次に訪れた店はここ数ヵ月だ有名になっている店である。
腹ごなしには少し重たいが季衣殿には関係ないことだろうな。
店の中に入るともう昼時は過ぎているというのに満席か……
どうやら店員も回りきっておらず、こちらの対応は出来ない状況なのだろうか。しかもこちらの文化では勝手に席に着くことが当たり前で店員が接客することは少ない。よほどの立場の差があれば変わるのだろうが。
「ふへぇ……こんなに一杯だなんて……」
「うむ……仕方あるまい。店主に聞き取りだけして次の店に入るとしよう。すまない。」
「兄ちゃんは悪くないよ……うぅ、最近流行ってる料理食べたかったなー……」
悲しそうな季衣殿の表情を見るとこころが痛むが仕方ないそれでは店主は……
と店内を見渡すとこちらに向かって手を振る青緑色の髪の金色の鎧を着ている女性がいた。喧騒の中で声は聞き取れないが、手の動きを見るにこちらにこいということだろう。席を見るともう一人の大人しそうな髪を肩で揃えている同じよえな鎧を着た女性が困ったような顔でこちらを見ているが私の視点に気付くや否や笑顔を浮かべこちらに促すような身振りをする。
「季衣殿。どうやら食べられそうだぞ。」
「ふぇ?」
季衣殿の身長では見えないのだろう。手を繋ぎそこの席まで誘導する。
「ほらな?斗詩。きただろ?」
「そうだね……文ちゃん。あ、どうぞ座ってください。」
そして彼女らと対面するかのように座る。
「ありがとね!お姉ちゃんたち!」
「助けてもらったいました感謝します。」
「いいってそんなかしこまらなくても。こんなときこそ助け合いだろ?」
「いいんですよ私達こんな格好してますから結構広い席に通されて回りの方々に申し訳なかったですから。」
「そうでしたか。ですが助けてもらったことも事実ここの勘定は私がもちましょう。」
「よし!やったな斗詩!いやー人助けはするもんだな!よしちびっこたらふく食うぞ!」
「ちびっこじゃないやい!でもたくさん食べる!」
「ははは……すみません……」
「構わないさ。こういったことには慣れている。」
「あと兄ちゃん。」
「何かな?」
「敬語で喋るの、すんごい違和感」
そこまで私は礼儀知らずではないはずなのだがな……
そして数分がたつと
「ちびっこに負けてらんねー!」
「僕だって!」
といい大食い大会が始まっているのであった。
どうやら波長が会うのだろう。それにしてもこの量は少し予想外だな。
「ははは……すみません。ご迷惑をおかけして。」
「いや、構わんさ。」
隣の二人が喋っている、食べている中我々は自己紹介をすませ少し砕けて喋っても良いということは許してもらえた。
「でもこんなところで噂の青の御遣いに会えるなんて思っても見ませんでした。」
「ん?なんだ?その青のなんちゃらってやつ?すごいのか?」
「もう文ちゃんたら。私達の町でも有名じゃない。二人の天の遣いがいて一人は劉備と共に善政を取り持ち、もう一人の青の御遣いは武を用い様々な戦に介入していると。その武勇は聞いています。」
「あぁ、あの漢の兵団を一目見ただけで撤退させたってあの?」
「なんだその噂は……根も葉もない戯れ言だな。」
「ですが姿は正しく伝わっていると思いますよ。金髪碧眼そして右顔に大きな傷をもつと。」
「それなら兄ちゃんしかいないね。」
季衣殿も頷いてくる。
「まぁそれはおいておくとしてだ。してこの陳留にそんな鎧を着こんでなに用かな?」
そうこの落ち着いている時期に鎧を着込み来るなど何かあってしかるべきだ。何もないならそれでもいいがこの時期に客将志願ならば事前に文があってしかるべき。それすらせず、この者たちほどの実力がある者が来るということは何か火急な用事が誰かから下されている。と思ったほうが良いだろうな。
「そうですね。それはまた別のところで。」
流石にここでは言えないか……
「それで青の御遣い様は何故陳留に?」
「何故と言われても私は曹操殿のもとで兵を預かる身なのでな。」
「そうですか……そうなんですか!」
「おう!斗詩どうした!?」
「だっ…だってそんな情報入ってきてなかったし……」
噂を流しているのは燈だったはずだがある程度の情報統制はしているのだろう。だが何故曹操のもとにいることを伏せるのか少しわからんがな。
「でも知れてよかったかも。あのグラハムさん私達は袁紹様の命により曹操様に用事があるのですが取り次ぎを頼めないでしょうか?」
少し小声でこちらに話しかけてくる。私の予想は当たっていたようだな。
「了解した。その役目このグラハム・エーカーが引き受けよう。
だがその前にこの二人の状況をどうにかしなければな。」
「ねぇ兄ちゃんまだ食べて言い?」
「いいよな?斗詩!」
「いいぞまだ時間はあるさ。顔良殿もそれで良いか?」
「もう文ちゃんったら。勿論構いませんよ。」
なら注文をするか。少し時間がたっているため混雑は解消されはじめている。これならば店員を呼んだほうが良いだろう。
「すまない。注文を頼めるだろうか?」
「は~~い」
と店員の声が聞こえる。
「しかし今日は友を探すのは中断だな。」
「仕方ないよ。華琳様にとって重要なことなんでしょ。また探せばいいよ。」
「人探しか?」
「うん。僕の友達が陳留に来てるはずなんだけど全然見つけられなくて。」
「そうなんですか。それは心配ですね。」
「うん。でもしっかりしてるからもしかしたらこういった所で働いてるかもって、兄ちゃんと一緒に探してるんだ。」
「はーいお待たせいたしました。」
「そうそういつもこんな声でいつも……」
「季衣?」
「流琉?」
おっと感動の再開といったところだが。二人とも何故か武器を取り出し
「季衣!」
「流琉!」
と戦いはじめるのだ。よもや宿命にまで至っているというのか?