真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第二十九話

 

「それでは全隊、これより各自訓練に励め。私は少し離れるが楽進副隊長や李典、干禁から師事を受けるように。」

 

「「「は!」」」

 

今日も朝から新兵の訓練をこなす。流石にもう慣れたものだ。ユニオンでは隊長はしていたが指導などをしている暇がなかったからな。しかも教えるのはモビルスーツの操縦技術ではなく剣術や徒手ときた。

 

「ふ、やはり変わったものだな。まぁ適応できているということか。」

 

「何を一人で言ってるのよ。気持ち悪い。」

 

ただ今日はいつもの訓練ではない。

この罵倒にも慣れたものだ。

 

「どうかな荀彧殿?」

 

「どうって何がよ。」

 

「お眼鏡に敵うかな?」

 

荀彧殿により華琳殿の親衛隊に仮入隊する隊員を見てもらっていた。男嫌いが有名な彼女であるが仕事までそれを持ち込みはしない。少し私だけには風当たりが強い気もするが……

 

「まぁ新兵にしてはいいんじゃない。十分だと思うわ。何人かは選考してるのよね。」

 

「あぁそちらに回せる実力を持つ新兵を記している。」

 

といい手に持っていた木簡を渡す。

 

「……少し少なくない?」

 

「そうだな。即戦力となる新兵は1月も経てば部隊に配属されるからな。足りないのであれば町の警邏をしている真桜殿と沙和殿の隊から引っ張ても良いとは思うが。」

 

「いいわよ。それに華琳様の親衛隊に中途半端なのは入れられないわ。」

 

といい。もとから目を付けていた新兵の隊を見る。

凪の指導のもと実戦形式の訓練に変わっている。そこそこの腕をしているが所詮新兵。即戦力になるかといわれればそれは否だ。新兵を見て評価するのは伸び代があるかどうかだ。この訓練で底が知れてしまったら残念だがあまり評価ができない。それは曹軍の将や軍師皆が理解していることだ。

 

「もういいわ。」

 

といい背中を向ける。

 

「兵の選抜はどうする?」

 

「そっちに任せるわ。私も忙しいのよ。」

 

といい今度こそ城内に入っていく。

仕事としてはそれで構わんが……

 

「難しいものだな……」

 

「なんや隊長さん。口説けなくてがっかりしてるん?」

 

「見ていたのか、真桜。」

 

「最初から最後まで見とったで。やっぱ隊長さんも桂花様は難しいんやな。」

 

「人とは皆難しいものだ。

それよりもいいのかここで私と喋っていて。」

 

「ん?なんで?」

 

後ろの方向を指差す。

案の定黒い覇気を纏っている凪がいる。

 

「うわやば!戻らんと。ほらお前ら鍛錬しっかりするでー!」

 

ははは、面白いものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。これで訓練を終了する。各自十分な休息を忘れぬな。」

 

「「「は!」」」

 

日が真上にきた頃朝から行っていた訓練は終了する。昼からは休息日の者もいれば警邏に招集される者もいる。

私と凪は昼からはグラハム隊の鍛練がある。

 

「隊長お疲れ様です。」

 

「いや、今日は凪のほうが疲れているだろう。押し付けるような形になってしまった。」

 

「いえ。問題ありません。それに隊長も仕事でしたのでしようがありません。」

 

「いや部下に負担をかけているのは変わらんさ。

さぁ今度は隊の鍛練だが……その前に昼食にするか。」

 

「そうですね。」

 

と、食堂に向かって歩きだす。

 

「ですが隊長は桂花様と仲が悪いのですね。」

 

「まぁ一方的に嫌われているからな。凪こそ最初は仲良くしようとしているようには思えなかったが。」

 

最初桂花が軍師になると聞いた時なにも言いわしなかったが、不服そうだったのは凪だ。

 

「そ、それは!初対面であんなことを言われれば……」

 

あんなこととは……

 

「あぁ、我等の隊の初出撃のときか。」

 

確かにあの時はこっぴどく言われたものだ。

 

「隊長はあまり気にしておられませんでしたが、私達隊全員があの時桂花様に良くない印象を受けていたのは確かでしょう。」

 

自分の直属の上司を馬鹿にされたのだ。怒りを覚えるのも仕方ないか。

 

「その後は関わっていくうちに悪い人ではないとわかりましたし。真名を許すところまでいきました。」

 

「それは良かったではないか。私にも許してくれればいいのだが……これでは華琳殿に面目がたたないな。」

 

「まぁ隊長なら出来ますよ……」

 

と言われた時急に浮遊感に襲われる。

ん?この感覚は宙に私が浮いている。

凪が咄嗟に手を伸ばし私の手を捕まえる。その顔は大分焦っているように見えた。

そして手を捕まれるが足が地に付くことはなかった。

 

「くっ……隊長!」

 

凪は大分焦っているようだ。

 

「問題ないさ。」

 

といい足元に空いた穴から這い上がる。

 

「誰か近くにいるか!」

 

と凪が言うと周りから兵が数人出てくる。

 

「将であるグラハム・エーカーが何者かに仕掛けられた罠にはまりかけた。至急兵を集め調査をするように!」

 

「は!」

 

「隊長お怪我はありませんか?」

 

「あぁ問題ない。しかし古典的な……」

 

そう私が引っ掛かったのは

 

「落とし穴ですね……隊長は一応医者に見て貰っていてください。」

 

「いや、私も捜査に参加しよう。」

 

「いえ。あの恐らく肩を痛めていると思います。見て貰ってください。」

 

少し強めに言われたので大人しく従うことにした。

 

「わかった。見て貰うことにする。それでは後々こちらに同行する。」

 

「はい。お待ちしております。」

 

そして私は医務室に向かった。

医者には肩が少し痛めたということで包帯を巻いてもらった。

そして私が落ちた穴があった場所を見に行く。

多くの兵が周りを囲んでいた。そして中心には秋蘭がいた。

 

「グラハムだ。入るぞ。」

 

といい現場に入る。

 

「グラハムか。凪がそうとう焦っていたが……問題はないようだな。」

 

「凪に助けてもらった時に少し肩を痛めただけだ。それで状況は?」

 

といい私が落ちた中庭の穴を見る。

 

「悪戯か。」

 

「そうだろうな。」

 

その穴は人を怪我させるには少々浅すぎる。落ちたところで足を挫く程度だ。この程度の穴でも下に槍でも敷き詰めれば殺せはするだろうがそんな細工もない。

 

「私個人を狙ったものではなさそうだな。」

 

「無差別的な罠。ここまで来ると本当に悪戯だな。一応ここの近くにいた者にも話を聞いたが穴を掘った者の情報はなかったな。悪戯ならばこれ以上情報もでなければ自白もないだろう。」

 

「そうだな。

ん?凪はどこだ?」

 

「凪か。凪なら侵入者がいないか城の周りを回るといって隊を率いていたぞ。」

 

「そうか。私もそこに合流するとしよう。」

 

これでは昼からの鍛練は無しだな。

 

「わかった。一応怪我人なのだ気を付けろよ。」

 

「気遣い感謝する。」

 

といい凪の元に向かう。

感ずいていなければいいが……

 

 

 

 

凪と合流し城周りの調査をするが侵入した痕跡はない。

合流した時は大分心配されたが調査をしていくにつれ収まっていった。

戻ってくると城内も落ち着きを取り戻していた。

想像していた通り城内にいる者の悪戯として処理されたらしい。

それが妥当なところだろうな。凪は少しやるせなさを残していたが仕方のないことだ。

そしてその後鍛練をこなし凪と夕食をとり自室へと戻っていた。

もう今日はやることはない。ゆっくり茶を飲んでいると扉が開く音が聞こえ予想していた人物が入ってくる。

 

「どうしたのかな荀彧殿。新兵の候補整理ならば明日まで待ってはくれないか。今日はいろいろあったのだ。」

 

「………そう。」

 

といい私も見ながら動かない。

 

「茶でも飲むか?」

 

「えぇ……」

 

といい私の向かい側に座る。

茶を差し出すとそれをすぐに飲みほした。

 

「あんた今日怪我したんですって?」

 

「知っていたのか。恥ずかしいことを知られてしまった。グラハム・エーカー一生の不覚だ。」

 

「何よ大袈裟に。気持ち悪いわよ……」

 

「それで荀彧殿私に何かようかな?こんな夜に来るのだ。何かあるのだろう。」

 

「あ、あんたは穴を掘ったやつを探そうと思わないの?」

 

なんだそんなことか

 

「探すつもりはないな。いくら探したところで何が変わるでもあるまい。ここまでの騒ぎになるのだこんなことをすることはなくなるだろう。」

 

「そう……本当にお人好しね。」

 

「そうかもな。」

 

というと席を立ち外に出ていく。

 

「じゃあこんなところに長くいたら何かが移っちゃうわ。」

 

「ははは、嫌われたものだ……」

 

「あんたもさっさと寝なさい。怪我をそんままにされたらこっちが迷惑よ。」

 

「わかった。」

 

「それじゃあね。」

 

といい今度こそ去っていった。

やはり本来優しいのだろうな彼女は……

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