沈める天からの御遣いである」と
とある文官が言った、「あの流星は、これからの世が乱れることを告げる凶星である」と
とある将は言った、「あの光輝く星は、我々の力を示すための世が来ると吉兆である」と
皆々様々な予想、予言をたてただがその予言はすべて正しい
「乱世が始まる」
その一点に関しては…
一方、光輝く流星の横に、垂直に落ちている物体に誰も気づかない
物体ではないそれは、人である。
意識もしっかりしている。
髪は金で緑の目をした男。
青年と呼ぶには少し年を取っている。
そして今彼は夢を叶えている、長年夢見た空を飛ぶという夢を
「ふむ、生身でこの空を飛ぶというのは奇妙な感覚がするものよ。あの筋骨隆々の男も粋な計らいをしてくれる。」
彼は物思いにふけっていた。空で頭から落ちながらご丁寧にも手を顎に当てて感慨深い表情をしている。
「とはいえ…」
彼は思い出したかのように真上、地面がある方向を見る。地面まではあともう少し。あと10秒もたたないうちに地面に到着するだろう。
「聞いていないぞ!?少年!?」
そして地面に激突する。
これは天の御遣いの物語ではない。一人の空を飛びたかった男の物語。
確か彼は自分のことを未来への水先案内人と言っていた。
真恋姫十無双~夢空飛譚
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「ぐはっ!」
「ふみゅ~…」
地面に当たると思い衝撃に備えたが、思っていような痛みは無かった。まぁ、痛いのだが…
頭に重い痛みが走る。
何かが頭にぶつかったか、再びの死すら覚悟したのだが
その必要は無かったようだ。周りの風景を見渡すと
見渡す限り荒野が広がっていた。
「いや、しかし…」
ここは私がきたことがないところだということは確かだ。空から落ちてきたとき遠くに見えた建物、あれはなんだ。昔武士道を学んだ師の家に似ているがそれよりも華美なものだった。そして、私は視線を自分の体に落とした。服装ユニオンの部隊にいたころの隊服になっていた。なぜ服装まで変わっているのか。自分の足元まで視線を落とすと
「……………」
私の近くに仰向けに倒れている少女がいた。服装はとても人前に出ていいような格好ではないと思うのだが…
いや、まずは安否の確認だ、脈はしっかりあるな。だがきを失っているようだ。ならば抱えて…
「おう、兄ちゃん高そうな服きてるじゃねぇか。」
後ろからそういって声をかけられた。
「何者だ…」
私は警戒をして後ろを振り返る。そこには民族衣裳、いや、鎧を纏っている三人組が持っている刃物をこちらに向け近づいてきている。
「お、アニキ女もいますぜ!」
「お、ちょうどいいな、これで暫くの間は金に困らなくてすみそうだ。ってことであんたの持っている金と、服とその女おいていきな」
こいつらは盗賊かなにかなのだろう。彼らの放つ殺気が私に悟らせる。
考えるのだ。こういった修羅場は何回も通ってきた。だが今の私には銃どころか得物すらない。彼らに勝つことはできるであろう。だがこの少女をおいてとなると…
と少女に視線をやると
「…………?」
バッチリ目があった。
「あれ、シャン…なんでこんなところで寝てるの?」
場違いなことを言うものだから少し緊張の糸が弛む
「それは私も聞きたいのだがな」
「あー、落ちてきた人」
落ちてきた人とはおそらく私のことだろう。
「それは私のことかな?」
「うん。お空に流れ星が見えたから見に行ったら…シャンの頭の上に落ちてきたの。おーって思ってたら避けるの忘れちゃった。」
マイペースに言葉を続けているが、その反対私の視線の先には三人組がもうすぐそばまで迫ってきている。
「君、あの三人組が見えるか?」
「うん。見えるよー」
「あの人たちは悪い人のようでね。私が時間を稼ぐから君は逃げたまえ。」
さすがにこのような少女に人間の汚さを見せるのは早い
少女がいなければ得物の無い私でも善戦することは可能だろう
「あの人たち悪い人?」
「あぁ、そうだ。だから…」
「なら…」
そう言った少女は、もう私の後ろにはいなかった。
「へブッ…!」
そして三人組の方向を振り返ると三人組の一人が倒れていた。少女の持つ巨大な得物によって
「まずは一人」
少女は当たり前のごとく言う。だが殺したわけではないようだ。倒したものはすぐに起き上がる。
「今のは警告、今度きたら…」
と、彼らを脅す。少女と侮っていた背中から明らかに、マイペースに話していたときとは違うオーラが出る。こんなものを見せられたのはいつぶりだろうか自然と冷や汗が出てくる。だが…
「しょ、所詮女一人だしかも足手まといの男もいる!そいつからやっちまっ……へ?」
否応なく高ぶってしまうではないか!
「おーやるー」
私はリーダー格の男をこかし、蹴り飛ばした。
「すまない。私は君を少女と侮っていた。その覇気、並大抵の鍛練では身に付かないもの。尊敬に値する。」
「そこまで言われると照れる。」
「なに、事実を言ったまでそのまま受入れればいい。だが、まずはあれを片付けなくてはな。」
お互いに目を合わせる
「シャン…」
すると彼女が口を開く
「そう呼んで言い」
「名を預けてくれると言うのか、ならば」
三人組に目を向け
「我が名はグラハム・エーカー!我が友シャンのため、貴様らの歪みを破壊する!」