真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第十話

 

「新兵の鍛練を私に?」

豫州での賊退治から数日。非番の日に華林殿に呼ばれていくと新兵の鍛練をしてくれと頼まれた。新兵の鍛練は確か春蘭殿がしていたはずだが……

そうか、春蘭殿は確か香風殿と他の国の救援で賊退治に向かっていたな確か秋蘭殿も別の国に行っている。

その代わりということか

 

「前々から新兵の鍛練をあなたに預けようと思っていてね。春蘭も今離れているしちょうど良い時期だし。」

そういうわけではないようだ。だが期待には答えるとしよう。

「了解した。こちらで内容は組ませてもらうが、良いだろうか?」

「えぇ、構わないわ。けれどあなた達がここ最近行っているものは不要よ。新兵には余計よ。」

 

最近の我が隊の鍛練は凪と考案した隠密を取り入れている。隊としての役割を広げるために始めたものであったが皆飲み込みが早くある程度身に付いているものもいる。だが私はどうやらそういったことが苦手らしい。探す側と隠れる側に別れた鍛練ではまっさきに見つかってしまうのだ。隊員である棱いわく『隊長は存在がさわが……輝いていますから……』ということらしい。

 

「基本のみ教えれば良いのだな。心得た。良き兵士に育てて見せよう。」

 

「楽しみにしているわ。

あとついでで悪いのだけどこの書簡を桂花に渡してもらえるかしら?いる場所はわかるわよね。」

 

「もちろん。引き受けさせていただこう。」

 

書簡を華林殿から受けとる。荀彧殿とは賊退治以降軍議でしか顔を会わせていない。しかも印象は合ったときのまま。軍議で顔が合ったときも露骨に嫌そうなな顔をしながら顔をそらし、機嫌の悪い時には『こっち見ないでよ!気持ち悪い!』など軍議中にも言われるしまつ。男が嫌いということもあるだろうがそれだけではない。男と見れば軽く見るが実力がある男とは嫌々ながらも抑えている。

何故私だけなのだ……!

 

「それじゃあ任せたわよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前の扉を叩く

 

「グラハム・エーカーである。荀彧殿に書簡を渡しにきた。入ってもよろしいだろうか?」

 

…………

沈黙が続く。この時間は仕事で必ず私室にいるはずなのだが?耳をたてると物音は聞こえる。中に人はいるはずなのだが……ふっ嫌われたな……

仕方ない

 

「入らせていただく。」

 

「な!なに勝手に入ってきてるのよ!許した覚えなんてないわよ!まさかあんた……!やっと正体を表したわね!」

 

思った通りの反応というか、ここまでくると清々しいものがあるな。

 

「こちらも急いでいたのでな無礼を承知で入らせていただいた。」

 

といい書簡を彼女が作業をしている机の上におく。

 

「華林殿からの荀彧殿に渡せと言われたものだ。」

 

「華林様から?それを先に言いなさいよ。」

 

書簡をすぐに広げ見始める。真剣な表情で書簡に目を通している。よほど重要なことだったのだろうか?

だが真剣な表情もつかの間、顔が歪んでいく。

 

「何か怪しいことでも書いてあったのか?」

 

問いかけるが返事は返ってこない。

読み終えた後、私に何とも言えない顔で睨み付ける。

書簡をバンと机の上におく。

 

「あなた新兵の鍛練をするのよね?」

 

「今日引き受けたばかりだが……その書簡それが書かれていたのか?」

 

「えぇそうよ。そして私はその新兵から華林様の親衛隊を選任する役目につくことになったわ。でもそんなことどうでもいいの。」

 

また違った目でこちらを睨んでくる。どんな感情が込められているかはわからないが仲間を見る目ではなかった。

 

「あなた本気?」

 

試されているのか私は?いや、だが合えて言わせて貰おう雰囲気が違うと。

これは私なんかが新兵の鍛練をするなんてけしからんと言いたい訳ではない。そんな剣呑なものではない。だが明らかに私が新兵の鍛練をすることに何か嫌なことがあるらしいのだ。

 

「本気って聞いてるのよ!」

 

「あ、あぁもちろん本気だ。華林殿に拾われた恩を返すためまだ足りないぐらいだがな。」

 

「そういうことじゃなくて!あんたも私もお互いに嫌いでしょう!」

 

ん?お互いに嫌い?

 

「初めて話したときあんなこと言ったやつと仕事なんて真っ平ごめんでしょ。私もあなたのことが気にくわないし。」

 

「嫌少し待ってくれ」

 

「何よ。当たり前のこと言ってるだけでしょう。あなたに嫌われてることは謝らなくていいわよ。心置きなくあなたを嫌うことが出きるし。」

 

「嫌荀彧殿のことを嫌うなどできまい。逆に好意すら感じているとも。」

 

「…………は!?」

 

「あそこまで初めて会った者に敵意を向けることは普通の人ではできない。あそこまで警戒でき啖呵を切れるのだたいしたものではないか。

その後の作戦も見事なものであった。私の隊の実力を確認しながらも失敗しない犠牲も最小限ですむような作戦であった。そのように才のある者を嫌うなど無理な話だ。特に私は咄嗟の判断は得意だが事前の作戦は専門外だ。足りない物を補完してくれるこれほどありがたいことはない。」

 

思っていたことをありのまま話す。

 

「私は自分で自覚するほど人に嫌われやすい人間だ。私を嫌うのは構わんよ。」

 

「…………」

 

なに、嫌われることにはなれている。初めてあったもの…いや付き合いが短いものにも過去のことで判断され嫌われたこともある。あの時は対話することもできなかった。そんな後悔はもうごめんだ。

 

「あなたやっぱり変態よ。気持ち悪い。」

 

といい立ち上がり部屋から出て行く。後ろ姿からは少しの苛立ちが見えた。わかり会えずとも良い。今は対話が重要だ。これから話す機会は増えてくるだろう。その時に少しずつ少しずつわかりあえばいいのだ。

 

「何よ!あいつ!大人ぶって!あぁぁぁぁぁぁ!」

 

ははは元気なものだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新兵の訓練所に立ち寄ると結構な人数がおり各々鍛練をしている。とあるものは素振り、とあるものは十人ほどで集まり走っているものもいる。春蘭殿が指示していたのだろう。一定のもの達はいくつかの班にわかれ淡々と訓練をこなしている。

だが、なにもせず鍛練をしないものも何人かいる。

 

「隊長あやつらはどういたしましょうか?」

 

「放っておけ。今指摘しても何も変わらないさ。明日からでいい。今日は私達は非番だ。」

 

「ですが……」

 

やはり凪は良き兵であるな。

 

「グラッちーーー!季衣連れてきたっすー!」

 

「兄ちゃん?それに凪様までどうしたの?」

 

華侖殿が季衣殿を連れて向かってくる。

 

「華侖殿は何も話していなかったのか?」

 

「ふぇ?」

 

「うん。何も聞いてないよ。ただ兄ちゃんが呼んでるっすよーって言われたからついてきただけ。」

 

「そうか、季衣殿は何も聞いていないのだな。

賊退治の時に華侖殿と話しただろう。食事にでも行かないかと。華林殿に聞いてみれば柳琳殿と曹洪殿は仕事だが二人は非番だと聞いた。だからこうして昼食の誘いに行かせた訳だが……」

 

華侖のほうを見ると照れたように笑っている。

あれは何も話していないな。

 

「まぁいい。それでどうかな一緒に昼食でも。私の奢りだぞ。」

 

「行くーーー!」

 

「良しならば向かうとしよう。」

 

 

 

 

 

町の飲食店内にて

 

「はふはふはふ……はっはふはふ……ははふ」

 

「……!ん~~~~~美味しいっす。これもう一つくださいっす!いや~柳琳と栄華にも食べさせてあげたかったすね~。」

 

「………もぐ………もぐ」

 

三者三様の食べ方をしていた。

季衣殿は周りを気にせずただただ食べ続け

華侖殿は新しい料理に手付けるごとに大袈裟に反応し

凪は黙々と真っ赤に染まった料理を口に運んでいる。

机に並べられた様々な料理はあっという間に消えていく。

良く食べ良く眠るものは育つと言うが……ここまでとは…

 

「本当に良く食べるな……」

 

私も歳か……皆が食べている所を見てみると私まで腹が膨れて……いや、私もまだ若いはずだ。確か辛い食べ物は食欲を促進すると聞いたことがある。ならば!

 

「凪よ。その料理貰っても良いだろうが?」

 

「はい。構いませんよ。」

 

と真っ赤な麻婆豆腐を貰う。

うっ中々辛そうではないか。だが行かせて貰おう!

口のなかにいれる

うむ、これは中々いけ……

 

「グハッ………!」

 

「にいふぁん?」

 

「ふぇ?グラッちどうしたっすか?」

 

「た、隊長!しっかり!」

 

「は!あまりの辛さに意識を失っていただと!」

 

「逆に情報把握が早くて気持ち悪いよー。」

 

なめていたここまで辛いとは……夜に響かなければ良いのだが。

 

「凪よ……水を貰っていいだろうか……」

 

「水ですね。どうぞ。」

 

と水を一杯のみほす。

すると激痛が口のなかに広がった。

 

「ぬぉぉぉぉぉぉ……!」

 

「隊長ーーーーーーー!」

 

辛いものは人を傷つける武器となる。そう記憶しておこう。

その後皆食事が終わり会計の額に驚愕し財布にも痛手を受けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、ようやく仕事が終わりましたわね。もうこんな時間になってしまいましたわね。」

 

最近は周りの国との関係でお金が動くことが多く私の仕事は多忙だった。最近は毎日働いているような気がする。休みはありますけれど最近は香風さんもいませんし。癒しが足りませんわ。最近はあの熱いおとこすら忙しそうですし………

今日はきませんのね。

でも

 

「とりあえず。なにか食べませんと。この時間だと城の厨房はしまっているでしょうし……どうしま……」

 

バン!

 

「グラハム・エーカーである!」

 

「なんですのもう!」

 

扉が急に開きグラハムさんが出てくる手には何やらお盆のようなものを持っており上には二つ器がのっている。

 

「こ、こんばんは栄華ちゃん……」

 

「柳琳さんまで……それで乙女の部屋に堂々と入ってきてあなたは何をしに来たんですか!?」

 

「夕食を食べていないのに厨房もこの時間には開いていないその悩み、このグラハム・エーカーが引き受けた。」

 

「何なんですか!この人!」

 

 

「ははは、なにそんなに喜ぶな。まぁ座りたまえ。」

 

といって後ろにいた柳琳さんと共に机に座らされる。

ここ私の部屋なんですけど!

そして目の前に持ってきていた器が置かれる。

 

「なんですのこれは……柳琳さんなにか聞いてまして?」

 

「ごめんね。私もなにも聞いてなくて廊下を歩いてたら探していたんだって声かけられてそのままついて来ちゃってたの。」

 

「本当に何なんですのこの男「グラ」グラハムさん!は」

 

「それでは食べるといい。私特性の親子丼だ。」

 

と蓋が開けられる。

中身は黄色に輝く卵とその中にとじられている鳥がご飯の上にのせられている。

 

「美味しそう……」

 

隣の柳琳は目を輝かせながら器を見ている。

グラハムさんわと言うと早く食べろと言わんばかりにこちらを見てくる。

 

「これをあなたが?」

 

「あぁ、昼には華侖殿と一緒に食べに行ったのだが、二人は仕事が忙しいと聞いていてな。その代わりに私が用意したものだ。日頃の感謝のしるしだ。」

 

中々気遣いができるじゃありませんの。感謝のしるしなら食べないわけには行きませんわね。

お箸でご飯と一緒につまんで口に運ぶ。

 

「……美味しい……」

 

「うん。甘くて美味しいね栄華ちゃん。」

 

「よかった、よかった。材料がなくてないくつか代用したのだがうまくいったようで良かった。」

 

「これはグラハムさんが生まれた国のりょうりなんですか?」

 

「いや、これは日本という国の料理だ。私が日本で修行している時に良く作っていたのだよ。」

 

「やはり天の料理は色々あるんですね。そうだ!今度、天の料理を教えてください。」

 

「いいともいつでも空いた時間にくるといい。」

 

柳琳さんとグラハムさんは天の料理の話をしている中、私は黙々と親子丼なるものを食べていた。

本当に美味しいですわねこれ。

この男にこんな特技があるなんて思っても見ませんでしたわ。

最近はこの男も頑張っているようですしお姉様からも言われていますしいい加減真名で呼ばせても……

は!駄目ですわ栄華これは罠かも知れませんのよ。心を許させあわよくば……あぁやはり男は信用なりませんわ!

 

「おっとそれでは私はここで去るとしよう。後は二人で楽しんでくれ。器は廊下に置いておけば朝のうちに回収しておくと言っていた。」

 

「帰られるのですか?最後までここにいてもいいのに。」

 

柳琳さん!

 

「それもいいのだが明日から新兵の鍛練をすることになってな。その準備がまだあるのだ。」

 

よしいいですわよ!

 

「なら仕方ありませんね。」

 

「そうですね……仕方ありませんね。今日はありがとうございました。ではおやすみなさい。」

 

「あぁ、おやすみ。」

 

と言ってあの男はそそくさと出ていった。

 

「もう栄華ちゃんたら……」

 

「なんですの……それよりも今は私達二人久々にゆっくりお話しましょう。」

 

「そうね。でも後でグラハムさんにお礼いって置いてくださいね?」

 

「……もちろんですわ」

 

「栄華ちゃん……」

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