真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第十九話

 

「西門より報告です。敵多し援軍求むとのこと。」

 

「分かったわ。西門にいくらか城の兵士を向かわせましょう。下がりなさい。」

 

と言って兵を下がらせる。

 

「ここまで良くもったほうかしらね。」

 

豫州沛国の相として信用はしたいけれど流石に無理でしょうね。もう包囲されてから多くの時間がたっているわ。西門も東門も正門も限界が近い。何とかなってはいるけど破られればすぐに決着はつくでしょうね一応出した曹操様への援軍の依頼も9割来ないでしょうね。

 

「母さん入るよ。」

 

私の娘である喜雨が入ってくる。いつもは農がいつもの仕事だけれど緊急なこともあり兵の糧食だけではなく装備の確認までまかせている。

今回も、報告だろうが少し見た目が違う。私にとっては見慣れたものを身に付けている。

 

「あら喜雨。その眼鏡はどうしたの?」

 

「あぁ……装備の調整をしてるときに落としちゃって割れちゃったんだ。予備があって良かったよ。」

 

「そう。それで報告を聞こうかしら。」

 

「うん。糧食もほぼ尽きてきてる。あともって2日。装備も全然足りないし修繕も間に合ってない。」

 

「本当にもたないかしらね。」

 

そして私は机の棚から単刀を取り出し、娘に渡す。本当に母親失格ね。

 

「これは……」

 

「一応渡しておくわ。本当は包囲される前に貴方だけでも逃がしてあげれれば良かったのだけれど……」

 

「母さんの娘だもん。それぐらいの覚悟ならしてるよ。」

 

「そう……苦労をかけるわね……」

 

「そんなこと言わないでよ。母さんらしくない。」

 

確かにそうかもね。この娘は誰に似たのかしら。

そしてごく短い親子の会話を楽しむ。それは全て軍のことだったり残った民のことだったり、犠牲者の数だったり親子にしてはとても悲しいむなしい会話だったけれど何故か

楽しくも感じられた。でもそれは一瞬。

 

「報告です!西門が破られました!」

 

「早いわね。分かったわ、今いる人員を全て城に集めて頂戴。」

 

「城で籠城ですか……ですがそれでは兵が入りきりませんが……」

 

「残念だけれど。これしか取る方法はないの分かって頂戴」

 

「……は!」

 

もうここまできてしまった。落ちるのも今日か明日になるでしょうね。

 

「母さん……」

 

やはり怖いのだろう私をじっと見つめる娘と目を合わせる。

 

「私は少し兵を纏めてくるわ。」

 

「ボクも行くよ。後ろに立ってばかりじゃ面目が立たないしね。」

 

その手は少し震えている。やはり酷なことだろう。

 

「報告!!」

 

すると今度とは違った兵が入ってくる。

 

「何かしら……」

 

「西門の方角から別の軍勢が迫っています!」

 

「敵の増援か……いやでも……」

 

「陳珪様!」

 

また別の兵士が入ってくる。今度は大分焦った様子だ。

 

「西門より入った敵の一部が巻いていた黄色い布を捨て相手を襲っています。」

 

本当に来てくれるなんてあの子には悪い印象しか与えていなかった気がするけれど。

隣にいる喜雨は少し安堵したようだ。

 

「そして黄色い布を捨てた者の代表が陳珪殿と会いたいと……」

 

恐らく何か策があるのでしょうね。私ならある程度合わせることはできるけれど、ここまでの策を取って伝えてくるっていうことは……どれだけ荀彧殿は私のことが嫌いなのかしら。

 

「恐らく援軍よ。通しなさい。それからあなたはすぐに攻勢に出れるよう準備を整えるよう城にいる全兵に伝えなさいいいわね。」

 

「「は!」」

 

そして兵は去っていく

 

「曹操様の援軍?」

 

「えぇそうね。しかもわざわざここまで来てくれたらしいわよ。」

 

そしてまた開く扉。だがそこにはいつもの兵士ではなく見慣れない男が立っている。一度しかあったことのない曹軍唯一の男の将

 

「曹軍グラハム隊隊長グラハム・エーカーである!久方ぶりだな、陳珪殿、陳登殿。無事であったか」

 

「うわぁ………そういえばいたね……」

 

グラハム・エーカーであった。

それにしても喜雨そこまで引かなくてもいいんじゃないのかしら?彼ならこれが当たり前なのよ。

 

曹軍が来ることによって戦はすぐに終わった。

 

 

 

 

 

 

 

我々が来ることによって戦はすぐに終わった。ここに来るまでは様々な国や邑にたちより食料を買い何とか糧食を持たせそしてその礼に豫州沛国を譲り曹軍の傘下に入ると言う。為政者としては間違ったことをしているがどのような意図があるのだろうか私にはわからないが。華林殿より戦が落ち着いた後に聞いたときは荀彧殿もさぞ驚いていた。まぁ今は華林殿の閨で楽しんでいるようだが……

私達は戦が終わったのに後処理をすませ何日かは陳珪殿の城に留まることとなった。そして夜私は砦から町を見下ろす。見張りの者である秋蘭殿の部下がいたが私がいると言うとそそくさと帰っていった。物わかりが良すぎはしないか……まぁいい。

町は少ない被害ですんだ。民間人も少しの犠牲ですんだ。ただ多くの兵が死んだ。多くの人の日常が奪われた。失くなったものは思うより多いい。

 

「不甲斐ないものだ。」

 

「そんなことないわよ。」

 

そんな感傷に浸った独り言はとある女性により拾われる。

 

「趣味が悪いのではないか陳珪殿。」

 

「ふふふ…そうかしら、まだここは私の城よ。私が私の城で何を聞こうか自由だと思うけど。」

 

「まぁそうだな。」

 

そう言うと、私に近付き目の前で止まる。

 

「ありがとう私達を助けてくれて」

 

「それは華林殿に言うことだ。私に言うことではないよ。」

 

「そう?あなたが真っ先に助けに行くと言ったのだと華侖様が言っていたのだけれど。」

 

「いいや。見捨てるのが私の矜持に反していただけだ。」

 

「でも来てくれたのは事実じゃないしかも私達のもとに最初に来たのはあなたよ。それなのに礼の一つももらってくれないのかしら?」

 

「ふ……そうだな礼は素直に受け取って置かねばな。」

 

やはり陳珪殿に私は弱いようだ。華林殿のような先を見通す目そこに年長者のなんでも知っている雰囲気いや、彼女は文字通りなんでも知っているのだろう。そういった、者と話す機会はなかったからな。

 

「そうね。それがいいわ。」

 

「それで私に何か用かな城の城主がここまで来られるのだ。何かあるのだろう。」

 

「あら、何も用事がなくてもいいじゃない。でも正解。あなた私が喜雨に渡すように言った書簡はまだ見ていないの?」

 

「あぁ見るなと言われていたからな。」

 

まだ私の部屋の戸棚にしまっている。あれから一切開けていない。

 

「それが何か気にならないの?」

 

「気にならんと言っては嘘だが、そこまでは気にしていないな。」

 

「そうなの。本当に律義な方なのね。」

 

少し考えたようにしていたがすぐに私を見直し

 

「まだそれは見ないで頂戴。まだその時ではない気がするの。」

 

「了解した。」

 

「あら、何も聞かないのね。」

 

「聞いたところで言う陳珪殿ではあるまい。」

 

陳珪殿は秘しなものは死んでも秘したままにする。そのような者だ。そのような者に何を言おうといつも通りあしらわれるだけ。

 

「可愛げないわね……」

 

「この年で可愛げは必要あるまい。」

 

「あら?それは私にたいしての当て付けかしら?」

 

「そんなことはないさ。私ならはっきり言うとも。」

 

年が近いならではの小話を挟みつつ雑談は続いていく。軍のことについても聞かれたが

 

「喜雨はどう。陳留ではどうだったかしら?」

 

「懸命に働いていた。あの年であれ程の農作技術、そして豊富な知識将来が楽しみだ。」

 

「私の娘ですもの。」

 

と言った母親らしいところも見れた。陳登殿も陳珪殿を少し鬱陶しいとは思っているものの母のことを話していた陳登殿の言葉の中にはそれなりの親子愛を感じた。

 

「大分話したわね。それでは本題を話しましょうか。」

 

本題は陳登殿のことかとも思ったが違ったようだ。

 

「もう皆には言っているのだけれど。私の真名は燈。これからはそう呼んでくださいねグラハム様。」

 

ははは……やはり陳珪殿、いや燈殿は苦手なようだ。なかなか腹の中が読めん。

 

「分かった。改めてグラハム・エーカーである。燈殿、これからは同じ軍の仲間としてよろしく頼む。」

 

「えぇよろしくお願いするわ。」

 

そういい夜の中握手が交わされる。

 

その後燈殿は少し寒くなったからと城の中に帰った。恐らくはもう一人を気遣った結果だろう。

燈殿と話している間ずっと見られていると感じていた。帰ればなくなるだろうと思ったが今でもなくならないのを見るに私に用があるのだろう。

 

「もう営業時間は終わっているぞ。陳登殿。」

 

すると物陰から陳登殿が出てくる。

 

「気付くなんて将って名前だけじゃないんだね。」

 

いつもの飾るきのない物言いで話しかけてくる。

 

「それで何か用かな。」

 

「ずいぶん母さんと仲がいいんだね。」

 

「それほどでもないさ。だが仲間であることに変わりわないがな。」

 

「ふーん。母さんがあんなに話すなんて珍しいし。あ、年が近いこともあるのかな?」

 

う……やはり年下から言われると刺さるものがあるな……

いや!これは燈殿に失礼だ。やめておこう

 

「まぁ、信用してるならいいかな。」

 

「陳登殿?」

 

「喜雨でいいよ。」

 

「真名をこんな気持ち悪いものに預けても良いのかな?」

 

「……自分で言ってて悲しくならないの?」

 

それを言うな……

 

「別にいいよ。助けてもらったことは確かだし。信用してる。」

 

「そうか。ならその信用に答えなくてはな。喜雨殿は私達とほぼ同時期に陳留に行くのだろう?」

 

「うんそうだけど。」

 

「その時は私を頼るといい。少し街並みも変わっている新しい農具等もいるだろう。案内する。」

 

「それ怪しいでしょ。」

 

「失礼な。ただの親切だ不安なら凪をつけよう。私の部下である女性だ。」

 

流石に男一人とで言われては不安だろう。

 

「うーん。ならいいよ。」

 

そうしてまだ、不安そうだが了解を取れた。

 

「がっかりさせないことを約束しよう。」

 

「うん。その時はよろしくグラハムさん。」

 

「承った喜雨殿。

そろそろ夜も遅い私は戻るとするが……」

 

「僕もそろそろ帰るよ。じゃあまたね。」

 

といい、呆気なく去っていく。喜雨殿らしいな。

燈殿とはまた違った関わりにくさだが、私としてはあのように本心を表に出すのは好ましい。苦手とは言えない。本心で語らえる友も言えばよいだろうか。まぁ…それで傷つくものは多くいるだろうが……

 

といっても流石にあの親子と話している時間は短く感じたが思ったより時間が経っていたようだ。そろそろ戻らなくてはな。

明日は確か町の復旧の手伝いだったか、後戦後の報告もあったな。さぁ早く戻るとしよう。凪にばれる前にな。

 

そういい戻るが結局凪にばれていて怒られるのである。

自分が隊長であるということに不安を覚えるのだが気にしないことにしよう。

 

 

 

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