真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第二十一話 休息

 

今日は久々の我等の隊の休息日。最近は我等の隊を含め曹軍は大忙しだが休息も必要不可欠。今は春蘭様と香風様が黄巾退治に出ている。あのお二方の隊であれば黄巾のものも一溜りもないでしょう。ですがあのお二方ですし副官も季衣様ですし……おさえ役がいないことが少し心配ではありますが……まぁ大丈夫でしょう。真桜と沙和も今日は町の警邏があるからと出ている。新兵の鍛練だけではなく陳留の警備隊もしているとは私の親友ながら良く働く…………

さぼってなければいいが

 

「身支度はよし。とりあえず鍛練です。」

 

この楽文進休息日といっても気を抜くつもりはありません。鍛練を一日でも怠れば実力はやはり落ちる。やはり書かすことはできません。桜居でも誘うか……いや、確か今日は勉強をしろと私が言ったのだった。しかも桜居では私の鍛練というよりも桜居の鍛練になってしまう。

 

「隊長は今日はお暇だろうか?」

 

我等の隊長、グラハム隊長の実力は私よりも高い。良い勉強になるだろう。ですが隊長も今日は休暇。何かご自身の趣味でもなされているかもしれません。やはりご迷惑でしょうか……

 

「まぁ城に向かうのは確かですしその時声をかけるとしましょう。」

 

隊長は城の一室を借りそこで暮らしている。ただ私室といっても寝る場所にしか使われていないのだろう。隊長の物は剣しか置かれていない。隊長の何もない日の行動は謎だ。正直一人になる時間がないと言った方が正しいだろう。休みの日は私や桜居、春蘭様秋蘭様などの将や隊員を誘って食事に行ったり、軽い鍛練をすることが多い。隊長と恐らく一番身近にいる私だが趣味などは一切分からない。どんな趣味をお持ちなのだろうか?

そんなことを考えながらもう城についた。門を潜りはいる。見張りの兵から深々と頭を下げられる。昔の私では考えられなかったことだ。まだそこそこ上の立場であることを忘れてしまいそうになる。今ではただの邑人ではなく一隊の副将だ。まだその立場に私は届いていないと思う。やはり鍛練をまだ積まないといけませんね……

城の中は慌ただしい。武官だけではなく文官も多忙を極めている。私達武官は現地で問題を瞬間的に解決はできる。けれどその後の安定や統治の方法を考えるのは文官の仕事になる。正直こんな時に休暇をとっていいのかとも思うが休息は取らなければならない。今は働いている方々に感謝し休むとしよう。まぁ……しようと思っていることは鍛練なのだけれど

そして隊長の部屋へと辿り着く。

 

「隊長おられますか?」

 

一応失礼のないように扉の前で声をかける。だが中からの返答はない。扉に手を掛けて開けると見なれた殺風景な部屋が見られる。そこには隊長の姿はない。

 

「おられませんか……」

 

隊長も休暇だ何かされに外に出かけたのだろう。こうなっては仕方ない。いつもの場所で鍛練をするとしましょう。

 

「あら、凪さんおはようございます。今日は休暇ではなくて?」

 

「おはようございます栄華様。いえ、隊長を探しに来たのですがいなかったようなので一人で鍛練をしようかと。」

 

鍛練に向かう途中栄華様と出会った。我等曹軍の金庫番は担当する華林様の従姉妹である人物である。本当は真名を許されるような立場ではないが預けてくれている。というかこの軍では将や将に近しい立場のものには真名を預けるという風習がある。

だけれど隊長は栄華様のことを曹洪殿と呼んでいる。桂花様のことも真名で呼んでいない。桂花様はともかく栄華様は隊長と仲は良いと思うのですが……

 

「グラハムさんなら早朝から外出していますわ。約束はしていましたか?」

 

「いいえ……私も休暇と言われて何をするか迷い来たので……」

 

「あら、何か趣味でも取り組まれてわ?」

 

「趣味ですか……」

 

私の趣味……趣味……趣味

 

「鍛練でしょうか?」

 

「それは仕事でしていることと変わらないでしょうに……暇であればお付き合いしても良いのですが申し訳ありません。仕事が立て込んでいますの……」

 

「いえ、わかっております。失礼しました。」

 

「はい。また今度ご一緒した時に。」

 

「はい。」

 

といい栄華様は少し急いだように歩いていく。

 

「引き留めてしまった……」

 

忙しいのはわかってはいましたが……もう少し気を遣わなければ……

ですが隊長は外……城下ですか。

私も一人で城下に出たことはあまりありませんでしたね。栄華様に言われた通り私には趣味がありません。

散歩というのは趣味になるでしょうか?

 

 

 

 

 

といい城下に出たは良いものの……

 

「何をすれば良いのか分かりませんね……」

 

今いるのは良く警邏で隊長と来ていた市に来ている。朝の混んでいる時期は少し過ぎているがまだ人は多いい。警邏を真桜や沙和たちに預けてから来る機会は減ったが活気は変わらない。あの二人も良くやっているよう……だ……

考えながら歩いていると人混みの中に背が他と比べて高く金髪の男性……

 

「あれは隊長ですね……」

 

近寄るといつもの天の軍服と呼ばれる青く襟の高い服を着て買い物にいそしむ隊長の姿があった。

結構な荷物を持たれているようだここは私が……!

いやもしかしたら隊長はこの荷物を持つことを鍛練の一部にしている可能性も……しかも今日は休暇一人での買い物を楽しんでいるということも……そこに私が急に入るようでは不快になられるかもしれない。

隊長はまだ買い物を続けている。食糧を買っているようだが……一人分ではないようだ。結構な量を買っている。

 

「何のために……」

 

食事は他の場所で食べていることが多いい。外食や城内での食堂もある。あんなに食糧を買い込んで何をするのだろうか。また考えにふけっていると

 

「ありがとうございますたいちょうさん。」

 

「店主こそ。急な多くの注文失礼した。」

 

「いや、構わないですよ。逆にこんなに頼んでもらってありがたいですよ。」

 

「そうか、ならばまた頼むとしよう。感謝する。」

 

「まいどーー」

 

と別の方向に歩いていく。

あ、えーと……うん。今日は散歩をするのだ。これは後を付けているのではない。うんそうなはずだ。何か最初に隊長が私にしていたことをしているかもしれないが気にしないようにしましょう。

 

 

 

「おう隊長さんやないの!」

 

「隊長さんなの~」

 

「真桜殿と沙和殿ではないか警邏ご苦労……というのは間違っているかな?」

 

「そんなこと言わんといてや。小休憩や小休憩。」

 

後を付いていくと店先で二人で談笑をしている真桜と沙和がいた。

 

「というかあの二人、確実にさぼっているではないか!」

 

まだ座って茶を飲んでいるのなら小休憩だと理解しよう。だが机の上にあるものはなんだ!

多種多様な絡繰、雑誌の山!

さぼっているだけじゃないか!後で問い詰めなければ……

 

「そんで隊長さん。その大荷物はなんなん?」

 

「あぁ休暇だったのでな少し買い出しを。」

 

「一人にしては多いいの~」

 

「それは夜にでもわかるさ。それで……貴殿らは仕事に戻らなくても良いのか?」

 

「大丈夫大丈夫。他の兵にも任せてるから、大丈夫や!」

 

「そうなの~」

 

何をいけしゃあしゃあと……!

 

「いやそういうことではないのだがそうだな……背中には気を付けた方が良いだろうな。ではまた夜に会うとしよう。では御免。」

 

「ほんじゃな~」

 

「またなの~」

 

隊長は城のほうに歩いていった。ならば……

後ろから二人に近付き肩を掴む。

 

「真桜~沙和~」

 

出来るだけ笑顔で。

 

「ひゃ!な、凪はん!え……とこれは……」

 

「へ!な、凪ちゃん!み、見逃してほしいなの~なんて?はは……」

 

「なるほど怒られてる自覚はあったというわけか。なら私が今何を言いたいかわかっているよな。」

 

「は、はい……」

 

「なの~……」

 

町の一角で何か悲鳴があがるような気もするが私は気にしないそれにしても隊長が言っていた夜にとはなんのことだろうか?

 

 

 

 

 

 

あの二人をこらしめた後また城に戻ると昼になっていた。

 

「お腹が減りましたね……」

 

城によったのですし食堂に行きましょう。最近は兵もいないですし文官のみですからあまりものでいいでしょう。その後鍛練を行いましょうか。桜居を気分転換に出すぐらいならいいでしょう。

 

「……?この匂いは……なんでしょう?」

 

食堂からは何か嗅いだことのない匂いがしますが、変な匂いですね辛いような香ばしいような……なんでしょうか。

食堂から匂いは漂ってくる。

 

「これはこれは凪さん。こんにちは。」

 

「柳琳様!驚かせないでください。」

 

匂いにつられて気配に気づきませんでした。かといって私に勘づかれないとは柳琳様は戦闘は苦手なはずでは……

 

「凪さんもご飯を食べに来たのですが?」

 

「今日の当番は初めての人でしょうか?」

 

「ふふふ……見て驚きますよ。」

 

と食堂に入り厨房を覗くと……

 

「ふむ……少し辛みが足りないか……いや多数に振る舞うとなるとこのままでは……唐辛子と生姜とにんにく大蒜だでソースを作るか。」

 

大きな鍋の前に立つ我等が隊長が立っていた。

 

「隊長……何をされているのですか?」

 

「おう凪か。ちょうど良かった座りたまえ。試食をしてもらおう。柳琳殿もいかがかな。」

 

「はいいただきます。」

 

といって強引に座らされる。

皿に白米と大きな鍋に入っていた茶色い液体を白米に掛けて私の前に出される。となりには散蓮華が置かれている。

 

「さぁグラハム・エーカー特性カレーだ!」

 

「かれー?」

 

「天の世界の食べ物らしいですよ。それをわざわざ再現してくれたんです。ねグラハムさん?」

 

「私は趣味でしたまでだ。さ早く食べるといい冷めてしまうぞ。」

 

といい後ろを向き包丁を取りた違った作業をはじめる。白米にかかっているということは一緒に食べるのでしょうか?まぁ一口食べてみましょう。

 

「美味しい……」

 

見た目に反して意外と辛いのですね。とろみがある液体と白米があいます。味わったことのない味ですが美味しいと感じる。となりの柳琳さんも美味しそうに食べている。

 

「味に深見がありますね。グラハムさんこれはどのような料理なのですか?」

 

「ここからさらに南にくだったところに伝わる料理だ。多様なスパイス……香辛料が大量に手に入ったのでな。少し値は張ったがそれは構わん。それを調合し水にいれ小麦粉でとろみを付ける。そして芋や人参等の野菜、肉をいれれば完成というわけだ。」

 

といいながら瓶に入った赤い液体を私達に差し出す。

 

「凪は辛さが足りないだろう。唐辛子を元に大蒜、生姜あと多少の香辛料を混ぜ作ったものだ。味の邪魔は少しはするだろうが大丈夫だろう。」

 

そういわれ少しかけて食べてみたところ

辛い!だが私にとっては良い辛さだ。

 

「隊長美味しいです!」

 

「気に入ってもらえたなら何よりだ。では私はまだ用意があるのでな何かあったら声をかけるといい。そうだ柳琳殿華林殿は甘いものが好きなのであったよな。」

 

「はい。辛いものは苦手なのでもう少し甘くした方が良いかと。」

 

「了解した。といってもこれから文官のものがここに食べに来るのだ少しばかり忙しくなるな。」

 

「お手伝いしましょうか?」

 

「なに私は好きでやっているのだ。凪も自分の休暇を楽しみたまえよ。」

 

といい黙々と作業を続けている。

 

「あの人らしいですね。」

 

「えぇ隊長らしいですね。」

 

休暇でも隊長は隊長だった。もう少し自分の体に気を遣ってほしいですがいいでしょう。私も食べたら鍛練に向かうとしましょう。

 

 

 

 

 

 

私は華林殿の部屋の前に来て扉を三回ノックする。

 

「グラハム隊隊長グラハム・エーカーです。入ってもよろしいでしょうか?」

 

「いいわよ。」

 

「失礼します。」

 

 

「どうしたのそんな丁寧に。貴方が私の部屋に来るのも珍しいわね。あぁ夜のお誘い?なら今はやめて頂戴。見ての通り忙しいのよ。」

 

机の上には大量の書簡がところ狭しと置かれている。足下にはそれに返すようのなにも書かれていない書簡も多く重ねられていた。適度に休憩はとっているだろうし華林殿が徹夜などという非効率なことをするとは思えない。まぁ大丈夫だろう。

 

「いや夕食を持ってきた。もう外も暗い。一息いれてはどうかな。」

 

「それもそうね。」

 

少し机を片付けそこに盆に乗せたカレーをおく。

 

「匂いはいいけれどこれは何かしら?見たことないわね……」

 

「これはカレーという食べ物だ。」

 

「天の食べ物ね……これはもちろん貴方が作ったのよね?」

 

「そうだがそれがどうかしたか?」

 

「私は美食家なのよ。どこでどんな食べ物を出されようが偽りなく評価し、修正するべきところを修正させるわ。それでもいいかしら?」

 

本当に人を試すのが好きなようだな、この王は。

 

「あぁ構わんさ。」

 

というと静かに蓮華がでカレーをすくい口にいれる。そして数回咀嚼し飲み込む。そして蓮華をおき

 

「ねぇ……グラハム。」

 

「なにかな。」

 

「これ本当は少し辛いでしょ。蜂蜜で甘さの調整をしているのでしょうけど、この甘さではこの料理の本来の味を引き出せていないわ。」

 

流石自分のことを美食家というだけある。

 

「その通りだ。口に合わなかったか?」

 

「いえ、美味しいわ。でもね私は私で料理を判断して料理家として自分なりの食べ方、作り方を考えるのも楽しみにしているの。これじゃ楽しみは半減ね。」

 

少し残念そうに言いながらカレーを食べ進めていく。

相変わらず私と華林殿との間には無言の時間が多いいな春蘭殿や荀彧殿のように話せれば良いのだが。

そして華林殿は食べ終わると

 

「次なにか作る時は私に合わせなくていいわ。そのまま持ってきなさい。」

 

「了解した。約束しよう。」

 

「それとそうね……ここの誰かに貴方が振る舞った料理は他に何かあるかしら?」

 

「柳琳殿と曹洪殿に親子丼を。」

 

「親子丼ね。それも暇になったら作って持ってきなさいいいわね。」

 

「了解した。」

 

「えぇ。それほどまでにいい料理だったということよ。それで貴方には褒美をあげないといけないわね。」

 

褒美?

 

「私が貴方の今日したことを知らないとでも?というかここに来た文官から何回も聞いてたわよ。もし私に持ってこなかったら罰を与えようとも思ったけど、持ってきてもくれたし文官や、兵の士気も高めてくれたようだし。結果には正当な褒美で返さなくてはね。今から時間は空いているかしら」

 

「あぁもう寝るだけだな。」

 

「そうなら付いてきなさい。」

 

そう言うと立ち上がり部屋をでる。私はその背中を追う。

そして辿り着いたのは

 

「さぁ入るわよ。」

 

「……はぁ……」

 

嵌められたか……

 

 

 

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