真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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少し短めです。


第二十二話

 

「貴方も早く入りなさい。そこで立ちっぱなしなのは見苦しいわ。」

 

「……わかった……」

 

まんまと嵌められた私は諦め華林殿の言うがままにされている。ここまで来たのだ。今の私の運命は華林殿ににぎられている。くっ……私としたことが……!油断したばかりに……!

 

「早くなさい」

 

従うしかないか……あちらの世界で少しでも女性との関係を気付くべきだったろうか……部下にはいたが。同じ立場で話す女性などいなかったからな。そうだ女性関係と言えばビリーは大丈夫だろうか。ミーナ・カーマインからのアプローチはなかなかのものであった。私並みのしつこさだったな。

 

「三度目はないわよ」

 

言われるがまま湯に体を沈める。

 

「ふぅ……」

 

やはり風呂とは良い文化だ。体が芯から暖まる。疲れもとれ精神的な負荷も和らげることもできる。

 

「やっぱり湯槽は良いものね。疲れがとれるわ。」

 

女子と一緒に入っていなければな。

 

「やはり華林殿であっても毎日ここを使うのは無理があるのか?」

 

「やろうと思えば出来るけれど莫大な労力と費用が必要になるわね。貴方が補ってくれるのかしら?」

 

「ははは……止しておこう。」

 

「なら余計なことは言わないことね。それじゃあ本題に移ろうかしら。貴方まだ桂花と栄華の真名を呼んでいないらしいじゃない。」

 

「そんなことか?こんなところで話すのだ、もっと重要なことかと思ったではないか。」

 

「何がそんなことよ。」

 

厳しい表情を向けられる。

 

「貴方がそんなことをするから部下が変な心配をするんじゃないの。」

 

「変な心配?」

 

「凪や桜居がそれを理由に貴方たちが不仲だと思っているという情報が入っているわ。」

 

確かに私は曹洪殿や荀彧殿のことを真名で呼んではいない。真名を許されてはいるのだが、呼ぶことはない。

 

「そういった不仲が広がると兵の士気に関わるわ無理に仲良くしろとは言わないわ。というより桂花はまだしも栄華とは仲良いじゃないの。割りと話しているところを私でも見るわよ。今日の朝も仲良く今日することを話してたじゃない。」

 

確かにそうだ。私と曹洪殿は仲が良いほうだとは思う。朝のやり取りも……

 

 

『あらグラハムさん。おはようございます。今日は休暇ではなくて?』

 

『いや、少しまた料理をしようとな……それにするのなら盛大にしようと思ったのだ。今食堂に確認したら自由にしてくださいと言われたのでな今から買い出しに出かけるところだ。』

 

『それは休暇と言えますの……?』

 

『趣味をしているのだ休暇だろう。曹洪殿もどうかな?昼か夜、忙しいのであれば部屋まで運ぶが。』

 

『お昼は忙しいですけれど、夜は余裕がありますわ。食堂にいかせてもらいます。休暇中の人に苦労はかけれませんからね。』

 

『了解した。あの時の親子丼とは違った美味しさの料理を提供することを約束しよう。』

 

『ふふ、楽しみにしていますわ。』

 

『期待に応えて見せよう。あとこの事は内密に頼む。恐らく凪がここにくるはずだ。』

 

『凪さんが?またなぜ?』

 

『凪のことだ私を鍛練に誘いに来るはずだ。』

 

『あなたがたは二人そろって休暇の意味をあまり理解していないのですわね……わかりましたわもしあったらそれとなく流しておきます。』

 

『感謝する。それでは無理をしないよう頑張ってくれ。では。』

 

 

 

といったような普通の会話をしていた。というより仲が良いといっても差し障りないかもしれないな。それでも真名を呼ばないのは何かあるのではないかと思われても仕方ない。だが

 

「私もできれば二人とも真名で呼びたいのだがな……女性との関わりを持つことのなかった過去の私を呪うよ。」

 

「なら今から学びなさい。それが出来ない貴方ではないでしょう。」

 

「あぁ、そこまで老いてはいないさ。」

 

まだまだ私も半端者ということだ。それに比べ華林殿は完璧だ。とる行動全て一貫したものを貫き曲げることはない。大願のための行動はすこし大胆なものであるとは思うがな。

 

「栄華はどうにかなるでしょうけど、桂花はどうやって懐柔するのかしら。あの子の男嫌いは相当なものよ。」

 

確かに荀彧殿は厄介だ。あれは筋金入りの男嫌いだ。私が近付けば汚れる等を普通に言う。悪いものではないことはわかっているのだがいまだわかりあえていない。

 

「やはり実力を見せなければならないな。」

 

「あの子は実力を見誤ることはないけれど、男を見る初期の評価は低すぎるわね。」

 

「警戒することを良いことだ。特に私のような男を警戒するなど当たり前のことだろう。」

 

「自分で言うのね……」

 

そんな呆れた顔で言わないでくれ。

 

「まぁ、いいわ。しっかりとしておきなさい。」

 

「期待には答えて見せよう。

それで私をここに誘いこんでまでする話がこの程度ではあるまい。」

 

華林殿の表情が真剣なものに変わる。

 

「そうね。注意はここまでにしましょう。それじゃあ……」

 

湯槽から立ち上がり芸術品のような裸体をさらし腕をこちらに向ける。その手の中にはいつの間にか手に取っていた鎌があり私の首に突き付けられている。

ここまでのことだとは思っていなかった。だが動揺を現してはいけない。平然とした様子で話しかける。

 

「急になんの真似だ?」

 

真顔で私を見添えている華林殿。

 

「貴方は私に礼は取ってはいる。今のところはね……

でもそれは他の臣下とは違う感情で動いているのを理解しているわ。」

 

確かに私は忠誠心をもっている。だが他の春蘭殿や秋蘭殿などの臣下と比べると浅い。

 

「そういった者を臣下において置くのは不安定だと思うのだけれどどうかしら。」

 

今は真剣な表情から人を試すような顔に変わっている。

 

「ははは……確かにここまで所在不明であり、前回の燈殿を助けにいくときも矜持といい軍師に反論し独断で出撃しようとした男だ。そんな理由で裏切られたらたまったものではないな。」

 

「私はまだ裏切りとは一言も言っていないのだけど。」

 

「それ以外に何がある。軍に扱いきれない者がいるのは事実だ。」

 

「それで貴方は裏切るのかしら。あの占い師が言っていたように。」

 

あの言葉を聞かれていたか。

華林殿の表情は変わらず少し微笑を浮かべている。鎌は私の首もとにあり少しずらせば死が待っている。

だが私は自分を曲げることはない。

 

「あぁ裏切るだろうな。」

 

「へぇ……」

 

鎌が少し首もとに食い込む。血が少しでてくる。だがまだ言葉を続ける。

 

「華林殿が善でなくなった時正しいと思う側が相手だった時私は裏切るだろうな。それを曲げるつもりはない。私は私なりの矜持のもと行動する。」

 

「そう。」

 

といい。鎌が振るわれる。私は目をそらすことなく華林殿を見つめる。

そして

 

「ならその首は私のために取っておきなさい。」

 

そう言って鎌を納める。

そして笑顔で

 

「私はいずれそのような選択をするでしょう。それは私の大願を果たすためのもの。それを曲げる気はないわ。貴方もそれは同じでしょう。

でも貴方のような才あるものと戦いたいという願望もあるのよ。だからその首は私のものだと誓いなさい。」

 

まったく突拍子もないことを言う。流石私の王だ。

 

「あぁ、この首は華林殿、貴方のものだ。道を違えたとしても最後には私の命をどうするか決めるといい。」

 

「良い返事だわ。」

 

といい湯槽から上がる。私もそれについていく。

そしてお互い何事もないように着替え始める。これが男女の関わりではないはずだ……

 

「結構傷は大きいのね。」

 

「そうだな。」

 

あの時の傷は顔の右側では収まらず、右胸まで傷が残っている。

 

「傷跡は消すことはできたが私は残しておきたかったのでな。」

 

「その大きな傷跡を消すって……どんな技術なのよ。」

 

「半身を吹き飛ばされても生きていれば再生が可能だ。腕を失ったところで生えてくるような再生治療があったからな。」

 

「なによそのでたらめな技術は……」

 

私もでたらめな技術だとは思っているさ。その代わりに費用は高くつくがな。

少し雑談をしながら着替え終わり共に外にでる。時間はわからないがもう夜は遅いだろう。廊下には誰もいない。

 

「私は自分の部屋に戻るわ。貴方も明日から仕事でしょう確か秋蘭と香風と共に国境の警備だったかしら。」

 

「あぁそうだな中々の遠出になるな。私も部屋に戻って寝るとしよう。」

 

「えぇそうしなさい。期待しているわよ。おやすみなさい。」

 

そう言い一人で廊下を歩き見えなくなってしまった。

 

「ふぅ……久々に焦ったな。あれは解答を間違えれば斬られていたぞ。」

 

首を擦りながらまた新しく出来た傷を確認する。

 

「これは跡が残るな……」

 

私の部屋に戻りながら包帯でも巻くとするか。秋蘭殿にからかわれなければ良いが……

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