「それじゃはじめるでぇーーー」
「えぇとこれは……」
張遼殿に連れられ案内されたのは多くの兵がいる鍛錬場のような場所であった。
「私が張遼殿に無理を言ってやってもらった。簡単に言えば模擬戦だ。だがよくここまで集めたものだ。」
「模擬戦ですか…?」
「名も知らない者が将などそう簡単に受け入れられるものではない。よって無理を承知でこの場を設けてもらった。」
「あ、あんた勝手にこんなことして許されると思って……」
「まぁまぁ、良いではないか賈詡。」
「華雄……」
「それで私の相手はどちらだ?」
と、華雄殿は得物である長柄の斧槍を私達に向ける。
「先陣は私が務めましょう。」
「できればそちらの男と戦いたかったのだが……いいだろう。」
少し拗ねた表情をするが、一瞬で武人の顔に戻る。
「なに、これが終われば直ぐにでも相手をしよう。
だがその前に几箋と仕合、無事であればな。」
「それは期待が出来そうだ……」
私に向けられていた気が全て几箋に注がれる。
「ご期待に応えられるよう頑張らせていただきます。」
そういい二人は視線を交差させ戦場へと向かっていく。
「さてどちらが勝つか……董卓殿はどう見る?」
「わ、私はあまりこう言ったことは得意では……」
「では軍師殿そちらはどちらかな?」
「あんた勝手に仕切らないでよね!でもそうね……」
そういつて軍師殿は手を顎に添え二人を見て考え始める。
「正直に言えば華雄かしら。」
「それはなぜ?」
「得物の差が一番かしら。彼女の武器が何なのかはわからないけれど小楯と小剣が一体化したものでしょう。あれは至近距離の白兵戦を意識したものというよりもごった返している戦場で小回りを活かすためと予想したけれど……」
と語る軍師殿の予想を聞いていると私の顔を訝しげな目で見てくる。
「あんたわかりやすいって言われない?」
「おっと顔に出ていたかな。」
「えぇ…仮面越しの目が語っていたわよ。でも予想は華雄のままにするわ。」
「では、私は几箋の方に。」
「よし。二人共準備はできたかーー?」
「あぁ」
「はい。」
と聞こえる。私達は他の兵より一つ高いところから見ている。隣の2人の目は戦場に立つ2人のに向けられている。
その目はただの少女ではない。軍師殿は軍師らしく見定める目。一方董卓殿は
「ほう……」
覇王の目をしていた。
やはりここまで人を集め反乱を起こし粛清したとしてもついてくる。流石、人の上に立つ者といったところか。
「そんじゃはじめぃ!!」
といい仕合が始まる。
「「……!!」
お互い周いを詰める。もちろん先に周いを征するのは華雄殿。長柄の斧を振り回す。大振りの横に振りかぶられた斧槍は几箋の胴を捉えようとする。まさに一撃必殺……だが、ただ無茶苦茶に振っているのではない。その踏み込み、狙い、先の先を狙った行動は彼女の実力を証明するには十分なものであった。
だがそれに負ける几箋ではない。
カン!シュッ……
強く横薙ぎされた斧槍を盾で受け止め上に弾く。いや受け流す。弾いてしまえばまた振るわれるよって流したほうが利点は多くある。だが難易度は流すほうが高い。しかも相手も達人と呼べるレベルだ。柄を弾かれぬよう相手に当たるタイミングで手前に引いている。ということは几箋は一番威力の高く速いものを技量で流したのだ。
明らかな隙、絶好の機会を掴んだ。刃を振るう。
「流石だ」
私が言う。
「流石ね」
軍師殿が言う。
だがそれを言う相手は几箋ではない。
「はぁぁぁ!!」
横に流された斧槍を一歩踏み出すことによって柄が短くなり安定性を取り戻しそのまま回転し躱しつつ、さらに速さのました斧槍が再び振るわれる。
柄を短く持っているため流すことはほぼ不可能。しかも前段の流しが成功してから攻めの姿勢に入っている。
これは入った。誰もがそう思った。
だが実際にその斧槍が振り切られることはなかった。不自然に胴に触れる直前で止まっていた。
そして几箋の刃も華雄の首の直前で止まっている。
「寸止め?」
董卓殿が言う。だがそれは違う。
几箋はあの斧槍を左手一本で征した。
そして華雄殿は几箋の攻撃をまた左手で征した。
「なかなか面白い芸当だな、几箋とやら。」
「いえ華雄様こそ咄嗟の反応と言うには早すぎる。こうなることも予測していましたね。」
あちらで何か話してはいるがこちらには聞こえない。だがこれは
「止め。この勝負引き分けや。」
「まぁそうなるわよね。」
と采配が張遼殿の口から告げられる。
「なんだ張遼!私はまだ戦えるぞ!」
「何強がってんねん!あの体勢からお互い離れられへんし、離れるんはどちらか死ぬときやろ。そら引き分けにするわ。」
「うむぅぅぅぅ……」
「まぁそうなりますね。華雄様お手合わせ有難う御座いました。」
「あ、あぁこちらこそ。」
と握手を交わしている。
「強かったわね。」
「そうだろう。」
「でもどうして華雄の攻撃を止めれたの?几箋の攻撃はある程度止められる範囲だとは思うのだけれど。」
「簡単なこと。あれは柄を取っていたのではない手首を取っていたのだ。どれだけ腰で得物を振ることを意識していたとしても最後には必ず手首を振る必要がある。それがなければ威力は激減する。だから几箋は空いた左手で相手の手首を征した。それだけのことだ。」
「そんなこと実践で出来るの!?」
「難しい話だが、几箋ならやってのけるだろうな。今のようにな。」
といい私は几箋が戦っていた場所へ向かう。
「几箋。ご苦労だった。」
「いえ羅破様。ご期待に応えられず申し訳ありません。」
「いや十分だ。まだこれから慣れて行く必要があるがな。」
「はい。有難う御座います。」
「では、今度は私が行こう!」
「お!まっとったでこの張遼さ「恋がやる」……って恋帰って来てたんかい」
そう張遼殿の言葉を遮る声が入る。恐怖と懐かしさを感じる声が
「うん。露、ただいま。」
「おうおかえり。って恋がやるん?本気?」
「うん。恋この人と戦いたかった。」
そういい私を見据えるのは呂布。覇気からもその強さがわかる。恐らく董卓軍の最高戦力。その者が私とやり合うことを望んでいる。
「成る程彼女がこの世界での私のガンダムとなるか……」
「?羅破なんか言ったか?」
「いやなんでもない」
「んでどうする?」
「結構。呂布殿。是非一戦よろしく頼む。」
「ん。じゃあ準備する。」
ふぅ。ここで燃えてしまう悪い癖は治らずか……
次回呂布戦お楽しみに。