真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第三十一話

 

あの女性が目の前を通りすぎた後次に目を覚ましたのは、城の医務室の布団の上であった。

 

「私は一体……くっ……」

 

酷い頭痛が私を襲う。

何とかしてその後のことを思い出そうとするが、なにも思い出せない。恐怖したことは覚えている。恐怖を感じたのは久方ぶり、ガンダムと初めて合間見えたときぶりだな。その時はその圧倒的性能に恐怖したがそれと共に心を奪われた。だが今回感じたものは純粋な恐怖。

しかも足が動かず、意識までも失った。

 

「昔の私に見られたら、笑われものだな……」

 

あの女性、いや歳としては少女と言ってもいいやもしれん。手合わせすらしていないのに尋常ではない圧倒的性能……いや圧倒的実力があると理解した。体は女性にしては少し大きいが春蘭殿と同じぐらいだろう。そして雰囲気はけして好戦的ではなく両手には多くの食べ物をもっていた。なぜそんな少女相手にこんなことを感じたのか今となってはわからないが。少女は恐ろしく強いのだということは私の中では曲げられないだろうな……

それはともかくだ私はどれ程寝ていたのか……取り敢えず立つとするか。

そう思って立てられて二本の剣を持つと

 

「あら。もう身体は大丈夫?」

 

これまた珍しい者が来るものだ。恐らく私の看病をしてくれていたのだろう。

 

「燈殿。すまない心配をかけた。」

 

「喜雨とあの三姉妹が意識のないグラハム様を運んできた時は城内はそれは騒ぎだったわ。とくに凪さんの慌てようは少し酷かったわね……」

 

「そうか。それは申し訳ないことをしたな……

もう沛国の統治はいいのか?」

 

「えぇ、あちらも落ち着いたからこっちに戻って来たのだけれど、すぐに皇帝陛下の遣いが来ると言われて。都の礼儀作法を知るのは私と桂花様それに香風様だけだから少し忙しいわ。略式で言いとは言われたけれど」

 

「そうか。それは申し訳ないことをした。今日は私は非番だ。何か手伝えることはあるか?」

 

「グラハム様は倒れていたのだから今日は安静にと華琳様から言われておりますから遠慮させていただくわ。喜雨や凪さんも心配していたようだし、顔を見せて上げたほうが良いんじゃないかしら?」

 

「そうか……すまない。この恩はいずれ返す。」

 

「このぐらいいいわよ。ほら早く行ってあげて。」

 

と少し急かしてくるが。私は気になっていたことを聞く。

 

「大分前にもらった書簡だがあれはいつ開ければいい。」

 

「そうね。そろそろじゃないかしら。」

 

「まだその時ではないと?」

 

「まだかしらね。」

 

「そうか。ならば気長に待つとしよう。」

 

といい部屋をでる。

 

 

 

 

 

 

「でも本当に近いかもしれないわね。私も戻る準備をしておきましょうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後

皇帝の遣いを迎える準備を終え私達一同は今かと待っている。

ん?前回の後の事が気になると?なに凪にしこたま叱られ過労なのではと疑われそのせいで仕事が偏った桜居が死んだようにしていたというだけだ。凪も同じような仕事をしていたはずなのだが今日も元気にしていた。不思議なものだ。私は二日休みをもらい完全に回復した。

しかし玉座の間にて結構な時間待っているがまだ来ないようだ。約束の時間は過ぎているはずだが。誰も話さないが

 

「………」

 

華琳殿の背中からはうっすらと怒りのオーラが見える。

あれは終わりには苦労するな。

そしてまたしばらく待っていると……

 

「呂奉先殿のおなりですぞー!」

 

そう聞こえ皆頭を下げる。足音的に来たものは三人か。それにしても呂布か……三國志最強と詠われていたがどのような者なのか気になるな。一度手合わせしたいものだ。

そして華琳殿がいつも座っている玉座のある高台へ上ると

 

「面をあげよ。」

 

といい顔を上げると小さい少女とそして紫髪の張遼殿ともう一人。昨日あった赤みがかった髪紫色の布を首に巻いているあの少女。が立っていた。

彼女が呂奉先……

だが初めてあったときとは少し雰囲気が違う。いや、私の感じかたが違うだけか?

顔は何を考えているのかわからない無表情。覇気もまったく感じられない。強さをまったく感じないが過去の私がそうはさせない。だが過去とは違い強いものと戦いたいという私の根本にある興味が今恐怖を上回っている。

どうすれば勝てる?どのような太刀筋か?どのように私を負かすのか?そういった疑問が私の頭をよぎる……

 

その時手をぎゅっと握られた。

その方向を見ると

シャン殿が私の手を握りながら心配そうにこちらを見ている。

また悪い癖がでてしまったようだ。目で心配するなと伝え安心させる。もう遣いの話しも終わりに差し掛かっている。

 

「それでは西園八校尉の任命式は後日禁中にて行われる。日取りは改めて伝えるゆえ待つようにと仰せなのです!」

 

「は!」

 

「それでは私共はこれにて失礼するです。」

 

「ちんきゅう……終わった?」

 

「終わりましたぞ恋殿。ささもう帰りましょう。」

 

といい入ってきた扉から帰っていく。

背中から怒気を放っている華琳殿をおいて。

 

 

 

 

 

 

その後怒った華琳殿から明日は休んでもいいから今日は羽目をはずしなさいと言われ解散となった。

そして今は

 

「おーーー!探したで!」

 

となぜかまだいた張遼殿に絡まれていたのであった。

周りには数人の兵がいる。どうやら私がどこにいるか探し回っていたらしい。

 

「して私を探して何のようですか?張遼殿。」

 

「なんや、そんな堅苦しい。あんな場でもないんやから。」

 

「感謝する。私もあまり堅苦しいのは苦手なのだよ。」

 

「お、のりええやん。」

 

というと私の目の前に壺を追いた

 

「これ前回黄巾の時のお礼や。老酒が入っとるから皆で飲み。」

 

「ほうこれはありがたい。是非飲ませてもらおう。張遼殿もご一緒にどうかな?」

 

「んや~ずっこいわーそう言われたら飲みたくなるやん。でも今日は遠慮しとくわ早よ帰らんと大将軍様からなに言われるかわからんからな。」

 

「そうか。それは残念だ。今度都に行く時にでも誘うとしよう。」

 

「楽しみに待っとるで。ほなまたな~」

 

と駆け足で去っていく。

本当に嵐のような人だ。

そして私は壺を抱えて部屋に戻る。今日は凪や桜居は別の仕事でここにはいない。

今は良かったと言えるだろう。部屋の周りには誰もいなかった。

椅子に座り壺の蓋を縛っていた紙の裏を見る。

そこにはやはり手紙のような文字が書かれていた。

 

『初めまして。私は董仲穎と申します。

まずは密書のような形で挨拶をすることとなり申し訳ありません。ご容赦ください。

今回このように書状を送ったのは私共の張遼、華雄をお救いくださった感謝を書きたかったからなのです。こう言ったものを正式な書状で書くのも今の都では難しくこのような形を取りました。

あなたのご助力がなければただではすまなかったと聞いております。これからもあなたのご活躍を願っております。

今回の件誠にありがとうございました。』

 

「ふぅ……」

 

少し焦ったな。あの董卓からの書状と来た。裏切りや引き抜きかとも思ったがそうではないらしい。この書き方や文字の形から察するに女性なのだろう。しかも礼儀もあるときた。

感謝は受け取っておこう。さぁ燈殿のもとにでも向かうとするか。

そう思い受け取った老酒を持って部屋をでるのであった。

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