「はじめましてだな!新兵の諸君!今日から貴殿らの鍛練を見ることとなったグラハム隊隊長グラハム・エーカーである!私を知らないものもいるだろうがそれは鍛練中私との手合わせでわかってもらおう。ここで私がいくら自らにたいして語った所で信用も得られんだろうからな。
あぁ、それと私のとなりにいるのは楽進。私の隊の副隊長をしている。」
と言うように今日から私は新兵の鍛練を務めることとなった。昨日の状況を見た凪が「私も手伝わせてください」と熱心に私に言い手伝うことになったのはありがたいことだ。私だけではこの人数を見るのは難しいだろうからな。春蘭殿はどうやってこの人数を見ていたのだろうか?なにかコツがあるのであれば聞いてみたいものだな。
「自己紹介はこれぐらいでいいな。ならば鍛練をはじめよう。」
春蘭殿の育てた曹軍兵の力の源である新兵の実力楽しみであるな。
鍛練が始まってから一時間ほどが経過した。準備体操を入念にし、走り込み。そして素振りなど全体でできる鍛練を行い終えた。そして今は少休憩だ。
これまでほとんどなにも言わず見たところ、そこまで中々と言ったところだ。体力、剣の使い方は申し分ない。さすがといったところだな。何人かはさらに上をいっている。今から戦場に行ってもある程度の活躍は出きるだろう。
気合が入っていない気もするが…春蘭殿のことだ、気合がをいれろとずっと言っていたに違いない。それに比べ私は淡々と指示をしているだけだ。そういった違和感もあるのだろうな。だが問題はあの者か……腕は確か、いやほぼ一番と言っていい。そのもの達が新兵の何人かを引き連れて動いている。周りのものは笑顔を取り繕いながらそいつの話を聞いている。鍛練のときもあの者が仕切っていたな。
「まるで将ですね。」
「凪もそう思うか?」
「はい。ですがあのままでは……」
「危ういか?」
凪は黙って頷く。
あれで他の将なみの腕があればいいのだがそこまでの腕ではないだろう。いったとしても正規兵の中といったところか……そんなものが将のように振る舞うなど春蘭殿がそんなことを許すわけがない。というか問答無用で吹き飛ばすだろうな。その春蘭殿が、いなくなったからこうなっているのだろうが。
あやつが良き指導者や率先して鍛練に参加する者ならばあのままで良いのだ。指揮することを伸ばすのも鍛練になるからな。だがあいつは違う。この中で一番強いという自信を持っているがゆえこの中での指揮命令権も自分が持っていると思い込んでいる。
ああいうやからは戦場にでたら真っ先に死ぬだろう。
こういった者の対処方法は二つ。実際に死の淵に立つか、自分より強いものと戦い相手の本気を引き出せないまま負ける。最初から本気で戦っては駄目だ。強すぎる者と戦うと、
あいつは強すぎるから、あいつは特別だから
と言った言い訳が出てくる。この役目は春蘭殿では無理だな。
本気を出さず手加減されているのに負けた。その屈辱こそ成長につながる。それをわからせなければならん。
もともとその予定であったが少し早めるか
「やるのですか?」
「仕方あるまいよ。」
「無理はなさらないでくださいね。」
「わかっているとも。
よし、休憩は終わりだ。これから皆には私と組手を行ってもらう。実力計りこれからの指導をどうすべきか考える。この中で一番力に自信の有るものは前に出ろ!」
すると予想通りあの男が前に出てくる。
「はい!俺です!」
「ほう。そうかそうか中々の自信であるな。」
「もちろんです!俺の邑でも一番強くってここに来たのもたまたま来た兵士に誘われて来たんですよ。いつかは将になりたいと考えています。」
まぁ、典型的な例だな。
自信過剰になったいる。口調が丁寧なのが唯一の救いか
「なるほどな。では相手をするとしよう。どこからでもかかってこい。」
「はい!」
といって鍛練用の剣を構えるが攻めてこない。
私はただ立っているだけだ。
「あの」
「何だ?攻めてこないのか?」
「武器は……」
「大丈夫だ。そんなものいらんよ。さぁ心配することなく来るといい」
他の新兵がざわつく
私が言ったのは新兵の攻撃など当たらんよといっているようなものだ。自分達が舐められていると思うのは当たり前のことだ。しかも今日来たばかりの知らない者に言われたのだ。怒りを覚えている者もいるだろう。目の前の男のように。
「ほ、ほんとにいいんですね……」
「もちろん。怪我をさせてもいいのだが……」
「チッ……舐めやがって」
小さな舌打ちと小言が私に聞こえる声で言われる。これで私を舐めていることはわかったな。
「どうなっても知りませんからね。」
剣が振るわれる。
うむ。流石だ。確かに筋がいい。空振っても体幹が崩れず、その後の足運びも基本に沿った良いものだ。速度も中々出ている。
だがそれだけだ。それは強者であれば当たり前のこと。ただ強くなる条件が揃っているだけにすぎない。
振るわれる剣を私は後ろに退かずに避ける。
もう21振りを避けた。だんだんと息もきれてきている。
「どおした。当たっていないぞ。息もきれているが大丈夫か?」
「はぁはぁはぁ……まだまだ!」
疲れと焦りか振りが大降りになる。
そんなもの私だけではなく正規兵でも当たらんよ。
冷静さを欠いた攻撃ほど避けやすいものはない。
だから鍛練をしいつでも冷静になれるようにするのだ。または焦っていても太刀筋が迷わないように鍛練をする。
こやつはそれを自分の自信でしか支えておらず、鍛練はおよそしていないのだろう。そこをつけば容易に崩れる。
弱いな。
私も冷静になれない時もあるが、それでも太刀筋はあまり変わらない。凪や、春蘭殿、他の将もそうだろう。
「何で!…はぁ…あたらない…!」
「それは」
己を己で理解できぬようなら他社が言うしかない。
「お前が弱いからだ。」
剣を躱し前に出て彼の前に立つ。
「……!」
剣は振れぬように左手で手首を抑える。
そして右手で彼の額を指で弾く。
「いたっ!」
といい尻餅をつく。驚いた顔をしている新兵に近付き
「自分がどれ程の強さか理解できたか?」
新兵は苦虫を噛み潰したような顔をする。
自分が弱いという事実を思い知ったのだ仕方あるまい。
他の新兵達のほうに振り向く
「このようにお前達は未だ、戦場に立つほどの実力に達していない。新兵であるのは軍の規律が理由だけではないのだ。お前達を戦場に立たせるため、生き残らせるために新兵という期間がある。その期間を舐めていると……
戦場で真っ先に死ぬぞ。
この中に死ぬために戦っているものはいないだろう。皆何かのために戦っている。それが給金が欲しいという理由でもれっきとした理由だ。目標を達せずに死ぬのは嫌だろう。
なのでこれからは私が!お前達を死なぬよう戦いかたを教授する!私についてくることができれば犬死はしないことを約束しよう。
今私にこれだけ言われて悔しいものもいるだろう。だがさっき言ったことは事実だ。私から言えることは一つ
私に勝つ程の実力を着けて見せろ!以上!」
といい終わったあと、未だ地面にいる新兵に手をのばす。
「貴様もどうだ?強くありたいのだろう?」
「……」
少しそっぽを向いていたが
「わかったよ……」
と私の手を取る。
「良しならば、今度は全員一人づつかかってこい!今のお前らの全力このグラハム・エーカーに見せて見せよ!」
「「「はい!」」」
「さぁ!こい!」
「あれほどの連戦に耐えられぬとは……」
「当たり前です!新兵であろうともあの人数を一日で相手にするなど……」
あの後新兵達との鍛練の続きである組手をした。終わりまでは立っていられたが終わると同時に力尽き倒れた。凪のおかげで自室まで運んでもらったわけだ。
「まぁ、無理をすることはわかっていましたけど……」
「なら止めてくれれば良かったろうに。」
「私が言って聞いていましたか?」
呆れたような顔で言ってくる。
「それもそうか……くっ」
「もうまだ寝ていてください。今日はもうなにもないのですから。」
「なに、可愛い部下に夕食でも作ってやろうと思ってな。」
「か、可愛い!?私がですか?!」
「照れるな照れるな。」
さぁて今日は何を作ろうか親子丼は昨日作ったし別のものを……天ぷらならいけるかタレないが塩で野菜肉もある。良しいけるか
「え、ちょっとどこに行くのですか!隊長?」
やはり部下というものは良いものだな。