真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第二十五話 黄巾の乱

 

「隊長……」

 

我々は陳留からでて黄巾が集合している方に向かっている。今は陣を設置し周りを偵察している最中だったのだが

 

「な、何よ私達をどうするつもりよ!」

 

「そうだーそうだー」

 

「はぁ姉さんたちったら……」

 

この見た目が派手な三人姉妹に出会った。最初に出会ったのは私達ではなく真桜殿と沙和殿の部隊であった。偵察に新兵をつれでていたところ怪しい女三人を見つけ話を聞いたところ名を桃色の髪をした女が張角と名乗ったという。そこで真桜殿と沙和殿が気付き、一番近くにいて仲の良い凪がいる、私達の隊の所に応援を求めたということだ。まぁそれで来てみたものはいいもののその三姉妹は兵に囲まれながら不服そうに立っていた。持ち物はなく手ぶら、服は大分汚れているようだな。

 

「何か代表らしい人が来たわよどうするのよ人和!」

 

「わぁ大きな傷……お姉ちゃん怖いよ……」

 

「姉さんたちは黙ってて私が話すから。」

 

そういい。恐らく一番しっかりとしているであろう眼鏡をかけた女性が私の方を向き話しかけてくる。

 

「はじめまして。」

 

「あぁはじめましてだな。してこんなところになぜ女性が三人のみでこのような荒野を歩いていたのだ?護衛ぐらいつけなければいけないだろう。このように危険な世の中だしな。」

 

「それもそうですね。でも私達旅芸人をしていてとうとう護衛を雇うお金も尽きてしまったの。できれば近くの村まで送ってほしいのだけれど。」

 

「そうしたいのは山々なのだがな。いかんせん我々にも任務がる。とりあえず話すため本陣へ向かおう。私だけの判断でどうにかできるわけではないからな。」

 

「えぇそうね。ついていくわ。」

 

「結構。そうだ、自己紹介を忘れていたな。曹軍の将グラハム・エーカーだ。」

 

そういい再び顔を見ると眼鏡をかけた女性の顔がみるみる青ざめていく。後ろにいた二人の女性も同様を隠しきれず

慌てている。これは間違いないか。

眼鏡をかけた女性に近づき彼女にしか聞こえない声で

 

「貴殿たちがなにをしてここに来たか私にはわからんが私は貴殿たちに危害を加えることはない。」

 

「そんなこと信じ……」

 

「だから右袖にしまっているものを隠せ。今なら間に合う。」

 

彼女は顔は青ざめながらも袖に仕込んでいる短刀を取り出そうとしていた。恐らく一矢を報い姉達が逃げる隙を作るためといったところか。

 

「まだ周りの者は貴殿らが首魁であることを知らん。これ以上は騒ぎにさせない。命の保証はしよう。だから……さぁ」

 

とあい右手を差し出す。

 

「………」

 

不安そうな表情で私を見て、その後怯えている姉達の方を見る。そして

 

「わかったわ好意に甘えるとしましょう。姉さんたちもいいわよね。」

 

私の手をとり承諾する。その手は震えていたがどうやらわかってくれたらしい。

 

「わ、私は嫌よ!そいつあれでしょ!顔に傷があって異国人で曹軍って、青の遣いじゃない!天の御遣いから聞いたわよ!絶対ましな目に遭わないわ!」

 

「えぇ~お姉ちゃんは顔はかっこいいと思うけど~」

 

「姉さん!そんなこと言ってないで」

 

「ははは、感謝する。

それにしても私は天の御遣いにも知られているのか。なかなか世界は狭いものだ。それについても本陣へ向かうときに説明してもらうとするか。」

 

といい先に進む。

 

「ほら姉さんたちも。」

 

「ちょっとあんた!待ちなさいよ!おいていくなとは言ってないでしょ!」

 

「まってよ~二人とも~」

 

本当に性格の違う姉妹だ。

 

「隊長良かったのですか。」

 

「あぁ問題ない。華琳殿ならあやつらをほっておかないさ、良い意味でな。」

 

「………」

 

「納得いかんか?」

 

「はい。」

 

率直だな。流石凪だ。

 

「あぁ私もだ。納得はいかん、人の暮らしを破壊しつくした歪みだ。決して許されるべきではない。だがな凪よ。

私達はあやつらとも分かりあう必要がある。凪はあのものたちはなぜこちらに来たと思う?」

 

「ただ散歩していただけでは?間抜けすぎる気もしますが……」

 

「まぁそうだな。そう思っても仕方ないだろう。」

 

敵から見ればその方が処理しやすい。敵であることは確かな者ならば簡単に理由をつけ殺すのが最も簡単で確実だ。

 

「隊長はどのようなお考えで?」

 

「あくまで予想だが。彼女たちは逃げてきたのだろう。」

 

「逃げてきた、ですが。何から逃げていたのですか?」

 

「恐らく黄巾の者たちからだろうな。理由はわからんが。」

 

「はぁ……そんなことがあるのでしょうか?味方から逃げたということになりますが………」

 

「あの眼鏡をかけた少女は姉たちのためならなんでもするような覚悟があった。良き目だった。あの少女があそこまでするのだ、何かあったに違いない。いや、あそこで私に挑もうとするなど……ははは、肝が据わった少女だ。」

 

そう笑ったところ。凪の目がジト目に変わる。

 

「華琳様に段々似てきている気がしますね……少し押さえてくださいね。桜居にも悪影響です。」

 

全く。酷い言われようだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

して本陣へ連れていくとまぁ騒ぎになるわけで……

特に荀彧殿は

 

「あんたは何てもの連れてきてるのよ!」

 

と怒られもしたが。結局は華琳殿が決めることだとしてそれ以降はあまり喋らなくなった。話し合いに参加したのは華琳殿、我々将春蘭殿、秋蘭殿、華侖殿、柳琳殿、シャン殿、そして私。軍師である荀彧殿、金庫番である栄華殿。そして今回の同行を名乗り出た喜雨。

まぁ良く見る面子だ。そして三姉妹がそれぞれの名前を言うことから始まった。

三姉妹のそれぞれの名は上から張角、張宝、張梁と言った。張角は首魁として名前だけは有名だが姿はこのような女子だとはな……そしてこの黄巾が起こった理由を話し始めた。

最初はただの旅芸人として活動をしていて彼女たち。とある町で歌っていたときに言った『大陸をとる!』という言葉から周りの熱狂的な支持者が変わっていった。彼女たちは歌で大陸をとるつもりだったが、支持者が曲解し武力で大陸をとろうとした。最初は護衛としても扱えるので放っておいたのだがそれが瞬く間に広がっていき多くの武力をもつ支持者を従えることとなった。だが彼女たちは軍を従える経験も実力もない。その結果統率が取れずに仲間に盗賊などを勝手に加えられ盗みを働くようになり、ここまでの被害を及ぼしたということだった。そして流石にこのままでは自分達は黄巾の首魁として殺されてしまうと考え隙を見て逃げてきたところで私と出会ったということだった。

あいにく私の予想通りになった。

今回も信仰が争いを産み出した。自分が信じる神、今回は三姉妹を盲信するがゆえの争い。どの時代も同じなのだな……

理由もわかった。そしてここからは彼女たちをどうするかだ。確かに彼女たちも今回の騒動に巻き込まれた側の人間だ。だが彼女たちが引き起こしてしまったのには変わらない。そこで華琳殿が下した決断は。

彼女たちを殺したことにし、曹軍の新兵を集めるため、士気をあげるため雇うという。

勿論反対は出た。荀彧殿はここまでしたものを生かしておけば我が軍の汚点になる可能性があるといったもの。栄華殿も資金源の問題から反対した。

資金源の問題は張梁の金銭への理解もあったということで試用期間をもうけることで同意。

荀彧殿に関しては軍師故の最悪を考えた上での言動。華琳殿が最終的に決定したことにはなにも言わなかった。

最後華琳殿が喜雨殿に確認をし、了承して軍議は終わりとなった。

 

 

 

「喜雨殿。」

 

「どうしたの。僕に何かよう?」

 

軍議が終わった後今回の遠征に同行していた喜雨殿に話しかける。

 

「いや少し話そうと思ってな。」

 

「こなくてもよかったのに。」

 

「いや、ついてくる理由も聞いていなかったのでな。」

 

そう。彼女の専門は農業。この遠征を決めるまでは、地方の邑で農業方法を教えるために遠出していた。そして私たちが遠征の準備をしている時。定期連絡で城を訪れていた喜雨殿は華琳殿に同行を申し出て今に至るということだ。

正直彼女がここに来る必要性はない。

 

「別にただ今まで邑々を襲って母さんの国を攻めた黄巾たちの頭が見てみたかっただけ。実際はあんなのだったけどね。」

 

「確かに彼女らが黄巾を従えていたなど実際に見たものしか信じまい。」

 

「はぁ……少し向きになってたのが馬鹿みたい。」

 

「そんなことはあるまい。知りたいということは分かりあうことへの第一歩だ。」

 

喜雨殿のようなことを思えるものは何人いるだろう。自らの故郷を思い入れのある邑を荒らされ、見知った人が何人も犠牲になったはずだ。そこまでされてでもただ恨むだけでなく会ってみたいと思う。その姿勢は尊敬にあたいする。

 

「相変わらず年寄りみたいなこと言うね。」

 

「年をとることは悪いことではないさ。

それと眼鏡はどうしたあの時のものとは違うようだな。」

 

「急だね。あの眼鏡は今は私がいた邑の部屋にあるよ。あれは母さんがくれた初めての眼鏡だしね。」

 

やはり燈殿と喜雨殿は仲が良いようだ。ぱっとみ仲は悪そうなのだが……もっと表だってそれを表現すれば良いのだといつも思う。

 

「そうか。確かにそれは持ち歩けないな。」

 

「それでわざわざ僕に話しかけたのは何?」

 

「流石に誤魔化せないか。」

 

「いや、あれぐらい誰でも気づくでしょ……」

 

「ははは、やはり嘘はなれんな。

まぁもう目的は達成したさ。喜雨殿なら問題ない。」

 

「だからなんなのさ。」

 

「あのような姿を見せられて怒りに身を任せずに落ち着いていられる。それが確認できただけで良かった。

この争いが終わり次第食事でも奢ろう。」

 

「いいよ当たり前のことだしそれよりも……」

 

といい後ろを指差す。その方向を見ると、こちらにこいと手招きしている秋蘭殿がいた。恐らく戦いの編成の話だろう。

 

「そうだな。まずは目の前の戦いだな。」

 

「早く行ってきなよ。」

 

「あぁ。時間をとらせて悪かった。」

 

そういい私は秋蘭殿のもとに向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

編成の準備も整い。陣もしきおわった。

 

「なかなか敵の数も多いわね。」

 

我々の眼前には黄巾の者共が陣をしいている。

 

「賊が陣を敷くか!面白いものだな、ははは。」

 

そう私が笑うと荀彧殿が少し顔を歪めて言う。

 

「なにも面白くないわよ……これならまだ雑に固まってたほうが何倍も良いわね。付け焼き刃でも陣は陣。過去の戦いで結果を残したものなのよ。」

 

「わかっている。それで今回はどのような策をとる?」

 

「まずは敵の士気を下げるわ。あの三姉妹を使えば離反するやつらも多くなりそうだし。」

 

何かやらせるのだろう。表情は確信に満ちている。

 

「ていうかなんであなたは本陣にいるのよ。」

 

そう私は今回は本陣の守りに参加している。

 

「秋蘭殿の指示だ。今回の戦はグラハム隊の一部は本陣の守護に参加する。」

 

「よりによってあんたが……」

 

荀彧殿の指示により何人か本陣に呼ぶよう言われそれを私が引き受けたということだ。桜居は秋蘭殿と共に隊を率いているはずだ。

 

『なんで俺ばっかりーーー!』

 

と言っていたが凪が圧で黙らせていたので大丈夫だろう。

 

「桂花、グラハム始まったわよ。無駄話はよしなさい。」

 

ここからでは始まったかわ実際わからない。最前線からは大きく離れている。声なら少し聞こえるがそれはただの雑音だ。その中で気配を感じ取る華琳殿、やはりただものではない。

 

戦は順調に進んでいるようだ本陣では定期連絡の伝令が行き交いそれに対して指示をだす、軍師の者たちでわかれている。華琳殿はただ前線を眺めている。決して目をそらさずに。

 

「あ~疲れた……お水頂戴よ。」

 

前線で策を終えた三姉妹が帰ってきたようだ。

ようやく私の仕事ができる。

 

「前線での任務遂行ご苦労。これからは私達グラハム隊が警護につく。よろしく頼む。」

 

私が呼ばれた理由は三姉妹の警護が目的だ。離反したものが後方から三姉妹を奪取にする場合もあるからな。伝令の情報で離反した者は約3割。そう考えれば保険として私を呼ぶのは正解だろう。

 

「じゃあ私達は休ませてもらうわ。行くわよ姉さん。」

 

「は~い。じゃあよろしくねぇ~」

 

「任せたわよ!あぁほんと疲れた!」

 

といい陣に入っていく。

相変わらず眼鏡の少女以外緊張感のない。実際に黄巾着を、率いていたのは彼女だけなのかもしれんな。

 

そうしてしばらく戦線を華琳殿を真似するように眺めていると

 

「グラハム。」

 

「どうした?」

 

「来るわよ。準備なさい。」

 

「了解した。どのように対処をする?」

 

「できれば捕らえなさい。ここまで来るということは彼女たちの熱狂的な支持者なのでしょう。これからの足場作りにも役立つわ。」

 

「了解した。」

 

そういい私は華琳殿の隣から離れ三姉妹のいる陣の警護に移る。本陣から去るときに桂花殿に睨まれた気がするが気にすることはないいつものことだ。

 

持ち場につくと数十人が後方の陣に侵入してきた。

しかし連度が低いのかすぐに鎮圧が可能だった。

親衛隊隊長を名乗るものが捕らえられた状態で声をあげる。

 

「くそっ!天和ちゃんたちを帰せ!」

 

真名を許されているということは親好も多くあったのだろう。

 

「すまないがそれはできない。」

 

「な、なら俺を張角として殺してくれ!天和ちゃんたちは関係ないんだ!ただ他のやつらに巻き込まれただけなんだよ!」

 

「黙れ!」

 

と私の兵が彼を地面に押さつける。

それでも彼は言うのを止めない。

 

「お願いだ!あの三人だけは死んじゃいけないんだ!」

 

そして彼は兵を振り払い私のもとに駆け寄る。

そこでなにもしない私の部下ではない何人か切りかかろうとするが私はそれを手で制す。

私の足下に頭をつけて

 

「俺はどうなってもいい!お願いだ!」

 

そう言うと後ろで捕らえられていた者たちも呼応するように

「お願いします!」

「どうか彼女たちでも……」

「俺らの命はどうでも良い!」

 

という声があがり皆頭を下げる。

 

「「「お願いします!」」」

 

ここまで言われては私もかなわんよ。

 

「頭をあげろ!」

 

そう一喝し頭を上げさせ私を見させる。

 

「貴様らの愛良くわかった!その愛これからも生きてあの三姉妹に尽くせ!わかったか!」

 

「それじゃ天和ちゃんたちは……」

 

「あぁ勿論無事だ。これからもな。

ただ今は拘束はまださせてもらう。それは了承してくれ。

私は本陣に報告してくる。ここは頼むぞ。」

 

「はっ!」

 

そうして本陣に戻るともう戦は終わっていた。勿論我々の圧勝。

こうして黄巾の乱は終演を迎えた。

 

 

 

 

それにしても良き愛であった。

あの三姉妹もやるものだ……

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