真・恋姫†無双~夢空飛譚~   作:ジャックIOVE

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第四十二話

 

「これでよかったのですか?今頃城内は……」

 

「なに構わないだろう。私からの礼を渡したにすぎんよ。そのせいで私の給金は殆ど使いきってしまったがな。ははは。」

 

そうして私達は道なき道を進んでいる。お互い顔を隠す仮面を被り黒を基調とした鎧を装備し、そしてこれは私の趣味だが赤の羽織を羽織っている。

 

「なかなか高価そうな鎧ですが……」

 

「気にするな。身分を偽るにはこれぐらいしなければな。だがそれよりも得物の扱いは問題なさそうか?」

 

「はい。手甲の先端に折り畳みしきの刃とは見たときは驚きましたが……使う分に支障はありませんですが……」

 

「私の得物か?」

 

と手にもつ得物を見る。それは青龍刀よりも刃が長く、柄が短い。そして一番の特徴は両端に刃があることだ。正直これでは自傷の心配はあるだろうが……

 

「問題はない。この得物も元の世界で経験済みだ。」

 

「そうですか……あ、あとこれからの名はなんと呼べば……」

 

「私のことは羅破《らは》と呼ぶといい。この時代にもあっているだろう。」

 

「は、羅破様。私のことは几箋《きせん》とお呼びくだされば」

 

「几箋か少しあからさますぎないか。」

 

「それは羅破様こそ。」

 

そう歩く我々に陰りはない。自身の正義のために進むのだ。陰りなどあってなるものか。

 

「追手は来ると思いますか?」

 

「曹操殿のことだ。勿論来るだろう。」

 

「そうですね。どうされますか。」

 

「いや、もう手は打っている。」

 

そうすると前から馬を二頭連れている女性がこちらに向かってくる。

 

「おーいまっとたでーー」

 

場違いな明るい声をあげながら笑顔で。

 

「張遼殿、すまぬな。こんな早朝に」

 

「いやいや気にせんでええよ。それより早よ乗り。曹操の追手が来るんやろ?」

 

「ありがたい。几箋頼めるか。」

 

「は。」

 

「へぇそっちの子、几箋ちゅうんか。わいは張遼や、これからよろしゅうな!

そや、あんたのことは何て言えばいいんや?」

 

「私のことは羅破と呼んでくれ。」

 

「わかった。よろしくな羅破。

ほな行くで!追手ももう近くまできとるって報告あったしな。」

 

そういい私たちは馬を走らせて行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うまく逃げられたわね。」

 

「すみませんお姉様……」

 

「いえいいのよ。もとから捕らえられるとは思っていなかったのだし。あなたの練習にもなったでしょう。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「あと、グラハム隊には香風を同行させるわ。期待してるわよ栄華。」

 

お姉様に報告をしたのち離れる。

そして部隊に戻ると

 

「あ、栄華様お帰りなさい。」

 

「はい今戻りました桜居さん。」

 

グラハム隊の皆さんが出迎えてくれます。女性のかたは桜居さんしかいないのが少し苦しいですがグラハムさんの部隊なだけあって皆礼儀正しいのが救いですわね。そしてこんな私にもついて来てくれるのは本当にありがたいですね。

 

「華琳様大丈夫でした?」

 

「はい。想定どおりということでした。これからは出立に集中しろということでしたわ。」

 

「ならよかったです。俺、いつもの華琳様なら大丈夫なんですけど指揮してる時のあのピリピリした空気を纏うの苦手なんですよね。」

 

「まぁわかりますわ。」

 

だからこそこの町が成り立っているのですけれどね。

 

「それにしてもあの人はいろいろなものを残していきましたわね。グラハム隊もそうですがあの分厚い本とそれぞれの贈り物。あれを一日で用意したというのですから……しかも手作りのものが殆どをしめているといいますしなんというか気持ち悪いですわね、あのおと『グラハム・エーカーである!』………久々に来ると頭にきますわね……」

 

「そうですね。俺と栄華様は剣でしたけど、他の人たちは小道具とか小物ですもんね。華琳様なんて小さな扇をもらっていましたね。」

 

華侖さんと柳琳さんは髪飾りでしたのに……まぁ真桜さんは何かの絡繰?で、季衣さんは手甲を安定させるための腕輪のようにそっち方面ではないものも多くありそうですが……

 

「まぁ、彼らしいと言われれば彼らしいですわね。」

 

「そうですね~」

 

「ではいつでも出立できるように準備を。そして香風さんがこちらに来るそうですからその分の馬の準備を……」

 

「おーいーー栄華様ーー」

 

「あら、香風さんきてらっしゃたんですね……」

 

と辺りを見渡してみるが香風さんの姿はどこにも見えない。

 

「ん?香風さんはどこにって……桜居さんそんな上を見てどうかなされましたの?」

 

「……いやだってあれ」

 

と上を指差す。上に何があるというので……

 

 

「ねぇ見て見て~シャン空飛んでるよ~」

 

「えっ…………えっ!?」

 

上を見るとなにか大きな布?が広げられておりそれにぶら下がるように香風殿が空を飛んで………

 

「飛んでますの!?」

 

「飛んでますよ!?」

 

そしてそのまま、ふわぁと降りてくる最初布の下敷きにはなったがそこからヒョコっと顔を出す。あぁなんて可愛い……いやそれよりも

 

「香風さんこれは……」

 

「これね、お兄ちゃんから貰ったの。ぱら……しゅー……と?て言うやつ。説明がここに書いてあったからやってみたの。そしたら上手く行った。ふんす……」

 

慎ましやかな胸を張りそう言う彼女はとても可愛らしかった。

といっても空を飛ぶものですか……なんと言うものを彼は渡しているのですか!?

 

「はぁ……これはお姉様に報告ですね。他の方にもこのようなものを配っていないといいのですが……」

 

「あはは大将ならあり得ますね……」

 

そう苦笑いを浮かべていると

 

「シャン……なにか悪いことした?」

 

と、可愛らしく首を傾げているのだ。

 

「あぁ!もう!可愛いですわ!」

 

「あ、栄華様が壊れた。

グラハム隊総員出立準備!そして誰か華琳様に報告を。大将が皆に渡したもの全て調べさせるようにと。俺はは栄華様を抑えとくから。皆大将も副将もいなくなったけど頑張ってこうな!」

 

「「「オーーーーーーー!」」」

 

 

 

 

 

 

その後特殊なものは出立前に華琳様に見せるように指示をされた。だが香風さんのような特殊なものは少なかった。真桜さんの絡繰ではなく模型?が特殊な形をしているや、沙和さんに彼が着ていた服の詳しい設計書などが渡された程度であった。一人かたくなに見せない人、桂花さんがいたのだが流石にお姉様の命令には逆らえないらしくしぶしぶ服の裾から一枚の薄い紙を取り出した。

 

「これは?」

 

「栞というものらしく本や兵法書等に挟み使用するものだと書いていました。」

 

「そう。なかなか綺麗なものね。花を抑えて模様にしているようね。この花は彼岸花かしら?」

 

そう言われ返されるとまた裾にしまう。彼女らしくないと言えばらしくはない

他に渡された物は春蘭さんは新しい胸当て。秋蘭さんは小振りな剣。そのどれもがあまり見ない作りで作られている。そして燈さんは一冊の本。誰かの生涯がが書かれているらしいが誰のものなのかはわからない。でもあの分厚さ相当ですわね……

喜雨さんは最新の農業に関わる書物が五冊ほど……とほんとに様々なものを渡されましたわね……

 

「取り敢えずこのぱらしゅーとに関しては帰ってきてからでいいでしょう。皆集めてすまなかったわね。じゃあそろそろ行きましょうか。」

 

お姉様の合図のもと出立を始めるため将は各隊に戻る。

 

「そろそろですわね。」

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫ですわ。桜居さんこそお二方が抜けて困っているのではなくて。」

 

「そんなことはないですよ。」

 

「ならよかったです。」

 

もう覚悟は決まっている。これからの戦場で恐らく彼は私達の前に立ちふさがる。越えなければならない障害として。私の手で方をつけたいものですわね。

 

「待っていてくださいよ。グラハムさん。」

 

あなたの正義に勝つために。

 

「全軍前進!!」

 

今度は戦場でお会いしましょう。

 

 

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